社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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32話 ダンジョンのシステム

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 女神からの交信があった日から1か月が経ったある日、マサルのダンジョン前には集落が出来上がっていた。

「ほら、早くそこの敷居を上げるんだ!」

「わかってるよ!そんなに言うならお前も働けよ」

「俺はこっちの方を言われているんだ」

 集落を作り上げるのに、騎士団達はモーレンの村人たちに協力を要請して、小さな柵を作り上げていた。盛り土を作りその上に、柵を立てるのである。
 ここは森の中なので、まず少しでも安全にする為、森の中にいる魔物からも注意しなくてならないのだ。

「おい!早くしないと陽が暮れるぞ。今日はあの範囲まで作らないといけないんだからな」

「「「「はい!」」」」

 モーレン村の男達は、騎士団の駐屯地を作り上げる為に駆り出されいた。村人たちの中には、騎士団がここに来る1ヶ月の間に去った人間もいたのだ。ルーデンスもその一人だった。
 あのまま村に残っていたら、協力と言うが強制労働のようなもので、男達は駆り出され家業の農家は、女性達と子供達でやらなくてはならないといけなくなるのである。

 それが分かっていたからこそ、村人で余裕のある人間や、ルーデンスのような余生を一人でのんびり生活をしていた人間は、黙って夜逃げのように村を出ていた。村長に、許可を取ったら止められるのは目に見えていたからだ。




 その頃、マサル達はダンジョンの表を黙って見ていた。

「ご主人様。あのまま放っておくのですか?」

「ルナ、何か心配なのか?計画通りだろ?」

「だけど、あんなにたくさんの騎士達が……」

「それだけ、このダンジョンを警戒しているって事だよ。だけど、ダンジョン内はリニューアルしているし、もう大丈夫だと思うよ」

 マサルは、女神に自衛の為ならどんなことをしても、文句はないと言質を取っていたので、この1ヶ月ダンジョンをあり得ない程に強化していた。
 オーブも又、この結果に満足しているようで、何にも言葉を発していなかった。

 ダンジョンは全部で10階層にまで増やし、1階から3階層までは、普通の冒険者でも活動が出来るようにしていた。これらの階層には、ボスはいるがそれほどランクの高い魔物は設置していなかった。

 4階層は今までの1階層と同じになった。罠と魔物コラボでSランク冒険者でも突破でいない程に厄介な階層にした。
 しかし、4階層を守るボス部屋には、レッドドラゴンを設置したのである。これ以上進む事が出来る冒険者は限られた人間だけで、もし進んだら地獄でも生易しい世界が広がっていることを意味していた。

 5階層は、密林が拡がるフィールドエリアで、ここを守るのがビャクヤである。虎の神聖獣であるビャクヤにとってとても活動しやすいエリアにした。
 エリア全体には風属性の魔力が満ち溢れており、ビャクヤを強化していた。そのため、このエリアにはウィングタイガーやグリフォン、風の精霊がたくさん放たれている。

 6階層にはカグヤが守るバンパイア達のダークゾーンが拡がっていた。ここまで来る人間はほぼ皆無である。

 7階層は岩場が拡がるフィールドエリア。ここにも強力な神聖獣が守っている。土の精霊やミスリルゴーレムなどがいる

 8階層は湖が拡がるエリアである。ここにも当然神聖獣がいて、水の精霊やサハギンキングやクラーケンなどがいる。

 9階層は火山や溶岩が拡がるエリアであり、神聖獣をトップにグレートドラゴンや火の精霊などがいる。

 5・7・8・9階層を守っているのは神聖獣であり、白虎・玄武・青龍・朱雀の4人である。

 そして、10階層にはルナとソフィアがいるのである。

 
「これだけ強固になったんだ。まず、殆どの者が4階層で足止めになるよ。レッドドラゴンを倒せるなんてあり得ないからね」

「ご主人様の言う通りですね。それに5階層にはこのビャクヤがいるのよ。まず、この子には誰も歯が立たないわ」

「あたしに任せてよ!あんな奴等に負けないよ」

 ビャクヤは相変わらず大食いで、どこにそんなに食糧が入るのか分からない程に、今もオークのステーキを頬いっぱいに詰めて幸せそうにしていた。
 
「でも、本当に大丈夫なの?この子一人だと突っ走りそうなんだけど……」

「なにをぉ~~~あたしだってやるときはやるんだぞ?」

「いつもご飯ばっかり食べててなんかねえ?」

「マサル兄ちゃん、セイミが虐めるよう!」

「セイミそれぐらいにしてやれよ。ビャクヤも、ちゃんとするときは頼りになるのは分かるだろ?」

「マサル様、わたしはただ……」

 セイミはビャクヤと同じ神聖獣である青龍である。青龍のセイミも女性でスレンダーで、髪の色は水色のストレートヘアの落ち着いた女性だった。マサルは清らかな水と言う意味でセイミと名付けたのだった。

「だけど、セイミの言いたいことは分かるけどな」

「あ~~~!グレンまであたしを馬鹿にして!」

 グレンと呼ばれた女性は、赤い髪を持ちショートカットで元気いっぱいの女の子だった。当然、この女性も神聖獣の一人で朱雀である。紅蓮の炎からグレンと名付けた。

「もう、二人ともビャクヤちゃんをいじめないの?わかった?」

「「分かりました!」」

「やっぱり、ダイヤちゃんが好き~~~」

 ダイヤと呼ばれた女性は、ビャクヤを庇う様に頭を撫でていた。ダイヤと名付けられた女性は、スタイル抜群でゆっくりしゃべる癒し系のお姉さんタイプの女性だった。当然ダイヤも神聖獣の一人で玄武である。その実力はハッキリしていないが、どんな攻撃も効かない程鉄壁の防御を兼ね備えており、グレンとセイミはダイヤのニコニコした笑みを何故か怯えていたのだった。

「でも、主様」

「カグヤなんだい?」

「いえ、なんかここも賑やかになってなんかいいですね」

「ほんと、そうだな。あんな感じなのに地上では伝承されているお伽噺の中のような存在なのが信じれないけどな。まあ、カグヤもその中の一人なんだけどな」

 マサルの言葉に、カグヤはフフフと笑っていた。

「まあ、主様は大船に乗った感じでいたらいいですよ。ビャクヤもあのような感じですが、わたしじゃとてもじゃありませんが、相手をしたくない位強いですからね」

 Sランクの冒険者の半分を部下にしてしまったカグヤが、相手にしたくないといいきったビャクヤの実力はどれほどの物なのか、マサルは分からなくなってしまった。
 しかし、それほどの実力があるならば余裕で、ここの生活が保たれるのだろうと思った。



 まだ、このダンジョンは総DPが1千万を超えて、Bランクダンジョンだがこれが1億ポイント超えるとAランクに上がる。Aランクに上がれば、合成のような新たなシステムが発動するから楽しみでもある。

「マスターちょっとよろしいですか?」

「うん?なんだ?」

「次のシステムは、もうちょっとで使えるようになりますが、ダンジョン強化のようなものではありませんよ?」

「えっ?もうすぐ使えるのか?」

「はい!ですが、Aランクに上がれば、ダンジョン強化のようなものではなく、マスターがダンジョンの外に出れるようになるだけです」

「あっ、そうなのか」

「マスターは貴族から狙われていますし、外に出ないほうが良いと思いますよ?」

「たしかにそうだな。ここにいれば楽しく過ごせるし我慢するよ」

「それがよろしいかと思います」

 あれだけ、凶悪なダンジョンだと言われ、騎士団が派遣されていたマサルのダンジョンは、まだBランクだったのだ。

 そんな話しをしているのをよそに、騎士団がダンジョン前に整列していたのだった。

「マスター、遂に騎士団がダンジョンに入ってきそうですね」

「まあ、4階層までは普通にこれるよ。騎士団が苦労するのは4階層からだね」

 騎士団に、同行していた冒険者達は驚いたのだった。前に入った時と全然違ったからだ。

「おい!これがギルドのいうS級ダンジョンなのか?」

「そんなはずは……」

「これならお前達でも、充分攻略できる出来たばかりのダンジョンじゃないか?」

「これは何かの間違いです!確かに、このダンジョンはSランクの冒険者が大勢犠牲になったんです!」

「まさか、我々騎士団を馬鹿にしているんじゃあるまいな?」

「そんな事はありません!そんな事をしてギルドに何の得が!」

「しかし、この様子じゃ本当に出来たばかりのダンジョンと変わらないじゃないか?」

「しかし、この間ここに入った時は罠がたくさんあって、魔物も普通にブラッディーオーガが出てきたんです」

 騎士団が冒険者を責めるのは無理もなかった。1階層に緊張して入ったのに、出てきた魔物はスライムやウルフ、どんなに強くともゴブリンしか出現しなかったのだった。

「何かもめているみたいですね?」

「まあ、しょうがないよ。ここまでダンジョン内が変わっていたら、騎士団が出てくる必要はないんだからさ」

「しょうがない……オーブ映像を流す事が出来るか?」

「大丈夫ですよ」

 この映像とは、ダンジョンがEランクに上がると使えるシステムの一つである。オーブを通じて、ダンジョンマスターの姿をダンジョン内のどこにでも投影することが出来るのである。 

『えーみなさん、よくこのダンジョンへ来てくれました』

 騎士団の前に、マサルの映像が映し出されたのだった。

「誰だ!貴様は?」

『このダンジョンの管理者をしているマサルと言います。以後お見知りおきを』

「あ、あいつ生きていやがったのか……」

「おい……ガラ、あいつを知っているのか?」
 
 Sランクの冒険者が、夕闇のリーダーガラに詰め寄ったのだった。今回騎士団が参加しているので案内係として、夕闇も参加していたのだった。

「ああ……ずっと前に、領主様の護衛でこの村に来たとき、あいつも捕らえる依頼を受けたんだが、このダンジョンに逃げてあいつの荷物だけがダンジョン内に散らばっていたから、魔物に殺されたと思っていたんだ」

「何で、領主様はあいつを?」

「あいつが錬金術師だったからだよ。領主様は、あいつを囲い込もうとしたんだよ」

「何で、そんな奴がダンジョンマスターなんだよ?」

「そこまで俺が知るわけないだろ?」

「そ、そうだな……」

『騎士団の皆様には悪いと思いますが、先の侵略行為でSランク冒険者の実力があまりに低いと分かった次第でありまして、ダンジョンを少し簡単にしたんですよ』

「なんだと!俺達を馬鹿にしやがって!」

 冒険者達は、マサルに馬鹿にされて怒鳴った。しかし、マサルの映像は気にせずしゃべり続けるのだった。

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