【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第3章 万年筆

3-67

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「俺を失くした時、すぐに探さなかったのは故意だな。見つける気が無かったんだろ」

「えっ」 

 驚きの声を上げたのは私です。

 赤松さん、わざと失くしたままにしたのですか?

「俺を失くす事で、未練を断ち切ろうとしたのだろう」

「……」

「責めてはいない。お前がそうしたいなら、そうすれば良いのだ」

「何故、怒らないの?」

「俺達付喪神は主の幸せを願っている。俺を失くせば幸せになれるなら、そうしてくれ」

「……正直に言うと、あなたの言う通り。このまま万年筆を失くしたままにすれば夢を諦められると思っていた。小説を書く時、いつもあれを使っていた。情熱や夢や想いのこもった、私の半身のような存在だから。ただのペンじゃないから」

 赤松さんは、声を詰まらせました。

「でも、どうしてかな……」

 絞り出した声で、心の内を明かしました。

「ちっともスッキリしない。幸せなんかじゃ、ない」
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