コーヒーとCEOの秘密🔥他

シナモン

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コーヒーとCEOの秘密 (完)

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「あっ、赤石さん?」

 泣いている三津子に気づいて関矢は慌てた。

「やだ、これこんな映画だったっけ…」



 二人はエミレーツ航空のビジネスシートで映画を鑑賞していた。
 見終えた後、感想を言い合ってたのに、いつの間にか三津子は泣き出してしまった。


 やべ・・・。ハンカチ・・・。


 関矢はズボンのポケットに手をやるが、

 ・・ダメだ、俺の使いかけのじゃ・・。

 あ、そうだ。

 機内持ち込みのバッグのファスナーを開けた。

「赤石さん、これ・・」

 ハンカチタオルを差し出した。
 三津子は一瞬驚いた顔をして、「ありがとう・・・」目に当てた。

「感動しちゃいましたか」
「そうね。…色々思い出しちゃって」


 ・・・・・・いろいろ。


 関矢は内心首をかしげる。

 赤石さん、何かあったのかな・・前会長がわざわざ見送りに来られて。

『関矢くん、赤石くんをよろしく頼むよ』
『はい!』

 空港で、前会長じきじきに言われ返事をした。

 別に不自然ではないが、部長も少し驚いてはいた。


 赤石三津子と言えば、関矢が入社当時から目を引く存在だった。
 会長に連れ添って接待ゴルフコンペに参加したときは秘かに話題をさらった。

『なんとお美しい』
『東工大卒の才女だとか』
『ほう、東工大? よく無事でいられましたね。あんなむさいところで』
『息子が家に連れてきたら卒倒ものです』

 俺も部長に付いて行かされたけど、『息子の嫁』談議で盛り上がったんだっけ・・。会長のお気に入りともいわれてたな。



「・・・ごめんなさい、会長、気づかなくて・・・」

 ーー!?

 突如、か細い声でつぶやいたそれを関矢は聞き逃さなかった。

 ええっ、何?




 



 …そういえば赤石さんいつもよりメイクが薄い‥余計につやっぽく見える。
 …会長は奥様を早くに亡くされて長らく独身…まさか…。


 ーーーまさか?



「赤石さん…」

「ごめんなさい、なんか泣けてきちゃって…」


 その映画はあの、マークスでロケしたという大作映画だった。
 彼と話した数少ない世間話の一つだ。

 長いようで短かった3か月…。

 思いがけず会ってしまった会長の婚約者…

 最後の最後に触れた会長のやさしさ(?)…

 誰にも言えないそれらがぐるぐる三津子の頭の中を回る。


 さすがに会長のお父様にも聞けない…。二人のいきさつなんて。


 そして、


 もしかしてマヤさんはまだ…。

 あのイミテーションの指輪に込められた思いは…?

 もしかして会長も…。

 

「会長…」

 わかりにくい人…やっぱりコーヒーなんてどうでもいいのよ。


 ふっ。


「ごめんね、関矢くん、これ…洗って返すわ」

 ハンカチを下ろすと隣の関矢はPCを開いていた。

「いえいえ、とんでもない」

 ドバイのプロジェクト画像をぱたんと閉じ関矢は応じた。

「いやね、こんなところで。仕事頑張らなきゃ、後れをとっちゃった」
「大丈夫っすよ、大丈夫…」
「貴重な経験をさせてもらったのだけどね、いろいろな方にもお会いできて…」

 いろんな人…。

 赤石さん…なんかあったんだな、うん。誰とはいわないけど。


 関矢はこっそり誓う。


 赤石さん・・秘密は守りますからね・・俺、絶対誰にも言いませんから・・。絶対。


 こう見えて口は堅いんです。











 終
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