コーヒーとCEOの秘密🔥他

シナモン

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コーヒーとCEOの秘密 (完)

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「---え? それでは、S物産からの引受け事業というのは」

 3日後。グループ傘下のT不動産から社長、設計部長が来訪し、会長とともに話を聞いている最中のことだった。

「ああ、そう。いいものを手放してくれたよ。粉体技術、真空チューブは知ってるだろう? 世界中で進めている次世代真空管技術の、主原料となる高性能ポリマー。いや、厳密にいうとポリマーではないのだが」

 最先端の粉体化学。化学加工、微粒子の世界の技術革新は目覚ましく、わが社の研究所も開発研究が進んでいる。それは三津子も聞いていたのだが、

「従来のものと比べエネルギー効率が非常に高い。市場は活発化している。そこにわが社も食い込もうというわけだ」
「そんなに…話が進んでいたんですか」
「ああ。もう少し先の話だがね」
「あくまでも海外での話ですよ。国内は別口で様子見です」T不動産社長が付け加える。
「実はアリゾナの元軍事施設で稼働中の地下原発でこの新素材を使った新型原子炉の試験運転中なんだよ。今のところ放射線耐性も問題なく動いている。そこの検証データへのアクセス権をなぜかS物産が持っていたんだ」
「原子炉?」三津子の言葉に会長は深く頷く。
「Sの人間は粉体加工部門を持て余していた。光触媒の、極めて劣化しにくい透明の壁だよ。我が社を含め、数社がその蓄積データと技術を狙っていた」
「・・・・・それを、いち早く今後建設予定の施設にとりいれようというわけです」
「それが・・・その・・・映像の?」
 三津子が目を向けると、社長、部長はゆっくり頷き、
「©クリスタルドームです。実は、この名称も商標登録申請中です」

 三津子の向いた先に広がるプロジェクター映像。まるでSF映画のようだ。近未来的な都市の真ん中に、まさしくクリスタル・・・透明の大きなドーム型の建造物。周りに尖塔がそびえ、イスタンブールのブルーモスクの屋根が透明になったかのような形をしている。

「そ、そうでしたか」
「フレキシブルに加工できますしね」部長は左手を少し上げた。「建築家も喜ぶ」
「通常ポリマーは見た目の経年劣化がひどい。ところがこれは日光の下で逆に強化する特性がある。腐食菌の影響もなし。汎用性が極めて高いんだ」

 会長の手が空を横切る。ここにいる4名でこのことを知らないのは三津子だけ。だだっ広い会長室のずらっと壁に並ぶ書棚の向こうのワンコーナー、白い壁に映った映像の前に簡易ソファが4つ。会長への説明報告なのだが、なんだか自分に向けてプレゼンされてるようでもある。

「君が先頭に立って売りさばいてくれ」

 ーーー!?

 いつもの会長の冷静な声。社長、部長もこちらを向き、うんうん相槌を打っている。

「・・・君の上司に何度も‟早く君を返してくれ”と懇願されてね、私も心苦しかったんだ」

 ―――嘘でしょう?

「怪我の功名とでもいうのかね、村上部長の件は残念だったが、上手い取引だと言えなくもない、やる気のない人間、日銭がほしい者はどんどんやめてもらっていい。かわりに他社で燻っていた意欲ある優秀な人材と有望な技術を手に入れる。合理的だろう」

 ーーーちょっと待って、じゃ、野球部の話は。

「主に海外事業で展開できればと考えている」
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