氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

文字の大きさ
6 / 70
第1章 レアスキルは偉大

5話 エルフ族のシスティナ

しおりを挟む
 ショウはとりあえず、エルフの頬を優しくペチペチ叩き目を覚まそうとした。

「お~い。目を覚ませ」
「ハッ!」

 目を覚ましたエルフの女の子は突然勢いよく飛び起き土下座をした。

「ご、ご主人様・・・ご、ごめんなさい・・・これ以上殴らないでください・・・」
「おいおい。そんな物騒な事言うな。俺は殴らないから安心してくれ」

 エルフの女の子は、ショウの声を聞いてソォ~っと顔を上げた。

「あ、貴方はいったい誰ですか?」
「あー、俺が偶然この近くにいて、君の主人の悲鳴を聞いたんだけど間に合わず魔物に殺されたんだよ。君は壊された天幕がガードになって助かったんだ」
「そうだったんですか・・・」
「それで俺はショウ。君は?」
「あっ、すいません。私はシスティナといいます」
「わかった。システィナさんだね。それで君はこれからどうしたい?」
「私は奴隷なので呼び捨てでお願いします。それでどうしたいとは?私に選択肢はないかと?私のご主人様は貴方です」
「やっぱりそうだよね・・・」
「あの・・・私が必要なければ奴隷商に売却する選択もあるかと・・・」

 システィナはそういった選択肢を提示する。

「システィナはそれを望むのかい?」
「できれば私の命を救って頂いた貴方の側に居させて欲しいです」
「わかった。じゃあ、一緒に行くか」
「あ、ありがとうございます」

 しかし、システィナは奴隷として囚われ満足な食事を与えてもらっていなくて、立った瞬間立ち眩みで膝を付いて歩くことが出来なかった。

「絶対に栄養失調だな・・・」
「だ、大丈夫です。ちょっとよろけただけです」
「無理をしちゃ駄目だ」
「しかし、ご主人様に迷惑をおかけするわけには・・・」
「いいからいいから。ほらっ」

 ショウはシスティナの前でしゃがむ。

「えっ!?」
「ほら、おぶってやるから乗りな」
「いや、でも・・・ご主人様におぶってもらうだなんて」
「やっぱりおっさんに触られると嫌か」
「いえ、そうではなくて!」
「ホムンクルス、悪いがシスティナを運んでほしい」

 ホムンクルスは、システィナを運ぼうと近づくが、ホムンクルスを見たシスティナは悲鳴をあげ震え出した。

「きゃあ!」
「な、なんだ?」
「か、顔がない・・・」
「あっ、あぁ・・・システィナ落ち着いてくれ」
「ご、ご主人様・・・あ、あの人はいったい・・・」
「このはホムンクルスだ。人造人間だが、俺の家族の1人でとっても気の利くいいだから仲良くしてくれると嬉しい」
「じ、人造人間?」
「ああ。俺の言う事を何でも聞いてくれる頼もしい存在で、トロールからシスティナが助かったのもホムンクルスがいたからだよ」
「そ、そうだったんですか・・・ホムンクルスさんさっきは顔を見て驚いてごめんなさい。これからよろしくお願いします」

 システィナはホムンクルスに謝罪した。ホムンクルスと話せるのはショウだけだったが、ホムンクルスは気にしていないと言っていたので、システィナに伝えるとホッと安心した。

「しかし、よく考えるとホムンクルスは町中では連れて歩けないな」
 んっ?自分達は町中では危険はそうそうないから、俺の時空間倉庫に入っているって?
「そうか?」
 町中で襲われても、俺の魔法でじゅうぶん対処できるって?

 ホムンクルスはショウの問に首を縦に振った。ホムンクルスが自信を持っていいきるには理由があった。ヒューマン族の平均レベルは30前後で、ショウのレベルは30あるからだ。しかも、ショウの属性魔法は上級レア属性であり、それだけでアドバンテージがあるのだ。解りやすく言えば同じレベルの人間でも唯一属性なので強いとホムンクルスに言われる。

「あのご主人様・・・」
「んっなんだ?」
「私をご主人様の奴隷にしてくれるという事でいいですか?」
「ああ、そうだな。これからよろしく頼んだよ」
「あのそれでですね。仮契約はしてくれないのですか?」
「仮契約ってなんだ?」

 システィナの説明では、隷属の首輪に魔力を流してほしいとの事だった。

「ここでいいのか?」
「はい」

 ショウは、システィナの首輪の正面にあるプレートに魔力を流した。それで、仮契約は済まされ後は町の奴隷商で本契約を済ませば、晴れてシスティナはショウの奴隷となると言われたのだった。
 そして、ちょうど説明が終わった頃に、トロールの解体が済み、ホムンクルスがトロールの素材を持ってきた。トロールの素材は、魔石と心臓と睾丸に肝臓に胃袋だった。トロールの素材は貴重でポーションの材料になり、高値で取引されている。
 ショウは、トロールの死骸、奴隷達、奴隷商であろう男の死体を埋葬した。奴隷商の男からは商人ギルドのギルドカードを入手していた。男のギルドカードにはトロールに殺害され死亡と記載されていた。これをギルドに提出すれば、システィナの入手経緯をギルドからは疑われることはなくなるからだ。

「ありがとな。じゃ町に向けて出発しよう」
「待って下さい」
「まだなにかあるのか?」
「ご主人様は馬車の中にある貴重品を持っていかないのですか?これらは最初に見つけたご主人様の物ですよ」
「そういったものなのか?」
「はい。だから持てる分だけ持って行った方が得ですよ」

 ショウはシスティナに言われて、馬車ごと時空間倉庫に収納してしまい、倉庫の中でアイテムを整理し、壊れた馬車や壊れたアイテムや武器防具はその場に排出し捨てた。
 馬車の中にには、ワインや食材、服などもあり各国の貨幣まであった。神様からは一ヶ月分の貨幣しか持たされていなかったが、さすが奴隷商人であり1年は遊んで暮らせるお金があった。それに奴隷商人のギルドカードの貯金もショウのものとなる。全額ではなく貯金の7割が見つけた人間のものになるのでショウは一気にお金持ちになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

処理中です...