25 / 368
第1章 タイムカプセル
1-25
しおりを挟む
断れる訳、ありませんでした。美雲丸が私に頼み事があるなんて初めてです。よほど困った事があるのでしょう。
フクが「お兄さんが、こがねちゃんを探してるよー」と警報を発したので、急いで行きます。
美雲丸も姿を消しました。
予感がする。何か大きな事が起こりそうな、私が何かとんでもない出来事を引き寄せそうな、予感。
新たな出会いが待っている。
胸が高鳴り、兄や父にどんなにいびられても落ち込みませんでした。
自宅近くのバス停からバスに乗り込み、遅刻間際で私が通う高校に着きました。共学の公立高校で、駅前の下り坂の先にあります。
母や祖母から、私が作った朝食が不味いだの、お茶が緩いだの、食器の洗い方が適当だだの、色々怒鳴られたせいもあるのですが……意図してこの時間に登校してる節もあります。
階段を駆け上がって、自分の教室に入りました。二七人のクラスメイト達は眠そうで、慌ただしい私など目もくれません。
私はちらりと、教室の前方、廊下側の席に目をやりました。お手洗いにでも行っているのか、空席です。
それを確認して、ホッとしました。あの席の男子とは会いたくないのです。
暗い気分で、私はぼんやりと窓の外を見ました。退屈そうなカラスが一羽、電柱から電柱へ飛んでいきます。
実は、夏休みには、ひとつのお別れがありました。
それが胃の中に重い石でも出来たかのように、私の心を沈ませるのです。
ひとりのクラスメイトと、ひとりの先輩に、どうしても会いたくない。
学校ではそのふたりを避けるように行動しました。五時間分の授業があっという間に終わります。
友達である女子のクラスメイトと話したり昼食を一緒に食べたり、楽しい時間もありましたが、さして重要な話ではないので割愛します。
フクが「お兄さんが、こがねちゃんを探してるよー」と警報を発したので、急いで行きます。
美雲丸も姿を消しました。
予感がする。何か大きな事が起こりそうな、私が何かとんでもない出来事を引き寄せそうな、予感。
新たな出会いが待っている。
胸が高鳴り、兄や父にどんなにいびられても落ち込みませんでした。
自宅近くのバス停からバスに乗り込み、遅刻間際で私が通う高校に着きました。共学の公立高校で、駅前の下り坂の先にあります。
母や祖母から、私が作った朝食が不味いだの、お茶が緩いだの、食器の洗い方が適当だだの、色々怒鳴られたせいもあるのですが……意図してこの時間に登校してる節もあります。
階段を駆け上がって、自分の教室に入りました。二七人のクラスメイト達は眠そうで、慌ただしい私など目もくれません。
私はちらりと、教室の前方、廊下側の席に目をやりました。お手洗いにでも行っているのか、空席です。
それを確認して、ホッとしました。あの席の男子とは会いたくないのです。
暗い気分で、私はぼんやりと窓の外を見ました。退屈そうなカラスが一羽、電柱から電柱へ飛んでいきます。
実は、夏休みには、ひとつのお別れがありました。
それが胃の中に重い石でも出来たかのように、私の心を沈ませるのです。
ひとりのクラスメイトと、ひとりの先輩に、どうしても会いたくない。
学校ではそのふたりを避けるように行動しました。五時間分の授業があっという間に終わります。
友達である女子のクラスメイトと話したり昼食を一緒に食べたり、楽しい時間もありましたが、さして重要な話ではないので割愛します。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。
専務は御曹司の元上司。
その専務が社内政争に巻き込まれ退任。
菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。
居場所がなくなった彼女は退職を希望したが
支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。
ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に
海外にいたはずの御曹司が現れて?!
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
下っ端宮女のひたむき後宮恋譚 ~前世の夢を追いかけていたらいつのまにか寵愛されていました~
紀本明
キャラ文芸
妃嬪から嫌がらせを受けつつも耐え忍んでいた下っ端宮女の鈴風(りんふぁ)はある日突然前世の記憶を取り戻す。料理人になるのが夢だった彼女は、今世でもその夢を叶えようと決意した矢先、ぼさぼさ頭の宦官・雲嵐(うんらん)と出会い、毎晩夕飯をつくることになる。料理人になるべく奮闘するも、妃嬪からの嫌がらせはひどくなる一方だった。そんなある日、事件が起こり、鈴風は窮地に立たされるが……――?
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる