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第3章 万年筆
3-40
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私は父に近付き、料理する手元を見ました。
父はまず最初に、みりん、酒、しょうゆ、水を混ぜました。これが今回の煮物の味となります。
次に、油揚げをキッチンペーパーの上に置きました。こうして余分な油や水分を取るようです。その間に、壬生菜の根元を少し切り落とし、食べやすい一口幅に切りました。シャキッ、シャキッと良い音がします。
そして最後に、調味料を混ぜたもの、油揚げ、壬生菜を鍋に入れました。中火で煮立たせます。
出来上がり。煮物のお惣菜でありながら、壬生菜のシャキッとした歯応えも楽しめる美味しいおかずです。
「お前の作る物は、あと一手間が足りない。その一手間で料理は味や印象が変わる。料亭の家に生まれて十六年も経つのに、そんな事も分からない素人以下の腕だとは……あまりにも恥ずかしい。お前は料亭にも、親の顔にも泥を塗った。少しは反省しろ」
父の声には呆れと失望が混じっていました。
「くれぐれも、しろがねの足は引っ張るなよ」
「……はい」
私は情け無いほど弱々しい声で返事しました。父の料理へのこだわりや情熱は本物で、それを前にすると言い返すなんてとても出来ません。兄の事は余計でしたが。
父はまず最初に、みりん、酒、しょうゆ、水を混ぜました。これが今回の煮物の味となります。
次に、油揚げをキッチンペーパーの上に置きました。こうして余分な油や水分を取るようです。その間に、壬生菜の根元を少し切り落とし、食べやすい一口幅に切りました。シャキッ、シャキッと良い音がします。
そして最後に、調味料を混ぜたもの、油揚げ、壬生菜を鍋に入れました。中火で煮立たせます。
出来上がり。煮物のお惣菜でありながら、壬生菜のシャキッとした歯応えも楽しめる美味しいおかずです。
「お前の作る物は、あと一手間が足りない。その一手間で料理は味や印象が変わる。料亭の家に生まれて十六年も経つのに、そんな事も分からない素人以下の腕だとは……あまりにも恥ずかしい。お前は料亭にも、親の顔にも泥を塗った。少しは反省しろ」
父の声には呆れと失望が混じっていました。
「くれぐれも、しろがねの足は引っ張るなよ」
「……はい」
私は情け無いほど弱々しい声で返事しました。父の料理へのこだわりや情熱は本物で、それを前にすると言い返すなんてとても出来ません。兄の事は余計でしたが。
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