【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第3章 万年筆

3-12

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 その隙に、弦介さんが私に小声で尋ねます。

「彼女も何か失くしたのかい?」
「いえ。私の好きな場所を紹介したかっただけです」

 と、言っておきます。それも事実ですけど、本意は赤松さんが大事な物を失くした時のためです。

「あら、この花かんざし、とても可愛いわ」

 赤松が目を止めたのは1本のかんざしでした。赤・白・黄色の組紐を編んで菊の形を作ってあります。紐の先端には大ぶりのトンボ玉が通されていて、歩くたびに揺れるよう計算されているみたいです。

 きっと、和服を着た赤松さんに似合うでしょう。

「これ、おいくらかしら?」
「3740円です」

 これはまた高い品物ですね。高校生にとっては、ひとつの品物に3000円も出すなんてちょっとした冒険です。
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