氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

42話 商人ギルドの上層部、世間から馬鹿にされる

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 ショウはアユミを連れて、三日おきに冒険者ギルドにやってきていた。また、2週間置きではあるが冒険者ギルドの依頼もこなしつつ、冒険者ギルドで情報を得ていた。

「魔道士様、ちょっと耳に入れたのですが商人ギルドの在庫の山を購入したというのは本当ですか?」
「はぁあ?誰がそんな事を!」
「巷ではもうその話で持ちきりですよ」

 シャーロットがショウにダイレクトに聞いてきた。ショウはどおりで冒険者ギルドに入った時に、冒険者達がヒソヒソしていて遠巻きにジロジロとこちらを見ていたとわかった。

「ああ・・・そうだよ。商人ギルドのヒールポーションを全部買い取った」
「何に使ったんですか?あんな低品質のポーションなんか買い取っても自分で製作できるじゃないですか?」
「企業秘密だ!」
「企業秘密ってなんですか?」
「俺の飯の種を明かさないと言う意味だ!それより、誰がそんな事を!」
「多分ですが、商人ギルドでは?」
「はぁあ!?取り引き先の情報を漏らすわけないだろ?」
「しかし、取り引きをしたのは魔道士様と商人ギルドの担当者ですよね?」
「た、確かに・・・」

 それを聞き、ショウはライネを訪問する。すると、ライネがショウの姿を見て慌てて側に駆け寄ってきたのである。

「ショウさん!この度は本当に申し訳ございません・・・」
「どういう事か説明してもらってもいいか?」
「ここではなんですから、私の家に来ていただいてもよろしいですか?」
「わかった」

 ショウはライネの真剣な要望になにかが起こったと察してライネの家に行く事を承諾したのだった。ライネは部下に今日は早退する事を伝えて帰るのだった。
 そして、ライネは家に帰ると同時に真っ青な顔で勢いよく頭を下げる。

「本当なら私が謝罪に家に訪問しないといけなかったのにご足労をかけてしまい本当に申し訳ございません」

 ライネは噂が広まってしまい、すぐにショウの家に訪問する手続きをとっていた。しかし、ショウの家に訪問するとなると護衛の依頼を出さないといけないのだ。歩いて30分の距離だが戦闘スキルのない人間が一人で城壁の外に出るのは自殺行為そのものだからだ。

「それでいったいどういう事なんだ?」
「そ、それが・・・ギルド上層部が原因なんです」
「はぁあ!?何でギルド上層部が!」
「申し上げにくいのですが・・・ショウさんは商人ギルドで印象が悪すぎるんです。本当に申し訳ありません!」
「ああ・・・」
「確かにショウは恨み買ってそうだよね」
「アユミうるさいぞ・・・」
「事実でしょ」
「うぐっ・・・」
「それで、ギルド上層部はショウさんをだし抜けたと両手をあげて喜んだんです・・・」
「それで、俺に使い物にならないポーションを買い取らせたと勝利宣言のように言いふらしたという事か」
「はい・・・私はギルドとショウさんとの商談を言いふらしたりするのはよくないと訴えたのですが・・・」
「ああ・・・全部言わなくてもわかった気がするよ。あの老害共の事だ。君に圧力をかけ黙らせたと?」
「その通りです・・・だけど、私はショウさんに謝罪だけでもしようと護衛を雇おうとしたのですが、商人ギルドのお抱えの護衛が手配出来なかったのです」
「わかったよ・・・ライネさんの誠意は伝わりました」
「本当に申し訳ありませんでした」
「それでライネさんはこれからどうするつもりだ?」
「どうするとは?」
「いや、このままギルドにいても潰されないかと思ってな」
「私の事なら大丈夫です!私はギルドを変えたいと思っているので辞めるつもりはありません」
「そうか。無理はするなよ」
「それに、詳しくは言えませんが現場では若手中心に新たな動きも出始めていますから大丈夫です」
「わかったよ。今回は俺も目はつむる事にするよ」

 ショウの言葉に、ライネは安堵して頭を何回も下げた。そして、ショウは何もなかったように家に帰って行ったのだった。それから数日が経ち、商人ギルドでは慌ただしくなってきていた。

「ギルドマスター!大変です」
「騒々しい。何があったのだ?」
「実はあの魔道士が商人ギルドの上層部は先が見通せないぼんくらの集まりで下で働く従業員は大変だと噂を流しているそうです」
「なんだと!何を根拠にそんなデマを流しているんだ!」
「それが商人ギルドは現場で働く従業員の意見を無視して、上層部が勝手にポーションの仕入れを止めたと・・・」
「馬鹿な!あんな低品質のポーションを手に入れたところで利益が出ないのは明らかではないか!」
「それが・・・冒険者ギルドではヒールポーションが飛ぶように売れているみたいで、駆け出し冒険者すら魔物を狩ってくれるようになっているみたいなんです」
「どういう事だ?冒険者ギルドは低品質のポーションは要らないと言っていたではないか」
「それが・・・冒険者ギルドは商人ギルドの仕入れたポーションは要らないと・・・」

 世間では以前のような、消費者を蔑ろにしたようなポーションは不買運動が起き始めていた。つまり、売れればいいと生産側が手を抜き利益ばかり求めて、効果の低いポーションや飲みにくいポーションは消費者が離れて行く現象が普通に起きていた。これもショウの安くて飲みやすいポーションが現れ、消費者が選択できるようになったからだ。今までは、生産ギルドから商人ギルドから冒険者ギルドからのものしかなかった。
 しかし、今までもショウのように錬成師が直接買い取ってもらう事例はあったが、それはその日食べるのもままならないスキル無しの錬成師のポーションで話にならないようなポーションだった。
 そして、今回は生産ギルド側から出た証言をショウが言いふらしていたのだ。



 時間は数日前に巻き戻り、ショウは生産ギルドの受付嬢のレジーナと取り引きをしていた。

「魔道士様、本当によろしいのですか?」
「レジーナさん構わないよ」
「でも、私は最初魔道士様を生産ギルドから追い出した人間ですよ」
「あの話はもう無しだ。君も罰を受け減給されたんだし、それにあれは名前忘れたがあのドワーフ・・・横から口出ししたのが悪い」
「本当にすみませんでした・・・」
「それでだ。生産ギルドでこいつを買い取ってほしいんだ」
「こんな貴重なものを本当によろしいのですか?」

 ショウが生産ギルドに持ち込んだのは一本の水だった。ただし、これはポーションを製作に使う水であり、ショウが錬金術で合成した純水だ。それをほとんどタダのような値段で売り込んだのだ。

「ただし条件があるんだ。この純水で製作したポーションは商人ギルドのライネさんと直接取り引きをしてほしい」
「商人ギルドとですか?しかし、マートンの商人ギルドはポーションの取り引きを中止していて、錬成師達は直接冒険者ギルドと取り引きをしているぐらいで・・・」
「それはわかっている。しかし、商人ギルドは上層部が腐りきっているから排除したいんだよ」
「ああ・・・それは生産ギルドでもわかっていますが、他のギルドには口出しできませんからね」
「だから、商人ギルドの現場主任が責任を持って流通を再開したら上層部は増々立場が無くなるだろ?」
「そんな上手い事いきますか?」
「まあ、これだけでは無理だろうな。だが、何もいなければ何も変わらないからな」
「わかりました。この取り引きを必ずや成功させてみせます」

 そして、レジーナは錬成師に頼み込み、純水で製作したヒールポーションを持って、ライネのもとを訪ねて商談を成功させたのだった。そして、商人ギルドのライネは冒険者ギルドと取り引きをする。冒険者ギルドもその効果でその値段なら取り引きを再開させたのだ。

「これで俺はヒールポーションから手を引く事ができるな」
「ショウはヒールポーションはもう作らないの?」
「いや、少しは買い取ってもらうよ。だが、今までのように大量には作らないだけさ。ハイヒールポーションも作らないといけないからな。純水は近くに流れる川から大量に作れるからな。そっちの方が楽だ」
「なるほどね」

 ショウは生産ギルドに駆け出し冒険者のポーションを任せてしまった方が都合がよかった。ショウのつくるヒールポーションは安いとはいえ、やはり駆け出し冒険者にとっては高い代物だからだ。
 これにより、上層部のいう事を無視してライネの仕入れたポーションは安いが大量に駆け出し冒険者から購入され飛ぶように発注がかかる。それをショウが町中に、商人ギルドの上層部は無能の集まりだと噂をばら撒いたのである。
 後日、商人ギルドの上層部から苦情が入るが、先に個人の取り引きを馬鹿にしたように煽り、噂をばら撒いたのはそっちだと一蹴し上層部の人間は門前払いされて終わったのである。そして、心配なのはライネの方だが上層部もライネに圧力を掛けようと画策したが、商人にとって売り上げがせいぎである。ライネは既にポーションでありえないほどの利益を上げているのだ。いくらギルドの上層部でも文句のつけようがないのだ。ここで圧力なんかかけようものなら、今度は自分達がギルド本部から査定が入ることになるのは必至になるのは目にみえていた。

「ぐぬぬ・・・あの魔道士めが!我々を馬鹿にしおってからに!それにライネの奴も我々の指示を無視して何様のつもりだ!」

 商人ギルドのギルドマスターは顔を真っ赤にして、会議室のテーブルを勢いよく叩いていた。
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