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5話 天敵とモール
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「すごいね、藤島シェフと知り合いなんだ…」
コト…、ルリカさんは私と会長の前にレスカのグラスを置いた。
「いえ、知り合いなのは会長の方です・・」
「そうなのね」最後に自分の分を置いてルリカさんも席に着いた。
「昔のね」会長が答える。
「ちょうどいい……、良すぎる講師がいたものねえ」
ちらっと目をやった先でアランさんとレオさんがスマホをかざし喋ってる。
いつの間にかスタンドを付けられちゃった私のスマホに映ってるのは、藤島さん。
『ナポリ風はふっくらボリューミーな生地。
ローマ風は薄いパリパリ生地。
今回の生地はもちもち系なので・・・』
『えっ、手作りピザ窯? 初火入れ?? 見たーい、ライブ配信してよーー』
SNSの、藤島さんからのリクエストにこたえてピザ窯のライブ映像を流してると、いつの間にかアランさんとレオさんにのっとられ、ふじっしーのピザ講座がはじまった。ふじっしーはイタリア語のほか英語もベラベラらしい。
かくして。
英語圏の方々はピザ窯前。
日本人はこちら。
とエリアわけができてしまったのだった。
「フフ、エリーさんも料理じゃなければ興味津々のようね、助かったね、ナルさん」
「・・・ルリカも人が悪いな、知っていたのなら教えてくれればよかったのに」会長は息をついた。
「そうだけど・・ナルさんいずれレックスの重役になるんでしょ、奥様にも慣れておかないと」
「そうだな・・・」
そうだった。来年だっけ。アトランタ・・・。
「あのー、会長とエリザベスさんは・・その・・・」なんであんなに仲が悪そうなの?
会長と口論してる間、みんな😅こんな顔になるのは?? 今もルリカさん微妙な表情だ。
「見ての通り天敵だ」会長はあっさり認めた。
「宿敵、論客、犬猿の仲・・・」
「昔はキャット&ドッグて呼ばれて、大学の講義の模擬裁判で盛り上がったんだって。アランが言ってたわ」ルリカさんが補足。
「へえ~」じゃあ、大学の同級生なのかな?
「すごい剣幕でやりあって、本物の裁判みたいで、うん、それ以上にエキサイティングでちょっとした名物だったんだって」
「アランさんも同じ学部で?」
「ううん、彼は服飾よ。専門の学部があるの。今は舞台衣装や映画の衣装製作してるの」
あ、そうだったっけ。
「すごいですねー」
「そうね、今は日本の歌舞伎に興味があって、日本に来て、それで知り合ったのよ。私は舞台専門のお針子してたから」
「そうなんですか」
「一度ナルさんと仕事がバッティングしたことがあったって。・・・NYのマークスってビル」
「ああ、あのマンハッタンにある・・・」知らないけど、知ってる。会長の経歴を調べていて知った。
「あそこを舞台にした映画の衣装やってたのよ。で、ナルさんはそのビルの買収に関わってて・・・」
映画の衣装製作ってすごい! 買収の件は以前調べたわ。会長が会長になる前にいた会社、メジソンアソシエイツ時代の話ね。
「またその話か」会長は面倒くさそうに髪をかき上げる。少し伸びすぎて耳に引っ掛かりそこね、はらりと落ちた。邪魔そうだ。
「もう何回も話した気がするな。日本じゃ大して有名なビルでもなかろうに」
「だから有名な映画の舞台になったでしょ」
「聞かれても何も知らないよ。映画なんて見てないし」
「ナルさんちょっと黙って」ルリカさんはさっと会長の口の前に手を出した。
「もう・・ロマンチックのかけらもないんだから」
「あるわけない」会長はその手をよける。
「それでいつもエリーさんと言い合いになるんでしょうに」
そうなんだ。
「会社のトップと製作会社のトップが仲が良かったんだよ。それで工事中のビルで撮影許可が下りた。ずいぶんデザイン変更してな。そのハリウッドの人間はレオの知り合いでもある」
「あーそうなんだ。そうそう、またあのビルで映画のロケをやるってね」
「どこかしらで何か撮ってるよな。それでまたNYに幻想を抱く連中が世界中から集まるわけだ」
「はいはい、でもスパイダーマンじゃないわよ?」
会長全く興味がなさそう・・・。
「もー、せめて聞き流すくらいにしてよ。ねえ?」ルリカさんはちらと私を見た。
「私もよく知らないです。映画あまり見なくて…すみません」
「あらそうなの。だからナルさんと気が合うのね」
…色気がないっていうか。でもさすがに会長と同類にされたくない…。色気ゼロでも乙女心は持ち合わせてますわ。
「誰でも感動するわけじゃないんだよ」
「素敵な映画なんですけどー」
会長、友達にも容赦ないんだな。
見た目はともかく…。
中身は超リアル主義、甘ったるい言葉は一切なし。無骨。
それがこの会長、ーー九条成明という男。
さらに恐ろしいことに再び気づいた。
レックス社、アトランタ…。
英語もフライト恐怖症もなんもこくふくしてない。
この半年、ただスマホが最新バージョンになっただけ。
ありゃー・・・。
コト…、ルリカさんは私と会長の前にレスカのグラスを置いた。
「いえ、知り合いなのは会長の方です・・」
「そうなのね」最後に自分の分を置いてルリカさんも席に着いた。
「昔のね」会長が答える。
「ちょうどいい……、良すぎる講師がいたものねえ」
ちらっと目をやった先でアランさんとレオさんがスマホをかざし喋ってる。
いつの間にかスタンドを付けられちゃった私のスマホに映ってるのは、藤島さん。
『ナポリ風はふっくらボリューミーな生地。
ローマ風は薄いパリパリ生地。
今回の生地はもちもち系なので・・・』
『えっ、手作りピザ窯? 初火入れ?? 見たーい、ライブ配信してよーー』
SNSの、藤島さんからのリクエストにこたえてピザ窯のライブ映像を流してると、いつの間にかアランさんとレオさんにのっとられ、ふじっしーのピザ講座がはじまった。ふじっしーはイタリア語のほか英語もベラベラらしい。
かくして。
英語圏の方々はピザ窯前。
日本人はこちら。
とエリアわけができてしまったのだった。
「フフ、エリーさんも料理じゃなければ興味津々のようね、助かったね、ナルさん」
「・・・ルリカも人が悪いな、知っていたのなら教えてくれればよかったのに」会長は息をついた。
「そうだけど・・ナルさんいずれレックスの重役になるんでしょ、奥様にも慣れておかないと」
「そうだな・・・」
そうだった。来年だっけ。アトランタ・・・。
「あのー、会長とエリザベスさんは・・その・・・」なんであんなに仲が悪そうなの?
会長と口論してる間、みんな😅こんな顔になるのは?? 今もルリカさん微妙な表情だ。
「見ての通り天敵だ」会長はあっさり認めた。
「宿敵、論客、犬猿の仲・・・」
「昔はキャット&ドッグて呼ばれて、大学の講義の模擬裁判で盛り上がったんだって。アランが言ってたわ」ルリカさんが補足。
「へえ~」じゃあ、大学の同級生なのかな?
「すごい剣幕でやりあって、本物の裁判みたいで、うん、それ以上にエキサイティングでちょっとした名物だったんだって」
「アランさんも同じ学部で?」
「ううん、彼は服飾よ。専門の学部があるの。今は舞台衣装や映画の衣装製作してるの」
あ、そうだったっけ。
「すごいですねー」
「そうね、今は日本の歌舞伎に興味があって、日本に来て、それで知り合ったのよ。私は舞台専門のお針子してたから」
「そうなんですか」
「一度ナルさんと仕事がバッティングしたことがあったって。・・・NYのマークスってビル」
「ああ、あのマンハッタンにある・・・」知らないけど、知ってる。会長の経歴を調べていて知った。
「あそこを舞台にした映画の衣装やってたのよ。で、ナルさんはそのビルの買収に関わってて・・・」
映画の衣装製作ってすごい! 買収の件は以前調べたわ。会長が会長になる前にいた会社、メジソンアソシエイツ時代の話ね。
「またその話か」会長は面倒くさそうに髪をかき上げる。少し伸びすぎて耳に引っ掛かりそこね、はらりと落ちた。邪魔そうだ。
「もう何回も話した気がするな。日本じゃ大して有名なビルでもなかろうに」
「だから有名な映画の舞台になったでしょ」
「聞かれても何も知らないよ。映画なんて見てないし」
「ナルさんちょっと黙って」ルリカさんはさっと会長の口の前に手を出した。
「もう・・ロマンチックのかけらもないんだから」
「あるわけない」会長はその手をよける。
「それでいつもエリーさんと言い合いになるんでしょうに」
そうなんだ。
「会社のトップと製作会社のトップが仲が良かったんだよ。それで工事中のビルで撮影許可が下りた。ずいぶんデザイン変更してな。そのハリウッドの人間はレオの知り合いでもある」
「あーそうなんだ。そうそう、またあのビルで映画のロケをやるってね」
「どこかしらで何か撮ってるよな。それでまたNYに幻想を抱く連中が世界中から集まるわけだ」
「はいはい、でもスパイダーマンじゃないわよ?」
会長全く興味がなさそう・・・。
「もー、せめて聞き流すくらいにしてよ。ねえ?」ルリカさんはちらと私を見た。
「私もよく知らないです。映画あまり見なくて…すみません」
「あらそうなの。だからナルさんと気が合うのね」
…色気がないっていうか。でもさすがに会長と同類にされたくない…。色気ゼロでも乙女心は持ち合わせてますわ。
「誰でも感動するわけじゃないんだよ」
「素敵な映画なんですけどー」
会長、友達にも容赦ないんだな。
見た目はともかく…。
中身は超リアル主義、甘ったるい言葉は一切なし。無骨。
それがこの会長、ーー九条成明という男。
さらに恐ろしいことに再び気づいた。
レックス社、アトランタ…。
英語もフライト恐怖症もなんもこくふくしてない。
この半年、ただスマホが最新バージョンになっただけ。
ありゃー・・・。
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