氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

43話 アリサの預かっていたものは凄かった

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 ショウは、ハイヒールポーションやプロテクションポーションに重点を置き製作していた。又、システィナやアリサもレベルが上がり、ホムンクルスの誰かを一人を引き連れて森の中を探索出来るようになっていた。

「最初ウルフが出ただけでも大騒ぎしてたのにね」
「特にシスティナがうるさかっただけだよね・・・」
「ですね。アリサはうるさいというより固まっていましたからね」
「なによ!カオリは余計な事を!」

 今日は、システィナとアリサとカオリの3人で森の中で薬草採取に来ていた。システィナも30レベル、アリサも20レベルとなりゴブリン程度ならば対処は余裕だった。カオリは香車の駒のホムンクルスだ。一直線に突撃する切り込み隊長のアタッカーである。半端な魔物程度では二刀流の剣戟はまず止めることはできないだろう。

「ご主人様はホント凄いわね。最初あたしはあんな人だなんて思いもしなかったわ・・・」
「誰でもそう思うと思うわ。まさか、あの風貌で時魔人とは誰も思わないよ」
「ホントそれね。空間魔導士じゃなくて時空間大魔導士とは思わないわ」
「ちょっと貴方達!こんな所で主の個人情報を喋らない!」
「こんな所に人がいるとは思えないんだけど・・・」
「それでもよ!主が言ってた言葉があるわ。襖に耳あり障子に目ありって言ってたわ」
「どういう意味?」
「どこで人が聞いているかわからないから注意しろと言ったわ」
「よくわからないけどわかったわ。ごめんなさい・・・」
「喋ってばかりじゃなく早く薬草を採取して帰りましょう。さぼっていたら日が暮れるわ」

 カオリを二人につけたのはショウだ。カオリはアユミと違って真面目だからだ。

「「わかったわよ・・・カオリはホント真面目だな」」
「シッ!黙って・・・私の後ろに隠れて」
「「な、なに!?」」
「くっくっくっ・・・俺の気配を察知するとはなかなかやるねぇ!」
「貴様は誰だ?近寄ると叩き斬る!去るなら追わぬ。何かしようものならその命を差し出してもらおう!」

 そう言ってカオリは、黒のフードで顔を隠した男に対して剣をかまえる。

「くっくっくっ・・・威勢がいいな。噂通りの良い女だ」
(私達を知っている・・・)
「システィナ、アリサ気を付けて!こいつの目的は私達みたいよ」
「「えっ・・・」」
「さぁどうする?こちらからやってやろうか?」
「去る気はないみたいね?」
「当たり前だ。俺の仕事はお前達をさらう事だからな」
「私達を誘拐するつもりか?」
「おしゃべりはここまでだ!あまりにも良い女だからしゃべりすぎた」
「んっ!システィナアリサ気を付けて!他にもいるわよ」
「ほう!俺と話していて他の存在に気づくか」
「「カオリ!」」
「私達に構わないで、アイツに集中して!私もレベルアップしたから時間は稼げるから」
「フッ!情報ではあの2人は戦闘スキルはないはずだ。皆の者ひっ捕らえよ!」
「なっ!こんなにも・・・卑怯者め!」

 主・・・申し訳ございません。
 カオリどうした?何があった?

 いきなりカオリから念話が届きショウは慌てた。これはホムンクルスの頃喋られなかった時、ショウとのコミュニケーションだった念話だ。喋れるようになってからは使ってなかったからショウは驚いたのだ。

 盗賊集団に襲われていますが、少し違う感じがしまして私達が目的のようです。
 わかった!すぐにアスカ達を向かわせる。それまでなんとかしのいでくれ!
 わかりました・・・

 ショウはマートンの町に来ていた。これなら、森の近くにある私有地で警護をしているアスカ達を向かわせる方が早いと判断しアスカ達に念話を送ったのだった。

 アスカ!悪いがすぐにカオリのところに向かってくれ!
 旦那様大丈夫!既にスミエと向かっていますわ。

 アスカ達も既に、カオリからの念話で私有地を飛び出していた。将棋の駒である飛車と角の最強コンビである。

 そうか。俺もすぐ向かうから集団の一人は生け捕りでよろしくな。後は頼んだぞ。
 お任せください旦那様(主様)!

 ショウは急用が出来たと断り、生産ギルドで純水の瓶を全て出して買い取ってもらう。ショウは生産ギルドで純水の商談に来ていたのだった。



 所変わり、カオリ達は盗賊集団に囲まれていた。

「お前達はただの盗賊ではないな?」
「ほう!そこまでわかるのか?大したものだが正体を聞いても無駄だ」
「では、誰に頼まれた?」
「くっくっくっ!誰にも頼まれてなんかねぇよ。女3人でこんな所をウロウロしているんでな!」

 盗賊のリーダーは内心驚いていた。この状況で冷静に相手の事を分析して嫌な感じがビシビシ伝わってきていたのだ。

「話はもう終わりだ。お前等その二人を捕らえよ」

 その瞬間、周りにいた盗賊集団がシスティナとアリサに飛びかかる。その時、システィナが叫んだ。

「茨のつるでガード!」

 ドライアドは、システィナとアリサ二人をドーム状に茨のつるで囲ったのだった。

「「「「「「な、なに!?」」」」」」
「システィナ、ナイス!」
「あ、あのエルフは魔法使いか!情報では何も・・・」

 盗賊のリーダーは、システィナの短い詠唱で出来たドーム状の茨の壁に目を見開き驚く。盗賊のリーダーの驚いた顔を見てカオリは突進攻撃を仕掛ける。しかし、盗賊のリーダーはカオリの剣をアームガードで防ぐ。

「隙あり!」
「くっ!き、貴様・・・」

 カオリはパーティーのアタッカーである。いつもアユミが敵の気を引いた瞬間に敵の間合いに飛び込むのだ。その間合いを詰める技術は目の見張るものがあり、盗賊のリーダーも顔が歪んだ。

「これを受けるのか・・・」
「俺も自慢できるぐらいの腕はあるつもりだ」
「「「「「「リーダー!」」」」」」
「お前等は気にするな!この女は俺に任せて二人を捕らえよ」
「「「「「「はっ!」」」」」」

 部下の動きを見てカオリはただの盗賊ではないと察する。何かの組織に従じる犯罪集団とわかったのだ。

「まさか、お前ら闇ギルドの一員か?」
「くっくっくっ!さあな、想像にまかせるよ。だが、お前らに生きて帰れる保証はどこにもないがな?」

 次の瞬間、盗賊のリーダーの手元が見えなくなりカオリの頬に切り傷が浮かび上がる。リーダーのその手には何もないが確かにカオリの頬には鋭利な刃物の傷が付いていた

「くっ!」
「お前は俺に勝てる訳がない!俺はレベル70のアサシンだからな」
「フッ!レベルの高さでマウントを取るヤツに大した者はいない」

 しかし、カオリのレベルは50だ。相手との差は20もありカオリの額に汗が流れた。その為、カオリは攻撃の手を止めたらまずいと思い、盗賊のリーダーの懐に飛び込み連撃を繰り出した。しかし、盗賊のリーダーはカオリの攻撃を紙一重で見切りギリギリで躱すのだった。

「な、なぜ当たらない・・・」
「くっくっくっ!お前の攻撃でわかった。経験が圧倒的に足りないな」
「くっ・・・」

 盗賊のリーダーは、カオリの直線的な動きで悟ったようだ。カオリの動きは将棋の駒である香車の動きそのものだ。その為、どうしても飛び込んで攻撃を仕掛ける事が癖になっているようだ。そして、カオリの性格もまた、真面目な人格が災いしているみたいだった。
 そして、それを見抜いた盗賊のリーダーは、カオリの攻撃を紙一重で躱しカオリに攻撃を仕掛ける。

「くっ・・・いったい何を持っているんだ」
「くっくっくっ!どうした?その綺麗な顔がドンドン汚くなっているぜ?」

 カオリには、盗賊のリーダーがどんな得物を持っているのかまったく見えなかった。ただ、カオリも何もせず殺らるわけではなくギリギリで躱していた。

「こんな所で殺られるわけにはいかない」
「おーおー粘るねぇ!」
「くっ・・・」

 盗賊のリーダーの動きは円の動きでカオリとは違い、カオリの剣を躱したとたんバックブローで顔面に裏拳が飛んでくる。カオリはそのバックブローをギリギリで回避したはずだが、なぜかカオリの頬に切り傷がつけられたのだった。

「大した回避能力だ!」

 カオリは、盗賊のリーダーとのレベル差をステータスで躱していた。

「「きゃあああああ!」」

 システィナとアリサの悲鳴がこだまする。その悲鳴にカオリは気を取られてしまう。

「おいおい。よそ見して余裕だな!」
「ぐはっ!」

 よそ見したカオリが、盗賊のリーダーの拳がどてっ腹にめり込む。そして、カオリは森の樹に吹き飛ばされた。

「「カオリ!」」

 システィナとアリサはドーム状の茨のつるの中で身動きが取れない。隙間からカオリが吹き飛ばされた姿をみるしかなかった。その間にも盗賊の部下達はドーム状の茨を剣で叩き斬る。なんとか茨のつるを斬ろうと必死だった。

「そ、そうだわ!これがあるのを忘れてた!」

 アリサはショウから預かっていた瓶をポーチからだす。

「システィナ、これをあいつらに命中させて!」
「何これ?」

 渡された瓶の中は二重底で、赤い石と液体が入っていた。

「いいから!この瓶の蓋に魔力を込めてあいつらに当てるのよ!」

 システィナはドライアドに伝える。すると、ドライアドはドーム状の外にその瓶を蔓に巻き付け敵に投げつけた。蓋に魔力を込めた瞬間、中の石か更に真っ赤になり熱を帯び始めた。そして、ドライアドは蔓を操り盗賊の部下にぶつけた。

 ドカァーン!と辺りに響き渡る轟音と共に、盗賊の部下達は絶叫し吹き飛んだのだ。

「「「「「「「ぐわぁああああ!」」」」」」」
「な、なんだと!あいつら何をしやがった?」

 盗賊のリーダーは、轟音が響き何が起こったのかわからなかった。しかし、周りには自分の部下達が苦悶にうずくまり手足が吹き飛んでいた。

「いったいこれは・・・」

 盗賊のリーダーはその場に立ち尽くす。爆発があったのは確かだが周りの木々はまったく燃えていないのだ。

「くそぉ!お前ら何をしやがった?」

 得体のしれない攻撃に、盗賊のリーダーは焦るのだった。
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