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奥様 危機一髪
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華やかなライトが都市を照らし、高層ビルの輪郭が美しく浮かび上がる。夜のクアラ・ルンプール、豪華なホテルの部屋には、落ち着いたピンク色のソファが置かれ、大きな窓からはその美しい夜景が一望できる。
塔子は夏目のそばに寄った。
一方依頼者の都筑氏は、香港のビルの一室にいた。彼の前には複雑な装置が据えられている。都筑氏は冷静な表情でデバイスを起動させ、指先でキーボードを操作した。画面には暗号化されたデータが次々と表示され、彼の目はその情報を一つずつ確認していく。
都筑氏は微笑みながら、次の指令を出す準備を整えた。「さて、夏目君、」彼は画面を見つめ、作動を待つ。「君の腕前を見せてもらおうか」ニヤリと口角を上げた。
鮮明な映像が流れ始めた。
都筑氏は画面を見てはっとした。
「この二人、えらく仲がよさそうだが」
親し気に顔を寄せる二人。
それは既にただの知り合いなどではないように見える。
そのとき都筑氏は、自らの判断ミスに気づいた。夏目と塔子は男と女だ。この部屋を一時待機所として使ったのは自分。
そもそも夏目には都筑氏も目をかけていた。優秀な人材である。先に息子が契約をしたと知り、時折無理難題を引き受けてもらうことがあった。そして彼は偶然にも息子の大学時代の同期である。
この二人の間柄は一体?
――どうなのだ。じっと見つめた。巨大なオペレーションシステムは少し高い位置にあり、階段を下ったそばに控える若い男に尋ねた。「…人間の声を拾うことはできんのか」「はい、できます。対象人物の頭部をズームして点滅しましたらクリックしていただくとAIが解析した会話文が横に出ます。あらゆる部位のうごきで認識しますので正確です」
「うむ」しかし、うまくいかず、てこずっていると、そのオペレーターが再び言葉をかけた。「わたくしがいたしましょうか」
「いや、いい、大丈夫だ」慌てて断った。
やっと、文字列が流れるようになった。
彼らが交わしているだろう会話が文字となり流れる。
その会話をまるで聞いてるように頭に浮かべながら、総帥は首を傾げた。「うーむ。これだけでは何とも言えんな」
なんなのだ、この二人? いわゆるバディのようなもの、と言えば一番適していそうだが、都筑氏にはその単語はひらめかなかった。
―――まあいい・・さっそく仕掛けるか。
都筑氏は決心すべく、スマートフォンを手に取った。
そのホテルの部屋で、自制がきかなくなる手前で夏目はとどまっていた。そろそろ次の指令が入るはずである。その時ドアがノックされた。
「何も頼んでないで」ドアを開けた瞬間、ワゴンを引いた給仕が発砲してきた。
とっさに身を伏せて避け、男を追いかけてワゴンの銀の盛り皿を投げつけた。男はよろめき、拳銃を持つ手が緩んだ。夏目はすかさず男の銃を奪い、銃口を向けた。男は震え、手のひらを上げて降参の姿勢を表した。夏目は威嚇して「行け」と動作で示し、男は慌てて逃げ去った。部屋に戻ると、塔子がへたり込んでおびえていた。夏目はその手を取って起こし、頬を寄せた。「大丈夫か」
スマホが着信音を鳴らした。
『息子の婚約者にプレゼントしようと、宝石商に預けていた指輪が手違いですり替えられていてね、取り返してほしい。取引の手はずはついている』
結構な事件やん…! 指令を受けながら、夏目は違和感を感じた。あまりにもタイミングがよすぎる。まるで監視されているようだ。
通話を終えると、袋を手に取り、中身を確認した。大きなダイヤモンドが箱に入っていた。取り返すのはさらに高価な指輪だ。袋の中には他に何もなかった。塔子にも異常は見当たらない。それらしいアクセサリーもなし。監視している媒体が盗聴器の類ではないとすると、どのようにして監視しているのか。監視カメラを仕込んでいるのか。
はっと気づいた。
――――人工衛星?
夏目はちらと上を見上げた。
その姿はそのまま俯瞰されていた。まさしく、電波の送受信源ははるか上空の浮遊物体であった。
―――ふっ、気づいたか。するどいな。夏目君。
これは、挑戦だ。夏目は、総帥の言葉を無視して行動しなければならないと思った。塔子を連れて部屋を出た。
塔子は夏目のそばに寄った。
一方依頼者の都筑氏は、香港のビルの一室にいた。彼の前には複雑な装置が据えられている。都筑氏は冷静な表情でデバイスを起動させ、指先でキーボードを操作した。画面には暗号化されたデータが次々と表示され、彼の目はその情報を一つずつ確認していく。
都筑氏は微笑みながら、次の指令を出す準備を整えた。「さて、夏目君、」彼は画面を見つめ、作動を待つ。「君の腕前を見せてもらおうか」ニヤリと口角を上げた。
鮮明な映像が流れ始めた。
都筑氏は画面を見てはっとした。
「この二人、えらく仲がよさそうだが」
親し気に顔を寄せる二人。
それは既にただの知り合いなどではないように見える。
そのとき都筑氏は、自らの判断ミスに気づいた。夏目と塔子は男と女だ。この部屋を一時待機所として使ったのは自分。
そもそも夏目には都筑氏も目をかけていた。優秀な人材である。先に息子が契約をしたと知り、時折無理難題を引き受けてもらうことがあった。そして彼は偶然にも息子の大学時代の同期である。
この二人の間柄は一体?
――どうなのだ。じっと見つめた。巨大なオペレーションシステムは少し高い位置にあり、階段を下ったそばに控える若い男に尋ねた。「…人間の声を拾うことはできんのか」「はい、できます。対象人物の頭部をズームして点滅しましたらクリックしていただくとAIが解析した会話文が横に出ます。あらゆる部位のうごきで認識しますので正確です」
「うむ」しかし、うまくいかず、てこずっていると、そのオペレーターが再び言葉をかけた。「わたくしがいたしましょうか」
「いや、いい、大丈夫だ」慌てて断った。
やっと、文字列が流れるようになった。
彼らが交わしているだろう会話が文字となり流れる。
その会話をまるで聞いてるように頭に浮かべながら、総帥は首を傾げた。「うーむ。これだけでは何とも言えんな」
なんなのだ、この二人? いわゆるバディのようなもの、と言えば一番適していそうだが、都筑氏にはその単語はひらめかなかった。
―――まあいい・・さっそく仕掛けるか。
都筑氏は決心すべく、スマートフォンを手に取った。
そのホテルの部屋で、自制がきかなくなる手前で夏目はとどまっていた。そろそろ次の指令が入るはずである。その時ドアがノックされた。
「何も頼んでないで」ドアを開けた瞬間、ワゴンを引いた給仕が発砲してきた。
とっさに身を伏せて避け、男を追いかけてワゴンの銀の盛り皿を投げつけた。男はよろめき、拳銃を持つ手が緩んだ。夏目はすかさず男の銃を奪い、銃口を向けた。男は震え、手のひらを上げて降参の姿勢を表した。夏目は威嚇して「行け」と動作で示し、男は慌てて逃げ去った。部屋に戻ると、塔子がへたり込んでおびえていた。夏目はその手を取って起こし、頬を寄せた。「大丈夫か」
スマホが着信音を鳴らした。
『息子の婚約者にプレゼントしようと、宝石商に預けていた指輪が手違いですり替えられていてね、取り返してほしい。取引の手はずはついている』
結構な事件やん…! 指令を受けながら、夏目は違和感を感じた。あまりにもタイミングがよすぎる。まるで監視されているようだ。
通話を終えると、袋を手に取り、中身を確認した。大きなダイヤモンドが箱に入っていた。取り返すのはさらに高価な指輪だ。袋の中には他に何もなかった。塔子にも異常は見当たらない。それらしいアクセサリーもなし。監視している媒体が盗聴器の類ではないとすると、どのようにして監視しているのか。監視カメラを仕込んでいるのか。
はっと気づいた。
――――人工衛星?
夏目はちらと上を見上げた。
その姿はそのまま俯瞰されていた。まさしく、電波の送受信源ははるか上空の浮遊物体であった。
―――ふっ、気づいたか。するどいな。夏目君。
これは、挑戦だ。夏目は、総帥の言葉を無視して行動しなければならないと思った。塔子を連れて部屋を出た。
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