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第1章 レアスキルは偉大
20話 砦が完成した
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その頃、生産ギルドでは町の噂に顔を青くする人間がたくさんいた。
「おい!レジーナさんあの噂をきいたか?」
「ど、どうしましょう・・・私達、空間魔導士様に失礼な事を言ってしまった・・・」
「だ、だけどよう・・・俺達は間違った事は言ってないよな?」
「それは空間魔導士様の捉え方では・・・」
「あれから苦情は入ってないだろ?」
「入ってはいませんが・・・」
「なぁ、お前達も一緒になって笑ってただろ?」
「「「「「俺達は何も言ってないし・・・」」」」」
「逃げるのかよ!」
「だが、罵ったのはガンツだろ!」
「そ、そうですよ。私は丁寧に案内を!」
「き、きたねぇ!俺はオッサンがいや、魔導士様がスキルもねぇのにポーション製作をしたいというから教えてやっただけだぜ」
「だけどあの時、ガンツは上から目線だったよな?」
「違う!俺はオッ、魔導士様の年齢と師匠になる人間がいないと教えてやったんだ」
「そんなの魔導士様も最初から知ってて目指そうとしたんじゃねぇの!しらんけど」
「知らんならそんな不安になる事言うなよ!」
「どっちにしろ、魔導士様はあの冒険者ギルドのどうしょうもない土地を購入して居る場所はわかっているんだ。謝りに行った方がいいんじゃねぇ?」
「「うぐっ・・・」」
ギルドにいる職人に正論を言われて二の句がつげないレジーナとガンツだった。そして、もう一人ギルド内で震えていたのが商人ギルドの受付嬢だ。
そんな・・・あの人が魔導士様だったなんて・・・あたしは知らなかっただけなんだから・・・
自分に責任はないと思いたくて、下を向き俯いていた場所は資料室だ。ショウを商人ギルドから追い出した事は他の受付嬢がはっきり見ていたからだ。
そして、今回ショウの存在が町中に広がり、受付嬢がショウを追い出したとギルド上層部に伝わり、その受付嬢は受付業務を外され資料室に配置転換されてしまったのだ。
「あたしは、次から次に来る底辺商人の手続きをこなしていただけなのに・・・あのオッサンが魔導士様だなんて誰が気づくのよ・・・あたしは絶対悪くない・・・」
そう思っても後の祭りだ。後日、商人ギルドはショウにコンタクトを取り謝罪する時間を作ってもらっていたのだ。
そんな大変な事になっているとは思ってもいないショウはホムンクルスに土地の周りを警備してもらい、自分の土地を整地していた。
「ご主人様。これからどうするのですか?」
「システィナには、これからバリバリ働いてもらうから覚悟してくれよ」
「な、何をしたらよろしいのですか?」
「前にも言ったが、システィナの精霊眼で木の精霊と一緒に薬草の栽培をしてほしいんだよ」
「な、なるほど!」
システィナの肩に乗る木の精霊ドライアドも喜んでいるように見える。
「だけど、こんな場所で本当に薬草が育つのですか?」
「育つかどうかはお前達にかかっているんだよ」
「いえ・・・ドライアドがいるからそれは大丈夫ですよ。ほら、ドライアドも自信があると言ってます。そうではなく夜になったら絶対魔物が来ますよ。それこそ薬草はめちゃくちゃにされてもおかしくはありません」
「それは大丈夫だ。今からこの土地を盛土で囲むからな」
「だけど、人手が足りなくないですか?ホムンクルスさん達と私で8人です。何年かかるか・・・」
「何を馬鹿な事を!」
ショウは土地の端に行き、時空間倉庫に土地の土を収納する。すると、そこには3メートル四方深さ5メートルの大穴が出来る。
「おおぉ!」
「とうだ?これなら土地を大穴で囲む事は簡単だろ?」
「ご主人様凄いです!」
ショウは穴の横に新しい穴を連ねて掘っていく。そして、あっという間に、200メートル四方の土地を大穴で囲んでしまい、土地を堀を完成させてしまう。
「でもご主人様・・・さっき壁を作ると言ってませんでしたか?」
「これからが本番に決まっているだろ」
そして、ショウは先程掘った大穴の土を掘りの内側に高い盛土を作る。
「ご主人様凄い!これはマートンの町とまではいきませんが城壁と同じですよ」
ショウの作る盛土は高さ2メートルはあった。つまり、外から侵入すると、5メートルの大穴から2メートルの盛土を越えないといけない。これなら、大抵の魔物はショウの土地に入ってこれないとシスティナは確信したのだった。
「それで、申し訳ないんだがドライアドに盛土の上に木を植えて欲しいと伝えてくれるか?」
「盛土の上に木ですか?」
「盛土はただ盛っただけの土だ。当然城壁と違ってとっても脆いだろ?だから、木を植え根を張り巡らせて強固な盛土にしてほしいんだよ」
「な、なるほど!ドライアドお願いできる?」
ドライアドは盛土の上に木を生やす。その木はドンドン育ち盛土に根を張り巡らせる。また、その根っこは大穴の補強も担い、ちょっとやそっとでは崩れる代物ではなくなった。
「これは凄いな!ドライアドは何の木を植えたんだ?」
「大陸の中央に広がる魔の森の木だって」
「魔の森の木?」
「だけど、心配はいらないらしいです。魔の森の中央は魔素が濃いから硬い樹木だけど、この土地は魔素が薄いから普通の樹木だって言ってます。だけど、魔の森の樹木だから巨木で根も強固だから適任です」
「なるほどな。ドライアド本当にありがとな」
ショウはシスティナの肩に乗る木の精霊ドライアドににっこり微笑んで頭を優しく撫でた。ドライアドも最初の頃とは違い、ショウにも心をひらき撫でられ笑顔になった。
そして、南の一角にだけ盛土は作らず、私有地の出入り口を作る。出入り口にも掘りはあるが、魔の森の樹木がドライアドの魔力で木の根が橋を形どった。
「おお!木の根が橋になった。こいつは凄いな」
そして、その出入り口にはホムンクルスが、交代で警備兵とし警護する事に決まる。残るホムンクルスも盛土の内側を巡回して警備の余念はなかった。そして、ショウは出入り口にハウスを取り出し、前世での田舎のじいちゃんの家を建てるのだった。じいちゃんの家を建てると、ショウの思い描くスローライフがグッと近づく事になる。
「よーし!ここからが本番だ」
ショウは、家の裏側つまり縁側がある方に畑を作る。これからは鍬を使った手作業となる。これらの農作業道具は、最初の町ルーデンバッハの領地で購入した物ばかりだ。畑に畝を作るが、少し動いただけで腰にくる。ショウは腰をトントン叩き背を伸ばす。
「ご主人様大丈夫ですか?」
「やっぱ慣れないことはするもんじゃないな・・・農家さんの苦労がよくわかるよ・・・」
「ここに薬草を?」
「そうだな。とりあえずこの一角だけ耕そうと思うんだ」
「あの・・・ご主人様?」
「なんだ?」
「私思うんですが、大穴空けた時みたいには出来ないのでしょうか?」
「いや、出来るよ。だけどスローライフに憧れてやってみたんだ」
「・・・・・・はぁ、そうなんですね」
「でも、俺にはやっぱ無理だという事がわかったよ」
ショウは、時空間倉庫にその一角の土を収納し、畝を作るように収納した土を盛りながら戻していった。
あっという間にできた畑に、ドライアドは薬草を生やしていく。
「す、凄いな・・・あっという間に薬草畑になった」
「ドライアドが薬草を取っても、根を残さなくてもすぐ生やしてくれるって言ってます」
「あーそれはドライアドが疲れるだろ?だから、根は残して採取するから無理はさせないでくれ」
ショウがシスティナにそう伝えさせると、ドライアドは満面の笑みをみせてショウの肩に乗った。それを見たシスティナは驚くのだった。
「精霊がヒューマン族の肩に乗った・・・」
「そんな驚く事なのか?」
「当たり前ですよ!精霊が姿を見せなくなったのは、昔のヒューマン族の行いにあるんですから!」
「まぁ詳細は聞かないが、人間の欲望は果てしないからな。何となく想像ができるよ・・・」
「ご主人様はヒューマン族の中でも違いますね」
「馬鹿な事を。俺だって欲望は限りない人間だよ」
「嘘です。ご主人様は優しく立派な方ですよ!」
「そりゃ。お前達家族にはむちゃはさせないさ。だが、俺だってやりたい事には貪欲だし、やりたくない事は今回は断わっていくつもりだ」
「ご主人様」
「だから、俺はギルドに一歩も引かなかっただろ?強制依頼なんてとんでもないからな。自分のやりたい事が出来なくなっちまう!」
「ご主人様のやりたい事って農業なんですか?」
「違う!ポーション製作だ」
「あっ・・・そうですよね」
「そんな大事な事忘れんな!」
システィナはショウに怒られ舌を出す。そんなシスティナを見てドライアドは笑っていた。
そんな時、冒険者達が森の調査から帰って来たのだろう。森の外に異様な城壁が出来ていたのに気づき騒いでいた。
「なんだこれは!?」
「森の外にいつの間にこんなものが?」
「森の異常はなかったのに、森の外にこんなものが?」
ショウの私有地の外で冒険者達が騒いでいて、出入り口でホムンクルスが冒険者達に威圧を向けていた。その威圧に冒険者達は出入り口に近づけないでいた。
【ご主人様。入り口の外で冒険者達が騒いでいます。攻撃を仕掛けてもよろしいでしょうか?】
「わぁー止めろ!攻撃を仕掛けたら駄目だ」
ショウは慌てて、縁側を乗り越え玄関にまわる。すると、ホムンクルスと睨み合う冒険者達が大樹の根で出来た橋の上で固まっていた。
「ストップストップ!両者剣を収めてくれ」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「貴方は空間魔導士様?」
調査に向かっていた冒険者達は、ショウの顔を見て困惑気味に剣を収めた。それを見たホムンクルスも武器を収める。
「なんで魔導士様が?」
「ここは俺の土地だからな。冒険者の君達なら知っているだろ?ここはギルドの浮いた土地だったはずだと」
「「「「「「あっ・・・」」」」」」
「でも、ここは俺達が調査に向かった時はただの何もないだだっ広い土地だったはずだと・・・」
「だから、俺が開拓したんだよ」
「「「「「「嘘だろ?・・・」」」」」」
「三日前は何もなかったはずなのに・・・」
「まぁ、俺にかかればわけない事なんだよ。それより、ここは俺の土地だから問題はないよ」
「いやいや!問題だらけですよ!こんな所に・・・いや、問題はないのか」
「当然だろ。私有地に何をしようがそちらに害があるばかりか、ここはマートンの町にとって有益な砦になるんだぜ」
「ど、どういう事ですか?」
調査団のリーダーが慌てて聞き直す。ショウは自信満々でリーダーに説明をした。
「いいか?今回この森にブルーオーガが出現した事で異常事態になり貴方達が調査をしたんだろ?」
「「「「「「そうです」」」」」」
「マートンの町の目と鼻の先にブルーオーガなんか出たら町に多大な被害が出てもおかしくはないからな」
「しかしだ。この場所に空間魔導士の砦が出来たとなれば、マートンの町はどうだ?」
「「「「「「あっ!」」」」」」
「状況がわかったか?仮にこの先のダンジョンが溢れたとしても、この場所がマートンの町の防波堤になるのは間違いないだろうな」
「な、なるほど!マートンの町にとってこれほど安心できる材料はないという事か!」
「そういう事だ。ここは何も問題はないから早く調査報告をギルドにしてきたらどうだ?」
「わかりました。魔導士様の砦にマートンの町の安心をいただき感謝します」
そう言って、調査団の冒険者達はマートンの町に帰っていくのだった。
「おい!レジーナさんあの噂をきいたか?」
「ど、どうしましょう・・・私達、空間魔導士様に失礼な事を言ってしまった・・・」
「だ、だけどよう・・・俺達は間違った事は言ってないよな?」
「それは空間魔導士様の捉え方では・・・」
「あれから苦情は入ってないだろ?」
「入ってはいませんが・・・」
「なぁ、お前達も一緒になって笑ってただろ?」
「「「「「俺達は何も言ってないし・・・」」」」」
「逃げるのかよ!」
「だが、罵ったのはガンツだろ!」
「そ、そうですよ。私は丁寧に案内を!」
「き、きたねぇ!俺はオッサンがいや、魔導士様がスキルもねぇのにポーション製作をしたいというから教えてやっただけだぜ」
「だけどあの時、ガンツは上から目線だったよな?」
「違う!俺はオッ、魔導士様の年齢と師匠になる人間がいないと教えてやったんだ」
「そんなの魔導士様も最初から知ってて目指そうとしたんじゃねぇの!しらんけど」
「知らんならそんな不安になる事言うなよ!」
「どっちにしろ、魔導士様はあの冒険者ギルドのどうしょうもない土地を購入して居る場所はわかっているんだ。謝りに行った方がいいんじゃねぇ?」
「「うぐっ・・・」」
ギルドにいる職人に正論を言われて二の句がつげないレジーナとガンツだった。そして、もう一人ギルド内で震えていたのが商人ギルドの受付嬢だ。
そんな・・・あの人が魔導士様だったなんて・・・あたしは知らなかっただけなんだから・・・
自分に責任はないと思いたくて、下を向き俯いていた場所は資料室だ。ショウを商人ギルドから追い出した事は他の受付嬢がはっきり見ていたからだ。
そして、今回ショウの存在が町中に広がり、受付嬢がショウを追い出したとギルド上層部に伝わり、その受付嬢は受付業務を外され資料室に配置転換されてしまったのだ。
「あたしは、次から次に来る底辺商人の手続きをこなしていただけなのに・・・あのオッサンが魔導士様だなんて誰が気づくのよ・・・あたしは絶対悪くない・・・」
そう思っても後の祭りだ。後日、商人ギルドはショウにコンタクトを取り謝罪する時間を作ってもらっていたのだ。
そんな大変な事になっているとは思ってもいないショウはホムンクルスに土地の周りを警備してもらい、自分の土地を整地していた。
「ご主人様。これからどうするのですか?」
「システィナには、これからバリバリ働いてもらうから覚悟してくれよ」
「な、何をしたらよろしいのですか?」
「前にも言ったが、システィナの精霊眼で木の精霊と一緒に薬草の栽培をしてほしいんだよ」
「な、なるほど!」
システィナの肩に乗る木の精霊ドライアドも喜んでいるように見える。
「だけど、こんな場所で本当に薬草が育つのですか?」
「育つかどうかはお前達にかかっているんだよ」
「いえ・・・ドライアドがいるからそれは大丈夫ですよ。ほら、ドライアドも自信があると言ってます。そうではなく夜になったら絶対魔物が来ますよ。それこそ薬草はめちゃくちゃにされてもおかしくはありません」
「それは大丈夫だ。今からこの土地を盛土で囲むからな」
「だけど、人手が足りなくないですか?ホムンクルスさん達と私で8人です。何年かかるか・・・」
「何を馬鹿な事を!」
ショウは土地の端に行き、時空間倉庫に土地の土を収納する。すると、そこには3メートル四方深さ5メートルの大穴が出来る。
「おおぉ!」
「とうだ?これなら土地を大穴で囲む事は簡単だろ?」
「ご主人様凄いです!」
ショウは穴の横に新しい穴を連ねて掘っていく。そして、あっという間に、200メートル四方の土地を大穴で囲んでしまい、土地を堀を完成させてしまう。
「でもご主人様・・・さっき壁を作ると言ってませんでしたか?」
「これからが本番に決まっているだろ」
そして、ショウは先程掘った大穴の土を掘りの内側に高い盛土を作る。
「ご主人様凄い!これはマートンの町とまではいきませんが城壁と同じですよ」
ショウの作る盛土は高さ2メートルはあった。つまり、外から侵入すると、5メートルの大穴から2メートルの盛土を越えないといけない。これなら、大抵の魔物はショウの土地に入ってこれないとシスティナは確信したのだった。
「それで、申し訳ないんだがドライアドに盛土の上に木を植えて欲しいと伝えてくれるか?」
「盛土の上に木ですか?」
「盛土はただ盛っただけの土だ。当然城壁と違ってとっても脆いだろ?だから、木を植え根を張り巡らせて強固な盛土にしてほしいんだよ」
「な、なるほど!ドライアドお願いできる?」
ドライアドは盛土の上に木を生やす。その木はドンドン育ち盛土に根を張り巡らせる。また、その根っこは大穴の補強も担い、ちょっとやそっとでは崩れる代物ではなくなった。
「これは凄いな!ドライアドは何の木を植えたんだ?」
「大陸の中央に広がる魔の森の木だって」
「魔の森の木?」
「だけど、心配はいらないらしいです。魔の森の中央は魔素が濃いから硬い樹木だけど、この土地は魔素が薄いから普通の樹木だって言ってます。だけど、魔の森の樹木だから巨木で根も強固だから適任です」
「なるほどな。ドライアド本当にありがとな」
ショウはシスティナの肩に乗る木の精霊ドライアドににっこり微笑んで頭を優しく撫でた。ドライアドも最初の頃とは違い、ショウにも心をひらき撫でられ笑顔になった。
そして、南の一角にだけ盛土は作らず、私有地の出入り口を作る。出入り口にも掘りはあるが、魔の森の樹木がドライアドの魔力で木の根が橋を形どった。
「おお!木の根が橋になった。こいつは凄いな」
そして、その出入り口にはホムンクルスが、交代で警備兵とし警護する事に決まる。残るホムンクルスも盛土の内側を巡回して警備の余念はなかった。そして、ショウは出入り口にハウスを取り出し、前世での田舎のじいちゃんの家を建てるのだった。じいちゃんの家を建てると、ショウの思い描くスローライフがグッと近づく事になる。
「よーし!ここからが本番だ」
ショウは、家の裏側つまり縁側がある方に畑を作る。これからは鍬を使った手作業となる。これらの農作業道具は、最初の町ルーデンバッハの領地で購入した物ばかりだ。畑に畝を作るが、少し動いただけで腰にくる。ショウは腰をトントン叩き背を伸ばす。
「ご主人様大丈夫ですか?」
「やっぱ慣れないことはするもんじゃないな・・・農家さんの苦労がよくわかるよ・・・」
「ここに薬草を?」
「そうだな。とりあえずこの一角だけ耕そうと思うんだ」
「あの・・・ご主人様?」
「なんだ?」
「私思うんですが、大穴空けた時みたいには出来ないのでしょうか?」
「いや、出来るよ。だけどスローライフに憧れてやってみたんだ」
「・・・・・・はぁ、そうなんですね」
「でも、俺にはやっぱ無理だという事がわかったよ」
ショウは、時空間倉庫にその一角の土を収納し、畝を作るように収納した土を盛りながら戻していった。
あっという間にできた畑に、ドライアドは薬草を生やしていく。
「す、凄いな・・・あっという間に薬草畑になった」
「ドライアドが薬草を取っても、根を残さなくてもすぐ生やしてくれるって言ってます」
「あーそれはドライアドが疲れるだろ?だから、根は残して採取するから無理はさせないでくれ」
ショウがシスティナにそう伝えさせると、ドライアドは満面の笑みをみせてショウの肩に乗った。それを見たシスティナは驚くのだった。
「精霊がヒューマン族の肩に乗った・・・」
「そんな驚く事なのか?」
「当たり前ですよ!精霊が姿を見せなくなったのは、昔のヒューマン族の行いにあるんですから!」
「まぁ詳細は聞かないが、人間の欲望は果てしないからな。何となく想像ができるよ・・・」
「ご主人様はヒューマン族の中でも違いますね」
「馬鹿な事を。俺だって欲望は限りない人間だよ」
「嘘です。ご主人様は優しく立派な方ですよ!」
「そりゃ。お前達家族にはむちゃはさせないさ。だが、俺だってやりたい事には貪欲だし、やりたくない事は今回は断わっていくつもりだ」
「ご主人様」
「だから、俺はギルドに一歩も引かなかっただろ?強制依頼なんてとんでもないからな。自分のやりたい事が出来なくなっちまう!」
「ご主人様のやりたい事って農業なんですか?」
「違う!ポーション製作だ」
「あっ・・・そうですよね」
「そんな大事な事忘れんな!」
システィナはショウに怒られ舌を出す。そんなシスティナを見てドライアドは笑っていた。
そんな時、冒険者達が森の調査から帰って来たのだろう。森の外に異様な城壁が出来ていたのに気づき騒いでいた。
「なんだこれは!?」
「森の外にいつの間にこんなものが?」
「森の異常はなかったのに、森の外にこんなものが?」
ショウの私有地の外で冒険者達が騒いでいて、出入り口でホムンクルスが冒険者達に威圧を向けていた。その威圧に冒険者達は出入り口に近づけないでいた。
【ご主人様。入り口の外で冒険者達が騒いでいます。攻撃を仕掛けてもよろしいでしょうか?】
「わぁー止めろ!攻撃を仕掛けたら駄目だ」
ショウは慌てて、縁側を乗り越え玄関にまわる。すると、ホムンクルスと睨み合う冒険者達が大樹の根で出来た橋の上で固まっていた。
「ストップストップ!両者剣を収めてくれ」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「貴方は空間魔導士様?」
調査に向かっていた冒険者達は、ショウの顔を見て困惑気味に剣を収めた。それを見たホムンクルスも武器を収める。
「なんで魔導士様が?」
「ここは俺の土地だからな。冒険者の君達なら知っているだろ?ここはギルドの浮いた土地だったはずだと」
「「「「「「あっ・・・」」」」」」
「でも、ここは俺達が調査に向かった時はただの何もないだだっ広い土地だったはずだと・・・」
「だから、俺が開拓したんだよ」
「「「「「「嘘だろ?・・・」」」」」」
「三日前は何もなかったはずなのに・・・」
「まぁ、俺にかかればわけない事なんだよ。それより、ここは俺の土地だから問題はないよ」
「いやいや!問題だらけですよ!こんな所に・・・いや、問題はないのか」
「当然だろ。私有地に何をしようがそちらに害があるばかりか、ここはマートンの町にとって有益な砦になるんだぜ」
「ど、どういう事ですか?」
調査団のリーダーが慌てて聞き直す。ショウは自信満々でリーダーに説明をした。
「いいか?今回この森にブルーオーガが出現した事で異常事態になり貴方達が調査をしたんだろ?」
「「「「「「そうです」」」」」」
「マートンの町の目と鼻の先にブルーオーガなんか出たら町に多大な被害が出てもおかしくはないからな」
「しかしだ。この場所に空間魔導士の砦が出来たとなれば、マートンの町はどうだ?」
「「「「「「あっ!」」」」」」
「状況がわかったか?仮にこの先のダンジョンが溢れたとしても、この場所がマートンの町の防波堤になるのは間違いないだろうな」
「な、なるほど!マートンの町にとってこれほど安心できる材料はないという事か!」
「そういう事だ。ここは何も問題はないから早く調査報告をギルドにしてきたらどうだ?」
「わかりました。魔導士様の砦にマートンの町の安心をいただき感謝します」
そう言って、調査団の冒険者達はマートンの町に帰っていくのだった。
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