社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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5話 ソフィア

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 マサルは、このエルフと契約を結び、ガルドにお礼を言い奴隷商店を出ようとした。

「色々教えてくれて、ホントにありがとうございました」

「いえいえ、また違う奴隷が欲しくなったときは、ご利用のほどよろしくお願いします」

「はい!その時はまたよろしくお願いします」

 マサルは、エルフを連れて宿屋に向かった。宿屋に入ると、店主からその奴隷はどうするのかと聞かれた。

「その奴隷はどういたしますか?」

「どうしますかって、そりゃ一部屋お願いします」

 その答えに、宿屋の店主は驚き目を見開いた。

「ご、ご主人様、宿屋の店主はそういう事言っているのではありません。私を同じ部屋に泊まらせるのか、それとも奴隷部屋にいれるのかを聞いているのです」

「はあ?奴隷部屋?どういうこと?」

「私はご主人様の所有物です。だから、奴隷部屋に入れておくか、自分の手元で同じ部屋に泊まらせるのかどちらかです」

「でも、君は女の子だろ?同じ部屋はまずいだろ?」

「あなたは優しい方なのですね。この宿屋を長くやって来たが、奴隷の意思を尊重する主人は初めて見たよ」

「いやいや、それが普通でしょ?この子にも同じ部屋をお願いします」

「えーっと、マサルさん。申し訳ないのですが、奴隷はあくまでも主人の所有物で物という認識ですので、一部屋を貸す事は出来ません。もし、同じ部屋では都合が悪いというのなら、奴隷部屋をご利用しないといけない決まりなの
です」

「えーっと、その奴隷部屋と言うのは?」

「石造りで窓もないから、盗まれる心配はありません」

 マサルは、奴隷部屋を見せてもらった。すると、本当に石造りでベットもなく藁が少しあるだけの、牢屋のような部屋だった。

「こんな部屋は駄目だ!」

「だったら、同じ部屋にするしかありませんよ。これはどこでも同じですので承諾して頂きたいです」

「ご主人様。同じ部屋が無理なら、私は奴隷部屋でも構いませんよ」

「いや、だめです。こんなとこに女性を眠らせる事はできません。店主さん同じ部屋でお願いします」

「わかりました。では201号室でよろしくお願いします」

 マサルは、奴隷のエルフを連れて部屋に入った。部屋に入るとダブルベットが一つしかなかった。

「ベットが一つしかない……2人部屋にチェンジしてもらおう」

「ご主人様、待ってください!」

「なんでだよ?ベットが一つしかないんだぞ?」

「そうではなくて、奴隷に専用にベットは貸してもらえないのです」

「そ、そうなのか?」

「はい……もし一緒に寝るのが嫌なら、私は床に寝ますから大丈夫です。ここは奴隷部屋より寒くないし、居心地は良いですので」

「いや、一緒に寝るのがいやとかじゃなくて、俺は男だぞ?」

「えっ?」

「えっ?ってなんだよ。普通の事だろ?」

「私は奴隷です。人ではなく物と思うのが普通なのです。それが、この世界の常識であり、私の事を女だと思う必要はありません」

「馬鹿な事を、君はどう考えても女の子じゃないか」

「馬車でご主人様の身の上を聞いていましたが、私はご主人様に常識を教える為に購入されたのですよね?」

「ああ……そうだよ」

「でしたら、私の事は女性と思う必要はありません。私の事は都合のよい道具と思う事が常識です。今夜も、私を抱きたければ抱いても良いし、好きに扱えばよろしいかと……」

「そんな事が出来る訳ないだろ」

「私はご主人様の物です。どのように扱おうが誰も文句は言いません」

 マサルは少し考えこんで、エルフの女性に話しかけた。

「わかったよ。本当にどのように扱ってもいいんだね?」

「はい……構いません」

 エルフの女性は少し震えているのが分かった。マサルはそれを見てやはり無理をしていたのかと悟ったのだった。マサルはエルフの肩に手を乗せた。エルフの女性はギュッと目をつむって、覚悟を決めたようだった。

「じゃあ、僕は君の事を人間として扱う事にするよ」

「えっ……」

 マサルの言葉に、エルフの女性は目を開けてマサルを見つめたのだった。

「そう言えば、君の名前をまだ聞いていなかったよね?名前はなんて言うの?」

「ご、ご主人様。私はご主人様の所有物です。どのように扱ってもいいのです」

「だから、どのように扱っても誰からも文句はないんだろ?俺は君を物のように扱わない。俺が君を人間として扱っても文句はないはずだ」

「ですが、それでは奴隷としての意味が……夜の奉仕も奴隷としての役目の一つです」

「君が、俺の事を好きと言うのなら話は別だと思うよ。しかし、奴隷の役目として奉仕をするというのならそんなのはいらない」

「で、でも……」

「はい。この話はもう終わり。君の名前は?これからずっと、君と呼ぶことになるのは却下だからな」

「分かりました……それなんですが私に、名前はありません……オイでも女でもどのようにでもお呼びください」

「はあ?名前が無い?君にも親がいただろ?親に付けてもらった名前は?」

「奴隷に落とされた地点で、その名前は捨てました。ご主人様が呼びやすいように呼んでくれて結構です」

「分かったよ。君の名前は俺が決めるけどそれでいいか?」

「結構です。呼びやすい名前を付けていただけますか?」

「君の名前はソフィアだ。俺に知恵を教えてくれる人だからな。叡智と言う意味がある」

「ソ、ソフィア……」

 するとソフィアは、下を向き涙を流したのだった。

「えっ?涙を流すほど嫌だったか?俺には常識が無いから、何か嫌な意味があるのか?」

 マサルは、ソフィアが涙を流したので焦ったのだった。

「い、いえ……違います。素敵な名前を付けていただき嬉しいのでございます」

「そうか。それならよかったよ。君は今日から、ソフィアと呼ばせてもらうからね」

「はい!素敵な名前をありがとうございます」

 ソフィアは、マサルに膝をつき頭を下げた。泣きながら何回もお礼を言っていた。マサルはそんなに嬉しかったのかと思い、笑顔でソフィアの頭を撫でたのだった。
 ソフィアがこんなにもお礼を言ったのは、別の訳があった。それは、マサルが付けた名前は、偶然にも親が付けた名前と一緒だったからである。

「さてと、これからの事は後にして、まずご飯でも食べるか。腹が減っただろ?」

「はい」

 マサルは、ソフィアを連れて宿屋の1階に降りた。そして、食堂の席についたのだった。しかし、ソフィアはマサルの後ろに立ったままだった。

「ソフィア、なにをしているんだ?早く席に着きなよ」

「えっ?私は奴隷ですので、ご主人様と同じ席に着く事はできません」

 マサルは、ハアと大きくため息をつき、ソフィアの肩を掴み強引に席につかせた。

「ご、ご主人様?だ、だから……」

「さっき言っただろ。俺はソフィアの事を物として扱わないって。いいから早く席に着けって」

「で、ですが……」

「俺がいいって言っているからいいの?」

 その後景を見ていた、食堂にいる他の客は不思議そうな顔をしていた。

 宿屋で働いていた店員は、マサルの一連の行動を見て不思議そうにして注文を取りに来た。注文を取りに来た女性はショートカットで元気な女性で、元気いっぱいだった。

「お客さま、ご注文は決まりましたか?」

 マサルは、メニューを見てAセットを頼んだ。Aセットはボアのステーキにパンサラダとスープがついたボリューム満点のセットだった。

「これで銅貨2枚は安いなあ!」

「うちには冒険者の方が多く泊まっていますからね。人気なんですよ」

「そうなんですね。このメニューならわかる気がしますよ」

「ありがとうございます。以上でよろしいですか?」

「いやいや、まだソフィアの分を聞いてください。ソフィアは何にするんだ?」

「「えっ⁉」」
「ご、ご主人様?私は奴隷なので奴隷食になります。だから注文など……」

「奴隷食?なんだそれ?」

「ここに載っているスープです」

「これだけ?」

「は、はい……」

「これじゃ腹が膨らまないだろ?却下だ!店員さん、ソフィアに俺と同じものをお願いします」

「ほ、本当によろしいのですか?」

「ご、ご主人様、私なら奴隷食でじゅうぶんです」

「駄目だ!そんなの僕が認めない。見てみろ、ソフィアろくなもん食ってなかっただろ?もっと栄養を取らなきゃ駄目だ。ガリガリじゃないか」

「私はエルフです。ガリガリではありません……」

「いいから、店員さん同じものを持ってきてください」

「わかりました」

 店員や、周りにいた他の客もマサルの行動に驚いていた。そして、マサルとソフィアはお腹いっぱいになって部屋に戻ったのだった。
 当然だが、部屋に戻ったマサルたちを見て、店員や客たちは信じられないとばかりに、ヒソヒソ話で盛り上がっていた。


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