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緑川、人類の運命を背負う
行ってきます
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*緑川さんがタイムマシンでどこかへ行っちゃう話。以前載せていたものの内容を変更してます。
【 補足 】
会長の友人、緑川氏はものいじりが大好きで、自称発明家。
子供のころから妙な発明をしては家族を困らせていた。
そして現在は家電メーカー社長となり、友人九条会長の援助もあって、あいかわらず趣味の発明に没頭している。
中肉中背、天然パーマ、30歳。
愛読書は「ドラえもん」
「ちょっと、なんですかこれ。新製品開発って聞いて来たのに、タイムマシン?ラボを私的に使わないでくださいよ。いつの間に…」
秘書兼広報の佐伯かおるは顔をしかめた。
連れていかれた倉庫の中央に、いつのまにか出来上がっていた謎の物体。
会社が借りている倉庫だが、機器は揃っており、ラボ呼ばわりされている。
新興家電メーカーの社長兼開発者の緑川氏は、暇さえあればここに入り浸っていた。
「まあまあ、いいじゃないの、ここは全部俺の自己負担だからね」
「そういう問題じゃなくて」
「すごいでしょ。このカプセルに電圧かけてね…」
タイムマシン同好会なる、世界中のタイムトラベル信奉者が集うサイトで仲間と語り合い、試行錯誤を繰り返し、ついに完成したという。
「困るんですよ。テストはしたんでしょうね」
(またドラ◯もん病かよ…。やれやれ)
30歳にして社長はとあるアニメの狂信者である。
特に『タイムマシン』と『どこで◯ドア』、この手のSF設定にとことん弱い。
幼い頃には『ワープ!』と叫んで高台から飛び降りては怒られたりした。
「したよー、ちゃんと消えたさ」
「消えた?」
「ああ、リンゴだけどね」
「りんご? りんごと人間は違いますよ」
「大丈夫だって。同じ作りのマシンで何度も行ったり来たりしてる人がいるんだぜ」
「それ、怪しいじゃないですか」
「大丈夫だって。ホントだよー。俺何度もやりとりしたもん」
ネットでやりとりして作ったというその装置は、透明な筒状のカプセルの中に椅子をセットし、上下磁石のようなものが沢山のコイルとつながって、ぱっと見電気ショックを与える拷問具のようである。
困ったこどおじこと緑川純大、中肉中背で身長はかおると同じくらい、160前後あたりか。
黒い髪に丸めがね、もかおると同じだが、社長の髪は天然パーマでうねっており、ストレートボブのかおるとはずいぶんと印象が異なる。
「こんなもので……。ねえ、冗談ですよね? ね、ね。やめてください、社長。電気代もったいない」
社長は首を横に振る。
「電気代はたしかにすごいけどね。でも、ちゃんと払ってますから、自腹で」
「そりゃそうだ」
「俺が帰ってこなかったら、捜索願出して」黒いヘルメットを被りながら言った。
「は? そんなの出してどうするんです。リアルタイムじゃないでしょ」
「あ、そか。でもね、一応ね、もし警察沙汰になったらって話。一応一万ボルトの電圧だからさ」
「ちょっと勘弁してくださいよ。そんな……死にますよ」
「だから人体実験するんじゃない」
「こわっ、私を付きあわせないでくださいよ! 死んだらどうするんです」
「だーーかーらー、佐伯ちゃんに証人になってもらいたいのよ」
「は?」
「佐伯ちゃんくらいしかいないじゃん。俺に何かあったら後のこと頼むわ」
と言い終え、すたっと中の椅子に座った。
「困りますよ、そんなっ」
「このヘルメットかっこいいでしょ。頑張ったんだよ」キラン☆
月の兜……。佐伯嬢は引きつった。映画の小道具だとしたら立派な出来かもしれない。でも。「マジで迷惑です――――」
「ちょっくら見てきて、すぐ戻るから。ねっ」
車のエンジンをかけるように気楽に社長は中のレバーを引いた。
ブルンブルン、ミョミョーン……。
波長のずれた妙な音が響き始める。
「え? 今? ちょ、まじで? どうするんですか、この先も予定詰まってるのに。プレゼン、再来週ですよ。私、ダンスいつでもいけます!」
さすが社長秘書兼任企画担当、新製品発表のプレゼンの演出で身を削ってダンスを披露しようというのである。
(うーーん、それ、オレ苦手なんだよね~)
ダンスのセレクトが合わない。
決まらず揉めてる。
別にそのために逃避行するわけじゃないが、プレゼンの話題を避けて作業に没頭してるうち、たまたま完成してしまったわけ。
「んじゃ、ま、いってくるわ、佐伯ちゃん、あとはお願い」
「ちょ、ちょっと、しゃちょーーー! 待って……」
Sparkingーーーーー。
ものすごい閃光に包まれた。
「ええ? しゃちょおーーー!」
ppppppppーーーー
カプセルの中の社長は消えていた。
「マジ……?」
(……で、そのリンゴ、無事に戻ってきたんですか? )
聞こうとした矢先の出来事だった。
(『見てきて』って……何を――)
【 補足 】
会長の友人、緑川氏はものいじりが大好きで、自称発明家。
子供のころから妙な発明をしては家族を困らせていた。
そして現在は家電メーカー社長となり、友人九条会長の援助もあって、あいかわらず趣味の発明に没頭している。
中肉中背、天然パーマ、30歳。
愛読書は「ドラえもん」
「ちょっと、なんですかこれ。新製品開発って聞いて来たのに、タイムマシン?ラボを私的に使わないでくださいよ。いつの間に…」
秘書兼広報の佐伯かおるは顔をしかめた。
連れていかれた倉庫の中央に、いつのまにか出来上がっていた謎の物体。
会社が借りている倉庫だが、機器は揃っており、ラボ呼ばわりされている。
新興家電メーカーの社長兼開発者の緑川氏は、暇さえあればここに入り浸っていた。
「まあまあ、いいじゃないの、ここは全部俺の自己負担だからね」
「そういう問題じゃなくて」
「すごいでしょ。このカプセルに電圧かけてね…」
タイムマシン同好会なる、世界中のタイムトラベル信奉者が集うサイトで仲間と語り合い、試行錯誤を繰り返し、ついに完成したという。
「困るんですよ。テストはしたんでしょうね」
(またドラ◯もん病かよ…。やれやれ)
30歳にして社長はとあるアニメの狂信者である。
特に『タイムマシン』と『どこで◯ドア』、この手のSF設定にとことん弱い。
幼い頃には『ワープ!』と叫んで高台から飛び降りては怒られたりした。
「したよー、ちゃんと消えたさ」
「消えた?」
「ああ、リンゴだけどね」
「りんご? りんごと人間は違いますよ」
「大丈夫だって。同じ作りのマシンで何度も行ったり来たりしてる人がいるんだぜ」
「それ、怪しいじゃないですか」
「大丈夫だって。ホントだよー。俺何度もやりとりしたもん」
ネットでやりとりして作ったというその装置は、透明な筒状のカプセルの中に椅子をセットし、上下磁石のようなものが沢山のコイルとつながって、ぱっと見電気ショックを与える拷問具のようである。
困ったこどおじこと緑川純大、中肉中背で身長はかおると同じくらい、160前後あたりか。
黒い髪に丸めがね、もかおると同じだが、社長の髪は天然パーマでうねっており、ストレートボブのかおるとはずいぶんと印象が異なる。
「こんなもので……。ねえ、冗談ですよね? ね、ね。やめてください、社長。電気代もったいない」
社長は首を横に振る。
「電気代はたしかにすごいけどね。でも、ちゃんと払ってますから、自腹で」
「そりゃそうだ」
「俺が帰ってこなかったら、捜索願出して」黒いヘルメットを被りながら言った。
「は? そんなの出してどうするんです。リアルタイムじゃないでしょ」
「あ、そか。でもね、一応ね、もし警察沙汰になったらって話。一応一万ボルトの電圧だからさ」
「ちょっと勘弁してくださいよ。そんな……死にますよ」
「だから人体実験するんじゃない」
「こわっ、私を付きあわせないでくださいよ! 死んだらどうするんです」
「だーーかーらー、佐伯ちゃんに証人になってもらいたいのよ」
「は?」
「佐伯ちゃんくらいしかいないじゃん。俺に何かあったら後のこと頼むわ」
と言い終え、すたっと中の椅子に座った。
「困りますよ、そんなっ」
「このヘルメットかっこいいでしょ。頑張ったんだよ」キラン☆
月の兜……。佐伯嬢は引きつった。映画の小道具だとしたら立派な出来かもしれない。でも。「マジで迷惑です――――」
「ちょっくら見てきて、すぐ戻るから。ねっ」
車のエンジンをかけるように気楽に社長は中のレバーを引いた。
ブルンブルン、ミョミョーン……。
波長のずれた妙な音が響き始める。
「え? 今? ちょ、まじで? どうするんですか、この先も予定詰まってるのに。プレゼン、再来週ですよ。私、ダンスいつでもいけます!」
さすが社長秘書兼任企画担当、新製品発表のプレゼンの演出で身を削ってダンスを披露しようというのである。
(うーーん、それ、オレ苦手なんだよね~)
ダンスのセレクトが合わない。
決まらず揉めてる。
別にそのために逃避行するわけじゃないが、プレゼンの話題を避けて作業に没頭してるうち、たまたま完成してしまったわけ。
「んじゃ、ま、いってくるわ、佐伯ちゃん、あとはお願い」
「ちょ、ちょっと、しゃちょーーー! 待って……」
Sparkingーーーーー。
ものすごい閃光に包まれた。
「ええ? しゃちょおーーー!」
ppppppppーーーー
カプセルの中の社長は消えていた。
「マジ……?」
(……で、そのリンゴ、無事に戻ってきたんですか? )
聞こうとした矢先の出来事だった。
(『見てきて』って……何を――)
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