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第1章 レアスキルは偉大
22話 ギルドマスターからおさそいがあったよ
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ショウとシスティナが、ポーション製作をしている時にいきなりホムンクルスから話し掛けられる。
【ご主人様、今よろしいでしょうか?】
「かまわないよ。何かあったか?」
【よければ玄関に来ていただけますか?商人ギルドの方々がお見えになっています】
「わかった今すぐ行くよ」
【わかりました】
ショウが玄関から出るとそこには、商人ギルドの上層部とわかる人物と問題の受付嬢の女性と、数人の護衛が立っていた。
「この度は受付嬢のアリサが大変失礼な事をしたようで大変申し訳ありませんでした。ほら、お前も頭を下げないか!」
「も、申し訳ありませんでした・・・」
「これはつまらない物ですが納めください」
アリサとその上司であろう女性は受付業務を管理する人なのだろう。手土産をすぐに差し出した。
「今回の件でギルドは反省し、このアリサは受付嬢を外し、今後外務に携わる業務はさせないことになりました。そして教育指導は徹底に見直しをさせていただき、今後こういった事はないようにいたしますのでどうかお許しください」
「ちょっと聞きたいんだが、処分はそれだけなのかい?」
「はっ?あっ・・・不満ならばアリサは商人ギルドを懲戒解雇にする準備を」
「なっ・・・ベラ部長!それはいくらなんでも」
「貴方は黙ってなさい!魔導士様に何をやったかもう忘れたの!」
「うっ・・・ううっ・・・」
「おいおい・・・ベラさんと言ったな?」
「は、はい・・・」
「そうじゃないだろ?俺はあんたの処分を聞いているんだ」
「な、なんで私が・・・」
ショウの言葉にベラは困惑し、アリサはボカンと呆けていた。しかし、ショウは更に続ける。
「あんたの監督不足だから、今回のような不祥事が起きたからだよ。あんたは知っていたか?今まで何人の人間がアリサさんによって蔑ろにされたのか」
「だから、商人ギルドは今回の事を重く見て、アリサの処分を資料室に・・・」
「あんた達は何もわかっていない!今回謝罪にきたのは俺が魔導士だったからだろ?そうじゃないだろ?ギルドが重く見たなら、俺みたいに追い出された人間に謝罪をしたのか?」
「そ、それは・・・」
「ベラさん。あんたはそのアリサの上司なんだろ?」
「そ、そうです。だからアリサを資料室に・・・ですがそれで不十分なら解雇に!」
ショウはベラの意見を聞いてため息をする。
「ふぅ・・・だから組織はでかくなると下の人間は何も言えなくなるんだ・・・」
「それは当たり前の事で!」
「違うな!あんたのやってる事はトカゲの尻尾切りだよ。部下の不祥事を庇わず、それだけで済まし嫌な事は蓋をするだけだ。時間が経てばそんな事は忘れてまた同じ事を繰り返すんだ」
「そんな事は!私共は今回の事を・・・」
「ならなぜ上司のあんたは、部下のアリサだけに罪を全部被せるんだ。あんたはアリサのやってる事をみて見ぬふりをしてたんだろ?」
「そんな事は!」
「アリサさんが俺に言った事は覚えてるよ。確か上からの指示で無駄は省けだったか?それはあんたの指示だったんだろう?」
ショウの言葉に、ベラはアリサを睨みつける。
「おいおいベラさんや。そんなに睨みつけたら本性がばれるだろ?俺に謝罪するならあんたの不祥事の方が大きいと思うんだがどう思う?」
「ぐっ・・・」
ベラはショウの言葉に奥歯を噛み締め何も言わない。そして、ベラは下を向き出直して参りますと言い残して、アリサを残して帰っていくのだった。
「本当にごめんなさい・・・私が悪かったです」
「アリサさんもういいよ。あんたも上に言われてやってただけなをだろ?」
「はい・・・」
「ただ、言われてやってたがそれが当たり前になって勘違いしたのは不味かったな。俺のような力を持った人間がいるのを忘れた結果だ。いい勉強になっただろ?」
「はい・・・本当に申し訳ありませんでした」
アリサはショウの言葉に何も言えず頭を下げ、上司のベラの後を追って帰っていくのだった。
そして、それから数日が経ちショウは冒険者ギルドに顔を出す。すると、奥からシャーロットが慌ててショウに駆け寄ってきた。
「ショウ様、少しよろしいですか?」
「えっ、嫌なんですけど・・・」
「何でですか!」
「どうせ俺の家の事ですよね?」
「そうですよ!」
「だったら、聞いても無駄ですよ。俺は中の事は話すつもりはないですからね」
「うぐっ・・・」
「それよりも冒険者ギルドとしては俺の家が出来て評判がいいんじゃないんですか?」
「そうですよ。だからこそ聞きたいんじゃないですか」
「なんでだよ?ギルドの功績で町には防波堤ができたくらいでいいだろ?」
「それはそうですけど・・・聞いてくる住人達に説明が出来ないんですよ」
「そういうのは放って置いたらいいんじゃ・・・有事の際、そんな人は避難するだけで関係ないでしょ?ただの野次馬じゃないですか?」
「それはそうですが・・・住人達もどういう事知りたいんですよ。当然私達ギルドもですが」
「俺の戦力はブルーオーガを瞬殺できて、俺の護衛の戦士は覚えていますか?」
「はい」
「あの女性はオーガ4体にも引けは取りません。ガイルさんもだいたいの強さのイメージがついているんじゃないですか?」
「うぐっ・・・」
「どうしても気になる人にはそれを説明してあげればいいんですよ」
「ですが。ショウ様の土地を警備している護衛の仮面の女性は何人もいますよね?今までどこに?」
「それは内緒だ。自分のアドバンテージをべらべら喋るつもりはないよ」
「そんな・・・」
「ギルドは所属する全ての冒険者のアドバンテージやスキルを公開しろと強制しているのか?」
「してません・・・」
「だろ?個人情報の保護だったよな」
「ううっ・・・」
「だったら、今ある俺の情報で我慢しなよ」
「わかりましたよ・・・」
「じゃあ、俺は依頼を受けに来ただけだから失礼します」
ショウは依頼書を選びに掲示板に向かう。シャーロットはそれを恨めしそうに見つめるしかなかった。そして、ショウは薬草採取の依頼書を手に取りカウンターに並び、ショウの番になると、すぐさまシャーロットがカウンターに入ったのだった。
「あんたもしつこいねぇ・・・」
「何とでもおっしゃって下さい」
「それでなにが聞きたいんだよ」
「ここではなんですから奥の部屋に来てください」
ショウが連れて行かれたのは、想像通りギルドマスターの部屋だった。
「やっぱ、ギルドマスターが出てきたか・・・」
「そう腐らないで下さい。はじめましてショウ殿。私が冒険者ギルドマスターのベックです」
そこには、筋肉隆々のスキンヘッドの男性が椅子に座っていた。あまりのテンプレ展開に頭を抱えるショウだった。
「それでなにが聞きたいんだよ?」
「まぁそう怒らないでください。私共は、ショウ殿がどれほどの力を持っているのか知っておきたいだけなんですよ」
「・・・・・・・・・」
「俺はギルドと馴れ合いをするつもりはないよ」
「なっ・・・しかし、ショウ殿もギルドから依頼を受けに来なければ生活が出来ないでしょ?」
「シャーロットさんのいう事はわかるが、俺と冒険者ギルドの関係はそれだけだよ」
「そんな事は!」
「シャーロット少し黙ってなさい」
「す、すいません・・・」
「まぁなんだ・・・ギルドとしてはショウ殿がもう少しギルドに寄り添って欲しいんですよ」
「それが本音だな」
「ええ。ショウ殿の戦力は有事の際どれほどの力になるか。言わなくてもわかりますからね」
「まぁギルドの考えは俺としてもわかるよ。ただ、俺は魔物を狩って生計を立てたい訳じゃないんだよ」
「はぁあ?魔導士様が戦わない選択をするのですか?」
「シャーロットさんにも言ったと思うが、空間属性魔法はアイテムボックスとしての価値しかないと思ってる」
「・・・・・・・・・・・・」
ショウの意見に、ギルドマスターのベックは呆れた様子で口を開けたまま停止してしまった。
「要は俺としては生産ギルドに所属しようとしてたんだが、年齢がとりすぎてるという理由で断られただけなんだ」
「だったら、なおさら冒険者としてランクをあげれば、ショウ殿は財産を築けるかと!」
「だから言ってるだろ?俺は戦闘で生計を立てたい訳じゃないんだよ」
「じゃあ、ショウ殿はランクを上げず雑用を生業にするつもりですか?」
「なんで俺が雑用ばかりすると決めつけるんだ?」
「しかし!」
「ホント組織の人間は考え方がマニュアル通りだから厄介なんだ。俺はギルドと馴れ合いはしないと言ったはずだ」
「しかし、冒険者は依頼をこなしてナンボだろ?」
「違うね。冒険者ギルドは利用してナンボだろ?」
「馬鹿な!」
「いいか?冒険者はあんた達に反論したら仕事を干されると思い込まされてるだけだ」
「我々はそんな事はしない!」
「そうだね。本当にしてたら問題だ!しかし、冒険者達はギルドの依頼をこなさないと冒険者の意思なしとされ登録を抹消されるんだろ?」
「それは当然だろ。やる気のない冒険者にギルドの恩恵を」
「そうその考え方が圧力になっているんだよ。ギルドは冒険者がいないと回らないと感謝するべきなんだ」
「馬鹿な!」
「当然冒険者もギルドがないと依頼が無くなり金が稼げないから感謝するべきなんだかな」
「そうだな。それが本来あるべき姿だ!」
「つまりだ。俺は依頼なくてもギルドがこうしてランクを上げてほしいとすり寄ってくる存在だって事はだな・・・」
「「あっ・・・」」
「二人ともわかったようだな?」
二人の表情を見て、ショウはニヤリと笑う。
「冒険者ギルドが、今まで冒険者にしていたように俺がギルドを利用してもいいという事だ」
「そんな!」
「シャーロットさんが慌てるのも判るがこれは覆らない事実だよ。だけど、さっきも言った通り俺はギルドを利用し生計を立てると言ったが、ギルドに損をさせるつもりはないからな」
「どういう事だ?」
「俺は生産ギルドに所属したいと言ったよな。まずはこれを見てほしい」
ショウはテーブルの上にポーションを置いた。ベックとシャーロットはそのポーションの色を見て驚いた。
「「こ、これは!」」
「こんな濁ってないポーションは見た事ない!」
「俺は冒険者ギルドにこのポーションを買い取ってもらい生計を立てたいと思っているんだよ」
「だが、このポーションは高価すぎますよ」
シャーロットはすぐさまポーションの価値に気づく。そして、鑑定の魔導具でポーションを見る。
「高すぎる?俺はそんなぼったくりをするつもりはないぞ」
「なんでノーマル品質のポーションなのに固定回復が10もあるんですか?」
「な、なんだと!?それは本当か?高品質より高い回復ポーションじゃないか!」
「そんなポーションホイホイ使えないわよ。1個1200ゴルドでも安いぐらいだわ」
平民の夫婦と子供で一ヶ月1万ゴルドで生活できるのに、ポーション1個1200ゴルドはホイホイ使える額ではないのだ。
「しかし、冒険者は命あってのものだろ?」
「だが・・・」
「だから、俺はこのポーションを600ゴルドで買い取ってもらいたいんだよ」
「「はぁあ!?」」
「ギルドは原価ギリギリで冒険者に販売する。それが条件なんたがいいか?」
「このポーションを600?」
「本当に言っているのか?」
「俺はギルドを利用して稼がせてもらう。ギルドは俺を利用したらいいんだよ。持ちつ持たれつの仲だ」
「なにが利用したらいいんだよだ。得になるのはショウ殿だけではないか。原価ギリギリならギルドの人件費で儲けは出ない!」
「いえ・・・ギルドマスター。それは違います」
「シャーロット何が違うんだ」
「商人ギルドのポーションを買い取っていますが年々高騰しているんですよ」
「さすがはシャーロットさんだね。俺の意図する所がわかったようだね」
「このポーションを原価ギリギリで売れば、商人ギルドから仕入れているポーションは売れなくなります」
「あっそういう事か」
「つまり、銭ゲバのあいつらはポーションを適正価格に落とさなきゃならないんだよ。確かにPOT錬成師は少ないが、命張っているのは冒険者だ。ギルドは冒険者を護ってなんぼだろ?」
「確かにこれなら、ギルドの出費は減り儲けがでる」
「俺はギルドと馴れ合いはしないから欲は出すなよ」
「どういう事だ?」
「俺の私有地の場所は何処にある?それがヒントだ」
「「あっ・・・」」
それを聞いたベックとシャーロットは顔を真っ青にする。ショウの土地はマートンの町と冒険者が向かうダンジョンの途中にある。つまり、このポーションを街頭販売をされれば、冒険者ギルドのポーションは全く売れなくなってしまうのだ。それに、ショウのスキルを把握出来ないギルドは、何をされるか全く予想がつかないのだ。仮にショウが、このポーションより効果の高い物を製作できた場合、金を持つベテラン冒険者は、ハイポーションやグレーターポーションを買わなくなるのは目にみえていたのだ。
「ま、まさかショウ殿はハイポーションやグレーターポーションも?」
「さあな?それは飯の種なんで想像に任せるよ」
それを聞いた二人は笑顔を引きつらせ、顔が真っ青から真っ白になって生気がなくなったのだった。
【ご主人様、今よろしいでしょうか?】
「かまわないよ。何かあったか?」
【よければ玄関に来ていただけますか?商人ギルドの方々がお見えになっています】
「わかった今すぐ行くよ」
【わかりました】
ショウが玄関から出るとそこには、商人ギルドの上層部とわかる人物と問題の受付嬢の女性と、数人の護衛が立っていた。
「この度は受付嬢のアリサが大変失礼な事をしたようで大変申し訳ありませんでした。ほら、お前も頭を下げないか!」
「も、申し訳ありませんでした・・・」
「これはつまらない物ですが納めください」
アリサとその上司であろう女性は受付業務を管理する人なのだろう。手土産をすぐに差し出した。
「今回の件でギルドは反省し、このアリサは受付嬢を外し、今後外務に携わる業務はさせないことになりました。そして教育指導は徹底に見直しをさせていただき、今後こういった事はないようにいたしますのでどうかお許しください」
「ちょっと聞きたいんだが、処分はそれだけなのかい?」
「はっ?あっ・・・不満ならばアリサは商人ギルドを懲戒解雇にする準備を」
「なっ・・・ベラ部長!それはいくらなんでも」
「貴方は黙ってなさい!魔導士様に何をやったかもう忘れたの!」
「うっ・・・ううっ・・・」
「おいおい・・・ベラさんと言ったな?」
「は、はい・・・」
「そうじゃないだろ?俺はあんたの処分を聞いているんだ」
「な、なんで私が・・・」
ショウの言葉にベラは困惑し、アリサはボカンと呆けていた。しかし、ショウは更に続ける。
「あんたの監督不足だから、今回のような不祥事が起きたからだよ。あんたは知っていたか?今まで何人の人間がアリサさんによって蔑ろにされたのか」
「だから、商人ギルドは今回の事を重く見て、アリサの処分を資料室に・・・」
「あんた達は何もわかっていない!今回謝罪にきたのは俺が魔導士だったからだろ?そうじゃないだろ?ギルドが重く見たなら、俺みたいに追い出された人間に謝罪をしたのか?」
「そ、それは・・・」
「ベラさん。あんたはそのアリサの上司なんだろ?」
「そ、そうです。だからアリサを資料室に・・・ですがそれで不十分なら解雇に!」
ショウはベラの意見を聞いてため息をする。
「ふぅ・・・だから組織はでかくなると下の人間は何も言えなくなるんだ・・・」
「それは当たり前の事で!」
「違うな!あんたのやってる事はトカゲの尻尾切りだよ。部下の不祥事を庇わず、それだけで済まし嫌な事は蓋をするだけだ。時間が経てばそんな事は忘れてまた同じ事を繰り返すんだ」
「そんな事は!私共は今回の事を・・・」
「ならなぜ上司のあんたは、部下のアリサだけに罪を全部被せるんだ。あんたはアリサのやってる事をみて見ぬふりをしてたんだろ?」
「そんな事は!」
「アリサさんが俺に言った事は覚えてるよ。確か上からの指示で無駄は省けだったか?それはあんたの指示だったんだろう?」
ショウの言葉に、ベラはアリサを睨みつける。
「おいおいベラさんや。そんなに睨みつけたら本性がばれるだろ?俺に謝罪するならあんたの不祥事の方が大きいと思うんだがどう思う?」
「ぐっ・・・」
ベラはショウの言葉に奥歯を噛み締め何も言わない。そして、ベラは下を向き出直して参りますと言い残して、アリサを残して帰っていくのだった。
「本当にごめんなさい・・・私が悪かったです」
「アリサさんもういいよ。あんたも上に言われてやってただけなをだろ?」
「はい・・・」
「ただ、言われてやってたがそれが当たり前になって勘違いしたのは不味かったな。俺のような力を持った人間がいるのを忘れた結果だ。いい勉強になっただろ?」
「はい・・・本当に申し訳ありませんでした」
アリサはショウの言葉に何も言えず頭を下げ、上司のベラの後を追って帰っていくのだった。
そして、それから数日が経ちショウは冒険者ギルドに顔を出す。すると、奥からシャーロットが慌ててショウに駆け寄ってきた。
「ショウ様、少しよろしいですか?」
「えっ、嫌なんですけど・・・」
「何でですか!」
「どうせ俺の家の事ですよね?」
「そうですよ!」
「だったら、聞いても無駄ですよ。俺は中の事は話すつもりはないですからね」
「うぐっ・・・」
「それよりも冒険者ギルドとしては俺の家が出来て評判がいいんじゃないんですか?」
「そうですよ。だからこそ聞きたいんじゃないですか」
「なんでだよ?ギルドの功績で町には防波堤ができたくらいでいいだろ?」
「それはそうですけど・・・聞いてくる住人達に説明が出来ないんですよ」
「そういうのは放って置いたらいいんじゃ・・・有事の際、そんな人は避難するだけで関係ないでしょ?ただの野次馬じゃないですか?」
「それはそうですが・・・住人達もどういう事知りたいんですよ。当然私達ギルドもですが」
「俺の戦力はブルーオーガを瞬殺できて、俺の護衛の戦士は覚えていますか?」
「はい」
「あの女性はオーガ4体にも引けは取りません。ガイルさんもだいたいの強さのイメージがついているんじゃないですか?」
「うぐっ・・・」
「どうしても気になる人にはそれを説明してあげればいいんですよ」
「ですが。ショウ様の土地を警備している護衛の仮面の女性は何人もいますよね?今までどこに?」
「それは内緒だ。自分のアドバンテージをべらべら喋るつもりはないよ」
「そんな・・・」
「ギルドは所属する全ての冒険者のアドバンテージやスキルを公開しろと強制しているのか?」
「してません・・・」
「だろ?個人情報の保護だったよな」
「ううっ・・・」
「だったら、今ある俺の情報で我慢しなよ」
「わかりましたよ・・・」
「じゃあ、俺は依頼を受けに来ただけだから失礼します」
ショウは依頼書を選びに掲示板に向かう。シャーロットはそれを恨めしそうに見つめるしかなかった。そして、ショウは薬草採取の依頼書を手に取りカウンターに並び、ショウの番になると、すぐさまシャーロットがカウンターに入ったのだった。
「あんたもしつこいねぇ・・・」
「何とでもおっしゃって下さい」
「それでなにが聞きたいんだよ」
「ここではなんですから奥の部屋に来てください」
ショウが連れて行かれたのは、想像通りギルドマスターの部屋だった。
「やっぱ、ギルドマスターが出てきたか・・・」
「そう腐らないで下さい。はじめましてショウ殿。私が冒険者ギルドマスターのベックです」
そこには、筋肉隆々のスキンヘッドの男性が椅子に座っていた。あまりのテンプレ展開に頭を抱えるショウだった。
「それでなにが聞きたいんだよ?」
「まぁそう怒らないでください。私共は、ショウ殿がどれほどの力を持っているのか知っておきたいだけなんですよ」
「・・・・・・・・・」
「俺はギルドと馴れ合いをするつもりはないよ」
「なっ・・・しかし、ショウ殿もギルドから依頼を受けに来なければ生活が出来ないでしょ?」
「シャーロットさんのいう事はわかるが、俺と冒険者ギルドの関係はそれだけだよ」
「そんな事は!」
「シャーロット少し黙ってなさい」
「す、すいません・・・」
「まぁなんだ・・・ギルドとしてはショウ殿がもう少しギルドに寄り添って欲しいんですよ」
「それが本音だな」
「ええ。ショウ殿の戦力は有事の際どれほどの力になるか。言わなくてもわかりますからね」
「まぁギルドの考えは俺としてもわかるよ。ただ、俺は魔物を狩って生計を立てたい訳じゃないんだよ」
「はぁあ?魔導士様が戦わない選択をするのですか?」
「シャーロットさんにも言ったと思うが、空間属性魔法はアイテムボックスとしての価値しかないと思ってる」
「・・・・・・・・・・・・」
ショウの意見に、ギルドマスターのベックは呆れた様子で口を開けたまま停止してしまった。
「要は俺としては生産ギルドに所属しようとしてたんだが、年齢がとりすぎてるという理由で断られただけなんだ」
「だったら、なおさら冒険者としてランクをあげれば、ショウ殿は財産を築けるかと!」
「だから言ってるだろ?俺は戦闘で生計を立てたい訳じゃないんだよ」
「じゃあ、ショウ殿はランクを上げず雑用を生業にするつもりですか?」
「なんで俺が雑用ばかりすると決めつけるんだ?」
「しかし!」
「ホント組織の人間は考え方がマニュアル通りだから厄介なんだ。俺はギルドと馴れ合いはしないと言ったはずだ」
「しかし、冒険者は依頼をこなしてナンボだろ?」
「違うね。冒険者ギルドは利用してナンボだろ?」
「馬鹿な!」
「いいか?冒険者はあんた達に反論したら仕事を干されると思い込まされてるだけだ」
「我々はそんな事はしない!」
「そうだね。本当にしてたら問題だ!しかし、冒険者達はギルドの依頼をこなさないと冒険者の意思なしとされ登録を抹消されるんだろ?」
「それは当然だろ。やる気のない冒険者にギルドの恩恵を」
「そうその考え方が圧力になっているんだよ。ギルドは冒険者がいないと回らないと感謝するべきなんだ」
「馬鹿な!」
「当然冒険者もギルドがないと依頼が無くなり金が稼げないから感謝するべきなんだかな」
「そうだな。それが本来あるべき姿だ!」
「つまりだ。俺は依頼なくてもギルドがこうしてランクを上げてほしいとすり寄ってくる存在だって事はだな・・・」
「「あっ・・・」」
「二人ともわかったようだな?」
二人の表情を見て、ショウはニヤリと笑う。
「冒険者ギルドが、今まで冒険者にしていたように俺がギルドを利用してもいいという事だ」
「そんな!」
「シャーロットさんが慌てるのも判るがこれは覆らない事実だよ。だけど、さっきも言った通り俺はギルドを利用し生計を立てると言ったが、ギルドに損をさせるつもりはないからな」
「どういう事だ?」
「俺は生産ギルドに所属したいと言ったよな。まずはこれを見てほしい」
ショウはテーブルの上にポーションを置いた。ベックとシャーロットはそのポーションの色を見て驚いた。
「「こ、これは!」」
「こんな濁ってないポーションは見た事ない!」
「俺は冒険者ギルドにこのポーションを買い取ってもらい生計を立てたいと思っているんだよ」
「だが、このポーションは高価すぎますよ」
シャーロットはすぐさまポーションの価値に気づく。そして、鑑定の魔導具でポーションを見る。
「高すぎる?俺はそんなぼったくりをするつもりはないぞ」
「なんでノーマル品質のポーションなのに固定回復が10もあるんですか?」
「な、なんだと!?それは本当か?高品質より高い回復ポーションじゃないか!」
「そんなポーションホイホイ使えないわよ。1個1200ゴルドでも安いぐらいだわ」
平民の夫婦と子供で一ヶ月1万ゴルドで生活できるのに、ポーション1個1200ゴルドはホイホイ使える額ではないのだ。
「しかし、冒険者は命あってのものだろ?」
「だが・・・」
「だから、俺はこのポーションを600ゴルドで買い取ってもらいたいんだよ」
「「はぁあ!?」」
「ギルドは原価ギリギリで冒険者に販売する。それが条件なんたがいいか?」
「このポーションを600?」
「本当に言っているのか?」
「俺はギルドを利用して稼がせてもらう。ギルドは俺を利用したらいいんだよ。持ちつ持たれつの仲だ」
「なにが利用したらいいんだよだ。得になるのはショウ殿だけではないか。原価ギリギリならギルドの人件費で儲けは出ない!」
「いえ・・・ギルドマスター。それは違います」
「シャーロット何が違うんだ」
「商人ギルドのポーションを買い取っていますが年々高騰しているんですよ」
「さすがはシャーロットさんだね。俺の意図する所がわかったようだね」
「このポーションを原価ギリギリで売れば、商人ギルドから仕入れているポーションは売れなくなります」
「あっそういう事か」
「つまり、銭ゲバのあいつらはポーションを適正価格に落とさなきゃならないんだよ。確かにPOT錬成師は少ないが、命張っているのは冒険者だ。ギルドは冒険者を護ってなんぼだろ?」
「確かにこれなら、ギルドの出費は減り儲けがでる」
「俺はギルドと馴れ合いはしないから欲は出すなよ」
「どういう事だ?」
「俺の私有地の場所は何処にある?それがヒントだ」
「「あっ・・・」」
それを聞いたベックとシャーロットは顔を真っ青にする。ショウの土地はマートンの町と冒険者が向かうダンジョンの途中にある。つまり、このポーションを街頭販売をされれば、冒険者ギルドのポーションは全く売れなくなってしまうのだ。それに、ショウのスキルを把握出来ないギルドは、何をされるか全く予想がつかないのだ。仮にショウが、このポーションより効果の高い物を製作できた場合、金を持つベテラン冒険者は、ハイポーションやグレーターポーションを買わなくなるのは目にみえていたのだ。
「ま、まさかショウ殿はハイポーションやグレーターポーションも?」
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