氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

38話 状態異常解除のポーションも売り出した

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 ショウが依頼成功の手続きをして冒険者ギルドから出ていくと、シャーロットは先程の話をギルドマスターに報告をした。

「魔道士様はゴブリンの素材でそんな事を考えていたのか?」
「そうなんですよ!」
「そうなれば素材をただ買うだけよりギルドの為になるじゃないか」
「はい!」

 冒険者ギルドはなんとも都合のいい掌返しをして笑顔となっていた。しかし、こうなれば不平不満が溜まり文句を言うのは商人ギルドだ。商人ギルドには今回の素材が一切まわってこず、ショウに素材の一部をまわして欲しいと願い出たのだった。

「魔道士様、今回の件で魔石だけでも町に還元してほしいのです」
「待て待て。そんな要望聞けるはずないだろ。そもそも俺は商人ギルドにすら所属してないんだぞ。あんた達の要望を叶える義理もないんだ」
「しかし、数千体とも言えるゴブリンの魔石さえ卸さないなんて聞いた事もありませんよ」
「だったらいい実例ができたじゃないか」
「そんな馬鹿な!」
「それにな・・・お前達商人ギルドは、アリサになんの損害賠償をしてないんだぞ?」
「そんな・・・あの時の事件はあの女が犯罪奴隷に堕ちた事で決着がついたはずだ。それに、アリサの金額は貴方に商人ギルドから支払われたはずだ」
「それは表向きに決着した事件だ。お前達はベラを切り捨てただけで、あの女がアリサにやった事と同じなんだよ。お前達の上層部はベラを犠牲にしただけだ。本当に謝罪したけりゃ、上層部が辞任してアリサに直接謝罪するのが筋だ」
「「「「馬鹿な!」」」」
「それもせずにのうのうと今もまた甘い汁を吸おうしようとするのか?」
「話にならん!なんで我々が奴隷に頭を下げなきゃならんのだ!しかも、辞任しろというのか?」
「当たり前だ!今の商人ギルドの組織体質を作ったのはお前達なんだからな。そのせいで下の人間は上の人間の言いなりになるしかなく今回の事件が起きたんだろ?それにもかかわらず上層部は一切変わらずそのままだ。それの何が謝罪して解決したんだよ!馬鹿も休み休み言え!」
「ぐぬぬ・・・どうしても素材は卸さないと言うのか?」
「その決定は拾得権利者の俺にある。そもそも商人ギルドが口出し出来ると思うのが間違っているんだ」
「どうなっても知らんぞ」
「なんだ?俺を脅してどうにかなるのか?」
「帰るぞ!」
「待て待て。本当にアリサに謝罪はしないんだな?」
「我々が奴隷に頭を下げる道理などない!」

 商人ギルドの上層部の面々は、歯ぎしりをしてショウの土地から出ていくのだった。

 あの魔道士め・・・今に見てみよ!その首を斬り落として見せよう。

 ショウは商人ギルドに恨みをかうことになるのだった。

「ふぅ・・・なんか疲れたな。アイツ等を見てると工場の爺さん共を思い出すな」
「おじちゃん大丈夫?」
「イチョウは優しいな。大丈夫だぞ」

 ショウはイチョウの頭を優しく撫でる。

「アイツ等を殺してこようか?」
「おいおい。イチョウ、そんな事言ったら駄目だぞ」
「だって・・・アイツ等の目・・・おじちゃんを殺そうとしている目だった・・・」
「さすがイチョウだな。よく見てる。だけど、人間を殺すのはNGだ」
「NGってなに?」
「駄目って事だ。ただ、向こうが何か仕掛けてきた場合は正当防衛をすればいいんだよ。ただし、過剰防衛は駄目だ」
「なんか難しい・・・」
「だよな・・・だが、イチョウなら強いから相手を殺さず捕獲する事は可能だろ?」
「うん!あたしは強い・・・」

 イチョウは鼻息荒く力こぶしを見せポーズをとる。するとカホも同じようにポーズをとって笑顔をみせた。

「おじちゃんを殺そうとするなら私も黙っていない!」

 そう言ってカホは目にも止まらない拳を打ち、シャドウボクシングをやってみせる。その乱打はあまりにも速く一発のスローパンチのように見えた。

「末恐ろしいちびっ子だ・・・」
「私のパンチが見えたの?」
「まぁな。あまりにも速すぎてスローに見えるパンチはなかなかのもんだ」
「おじちゃんにも勝てる?」
「それは無理だな」
「え~!なんでよぉ~」
「俺にはスローの魔法があるからな。カホにかけたらその速さは封じれる」
「そっかぁ・・・やっぱおじちゃんは凄いね」
「そんなに落ち込むな。カホとイチョウにかかられたら俺にもどうしようもないからな。一人で戦わなくてもいいんだよ」
「「そっか!」」
「2人とも賢いから俺のいう事を理解して偉いぞ」

 カホとイチョウは満面の笑顔になる。

「「おじちゃん、お腹減った」」
「もうこんな時間か。今日は商人ギルドの連中が来たから無駄な時間を過ごしたな」

 そう言ってショウは台所に向かう。ちなみにホムンクルス達は名前を貰いショウの眷属になってから時空間倉庫には入らなくなった。収納する事は可能だが、なるべく外にいるようになったのだ。そして、今までは食事も取らずショウの魔力をもらっていたが、それをせずみんなと食卓を囲むようになった。
 余談だが、カホは名前が表す金の稲穂で白米が大好物であり、毎食お茶碗で三杯おかわりをする。

「そういえば、今日はいいものを町で見つけたんだぞ」
「「これなんの種?」」
「これは銀杏ぎんなんと言って銀杏イチョウの木になるもんだ」
「あたしと同じ名前!」
「そうだ。イチョウと同じ名前の種子となるものだ」
「これって食べられるの?硬そう・・・」
「このままでは食べないよ。殻を割って中の柔らかい部分を食べるんだ」

 町で売っていたのは食用としてではなかった。あまりに硬い種で使い道がなく、指弾で飛ばす玉の代わりで売っていたものだった。これを見た時、なんでも武器にする感覚はさすかだと感心した。

「まぁ楽しみにしててくれ」
「「わかった!」」

 そして、その日の夕食に出てきたのは当然茶碗蒸しである。みんな茶碗蒸しを冷ましながら新食感を堪能する。当然この先イチョウの大好物になるのは言うまでもない。



 そして、数日が経ったある日ショウはアユミを連れて冒険者ギルドにきていた。

「今日はこのポーションの買い取りをお願いします」
「こ、これは・・・」
「キュアポーションとリームブパラライズポーションとブラインドネスポーションだな」

●キュアポーション
 レサーポイズンを解毒するポーション。買い取り価格300ゴルド
●リームブパラライズポーション
 パラライズに掛かった人物を治すポーション。買い取り価格350ゴルド
●ブラインドネスポーション
 盲目になった人物を治すポーション。買い取り価格500ゴルド

「本当にこの価格でよろしいのですか?」
「構わないよ。先の戦闘で手に入ったゴブリンの素材で製作したポーションだからな」
「ありがとうございます!」

 冒険者ギルドの受付嬢は何回も頭を下げる。キュアポーションは生産ギルドで500ゴルドで商人ギルドに卸され商人ギルドはそれを800ゴルドで冒険者ギルドに売りつけていたので、冒険者の手に渡るのは900ゴルドとどうしても高くなっていたのだ。
 それを今回、ショウは300ゴルドで売った事で冒険者は今までの半額で購入する事ができるようになるのだ。これでベテラン冒険者は状態異常をしかける魔物にも気軽にとは言わないが安心する事ができるようになる。

「一応今回はノーマル品質のポーションばかりだか、低品質のポーションはいるか?」
「低品質のポーションは大丈夫かと思います」

 受付嬢の説明では、状態異常解除のポーションは駆け出し冒険者を卒業した冒険者が使うものだと聞く。なので、この価格ならば購入可能でありわざわざ低品質のポーションを使う必要がないとの事だった。

「わかった。今回100本づつだがこれで十分かな?」
「出来れば後100本づつお願い出来れば今月は十分かと思います」
「わかった。ならば三日後に又持って来るよ」
「三日で各100本づつ用意できるのですか?」
「まあ、大丈夫だろ。それとヒールポーションもその時に買い取りをお願いするよ」
「いつもありがとうございます」

 受付嬢はショウに深々と頭を下げた。ショウはキュアポーション三万ゴルド、リームブパラライズポーション三万五千ゴルド、ブラインドネスポーション五万ゴルド。計11万5000ゴルドを受け取りギルドを後にする。
 そして、ショウは家に帰りポーションの製作に取り掛かるのだった。

「まずはキュアポーションからだな」

 ショウは毒消し草から成分を抽出する。それを水道水を合成し純水を作り、毒消し草の成分と純水を錬成する。それでキュアポーションのノーマル品質が完成した。
 次はリームブパラライズポーションの製作である。リームブパラライズの原材料は薬草と純水それにゴブリンの角となる。ゴブリンの角を乳鉢ですり潰し粉末にするのだが、ショウには錬金術で最後の項目分解がある。ゴブリンの角を分解すると綺麗でキメの細かい粉末が出来上がる。それを薬草の成分と純水を錬成するとリームブパラライズポーションのノーマル品質が出来上がる。
 最後はブラインドネスポーションの製作である。ブラインドネスポーションの原材料は薬草と光り苔と純水とゴブリンの角の粉末だ。薬草と光り苔の成分を抽出、ゴブリンの角は分解でキメの細かい粉末にして純水と混ぜ合わせ錬成するとブラインドネスポーションのノーマル品質が出来上がる。

「ふぅ・・・結構疲れるものだな・・・」

 こうしてショウは8時間をかけて1種類のポーションを製作する。ショウは一日八時間労働を徹底しそれ以上は働かないようにしていた。のんびり暮らす為の絶対条件のひとつである。


 そして、この事が更に商人ギルドにとって最悪の出来事となった。冒険者ギルドは今まで商人ギルドから高いポーションを購入していたがショウのポーションがあるからと高いポーションを断わったのである。これに商人ギルドは猛反発したが、高くて売れないポーションは冒険者ギルドでも購入は出来ないと猛反発。購入して欲しいなら値下げを要求する。
 しかし、商人ギルドは出来ないと言うが客は冒険者ギルドであり、商人ギルドが中間マージンを取りすぎだと言い、商人なら生産ギルドにもっと安く購入できるように交渉するべきだと言い、商人ギルドの営業を追い返したのだった。

「ぐぬぬ・・・またしてもあの魔道士が!」
「アヤツが来てから商人ギルドの売り上げが・・・」
「このままだと本部からの視察が来てもおかしくなくなるぞ」
「アヤツがいなくなれば今まで通りの値段で売れるのに鬱陶しいやつよ!」

 商人ギルド上層部は歯がゆいおもいを募らせるのだった。
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