氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

30話 ゴブリン相手に惨敗

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 ショウは、マートンの町に出向いていた。

「シャーロットさん、今日はこの依頼を頼むよ」
「ど、どうしたのですか?魔導士様が討伐依頼なんて初めてじゃないですか?」
「そんな事はないだろう?魔物の素材は時々買い取ってもらっていただろう?」
「それはそうですけど・・・その二人は暗い顔をしてますがどうしたのですか?」
「まぁ気にするな」

 ショウは、冒険者ギルドに魔物の素材を時々買い取ってもらっていた。ショウの私有地の周りにある堀には時々魔物が落ちて上がれなくなっていた。それをホムンクルス達は討伐し解体した素材を買い取ってもらっていた。当然だが、堀に落ちた魔物はゴブリンやウルフなどの低ランクの魔物ばかりだが、そこそこの売り上げになっていた。

「ああ。この2人にもレベルを上げてもらうから、魔物討伐に連れていくんだよ」
「ええぇ!その奴隷達も連れていくんですか?」
「大丈夫大丈夫。俺は魔導士だし護衛もいるからな。森の入り口付近の魔物に後れを取ることはないさ」
「「ご主人様やっぱりやめませんか?」」
「駄目だ。お前達もレベルを上げてもらう。これは決定事項だ」
「「そ、そんな・・・」」
「や、やっぱりやめませんか?」

 アリサが震えながらショウに抗議するがあっけなく却下されてしまう。

「大丈夫だ。お前達にはちゃんと護衛が一人づつつけるからな」
【【任せて!】】

 アリサとシスティナには聞こえないが、ホムンクルスが自分の胸を叩き任せろと言っているように感じた。

「これで依頼を受理しましたが本当に気をつけて下さい。ジャイアントボアの突進には気をつけて下さい」
「わかりました」

 ショウは依頼を受けそのまま冒険者ギルドを後にする。

「あのご主人様?」
「なんだシスティナ?」
「私は役割上レベルを上げなくてもいいんじゃ・・・」
「なっ!システィナさん自分だけずるいです」

 実際のところ、システィナの役割は私有地で精霊眼でドライアドとコンタクトを取り、薬草の栽培をすればいいのだ。そして、ドライアドのレベルは既に高く、システィナのレベルは関係ないのである。

「駄目だ。システィナのレベルを上げても確かにドライアドのレベルが上がるわけではないが・・・」
「そ、そうでしょ。だったら!」
「だが、そういう目的じゃない。お前達2人のレベルが上がればステータスが上がれば、誰かに襲われても自衛ができるようにする為だ」
「「うぐっ・・・」」
「それに直接戦えと言っている訳じゃないだろ?」
「「それはそうですけど・・・」」

 ギルドカードにはパーティーシステムがあり、パーティーリーダー(この場合ショウがリーダー)のギルドカードに登録をすれば経験値が均等に分けられる事になる。
 そして、ショウのパーティーはショウ・システィナ・アリサ・ホムンクルス7人の10人パーティーとなる。つまり、システィナとアリサが攻撃に参加しなくとも、パーティーの誰かが魔物を倒せば2人にも経験値が入るのだ。

「魔物とたたかうのはホムンクルスの誰かだ。基本はロングソードと槍のホムンクルスが戦うから安心できるだろ?」
「「はい・・・」」

 そして、ショウのこのレベル上げは予想以上の効果を得る事に、この時のシスティナもアリサも気付かないのだった。

「「ひぃ~~~!」」
「ご主人様怖すぎます!」
「冒険者はこんな魔物を相手にしているのですか?」
「こら、システィナアリサ大声を出すな!ゴブリンが寄って来るだろ!」
「「む、無理です!」」

 棍棒や錆びたショートソードを振り回し襲ってくるゴブリンを前に、戦闘素人のシスティナとアリサに大声を出すなと言う方が無理があった。 
 そして、ホムンクルスの思わぬ弱点もこの戦闘で見つかったのである。たかがゴブリンと思っていたショウは、森の中でのゴブリンの連携に翻弄されていた。今までは、敷地内の堀にはまったゴブリンをホムンクルスがとどめを刺していたのでわからなかったが、森の中に身を潜め連携で襲ってくるゴブリンは別物だった。かたや、ホムンクルス達に連携と言う概念がなくバラバラに戦闘を行うのだ。ただ、この時の救いはホムンクルスのレベルがゴブリンより高く、個人能力が高かった事にあったのだ。これにより、システィナとアリサはホムンクルスに安全に守られていたのだった。

「ホムンクルス。バラバラに攻撃するな」
【しかし、私達の戦い方はこれしか思いつきません】

 ロングソードを持つホムンクルスは目の前のゴブリンの攻撃を斬り伏せる感じて叩き斬っている。また、槍を持つホムンクルスは別のゴブリンを突いていたのだった。

「これは駄目だな・・・戦術と言うものがまったくないとここまで苦戦するとは思わなかった・・・」
「「ご主人様・・・逃げましょう!」」
「そうだな。これは退却した方がいいな。ホムンクルス退却するから殿しんがりを頼む」
【【【【【【【はい!】】】】】】】

 ショウは、地球では趣味で将棋対戦をパソコンで世界中の人と対戦していたので戦術の大切さを知っていた。その一手のミスで詰んでしまうのだ。ホムンクルスにはこの戦術を教えないととてもじゃないが2人の護衛は任せられないと判断したのだった。

「スロー!」

 ショウは、襲い来るゴブリン達にスローを掛ける。スローにかかったゴブリンは移動速度が極端に遅くなり、ホムンクルスに追いつけなくなった。

「「ご主人様凄い!」」

 追いつけなくなったゴブリンはショウ達の姿を見失い追いかけるのを止め、追いつく数少ないゴブリンはホムンクルスに瞬殺されて、ショウ達はなんとか森の外に逃げ切る事ができたのだった。
 そして、その日はジャイアントボアどころかゴブリンに敗退して逃げ帰る事になる。そして、ハウスに帰ったショウ達は反省会を開いていた。

「今日の反省だが、お前達は悲鳴を上げすぎだ」
「「無茶を言わないで下さい!」」
「本当に怖かったんですから!」
「本当に死ぬかと思ったんですよ!」
「だけど、ホムンクルスがちゃんとお前達を守ってくれてたじゃないか?」
「「それはそうですけど・・・」」
「それとホムンクルス達の連携が全然とれてない」
【【【【【【【すいません・・・】】】】】】】
「戦術がわからないか?」
【はい・・・】
「多分、今はいいがこのままではダンジョンには潜れないな」
【【【【【【【ええ~~~~~!】】】】】】】
「嘆くのはちゃんと戦えるようになってからだ。このままダンジョンに潜っても逃げ帰るか運が悪けりゃ全滅だからな」
【うぐっ・・・】
「それと俺も今回反省する事ばかりだったよ。せっかく神様に力を与えてもらったのに冷静に行動出来なかった。本当にすまん」

 ショウがみんなに頭を下げるとみんな黙り込む。そして、みんなは自分の何が悪かったのか意見を出し合い反省するのだった。しかし、悪い事ばかりではなくアリサのレベルが低かったのもあり、ゴブリンを結構な数を倒したのもありアリサのレベルが1レベル上がっていた。

「ご主人様。レベルが1上がってます!」
「そうか。それはよかったな。今回唯一よかった事だ」

 アリサのレベルが上がって体力が上がって死になくくなったのは喜ばしい事だ。体力が5上がったみたいで低いとはならない。これは一般人から襲われても一撃では殺せない数値になる。
 しかし、あくまでも一般人を相手にした場合であり、相手が魔物だった場合は腕力も敏捷度も魔物が圧倒的に高いので瞬殺されてしまうだろう。

「それにしても問題はホムンクルスだな」
【ご主人様・・・見棄てないでください】
「見捨てるつもりはないさ。ただ、戦術は経験を積まなきゃどうにもならん・・・」

 ショウはパソコンを起動してホムンクルスに将棋ゲームをやらせてみる。しかし、やったことのないホムンクルスはコンピューター相手に惨敗してしまった。

「コンピューター相手にこれでは話にならんな・・・」
「ご主人様!これはいったいなんですか?」
「アリサは初めてだったな」
「なんかすごい魔導具ですね・・・」

 ショウはアリサにパソコンの説明をすると目を輝かせる。料理のレシピが無数に存在する事に、料理スキルのあるアリサは早く試したい気持ちになったのは当然の事だった。

「とりあえず、アリサは放って置こう・・・」
「ご主人様酷い・・・」
「とりあえずホムンクルスは俺と対戦をしてみようか?」
【ご主人様と対戦できるのですか?】

 ショウは押し入れの奥から将棋の盤と駒を出してきた。

【ご主人様これは!】
「これはデジタルじゃなくリアルで対戦ができるボードゲームだ。俺のじいちゃんが使ってた盤で結構お高い盤なんだぞ」

 ハウスには、ショウの地球の部屋にあったものがほとんどあったが、今まで使う事がなかったので押し入れの奥に眠っていたのだった。そして、ショウはホムンクルスに指導しながら将棋を指すのだった。
 ホムンクルスに指導するショウは、ホムンクルスが悪手をすると後々自分の駒が取られて窮地になる事を教える。それを聞いたホムンクルスは先手を考えるようになる。ただ、ショウの将棋の経験値は高く、ホムンクルスの二手も三手も先を読み相手にならなかった。その為、ホムンクルス同士で対戦をしてもらう。当然、同じレベルの戦いなりホムンクルス達はドンドン上達していくのだった。
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