氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

7話 広場

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 ショウはロスドール帝国を拠点に活動するのを断念する。

 マーチンさんの言った通りだったなあ・・・まさかここまでとは思わなかった・・・

 ショウはため息をつきながら宿屋を後にしていた。ショウは体を休める為システィナをおぶって宿屋に入ったのだが、宿屋の女将にいきなり顔をしかめられたのが原因だった。

「いらっしゃいませ」
「宿をとりたいんだが部屋を2つお願いしたいんだが」
「はっ?あんた一人でかい?」
「一人じゃない。このがいるだろ」
「あんたおかしな事をいうんじゃないよ。そのエルフは奴隷じゃないか」
「はっ?」
「ご主人様。普通奴隷に部屋を別にとる事はしません」
「だが、君は女性じゃないか」
「あんた本当におかしな事をいう男だねぇ。夜の世話をさせる為にエルフを買ったんじゃないのかい?」
「ち、違いますよ!このは森で魔物に襲われていた唯一生き残ったなんです」
「そうだとしても、奴隷はその人の財産だよ。あんたは貴重品を手元に置かないのかい?」
「貴重品?」
「奴隷は主人の物であって貴重品だろ?手元に置かないと誰かに盗まれても文句はいえないよ。それでもいいのかい?」
「それは・・・だがしかし、システィナは」
「だったら、その奴隷は宿の地下室で預かるってのはどうだい?当然お金はとるけど二部屋とるよりは安いよ」
「その地下室ってどんな所なんだ?」
「どんな所って地下牢だから盗まれる心配はいらないよ」
「駄目だ駄目だ。システィナは栄養失調で歩けない状態なんだ。ベッドもない地下牢なんてとんでもない」
「だったら、同じ部屋に泊まるしかないねぇ」
「うぐっ・・・」
「だけどねぇ・・・私としてはその奴隷は地下牢に預けてほしいんだよ」
「なんでだよ?」
「この町は帝国領地の端っこの町とはいえ、亜人には不快感を持つ人間が少なくないんだよ」
「それが何の関係が?」
「あんた達が出ていった後、この町の人間はその部屋をつかいたがらないんだよ。宿屋としては清掃をきちんとしても空室状態になるから商売上がったりになるから、亜人奴隷は地下室に預けてほしいんだよ」
「そんな・・・」
「ご主人様、私の事は大丈夫です。だから、私を地下室に」
「そんな場所では体力が戻らないから駄目だ。それに体力をつける為にご飯も」
「ちょっとあんた、うちでその奴隷に食事をさせるつもりかい?」
「そりゃ当然だろ?」
「悪いが出ていっておくれ。亜人を食堂に入れるわけにはいかないからね」
「わかったよ。悪かったな」

 ショウはシスティナをおぶったまま、宿屋を出ていこうとしたら、宿屋の女将が呼び止める。

「ちょっと待ちな。この町の宿屋にあんたの要望が通る宿屋はないよ」
「どっか探すよ」
「まずそんな宿屋はないから諦めな」
「そんな事言うなよ。宿に泊まれないと野宿になるじゃないか」
「だから、テントぐらい持ってんだろ?だったら、領主様が解放している広場に行きな」
「領主様が解放している広場?」

 女将が言うには、ショウの物知らずに呆れ多分そういった広場の存在を知らないと思い教えてくれたのだ。
 この町だけでなく、大きな町にはそういった広場が解放しているのが普通である。これは、冒険者の為であり駆け出し冒険者は稼ぎが少なく、稼ぎに余裕が出てくるまでは常時宿に泊まる事が出来ない。しかし、町としては冒険者をできるだけ囲いたいので、領主は広場をタダで解放し安全な土地で寝泊まりできるように提供しているという事だ。

「そんな事をやっているのか?」
「そうだよ。あんたの要望を聞くような宿屋があったとしても、大部屋でざこ寝のようなところさね。そんな場所にそのを泊めて何も起こらない方が奇跡だね」
「女将さん教えてくれてありがとな」

 こうして、ショウはシスティナをおぶって宿屋を後にしたのだった。

「ご主人様ごめんなさい・・・私のせいで」
「システィナは何も悪くないさ。人種いや種族差別をする方が悪いんだから」
「本当にごめんなさい・・・」
「もう謝るな。システィナ、君の体力が回復したら王国に行こう」
「えっ?」
「王国でも種族差別はあるだろうけど、人至上主義国家よりは暮らし易いだろうしな」
「ありがとうございます。私早く体力をつけますね」
「ああ。長旅になるから頼むぜ。俺ももう歳だからなずっとおぶれないからよ」
「本当にごめんなさい」

 ショウは自虐混じりに笑い話にしたが、システィナは恐縮し謝罪を繰り返していた。そんな事で、すれ違う人に解放地を聞きながらようやくたどり着く。

「止まれ!ここは領主様が解放する土地だが、お前も野宿するのか?」
「はい。ここならテントを張って安全に野宿ができると宿屋の女将に聞いてきました」
「ああ。その奴隷が原因か・・・わかった。この木札を持って向こう空いてる場所にテントを張ればいいが問題は起こすなよ」
「え~っとこの木札は?」
「お前達は二人なんだろ?だったら、少人数だから大きなテントを張らないから向こうだ」
「お金は大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だ!この木札は区分分けの為だからな。くれぐれも問題だけは起こしてくれぬなよ」
「わかりました。ありがとうございます」

 領主の私設警備兵なんだろうな・・・でも、確かにあちこちに巡回する警備兵がいたら安全に泊まれそうだな。

 ショウは指示された方に向かうと、確かに一人用や二人用の小さなテントばかりで、反対方向の土地には大人数用のテントが張られていた。

「向かうのテントは冒険者パーティーが多いのかな」
「そうみたいですね」

 そして、大人数用のテントの方は結構騒がしく、少人数用の方にしてくれて落ち着ける感じだった。
 ショウは、少し離れた場所にテントを張ろうとして、周りを見渡す。そこには、兵士が二人だけいて周りを護っているようだ。

「ご主人様ここにテントを?」
「だな。ここにしよう」
「じゃ、私手伝います」
「ああ。大丈夫大丈夫。俺のテントはハウスという便利なものだからさ」

 そう言って、ショウは空いてる土地にハウスを置くと、ムクムクと大きくなりあっという間に二人用のテントが出来上がった。

「ご主人様これは?」
「ダンジョンで入手可能なマジカルアイテムなんだよ」
「す、凄い!」

 するとそこに慌ててやってきて、話しかけてきた人物がいた。

「お主、それは自分の物なのか?」
「盗んだものじゃないだろうな?」

 ショウに話しかけてきたのは、近くにいた二人ペアの警備兵だった。

「え~っと、これは間違いなく俺のハウスですよ」
「本当か?それはダンジョン産のアイテムなんだろ?本当に取っていたのか?」

 兵士達が疑うのは無理はなく、ショウのようなおじさんで戦闘能力がなさそうだからだ。

「本当ですよ。これは俺の専用ハウスです」
「しかし、こう言っては失礼だがお主がダンジョンに潜れるとは思えんのだが・・・」
「ご主人様が嘘をいうわけがありません」
「亜人奴隷は黙っていろ!」

 兵士の大声にシスティナは萎縮してしまい、ショウは怒りを露わにする。

「ちょっとそんな大声出さなくてもいいだろ。それにこれは間違いなく俺のハウスですよ」
「証拠は?」
「ここを見て下さい。専用の証でちゃんと名前があるじゃないですか」

 兵士はハウスの専用の証をみると確かにショウと名前があった。これは手に入れた時に魔力を込めると、専用になる証拠である。仮に売る目的なら魔力を込めずオークションに出品する事になる。

「「ほ、本当だ・・・」」
「お主はダンジョンに潜れるのか?そういう風には見えぬのだが?」
「こう見えて俺は空間属性が使えるからな。まぁなるべく戦いたくはないけどね」

 そう言って、ショウは時空間倉庫を開きリンゴを一つ取り出した。それを見た兵士達はいきなり直立不動を取り頭を下げ謝罪をする。

「「申し訳ありませんでした!」」
「なんだよ急に。びっくりするじゃないか」
「まさか、空間魔導士様だとは・・・知らないとはいえ失礼しました」
「ああ・・・そうか、城門警備の兵士の人にも驚かれたんだった」
「本当に申し訳ありません。このハウスは貴方様の物です」

 兵士達は、自分達の立場が危ういと思い一気に掌を返し、頭をペコペコさげながらそそくさと持ち場に戻るのだった。
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