戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第322話 退屈している暇がないのう

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「あれ?ヒルダちゃんは見たことなかったかしら?」

ミリーナはヒルダの驚きにルークが壁を斬るところをみたことが無かったことに気が付く。

「山小屋を粉々にしたところは見たことがあったが、壁を斬るところは見たことなかったはずじゃが・・・」

ヒルダが思い出しながら答える。

「ふふふ。それじゃあ。びっくりするわね」

ミリーナがヒルダの反応を楽しみそうに笑う。

「そうか、楽しみにしておくのじゃ」

ヒルダも笑った。

「・・・見世物じゃあないんだがなぁ・・・」

ミリーナとヒルダの言葉を黙って聞いていたルークが困ったように頬を指でかいた。





「さて、話を続けるぞ」

ルークが話を戻す。

「ここから侵入したら、まずは領主の館を目指す」

「領主の館に?」

「ああ。この街で何が起こっているかは分からないが領主に聞けばはっきりするだろう」

「外からの出入りを制限しているには相当だわ。領主が素直に教えてくれるかしら?」

ミリーナがもっともなことを呟く。

「そうだな。まぁ、最悪これを使うさ」

ルークは腰から短剣を取り出していう。

「っ!?それは!?・・・そうね、それを見せれば話を聞いてくれるわね」

ミリーナがルークが取り出した短剣を見て驚きながら呟く。

「何じゃ?」

ヒルダはよく分からず疑問の声を上げる。

「これは、ルークが『国王代行』であることを示す証明よ」

「なんじゃと!!『国王代行』じゃと!!」

ヒルダが驚いた声を上げる。

「そうか。ヒルダにはまだ話してなかったな」

ルークはそのことに思い至り、ヒルダに短剣を渡す。

ヒルダは短剣を受け取り、静かに抜く。

「・・・これは、セインツ王国の王家の紋章じゃな」

金でできた綺麗な刀身の中にセインツ王国王家の紋章があしらわれているのを確認したヒルダが感心したように呟く。

「まったく、ルークといると退屈している暇がないのう」

ヒルダは短剣を鞘に納め、ルークに返しながら楽しそうに笑うのであった。
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