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さぁ、はじめようか
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「これも違う、これも!もっと豪華で誰をも目を見張るモノはないの?!」
レティシアが怒鳴る。
「レティシア様、こちらはいかがでしょう」
新たな商人がズイッと前に出る。
「…、悪くはないわね、でもこれにもう少し装飾を足す事は出来て?」
「もちろんですとも!」
部屋の中でごった返す商品や商人達、それを気配を消し眺める。
(そろそろ大丈夫か…)
大きな図体の男の影が消える。
「さてと」
レティシアの部屋から外に出たオズワルドが首を伸ばす。
あれから結局またレティシアの下僕として戻された。
オズワルドの実力を知らないアナベルやレティシア達はヨルム軍に勝利したのはあの魔物執事が黒魔法を使ったからだと勘違いしていた。アナベルにとってオズワルドが復活する事でハーゼルゼットを崇拝するジーク派の兵が活力を増す事は避けたい。それでジークヴァルトらが嫌がるこの魔物執事の話題を元に難癖をつけて戻したのだ。
だからレティシアは変わらずオズワルドをただの親の七光りで王宮騎士団長になった図体デカいだけの何もできない男と思い相変わらずのいびりを再開したが、もうすぐある誕生祭の準備の事で頭がいっぱいになり役立たずのオズワルドから関心がなくなった。
聖女リディアに対抗意識を燃やしパーティで身分の違いを思い知らせたいと闘志を燃やしているレティシアはパーティの事で頭一杯でこちらの存在を完全に忘れている。
これ幸いと抜け出したオズワルドが軽く筋肉を伸ばす。
「こんな茶番いつまでさせる気だ、能無しめ」
そんな所へキャサドラが顔を覗かせた。
「どうした?」
「やはり団長動き出していたんですね」
「知っていたのか?」
「ルーサーから聞きました、それで団長の援護と伝達の役をもらいました」
「そうか、なら殿下はもう知っているのか、手間が省けた」
一度ジークヴァルトに知らせた方がいいかと思っていたところだった。
「これからどちらへ?」
「アナベルの所へナセルの情報を探りにいく」
「私は何をすれば?」
「あとで殿下に伝達を頼む」
「はっ」
キャサドラが敬礼する。
「そう言えば、あの女はどうしている?」
「リディアですか?」
「ああ」
「リディアなら殿下の控室を貸してもらってのんびりしてますよ」
「控室を?えらく信用されているのだな」
「そりゃぁもう、あの毒薬事件の時の殿下の迫力ったら、あれは惚れてるね、絶対」
「‥‥」
(そこまで惚れさせているなら、ジーク派を操るのは容易い、危険だ…)
思考を巡らすオズワルドをキャサドラが流し見る。
(あら?反応ないわね、こりゃ団長は興味なし?)
初めてリディアと対面した時反応を示したというマーカスの話で少しは気があるのかとも思ったキャサドラは少し残念に思い心の中で一つため息を付く。
(団長とリディアの組み合わせ面白いと思ったんだけど、リディア残念ね、こりゃ脈なしだわ)
「あの女の警護はお前か?」
「はい」
「様子をまた報告してくれ」
「解りました、ではまた後で来ます」
そういうとキャサドラは姿を消した。
(リディアの警護がキャサドラなのは好都合、誰と接触してるいるか探れるな…)
そう思いふとあのヨルム戦のリディアを思い出す。
あの時、リディアに煽られ体が一気に熱を帯びたあの感覚を。
(まさかあんな小娘にのせられるとはな)
殿下や軍師までもやられる気持ちも解らなくはない。
そう思うと益々リディアの存在が脅威に感じる。
(だが…どうして?)
自分の手を見る。
ヨルム戦後、よろけたリディアを抱き留めた。
傷を負っていたのにも驚いたがそれよりも、体が微かに小刻みに震えていたことに驚いた。
あれだけ大見えを切り、大胆な行動を見せ肝っ玉が据わり切っている女がだ。
(戦争にトラウマでもあるのか?)
それで無理していたがため震えていたか?それとも敵の自分に気取られないため強がっていたのか?それとも本当は全てが無理している?
そこでリディアの血を思い出す。
(いや、ただ単に傷のせいか…?)
見た感じ結構な深手を負っていた。そのせいで震えていただけなのかもしれない。
(あの女は謎ばかりだ…)
あの後、驚いたことに『証拠』のありかを簡単に教え、しかも自分が取りに行けと言った。
『証拠』がジーク派の手に入れば、そのままジーク派が勝利する可能性が高い。
(それであの女が得るものは何だ?)
内乱や混乱を目論んでいる筈なのにこれでは逆に政権が整う。
(まだ他に何か仕掛けがあるのか?)
リディアは何も交換条件を出していない。交渉すらしていないのだ。
自分に口付けレティシアに宣戦布告した時も、勝ち目のないあの中で堂々と勝利を手にした。
(何を企んでいる‥‥)
一筋縄ではいかない要注意の女だ。
何か無ければこんなに簡単に敵にありかを教えたりはしないだろう。
(必ず何か裏がある…、絶対に尻尾を捕まえてやる…)
「まさかそんな事を考えていたとはな…」
キャサドラの報告を受け、ジークヴァルトとサディアスが難しい表情となる。
「帝王学を学ばせているというから、いずれはと思っていましたがまだ幼い、仕掛けはまだ先かと思っていたのですが…」
「あいつをレティシアの元に付けておいて正解だったな」
オズワルドが探りに行った結果、ナセルをこの誕生祭で国王にと存在を知らしめる計画があることが解った。
「ええ、そのために先に噂を流すようです」
「噂?」
「次の聖女は魔物執事を手名付けている、このまま国王もジークヴァルト殿下になるのは危険だと」
「なるほど、不安を煽り、皆がこのままでいいのかと考えている所にナセル登場というわけか」
「今もそれなりに均等が保たれている、なら今度は国王をアナベルの息子にすればまた均等に保てるのではという思考に持っていきたいのですね」
「やれやれ、益々あいつをあっちに置いておいて正解だったな、それに動けるタイミングもばっちりだ」
警備が凄いアナベル領の情報を得るのは至難の業だ。
あちら側にいるといっても近づくのは熟練の刺客でも難しい。
策まで情報を得られるのはあのオズワルドだからだろう。
それに動けるタイミングが遅ければこの情報も得られなかった。
「本当に…、あの者の適切な配置恐れ入ります」
「アレはこんな時には役に立つ」
「ええ、こんな時にだけはですね」
「ふたりとも!」
「間違ったことは言っていないでしょう、アレがまともとでも?」
「それは否定しないけど…」
「アレは使える」
「うまく使えばかなりの国益となります」
「そんなだから団長は――」
「ドラ、お前のいう事も聞いているとは思えないが?」
「うっ…それは‥‥」
「そんな事はどうでもいい」
「ええ、今なら間に合います、噂を消す段取りをつけておかないと…」
サディアスが直ぐに色々と策を練り出す。
「では私は早速噂を消しに行ってくるわ」
「おう、頼んだ」
キャサドラが姿を消す。
「あとは誕生祭の段取を組み直さないとですね」
既にリディアが『証拠』の予言をし、オズワルドが誕生祭に取りに行く段取りを聞いていた。
「一体どんな『証拠』が出てくるのでしょう?」
「リディアが予言したんだ、それは確固たる証拠となるだろう」
「ええ、そうですね」
力強くサディアスが頷く。
何度も予言が実現したあのリディアの予言だ。
間違いなく証拠が見つかるだろうと二人は確信していた。
「これはまたとないチャンスです、失敗は許されません」
「ああ」
「色々準備もありますので、私もこれで」
サディアスが去り一人になったジークヴァルトが窓の外に浮かぶ月を見上げる。
(結局、あの場所を見つけることはできなかったか…)
「だが、証拠が手に入ればこっちのものよ」
(安定の世にするために、この勝負、必ずモノにして見せる)
使用人たちが慌ただしく動く。
そんな中、サディアスがジークヴァルトの居る部屋へと足を急かせた。
「お前も来たのか」
「おや、皆さんお揃いで」
そこにはそっぽを向いたリオにキャサドラ、ゲラルトまで居た。
「会場に入ったらゆっくりリディアの晴れ姿が見れないだろう?」
「せっかくなのでリオに付いて来てしまったよ」
「ふん」
皆が居る事でリオのご機嫌はとても斜めだ。
「それで我らの姫の準備は?」
「もうそろそろだと思うが…」
自分の部屋だとまた利権組が煩いので、こちらの控室でリディアはパーティの準備をしていた。
そんな皆が注目するドアが開く。
「お、姫様のお出ましか?」
ドアからイザークがまず顔を出す。
「お待たせしました、準備が整いました」
「出来たか」
「どんなドレス?ドレスはイザークが選んだのよね」
「いいから早くリディアをこちらへ、時間がありません」
「畏まりました」
イザークが一礼すると後ろに振り返り手を差し伸べた。
その手に小さな手が乗る。
皆が一斉に前のめりになって控室のドアに注目した。
手を引かれその姿を見せた瞬間、皆息を飲み込む。
「!」
優雅に現れたのは、まさしく『聖女』のリディアが居た。
「この世のモノとは思えん美しさだな」
「姉さま…やっぱり僕の姉さまは世界一綺麗だ…」
皆が息をするのも忘れリディアに魅入る。
イザークが選んだドレスがまた絶妙だった。聖女らしい清楚で気品あふれる柔らかなドレスにリディアの美しい容貌が際立つ。更にはサディアスの贈ったイヤリングが品を上げ、ジークヴァルトのネックレスが白い肌をより美しく煌めかす。
「まるで妖精の姫ですね…美しい」
サディアスも思わず口から零れる。
「そんなに凝視されると困るのだけど…」
流石のリディアもここまで食い入るように見られると、どうしていいか解らず顔が赤らむ。
「そうしていれば、ただの美しい人ですのに」
「いやいや、リディアはいつも綺麗だよ、ああ私の姫!」
キャサドラがリディアの前で膝まづく。
「ドラ、お前本気でリディアの騎士になる気ではないだろうな?」
「貴方にはまだまだ働いてもらわないと困るのですよ」
「解ってますよ、これで全てが落ち着いたらその時は―――って、リオ、まだ手は出さないからその刃を仕舞ってくれないか?」
「まだ?」
「リオ、仕舞いなさい」
「だって」
「リオ」
「チッ」
リオが刃を仕舞う。
「おや、その指輪は?」
見慣れない指輪にサディアスが気づくと皆も注目した。
「ああ、これはリオが…」
「うーむ、このドレスには少々合わない気がするな」
「ええ、この祭典の間は―――」
「ダメ!」
リオが皆を威嚇するようにリディアの前に立つ。
「祭典の間だけです」
「そう、怒るな、少しの間だ」
「ダメ!これは絶対外させない!」
ガルルルと威嚇するリオにやれやれと皆がため息をつく。
「あのー、その件ですが…」
そこでおずおずとイザークが言葉を挟む。
「ん?」
「私もそう思いまして、この祭典のみ外すよう提案したんですが…」
「で、それもそうだなと思って、ポケットにしまっとこうかと思ったんだけど」
「え…」
リオが困惑した顔でリディアを見る。
リディアは皆の前にその指輪を翳す。
「でも外れないのよ、コレ」
「え?」
「!」
皆が首を傾げる。
「色々試したのですが、全く外れないのです」
「ほんと!?」
リオが嬉しそうに声を上げる。
「ええ、だから、このまま付けることにしたの」
「やったー!」
「やった!じゃありません、外れないのは問題です」
「でも本当に色々試しても無理だったんだから、仕方ないでしょ?」
「仕方ないとはいえ、外れない事態が妙な話だな」
「それどこで手に入れたんだ?」
改めて皆がまたその指輪に注目する。
「殿下!サディアス様もこちらに居ましたか!」
そんな中、臣下が駆け込む。
「ああ、すぐ行く」
「よろしくお願いします、ではこれでっ」
臣下がまた忙しそうに足早に去っていく。
「指輪の件は、パーティが終わってからですね」
「そうだな、それよりも、だ」
皆がジークヴァルトを見る。
「とうとうこの時がやって来ましたね」
「ああ」
皆の表情が一気に引き締まる。
「噂の方は大体消し去ったわ、だからナセルが出てきても効果は薄いはずです!」
「よく揉み消してくれました」
「もちろん!やーっと悲願のチャンスが巡って来たんだ、何が何でも早々に消し去ってやったわ!」
キャサドラがふふんと鼻息を荒くする。
「これで証拠を手に入れればこちらのモノです」
「証拠は確かなのだろうな?」
リディアを見る。
「大丈夫よ」
「なら、後はオズワルドですね、彼なら問題はないでしょう」
その言葉に皆が頭を頷かせる。
「いいですか、ゲラルト、キャサドラ、リオ、命に代えてもリディアを守りなさい」
「言われなくとも」
「当然」
「任せてください」
三人が頷く。
噂が揉み消された今、次狙うは聖女の首。
一番危険なのは聖女であるリディアだ。
「相手も形振り構っていられない状況、一切気を抜かぬように」
「はっ」
サディアスがジークヴァルトを見る。
「では、出陣とするか」
ジークヴァルトの目つきが変わる。皆の顔つきもガラリと変わる。
皆の戦闘モードにリディアがぶるっと武者震いする。
(皆すごい殺気だわ…、それもそうね、長年待った悲願の時だものね…)
普段平然としているが、濡れ衣を着せられここまで追いやられていたその思いはリディアには想像を絶するものがあるだろう。
「お前はもう少しここで待機だ」
「解ったわ」
「では、皆配置に付け」
「はっ」
一瞬でキャサドラ、ゲラルト、リオの姿が消える。
「それでは参りましょう」
サディアスが扉を開ける。
「ではまた後でな」
リディアが頷くと、颯爽とジークヴァルトが出て行った。
「それでは失礼」
サディアスもその後に続き部屋を後にする。
静まり返った部屋。
イザークに目配せする。
「大丈夫です」
準備は整っていますという言葉は言わずにイザークが頷く。
(とうとうこの日がやってきたわ)
ジークヴァルト達が悲願の時であると同時に、リディアにとっても念願の逃亡の日だ。
オズワルドが証拠を持ってきたところを確かめたら、オズワルドの約束が守れたことになる。
それを確認さえできれば、すぐに逃亡する予定だ。
その証拠さえあれば、オズワルドの親を解放でき、更にアナベル派は終わりになり、聖女はそのまま聖女試験を2位のレティシアになるか、レティシアもアナベル派という事でなれずに違う者が宛がわれるだろう。
ジーク派が聖女になれば問題ないが、レティシアが聖女になったとしても国王はジークヴァルトだ。
今と勢力図はそう変わらない。
聖女が国王同等の発言権があるとしても、国王も意見すれば相殺する。
その辺りはジークヴァルトやサディアスが何とかするだろう。
ここまでやったのだ。後は自分たちで何とかしてくれというのがリディアの心情だ。
(ゲラルトやキャサドラが張り付いている今、下手な言動や行動は出来ないわね…)
逃亡するのに一番の問題は自分の護衛の者達だ。
あのリオに対応できるゲラルトや、キャサドラの有能さは実感済みだ。
この二人を欺かないと逃亡は失敗する。
(狙い目は証拠を手にオズワルドが現れた時…ね)
悲願の証拠を手にオズワルドが現れれば有能なゲラルトやキャサドラであっても、そちらに注目するだろう。
その隙にリオとイザークを使って逃亡を図る段取りだ。
(うまくいってくれるといいけれど…)
リディアも緊張にギュッと拳を握りしめた。
レティシアが怒鳴る。
「レティシア様、こちらはいかがでしょう」
新たな商人がズイッと前に出る。
「…、悪くはないわね、でもこれにもう少し装飾を足す事は出来て?」
「もちろんですとも!」
部屋の中でごった返す商品や商人達、それを気配を消し眺める。
(そろそろ大丈夫か…)
大きな図体の男の影が消える。
「さてと」
レティシアの部屋から外に出たオズワルドが首を伸ばす。
あれから結局またレティシアの下僕として戻された。
オズワルドの実力を知らないアナベルやレティシア達はヨルム軍に勝利したのはあの魔物執事が黒魔法を使ったからだと勘違いしていた。アナベルにとってオズワルドが復活する事でハーゼルゼットを崇拝するジーク派の兵が活力を増す事は避けたい。それでジークヴァルトらが嫌がるこの魔物執事の話題を元に難癖をつけて戻したのだ。
だからレティシアは変わらずオズワルドをただの親の七光りで王宮騎士団長になった図体デカいだけの何もできない男と思い相変わらずのいびりを再開したが、もうすぐある誕生祭の準備の事で頭がいっぱいになり役立たずのオズワルドから関心がなくなった。
聖女リディアに対抗意識を燃やしパーティで身分の違いを思い知らせたいと闘志を燃やしているレティシアはパーティの事で頭一杯でこちらの存在を完全に忘れている。
これ幸いと抜け出したオズワルドが軽く筋肉を伸ばす。
「こんな茶番いつまでさせる気だ、能無しめ」
そんな所へキャサドラが顔を覗かせた。
「どうした?」
「やはり団長動き出していたんですね」
「知っていたのか?」
「ルーサーから聞きました、それで団長の援護と伝達の役をもらいました」
「そうか、なら殿下はもう知っているのか、手間が省けた」
一度ジークヴァルトに知らせた方がいいかと思っていたところだった。
「これからどちらへ?」
「アナベルの所へナセルの情報を探りにいく」
「私は何をすれば?」
「あとで殿下に伝達を頼む」
「はっ」
キャサドラが敬礼する。
「そう言えば、あの女はどうしている?」
「リディアですか?」
「ああ」
「リディアなら殿下の控室を貸してもらってのんびりしてますよ」
「控室を?えらく信用されているのだな」
「そりゃぁもう、あの毒薬事件の時の殿下の迫力ったら、あれは惚れてるね、絶対」
「‥‥」
(そこまで惚れさせているなら、ジーク派を操るのは容易い、危険だ…)
思考を巡らすオズワルドをキャサドラが流し見る。
(あら?反応ないわね、こりゃ団長は興味なし?)
初めてリディアと対面した時反応を示したというマーカスの話で少しは気があるのかとも思ったキャサドラは少し残念に思い心の中で一つため息を付く。
(団長とリディアの組み合わせ面白いと思ったんだけど、リディア残念ね、こりゃ脈なしだわ)
「あの女の警護はお前か?」
「はい」
「様子をまた報告してくれ」
「解りました、ではまた後で来ます」
そういうとキャサドラは姿を消した。
(リディアの警護がキャサドラなのは好都合、誰と接触してるいるか探れるな…)
そう思いふとあのヨルム戦のリディアを思い出す。
あの時、リディアに煽られ体が一気に熱を帯びたあの感覚を。
(まさかあんな小娘にのせられるとはな)
殿下や軍師までもやられる気持ちも解らなくはない。
そう思うと益々リディアの存在が脅威に感じる。
(だが…どうして?)
自分の手を見る。
ヨルム戦後、よろけたリディアを抱き留めた。
傷を負っていたのにも驚いたがそれよりも、体が微かに小刻みに震えていたことに驚いた。
あれだけ大見えを切り、大胆な行動を見せ肝っ玉が据わり切っている女がだ。
(戦争にトラウマでもあるのか?)
それで無理していたがため震えていたか?それとも敵の自分に気取られないため強がっていたのか?それとも本当は全てが無理している?
そこでリディアの血を思い出す。
(いや、ただ単に傷のせいか…?)
見た感じ結構な深手を負っていた。そのせいで震えていただけなのかもしれない。
(あの女は謎ばかりだ…)
あの後、驚いたことに『証拠』のありかを簡単に教え、しかも自分が取りに行けと言った。
『証拠』がジーク派の手に入れば、そのままジーク派が勝利する可能性が高い。
(それであの女が得るものは何だ?)
内乱や混乱を目論んでいる筈なのにこれでは逆に政権が整う。
(まだ他に何か仕掛けがあるのか?)
リディアは何も交換条件を出していない。交渉すらしていないのだ。
自分に口付けレティシアに宣戦布告した時も、勝ち目のないあの中で堂々と勝利を手にした。
(何を企んでいる‥‥)
一筋縄ではいかない要注意の女だ。
何か無ければこんなに簡単に敵にありかを教えたりはしないだろう。
(必ず何か裏がある…、絶対に尻尾を捕まえてやる…)
「まさかそんな事を考えていたとはな…」
キャサドラの報告を受け、ジークヴァルトとサディアスが難しい表情となる。
「帝王学を学ばせているというから、いずれはと思っていましたがまだ幼い、仕掛けはまだ先かと思っていたのですが…」
「あいつをレティシアの元に付けておいて正解だったな」
オズワルドが探りに行った結果、ナセルをこの誕生祭で国王にと存在を知らしめる計画があることが解った。
「ええ、そのために先に噂を流すようです」
「噂?」
「次の聖女は魔物執事を手名付けている、このまま国王もジークヴァルト殿下になるのは危険だと」
「なるほど、不安を煽り、皆がこのままでいいのかと考えている所にナセル登場というわけか」
「今もそれなりに均等が保たれている、なら今度は国王をアナベルの息子にすればまた均等に保てるのではという思考に持っていきたいのですね」
「やれやれ、益々あいつをあっちに置いておいて正解だったな、それに動けるタイミングもばっちりだ」
警備が凄いアナベル領の情報を得るのは至難の業だ。
あちら側にいるといっても近づくのは熟練の刺客でも難しい。
策まで情報を得られるのはあのオズワルドだからだろう。
それに動けるタイミングが遅ければこの情報も得られなかった。
「本当に…、あの者の適切な配置恐れ入ります」
「アレはこんな時には役に立つ」
「ええ、こんな時にだけはですね」
「ふたりとも!」
「間違ったことは言っていないでしょう、アレがまともとでも?」
「それは否定しないけど…」
「アレは使える」
「うまく使えばかなりの国益となります」
「そんなだから団長は――」
「ドラ、お前のいう事も聞いているとは思えないが?」
「うっ…それは‥‥」
「そんな事はどうでもいい」
「ええ、今なら間に合います、噂を消す段取りをつけておかないと…」
サディアスが直ぐに色々と策を練り出す。
「では私は早速噂を消しに行ってくるわ」
「おう、頼んだ」
キャサドラが姿を消す。
「あとは誕生祭の段取を組み直さないとですね」
既にリディアが『証拠』の予言をし、オズワルドが誕生祭に取りに行く段取りを聞いていた。
「一体どんな『証拠』が出てくるのでしょう?」
「リディアが予言したんだ、それは確固たる証拠となるだろう」
「ええ、そうですね」
力強くサディアスが頷く。
何度も予言が実現したあのリディアの予言だ。
間違いなく証拠が見つかるだろうと二人は確信していた。
「これはまたとないチャンスです、失敗は許されません」
「ああ」
「色々準備もありますので、私もこれで」
サディアスが去り一人になったジークヴァルトが窓の外に浮かぶ月を見上げる。
(結局、あの場所を見つけることはできなかったか…)
「だが、証拠が手に入ればこっちのものよ」
(安定の世にするために、この勝負、必ずモノにして見せる)
使用人たちが慌ただしく動く。
そんな中、サディアスがジークヴァルトの居る部屋へと足を急かせた。
「お前も来たのか」
「おや、皆さんお揃いで」
そこにはそっぽを向いたリオにキャサドラ、ゲラルトまで居た。
「会場に入ったらゆっくりリディアの晴れ姿が見れないだろう?」
「せっかくなのでリオに付いて来てしまったよ」
「ふん」
皆が居る事でリオのご機嫌はとても斜めだ。
「それで我らの姫の準備は?」
「もうそろそろだと思うが…」
自分の部屋だとまた利権組が煩いので、こちらの控室でリディアはパーティの準備をしていた。
そんな皆が注目するドアが開く。
「お、姫様のお出ましか?」
ドアからイザークがまず顔を出す。
「お待たせしました、準備が整いました」
「出来たか」
「どんなドレス?ドレスはイザークが選んだのよね」
「いいから早くリディアをこちらへ、時間がありません」
「畏まりました」
イザークが一礼すると後ろに振り返り手を差し伸べた。
その手に小さな手が乗る。
皆が一斉に前のめりになって控室のドアに注目した。
手を引かれその姿を見せた瞬間、皆息を飲み込む。
「!」
優雅に現れたのは、まさしく『聖女』のリディアが居た。
「この世のモノとは思えん美しさだな」
「姉さま…やっぱり僕の姉さまは世界一綺麗だ…」
皆が息をするのも忘れリディアに魅入る。
イザークが選んだドレスがまた絶妙だった。聖女らしい清楚で気品あふれる柔らかなドレスにリディアの美しい容貌が際立つ。更にはサディアスの贈ったイヤリングが品を上げ、ジークヴァルトのネックレスが白い肌をより美しく煌めかす。
「まるで妖精の姫ですね…美しい」
サディアスも思わず口から零れる。
「そんなに凝視されると困るのだけど…」
流石のリディアもここまで食い入るように見られると、どうしていいか解らず顔が赤らむ。
「そうしていれば、ただの美しい人ですのに」
「いやいや、リディアはいつも綺麗だよ、ああ私の姫!」
キャサドラがリディアの前で膝まづく。
「ドラ、お前本気でリディアの騎士になる気ではないだろうな?」
「貴方にはまだまだ働いてもらわないと困るのですよ」
「解ってますよ、これで全てが落ち着いたらその時は―――って、リオ、まだ手は出さないからその刃を仕舞ってくれないか?」
「まだ?」
「リオ、仕舞いなさい」
「だって」
「リオ」
「チッ」
リオが刃を仕舞う。
「おや、その指輪は?」
見慣れない指輪にサディアスが気づくと皆も注目した。
「ああ、これはリオが…」
「うーむ、このドレスには少々合わない気がするな」
「ええ、この祭典の間は―――」
「ダメ!」
リオが皆を威嚇するようにリディアの前に立つ。
「祭典の間だけです」
「そう、怒るな、少しの間だ」
「ダメ!これは絶対外させない!」
ガルルルと威嚇するリオにやれやれと皆がため息をつく。
「あのー、その件ですが…」
そこでおずおずとイザークが言葉を挟む。
「ん?」
「私もそう思いまして、この祭典のみ外すよう提案したんですが…」
「で、それもそうだなと思って、ポケットにしまっとこうかと思ったんだけど」
「え…」
リオが困惑した顔でリディアを見る。
リディアは皆の前にその指輪を翳す。
「でも外れないのよ、コレ」
「え?」
「!」
皆が首を傾げる。
「色々試したのですが、全く外れないのです」
「ほんと!?」
リオが嬉しそうに声を上げる。
「ええ、だから、このまま付けることにしたの」
「やったー!」
「やった!じゃありません、外れないのは問題です」
「でも本当に色々試しても無理だったんだから、仕方ないでしょ?」
「仕方ないとはいえ、外れない事態が妙な話だな」
「それどこで手に入れたんだ?」
改めて皆がまたその指輪に注目する。
「殿下!サディアス様もこちらに居ましたか!」
そんな中、臣下が駆け込む。
「ああ、すぐ行く」
「よろしくお願いします、ではこれでっ」
臣下がまた忙しそうに足早に去っていく。
「指輪の件は、パーティが終わってからですね」
「そうだな、それよりも、だ」
皆がジークヴァルトを見る。
「とうとうこの時がやって来ましたね」
「ああ」
皆の表情が一気に引き締まる。
「噂の方は大体消し去ったわ、だからナセルが出てきても効果は薄いはずです!」
「よく揉み消してくれました」
「もちろん!やーっと悲願のチャンスが巡って来たんだ、何が何でも早々に消し去ってやったわ!」
キャサドラがふふんと鼻息を荒くする。
「これで証拠を手に入れればこちらのモノです」
「証拠は確かなのだろうな?」
リディアを見る。
「大丈夫よ」
「なら、後はオズワルドですね、彼なら問題はないでしょう」
その言葉に皆が頭を頷かせる。
「いいですか、ゲラルト、キャサドラ、リオ、命に代えてもリディアを守りなさい」
「言われなくとも」
「当然」
「任せてください」
三人が頷く。
噂が揉み消された今、次狙うは聖女の首。
一番危険なのは聖女であるリディアだ。
「相手も形振り構っていられない状況、一切気を抜かぬように」
「はっ」
サディアスがジークヴァルトを見る。
「では、出陣とするか」
ジークヴァルトの目つきが変わる。皆の顔つきもガラリと変わる。
皆の戦闘モードにリディアがぶるっと武者震いする。
(皆すごい殺気だわ…、それもそうね、長年待った悲願の時だものね…)
普段平然としているが、濡れ衣を着せられここまで追いやられていたその思いはリディアには想像を絶するものがあるだろう。
「お前はもう少しここで待機だ」
「解ったわ」
「では、皆配置に付け」
「はっ」
一瞬でキャサドラ、ゲラルト、リオの姿が消える。
「それでは参りましょう」
サディアスが扉を開ける。
「ではまた後でな」
リディアが頷くと、颯爽とジークヴァルトが出て行った。
「それでは失礼」
サディアスもその後に続き部屋を後にする。
静まり返った部屋。
イザークに目配せする。
「大丈夫です」
準備は整っていますという言葉は言わずにイザークが頷く。
(とうとうこの日がやってきたわ)
ジークヴァルト達が悲願の時であると同時に、リディアにとっても念願の逃亡の日だ。
オズワルドが証拠を持ってきたところを確かめたら、オズワルドの約束が守れたことになる。
それを確認さえできれば、すぐに逃亡する予定だ。
その証拠さえあれば、オズワルドの親を解放でき、更にアナベル派は終わりになり、聖女はそのまま聖女試験を2位のレティシアになるか、レティシアもアナベル派という事でなれずに違う者が宛がわれるだろう。
ジーク派が聖女になれば問題ないが、レティシアが聖女になったとしても国王はジークヴァルトだ。
今と勢力図はそう変わらない。
聖女が国王同等の発言権があるとしても、国王も意見すれば相殺する。
その辺りはジークヴァルトやサディアスが何とかするだろう。
ここまでやったのだ。後は自分たちで何とかしてくれというのがリディアの心情だ。
(ゲラルトやキャサドラが張り付いている今、下手な言動や行動は出来ないわね…)
逃亡するのに一番の問題は自分の護衛の者達だ。
あのリオに対応できるゲラルトや、キャサドラの有能さは実感済みだ。
この二人を欺かないと逃亡は失敗する。
(狙い目は証拠を手にオズワルドが現れた時…ね)
悲願の証拠を手にオズワルドが現れれば有能なゲラルトやキャサドラであっても、そちらに注目するだろう。
その隙にリオとイザークを使って逃亡を図る段取りだ。
(うまくいってくれるといいけれど…)
リディアも緊張にギュッと拳を握りしめた。
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