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3月21日火曜 春分の日 その3
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中井まみと星野明子は、家庭科室を担当していた。家庭科室はたいして人数はいらない。もともと衛生面でいつも清潔にしておかないといけない場所だ。
「まみちゃん、5年2組に配ったビラの事だけど、なんで満川さんにあげちゃいけなかったの?最近、すごくツーと仲良いよ。」
アッコは、まみが自分と2人だけで家庭科室を担当している事は、何かまみが話したい事があるのだろうと思ったからだ。
「ツーと仲のいい満川さんだけど、あの落書き事件で名前が書かれたから。たとえ何の関係がなくても、彼女を呼べば保川さんまで呼ばなければ不公平になるよね。私はツーの気持ちはわからないけど、彼の中でもう結論は出たはず。」
そして、保川を呼べば高野も呼ぶ事になる。まみは、この際、高野を切る必要があると感じた。まみの中で保川はシロとなっていたし、ただただ彼女はかわいそうな存在であった。…保川さんも4年3組のクラスメイトで私達の仲間だったら、また別の運命が開けただろう。まみは保川さんが、これから東京都で素敵な友達と付き合っていける事を祈った。
まみは、そして、去年の暮れに、図書室で、満川が突然「津山くんって、転校するの?」と聞いてきたことを思い出した。
ツーは、「最初にまみに話そうと思う」と言ったのだ。彼はそういう場面で嘘をつくタイプじゃない。なのに、私が聞く前に、満川が知っていた…。
この日から、まみは満川を少々警戒しはじめていたのだった。満川に悪気はなかったのだが。そういうことも考えると、まみの中では、ツーは満川より保川と仲良くして欲しかったのかもしれない。高野抜きで保川が、ツーと仲良くなろうというのなら、まみは同窓会に呼んであげる事ぐらいはした。保川に、アッコのような積極性がない事。一度もツーと同じクラスになれなかった不運。その二つにおいて満川に遅れをとったのだ。そして、高野のような「わかってない子」を頼ってしまった事。
ちょっと保川に運があれば、今の満川の立場に保川がおさまっていることもありえたのだ。人の縁というもの、難しくて思い通りにいかないものだ。まみは、一度もしゃべったことはない保川に同情していた。
「まみちゃん、5年2組に配ったビラの事だけど、なんで満川さんにあげちゃいけなかったの?最近、すごくツーと仲良いよ。」
アッコは、まみが自分と2人だけで家庭科室を担当している事は、何かまみが話したい事があるのだろうと思ったからだ。
「ツーと仲のいい満川さんだけど、あの落書き事件で名前が書かれたから。たとえ何の関係がなくても、彼女を呼べば保川さんまで呼ばなければ不公平になるよね。私はツーの気持ちはわからないけど、彼の中でもう結論は出たはず。」
そして、保川を呼べば高野も呼ぶ事になる。まみは、この際、高野を切る必要があると感じた。まみの中で保川はシロとなっていたし、ただただ彼女はかわいそうな存在であった。…保川さんも4年3組のクラスメイトで私達の仲間だったら、また別の運命が開けただろう。まみは保川さんが、これから東京都で素敵な友達と付き合っていける事を祈った。
まみは、そして、去年の暮れに、図書室で、満川が突然「津山くんって、転校するの?」と聞いてきたことを思い出した。
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この日から、まみは満川を少々警戒しはじめていたのだった。満川に悪気はなかったのだが。そういうことも考えると、まみの中では、ツーは満川より保川と仲良くして欲しかったのかもしれない。高野抜きで保川が、ツーと仲良くなろうというのなら、まみは同窓会に呼んであげる事ぐらいはした。保川に、アッコのような積極性がない事。一度もツーと同じクラスになれなかった不運。その二つにおいて満川に遅れをとったのだ。そして、高野のような「わかってない子」を頼ってしまった事。
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