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緑川、人類の運命を背負う
空飛ぶ◯◯?
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「「おお、なんと恐ろしい」」
「「この世のものとは思えぬ」」
「「毒々しい化け物じゃ」」
広場に人の輪が広がる。
老若男女…皆小さな画面に釘付けだ。
それを眺め緑川社長はほっと胸をなでおろした。
ーーとりあえず助かった。なんとかここで時間稼ぎすることができればいいんだが。
あと二十時間足らず、無事に過ごせれば帰れるーーはずである。そういう仕様のタイムマシーン…のはず。
ーーこの街にいればなんとかなりそうか。
この街ーー都市国家だろうか。規模は大きくないが緑豊かな丘陵地のあちらこちらに神殿が建てられ、丸い劇場もある。まるでプチローマ帝国を見ているようだ。また、丘の向こうには、現代のギリシャにあっても違和感のない木造造りの広々とした民家が点在している。
ーーすげー、遺跡じゃない新築の神殿かよ。後で写メっておこう。佐伯ちゃんもこれを見れば俺のこと見直してくれるんじゃない?
一難去ってキョロキョロ見渡す余裕も出てきた。
一方、石造りの建物の向こうでは神官と思しき人間と先ほどの人々が話をしている。
「「何者かワシらには判別できぬ。だが妙なものを持っているし、もしも神人だとすれば無下にもできぬ。ちょうどよい、今日は女神が神託にこられる日じゃ。ついでに聞いてみよう。お前たちは帰ってよいぞ」」
「「ははっ」」
男たちは帰っていった。以上の会話はもちろん社長の耳にはとどいていない。
「「どうぞお召し上がりください」」
立派な建物に通され、食事まで出てきた。
大盛りのフルーツ、焼いた魚。どろっとしたスープのようなものが素朴な器に盛ってある。
ーーおお、うまそうじゃん。
普通に現代のギリシャ料理といってもいいものである。味付けはかなり薄いが、時空間移動と先ほどの出来事でエネルギーを消耗した体にはありがたい。
ーーこれも写メっとこう。
カシャカシャ……。
食べ物を前にシャッターを押す社長を周りの人間は不思議そうに眺める。
「「なんだ、こいつ。一体何してるんだ」」
「「女神様に会えばすぐにわかるさ。異国の人間だとしてもな」」
ヒソヒソ囁く。
ーースマホすげーな。飯も食ったし、一晩泊めてもらえりゃokだ。
単純にそう考えていた。スマホはソーラーバッテリーで太陽さえ出ていれば使える。ネットに繋げなくてもいかほどにも使い道がある。次は何をして見せようか。社長はデータを漁る。
「「お口に合いますか」」
高官が傍に着き、先ほどとは打って変わってvip扱いである。
ーーーーーー。
ーー余計なことしないほうがいいな。動画で洗脳するんだ。次はスパイダーマンでも見せようか。
「「どうぞ」」
若い侍女にワインを注がれ、いい気分になってきた。
「「おお、デメテル様、ペルセポネ様」」
そして神託の時。
それは空からやってきた。
民衆は上空を仰いで直ちに傅く。
ーー空を飛んでる、だと?
道具も何もなしに雲のようなものに乗ってやってきた、二体の女神。王の隣に連れられた社長は目を疑った。
ごしごし…。浮いてる。飛んでる。その上に、誰か載ってる~~~!
「「偉大なる女神。ようこそお越しくださいました」」
民衆は首を下げ女神を迎えた。光り輝く女神降臨。
ーーなにこいつら。空を飛んでたぞ。
まず神官は女神に彼のことを告げる。
女神はチラと一瞥した。
「まあ、あれが神人ですって?」
「またお父様がどこぞの娘を孕ませて産ませたのでしょうか」
「それにしてはえらく醜悪な見た目ですね。一体どこの娘と……。ゼウスにも困ったものだわ」
ーーあれ?
社長はあることに気づく。彼女らの言葉は他の奴らと異なる。つまり、直接耳に届いてる。はっきり聞き取れないが女性の声だ。
ーー声が。どうなってるんだ? なんであの二人だけ?
今目の前でとても科学では解明できないことがおきているようだ。
いや、それはそれとして。
ーー夢だとしても、なんて美しいんだ。
二体のうち歳若い方の女神。グリーンにも栗色にも金色にも見える色素の薄い髪、スミレ色の瞳、可憐な唇、しなやかな身体、なにもかもこの世のものとは思えないーー今まで見たどの娘より美しく瑞々しいーー。
「「¢ããé¨åã'çªãã¦ããããã§ã¯ãªãã ãããã……」」
神官による祝詞が始まる。儀式ののち、女神は神殿に立ち王に神託を告げた。
「エレウシスの王よ。骨子を撒いた大地を耕し、春に種をまき、天の恵みにあらがうことなく秋に実を収穫するがよい。その際もこのデメテルを祀ることを忘れるでないぞ」
「「ははーー、仰せのままに」」
王、王妃、神官……女神の前に跪いた。もちろん彼も。
「「ところで女神様、あの男はいかがいたしましょう」」
「いいわ、ゼウスに聞いてみましょう」
「「はっ」」
王と話し合った後、女神は社長を呼びつけた。
「そこのお前、一緒に来るがよい」
ーーえ、俺? なんで。
有無も言わさず社長は雲に乗らされ震えた。離れて見ると雲だが間近で見ると個体でもなく気体でもなく、こんなものが空を飛ぶとは到底思えない。透け透けだ。
ふわっと浮き上がるとあっという間に上空へ。景色が、みるみる小さくなっていく。
「そなた、神人のくせに何を恐れておるのじゃ」
「は、はははいっ」
貫禄のある方の女神の足元にしがみつく。となりの美女ーーペルセポネーはくすくす笑って見ている。
ーー……え? え? 下透けてます?? どこいくんだーー。
妙な発明に没頭する割に社長はスリル系のアトラクションが大の苦手だった。
…… どんどん上ってイク――??
「わああああああ」
……俺は今病院に担ぎ込まれて昏睡状態なんだ。きっとそうだ、そうに決まってるー。
……佐伯ちゃんにバカにされてもいい、早く目覚めてーーー……。
「「この世のものとは思えぬ」」
「「毒々しい化け物じゃ」」
広場に人の輪が広がる。
老若男女…皆小さな画面に釘付けだ。
それを眺め緑川社長はほっと胸をなでおろした。
ーーとりあえず助かった。なんとかここで時間稼ぎすることができればいいんだが。
あと二十時間足らず、無事に過ごせれば帰れるーーはずである。そういう仕様のタイムマシーン…のはず。
ーーこの街にいればなんとかなりそうか。
この街ーー都市国家だろうか。規模は大きくないが緑豊かな丘陵地のあちらこちらに神殿が建てられ、丸い劇場もある。まるでプチローマ帝国を見ているようだ。また、丘の向こうには、現代のギリシャにあっても違和感のない木造造りの広々とした民家が点在している。
ーーすげー、遺跡じゃない新築の神殿かよ。後で写メっておこう。佐伯ちゃんもこれを見れば俺のこと見直してくれるんじゃない?
一難去ってキョロキョロ見渡す余裕も出てきた。
一方、石造りの建物の向こうでは神官と思しき人間と先ほどの人々が話をしている。
「「何者かワシらには判別できぬ。だが妙なものを持っているし、もしも神人だとすれば無下にもできぬ。ちょうどよい、今日は女神が神託にこられる日じゃ。ついでに聞いてみよう。お前たちは帰ってよいぞ」」
「「ははっ」」
男たちは帰っていった。以上の会話はもちろん社長の耳にはとどいていない。
「「どうぞお召し上がりください」」
立派な建物に通され、食事まで出てきた。
大盛りのフルーツ、焼いた魚。どろっとしたスープのようなものが素朴な器に盛ってある。
ーーおお、うまそうじゃん。
普通に現代のギリシャ料理といってもいいものである。味付けはかなり薄いが、時空間移動と先ほどの出来事でエネルギーを消耗した体にはありがたい。
ーーこれも写メっとこう。
カシャカシャ……。
食べ物を前にシャッターを押す社長を周りの人間は不思議そうに眺める。
「「なんだ、こいつ。一体何してるんだ」」
「「女神様に会えばすぐにわかるさ。異国の人間だとしてもな」」
ヒソヒソ囁く。
ーースマホすげーな。飯も食ったし、一晩泊めてもらえりゃokだ。
単純にそう考えていた。スマホはソーラーバッテリーで太陽さえ出ていれば使える。ネットに繋げなくてもいかほどにも使い道がある。次は何をして見せようか。社長はデータを漁る。
「「お口に合いますか」」
高官が傍に着き、先ほどとは打って変わってvip扱いである。
ーーーーーー。
ーー余計なことしないほうがいいな。動画で洗脳するんだ。次はスパイダーマンでも見せようか。
「「どうぞ」」
若い侍女にワインを注がれ、いい気分になってきた。
「「おお、デメテル様、ペルセポネ様」」
そして神託の時。
それは空からやってきた。
民衆は上空を仰いで直ちに傅く。
ーー空を飛んでる、だと?
道具も何もなしに雲のようなものに乗ってやってきた、二体の女神。王の隣に連れられた社長は目を疑った。
ごしごし…。浮いてる。飛んでる。その上に、誰か載ってる~~~!
「「偉大なる女神。ようこそお越しくださいました」」
民衆は首を下げ女神を迎えた。光り輝く女神降臨。
ーーなにこいつら。空を飛んでたぞ。
まず神官は女神に彼のことを告げる。
女神はチラと一瞥した。
「まあ、あれが神人ですって?」
「またお父様がどこぞの娘を孕ませて産ませたのでしょうか」
「それにしてはえらく醜悪な見た目ですね。一体どこの娘と……。ゼウスにも困ったものだわ」
ーーあれ?
社長はあることに気づく。彼女らの言葉は他の奴らと異なる。つまり、直接耳に届いてる。はっきり聞き取れないが女性の声だ。
ーー声が。どうなってるんだ? なんであの二人だけ?
今目の前でとても科学では解明できないことがおきているようだ。
いや、それはそれとして。
ーー夢だとしても、なんて美しいんだ。
二体のうち歳若い方の女神。グリーンにも栗色にも金色にも見える色素の薄い髪、スミレ色の瞳、可憐な唇、しなやかな身体、なにもかもこの世のものとは思えないーー今まで見たどの娘より美しく瑞々しいーー。
「「¢ããé¨åã'çªãã¦ããããã§ã¯ãªãã ãããã……」」
神官による祝詞が始まる。儀式ののち、女神は神殿に立ち王に神託を告げた。
「エレウシスの王よ。骨子を撒いた大地を耕し、春に種をまき、天の恵みにあらがうことなく秋に実を収穫するがよい。その際もこのデメテルを祀ることを忘れるでないぞ」
「「ははーー、仰せのままに」」
王、王妃、神官……女神の前に跪いた。もちろん彼も。
「「ところで女神様、あの男はいかがいたしましょう」」
「いいわ、ゼウスに聞いてみましょう」
「「はっ」」
王と話し合った後、女神は社長を呼びつけた。
「そこのお前、一緒に来るがよい」
ーーえ、俺? なんで。
有無も言わさず社長は雲に乗らされ震えた。離れて見ると雲だが間近で見ると個体でもなく気体でもなく、こんなものが空を飛ぶとは到底思えない。透け透けだ。
ふわっと浮き上がるとあっという間に上空へ。景色が、みるみる小さくなっていく。
「そなた、神人のくせに何を恐れておるのじゃ」
「は、はははいっ」
貫禄のある方の女神の足元にしがみつく。となりの美女ーーペルセポネーはくすくす笑って見ている。
ーー……え? え? 下透けてます?? どこいくんだーー。
妙な発明に没頭する割に社長はスリル系のアトラクションが大の苦手だった。
…… どんどん上ってイク――??
「わああああああ」
……俺は今病院に担ぎ込まれて昏睡状態なんだ。きっとそうだ、そうに決まってるー。
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