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緑川、人類の運命を背負う
天空の御殿
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ーーすげぇ、なんだよ、ここ。ラピュタ? 空に島が浮いてるー?
雲は上空に上っていったのに、着いたのは端が見えないほど大きな島だった。先ほどの街とは比べ物にならない巨大な神殿がはるか彼方まで連なる。緑生い茂る大地の向こう、崖から流れ落ちる滝に複数の虹がかかっている。
ーー雲の上だよな? どうなってんのーー。
行き交う者は皆美男美女、中には翼を携える者もいてキラキラ光に溢れてる。
ーー雲だろ。雲のもっと上。上空1万メートルか……?
ほおをつねってみる。
ーーいやいやいや、夢でしょ、これ。夢に決まってる、早く覚めてよー。痛っ……。
何度も何度も。曲がりなりにも技術者科学者の端くれ、目の前の世界を認めては、科学を否定することにならないか。事実であっても認めたくない。
「来なさい」
女神二人に率いられ中央の宮殿に進んだ。……NYのメトロポリタン美術館奥の間の神殿に似ている。でもあれってギリシャじゃなかったよな…?
「ゼウスはいるかしら」
「はっ、少々お待ちください」
女神に告げられ、兵は伺いに下がる。
ドキドキしてきた。
ーーゼウス? ってまさか。オイオイ……。
「ただ今湯浴び中であられます」
「そう。では中で待っていようかしら」
「はっ」
柱をくぐり中庭に進んだ。
ーーおおーー。
そこは楽園ーーエデン。見事に手入れされた花園ーー中央の噴水の縁では美しい若者が竪琴を奏で、向こうの木立では乙女が果実を摘んでいる。
「ところでそなた、名はなんと申す」
大理石の円柱に支えられたコテージの大きなソファ状の長椅子に腰掛けるよう促され、恐る恐る腰を落とした。
「ミ、ミドリカワです」
「ミドリカワ……。聞きなれぬの。して、どこの神人じゃ」
ーーさっきからなんだよ。しんじん。神人か?
女神の声はダイレクトに届く。そこでふと気づいた。
ーーあれ? 俺の言葉も通じるのか。
うっかり言ってしまった日本語が、通じてる。緑川は返答に迷った。
ーー万が一夢じゃないにしてもどうせ明日には帰るんだ、嘘も方便だーー。
「黄金の国ジパングだ」
ーーくっ、素直に日本が良かったかな。古いかなあ。かと言って映画やゲームの国名いうのも変だし。
自社製品でもネーミングセンスのなさは佐伯嬢の折り紙つきだ。
「黄金……? はるか古の黄金の時代か? しかしジパングとは聞いたことも見たこともないのう。金でできていると言うのか」
「あ、ああ、少し前までな、今は違う。この画の通りだ」
動画を再生して渡した。
「これは……化け物ではないか。お前の世界だというのか」
「そうだ」
「おまえの国はどうなっておるのじゃ、細長い箱……奴隷がこんなに」
神の目にはnyを行き交う人々が奴隷と映るらしい。
細長い箱=摩天楼か。
ちなみに映画(スパイダー○○)だ。
ーースマホ見る女神とか。リアルすぎるわー、この夢。唯一の見所はこの美女女神だな。
女神ペルセポネーはスマホを覗き込んで指を差している。
「まあ、なあにこれ。蜘蛛? 蜘蛛と人間のキメラかしら」
ーーかっ、かわええーーーーー。
キラキラ透き通る声も髪も身体も……この世のものとは思えないほど美しい。陽に透けてグリーンに見える髪の毛が風でふわふわ揺れた。
ーーうっわー、シャンプーのCMかよ。キャッチフレーズは永遠の処女か。…センスないわー。
動画の派手な効果音が妙に浮いて聞こえた。すっかり記憶してるので頭に映像が浮かぶ。
ーーそろそろヒロイン登場……。
と思ったその時、
「デメテルよ、何の用じゃ」
「ゼウス」
あたりがパッと明るくなり、ブワッと一陣の風とともに貫禄のある男神が現れた。
ーーゼウスとか。マジで?
たらり汗が背中を伝う。
ゼ、ウ、ス~~? いやいや、笑かさないでよ😅
「何? 神人だと」
緑川は先ほどのやりとりを繰り返した。
交わしたセリフもほぼ同じ。
反応も同様である。
ものすごいオーラだ。
ーーすげー、マジで光ってる。目やられそうー。トリプルカットカラーレンズにしといてよかったー。
科学者の端くれらしくメガネも最新である。
一方、スマホを手にしたゼウスは顔をしかめ、
「ヘルメス」
「はい」
「ハデスとポセイドンを呼んでまいれ」
「はっ」
「わしが呼んでおると至急にな。緊急招集だ」
羽根のついた帽子と靴をまとったそばの男に命じると緑川にスマホを返した。
ーーなんだ? 緊急だって?
どうやら、赤と青のグロテスクなヒト型生物が建物を這いつくばる様は相当異様にとられたようだ。神は顔をしかめたままである。
「……ジパングだと? そんなに大勢の奴隷がいるのか。お前の世界は」
「ええ、まあ」
ーーいや、正確に言うとnyだけど、まあいいか。奴隷ねえ……。それ言うなら社畜でしょ。てかnyだぞ。
「ゼウス、あなたがどこぞの娘に産ませた子ではないのかえ?」
「わしは知らんぞ。顔かたちがまるで違うではないか」
「獣相手ではなかろうな」
「嫌だわ、お父様ったら」
「獣神だと申すのか? それにしてはあの道具は」
言い様といい蔑んだ視線といい、著しく見下されてるようだが、もうどうでもいい、一夜を過ごせば帰れる、多分。
てか、
ーーー獣相手!? けもの??? 獣と!?
再度頰をつねってみる……くそっ、痛い。
ーーしゃーないわ……動画見せて時間稼ぎするしかねえ。お次は何にしよう……。プロモの参考にいろんな映画やドラマの動画いっぱい入れてるからな。
雲は上空に上っていったのに、着いたのは端が見えないほど大きな島だった。先ほどの街とは比べ物にならない巨大な神殿がはるか彼方まで連なる。緑生い茂る大地の向こう、崖から流れ落ちる滝に複数の虹がかかっている。
ーー雲の上だよな? どうなってんのーー。
行き交う者は皆美男美女、中には翼を携える者もいてキラキラ光に溢れてる。
ーー雲だろ。雲のもっと上。上空1万メートルか……?
ほおをつねってみる。
ーーいやいやいや、夢でしょ、これ。夢に決まってる、早く覚めてよー。痛っ……。
何度も何度も。曲がりなりにも技術者科学者の端くれ、目の前の世界を認めては、科学を否定することにならないか。事実であっても認めたくない。
「来なさい」
女神二人に率いられ中央の宮殿に進んだ。……NYのメトロポリタン美術館奥の間の神殿に似ている。でもあれってギリシャじゃなかったよな…?
「ゼウスはいるかしら」
「はっ、少々お待ちください」
女神に告げられ、兵は伺いに下がる。
ドキドキしてきた。
ーーゼウス? ってまさか。オイオイ……。
「ただ今湯浴び中であられます」
「そう。では中で待っていようかしら」
「はっ」
柱をくぐり中庭に進んだ。
ーーおおーー。
そこは楽園ーーエデン。見事に手入れされた花園ーー中央の噴水の縁では美しい若者が竪琴を奏で、向こうの木立では乙女が果実を摘んでいる。
「ところでそなた、名はなんと申す」
大理石の円柱に支えられたコテージの大きなソファ状の長椅子に腰掛けるよう促され、恐る恐る腰を落とした。
「ミ、ミドリカワです」
「ミドリカワ……。聞きなれぬの。して、どこの神人じゃ」
ーーさっきからなんだよ。しんじん。神人か?
女神の声はダイレクトに届く。そこでふと気づいた。
ーーあれ? 俺の言葉も通じるのか。
うっかり言ってしまった日本語が、通じてる。緑川は返答に迷った。
ーー万が一夢じゃないにしてもどうせ明日には帰るんだ、嘘も方便だーー。
「黄金の国ジパングだ」
ーーくっ、素直に日本が良かったかな。古いかなあ。かと言って映画やゲームの国名いうのも変だし。
自社製品でもネーミングセンスのなさは佐伯嬢の折り紙つきだ。
「黄金……? はるか古の黄金の時代か? しかしジパングとは聞いたことも見たこともないのう。金でできていると言うのか」
「あ、ああ、少し前までな、今は違う。この画の通りだ」
動画を再生して渡した。
「これは……化け物ではないか。お前の世界だというのか」
「そうだ」
「おまえの国はどうなっておるのじゃ、細長い箱……奴隷がこんなに」
神の目にはnyを行き交う人々が奴隷と映るらしい。
細長い箱=摩天楼か。
ちなみに映画(スパイダー○○)だ。
ーースマホ見る女神とか。リアルすぎるわー、この夢。唯一の見所はこの美女女神だな。
女神ペルセポネーはスマホを覗き込んで指を差している。
「まあ、なあにこれ。蜘蛛? 蜘蛛と人間のキメラかしら」
ーーかっ、かわええーーーーー。
キラキラ透き通る声も髪も身体も……この世のものとは思えないほど美しい。陽に透けてグリーンに見える髪の毛が風でふわふわ揺れた。
ーーうっわー、シャンプーのCMかよ。キャッチフレーズは永遠の処女か。…センスないわー。
動画の派手な効果音が妙に浮いて聞こえた。すっかり記憶してるので頭に映像が浮かぶ。
ーーそろそろヒロイン登場……。
と思ったその時、
「デメテルよ、何の用じゃ」
「ゼウス」
あたりがパッと明るくなり、ブワッと一陣の風とともに貫禄のある男神が現れた。
ーーゼウスとか。マジで?
たらり汗が背中を伝う。
ゼ、ウ、ス~~? いやいや、笑かさないでよ😅
「何? 神人だと」
緑川は先ほどのやりとりを繰り返した。
交わしたセリフもほぼ同じ。
反応も同様である。
ものすごいオーラだ。
ーーすげー、マジで光ってる。目やられそうー。トリプルカットカラーレンズにしといてよかったー。
科学者の端くれらしくメガネも最新である。
一方、スマホを手にしたゼウスは顔をしかめ、
「ヘルメス」
「はい」
「ハデスとポセイドンを呼んでまいれ」
「はっ」
「わしが呼んでおると至急にな。緊急招集だ」
羽根のついた帽子と靴をまとったそばの男に命じると緑川にスマホを返した。
ーーなんだ? 緊急だって?
どうやら、赤と青のグロテスクなヒト型生物が建物を這いつくばる様は相当異様にとられたようだ。神は顔をしかめたままである。
「……ジパングだと? そんなに大勢の奴隷がいるのか。お前の世界は」
「ええ、まあ」
ーーいや、正確に言うとnyだけど、まあいいか。奴隷ねえ……。それ言うなら社畜でしょ。てかnyだぞ。
「ゼウス、あなたがどこぞの娘に産ませた子ではないのかえ?」
「わしは知らんぞ。顔かたちがまるで違うではないか」
「獣相手ではなかろうな」
「嫌だわ、お父様ったら」
「獣神だと申すのか? それにしてはあの道具は」
言い様といい蔑んだ視線といい、著しく見下されてるようだが、もうどうでもいい、一夜を過ごせば帰れる、多分。
てか、
ーーー獣相手!? けもの??? 獣と!?
再度頰をつねってみる……くそっ、痛い。
ーーしゃーないわ……動画見せて時間稼ぎするしかねえ。お次は何にしよう……。プロモの参考にいろんな映画やドラマの動画いっぱい入れてるからな。
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