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タイムリミット
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あーあ。サイアク。
あれから、落ち込んだってものじゃなかった。
男の前で上半身裸だったってのは事実で、それがそもそも堂本さんにされたって…信じられない。
ニュースに報じられるでもなく、あの男の言ったことが正しいかウソなのか結局藪の中だけど、それらの事実は変わらない。
ついでに関西弁が頭の中エコーするようになって、眠れないの!
あの関西弁の男。
男が最後に言った台詞。
また……会う?
「ーーでね、次は地元に帰って旅行することにしたの。最近流行りの場所に連れて行ってくれるって」
繁華街のカフェで、順調に話が進んでるらしい岡部の前で私は突っ伏してた。
「よかったね」嬉しそうにプランを語る岡部に呟くように相槌を打つ。
「ええ、そのうちあんたにも会わせるわ」
クリームたっぷりのパンケーキを豪快に真ん中で切り分けて、皿に入れてくれた。「はいー。あんたの」やっと顔を上げてありがと、と受け取る。あんまり食べる気しないけど……。
「あんたのお相手だって金持ちそうでよかったじゃないの」
「そうねえ」
恐ろしいくらい富豪みたいだけど……なんだか遠くにかすんでしまったように昔のことに思える。
それほどあの日の出来事は刺激強すぎ。知り合いのおじさんに襲われて、私は上半身裸で、男に助けられて、説教……。
「紳士的な人よ。でも、あんまり丁寧に対応されるとなんだかピンとこなくて」
「贅沢な話ねー。なになに、やさしい紳士は物足りない? じゃあ、危険な男とか? ぷっ、あんたヤンキー好きだったっけ?」
そこでまたあの関西弁男が浮かぶ。まるで都筑さんとは真反対の男だ。ルックスは刑事とか、戦隊もののヒーローみたいだった。
「ヤンキーじゃない!」私は思わず叫んだ。
「は?」
そう、何とかレンジャーのレッド。熱血ヒーロー、その系統。…あ、違うか。
「……なわけないでしょ、そもそも私はあんたの代わりに婚活に参加しただけで、別に彼氏なんか欲しくないし」
「そんなツンデレ言ってんじゃないの!」
「やっぱ男ってヤレればいいんだなぁ……」ついぼやいた。おじさんにしろ、あいつにしろ、そこは結局変わらないでしょ。
「え、何、迫られたの?」
「そうじゃないけど」違う男にね。
「しょーがないでしょ! 男と女の性よ! ムラムラしなきゃ、何も始まらないじゃないの」
岡地はテーブルを叩いた。
「あんた、とにかくめんどくさがりだから。直しなさいって。お付き合いして、ある程度深いところまで行って、それで合わないなと思ったらすぐ次いけばいいのよ。そう、貞操観念なんて亡者の妄言よ」
それはそうだけど、落ち込んでるのはそこじゃない、知り合いのおじさんにやられそうになった、なんてとても言えないわ。さらに密室で若い男と押し問答、半裸で押し切ったなんて……。
「わかってるけど。セック○なんて面倒くさいわ」
「あんたねー」
だけど、久々にドキドキした。あんなに力強い男、はじめてだ。
思い切りおっぱい見られちゃったけど。
「あーあーー……」
「ため息ばっかり」
このあと無茶ぶりな仕事も抱えてるってのに。
どうしてくれると?
「あ、そうだ、話変わるけど、今着てる服、どう思う?」
私はやっと頬杖つくまでに回復して、パンケーキのかけらをぱくっと口に入れた。
「ん? まあ、……はっきり言っていい?」
「うん」
「……おばさんぽいわ。らくちんなのはわかるけど、上のワンピースもどきがねえ……。柄も生地もおばさん愛用のチュニックみたいじゃん。スパッツみたいなスキニーもダメダメ。せめて緩いレギンスでしょ、丈長めの」
う。
やっぱいけてなかったか。
男に会った日に着ていたまんまのコーデだけど。
「いい加減スキニーなんてやめたら。誰も履いてないでしょ」
「う……ん」
そう? でも店に売ってるってことは需要があるんではなくて??
「そのつもりだったけど、ワンピの下ならいいかとついつい履いてしまったの」
「ああ……」
岡路は額に手を当て、ダメ出しポーズ。
「あんた……。根本的になってないわ。よくそれで男ゲットできたわねえ」
「私もそう思う……」
あかんわ、こりゃ。やっぱりスキニーは全処分か。もったいなか……。
あれから、落ち込んだってものじゃなかった。
男の前で上半身裸だったってのは事実で、それがそもそも堂本さんにされたって…信じられない。
ニュースに報じられるでもなく、あの男の言ったことが正しいかウソなのか結局藪の中だけど、それらの事実は変わらない。
ついでに関西弁が頭の中エコーするようになって、眠れないの!
あの関西弁の男。
男が最後に言った台詞。
また……会う?
「ーーでね、次は地元に帰って旅行することにしたの。最近流行りの場所に連れて行ってくれるって」
繁華街のカフェで、順調に話が進んでるらしい岡部の前で私は突っ伏してた。
「よかったね」嬉しそうにプランを語る岡部に呟くように相槌を打つ。
「ええ、そのうちあんたにも会わせるわ」
クリームたっぷりのパンケーキを豪快に真ん中で切り分けて、皿に入れてくれた。「はいー。あんたの」やっと顔を上げてありがと、と受け取る。あんまり食べる気しないけど……。
「あんたのお相手だって金持ちそうでよかったじゃないの」
「そうねえ」
恐ろしいくらい富豪みたいだけど……なんだか遠くにかすんでしまったように昔のことに思える。
それほどあの日の出来事は刺激強すぎ。知り合いのおじさんに襲われて、私は上半身裸で、男に助けられて、説教……。
「紳士的な人よ。でも、あんまり丁寧に対応されるとなんだかピンとこなくて」
「贅沢な話ねー。なになに、やさしい紳士は物足りない? じゃあ、危険な男とか? ぷっ、あんたヤンキー好きだったっけ?」
そこでまたあの関西弁男が浮かぶ。まるで都筑さんとは真反対の男だ。ルックスは刑事とか、戦隊もののヒーローみたいだった。
「ヤンキーじゃない!」私は思わず叫んだ。
「は?」
そう、何とかレンジャーのレッド。熱血ヒーロー、その系統。…あ、違うか。
「……なわけないでしょ、そもそも私はあんたの代わりに婚活に参加しただけで、別に彼氏なんか欲しくないし」
「そんなツンデレ言ってんじゃないの!」
「やっぱ男ってヤレればいいんだなぁ……」ついぼやいた。おじさんにしろ、あいつにしろ、そこは結局変わらないでしょ。
「え、何、迫られたの?」
「そうじゃないけど」違う男にね。
「しょーがないでしょ! 男と女の性よ! ムラムラしなきゃ、何も始まらないじゃないの」
岡地はテーブルを叩いた。
「あんた、とにかくめんどくさがりだから。直しなさいって。お付き合いして、ある程度深いところまで行って、それで合わないなと思ったらすぐ次いけばいいのよ。そう、貞操観念なんて亡者の妄言よ」
それはそうだけど、落ち込んでるのはそこじゃない、知り合いのおじさんにやられそうになった、なんてとても言えないわ。さらに密室で若い男と押し問答、半裸で押し切ったなんて……。
「わかってるけど。セック○なんて面倒くさいわ」
「あんたねー」
だけど、久々にドキドキした。あんなに力強い男、はじめてだ。
思い切りおっぱい見られちゃったけど。
「あーあーー……」
「ため息ばっかり」
このあと無茶ぶりな仕事も抱えてるってのに。
どうしてくれると?
「あ、そうだ、話変わるけど、今着てる服、どう思う?」
私はやっと頬杖つくまでに回復して、パンケーキのかけらをぱくっと口に入れた。
「ん? まあ、……はっきり言っていい?」
「うん」
「……おばさんぽいわ。らくちんなのはわかるけど、上のワンピースもどきがねえ……。柄も生地もおばさん愛用のチュニックみたいじゃん。スパッツみたいなスキニーもダメダメ。せめて緩いレギンスでしょ、丈長めの」
う。
やっぱいけてなかったか。
男に会った日に着ていたまんまのコーデだけど。
「いい加減スキニーなんてやめたら。誰も履いてないでしょ」
「う……ん」
そう? でも店に売ってるってことは需要があるんではなくて??
「そのつもりだったけど、ワンピの下ならいいかとついつい履いてしまったの」
「ああ……」
岡路は額に手を当て、ダメ出しポーズ。
「あんた……。根本的になってないわ。よくそれで男ゲットできたわねえ」
「私もそう思う……」
あかんわ、こりゃ。やっぱりスキニーは全処分か。もったいなか……。
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