氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

44話 システィナ達救助される

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 その頃、アスカとスミエはダッシュで森の中を駆け抜けていた。

「なっ!」
「アスカ!カオリの念話が途絶えましたわ」
「大丈夫よ。あたし達は旦那様のおかげで死ぬ事はないわ」

 アスカの言う通り、ホムンクルス達はショウに名前を与えられショウの眷属となり、ショウが死なない限り命を失う事はない。だがしかし、ショウの命が失う事になればホムンクルスの命も途絶え一蓮托生となるのだ。
 その時、更に森の奥で轟音が鳴り響いたのだった。

「アスカ!」
「多分そうね!スミエ急ぐわよ!」
「はい!」

 アスカとスミエは、森の中を駆け抜け更に奥に駆け出した。そして、システィナとアリサの方は盗賊のリーダーに追い詰められる事になる。

「貴様ら何をしやがった?俺の部下を殺りやがって!」
「ふん!いい気味よ。私達を舐めた結果がそれよ!あなたも死にたくなければ逃げ出したらどう?今ならまだ間に合うわよ」

 システィナは盗賊のリーダーを挑発した。盗賊のリーダーはシスティナ達が何をしたのかわからず、後退りをしシスティナ達のドームを睨みつける。

「早く逃げないと、あなたの部下と同じ目に合わせるわよ」
「くっ・・・」

 ドーム状の茨は生きているかのように、蔓がうねうねとヘビのように動く。

「食虫植物を手なずけているとは思わなかったぜ・・・」
「逃げないのね。死ぬ覚悟はいい?」
「くっ・・・」

 盗賊のリーダーが、ハッとして気味の悪い笑みを浮かべ、ダッシュをした。その速さにシスティナとアリサは言葉を失った。

「「あっ!」」
「くっくっくっ!形勢逆転だな。そのドーム状の茨の蔓を解け!」

 盗賊のリーダーは、気絶してしまったカオリを盾にして首に針のような暗器を突きつけた。そう、これこそが盗賊のリーダーが使う武器で、カオリの頬に傷をつけていたのだ。

「さぁどうする?そのドーム状の蔓を解くか、それともこの女の命を見捨てるか?」

 盗賊のリーダーは脅しながらジリジリとシスティナとアリサに近づくのだった。

「さぁどうするんだ?早くその食虫植物のガードを解け!」
「「ううっ・・・」」
「そうか!この女の命を見捨てるんだな?じゃ死ねぇ!」

 盗賊のリーダーは叫びながら、気絶したカオリの喉元に針のような暗器を突き刺そうと腕を振り上げた。

「駄目ぇ~~~!」

 システィナは茨の蔓を解くと、盗賊のリーダーは振り上げた手を止めた。

「そうだそれでいい。聞き分けのいい奴は好きだぜ!」
「気持ち悪い・・・」
「人質を取らなきゃ勝てない卑怯者が!」
「うるせぇ!勝てばいいんだよ!」

 システィナは、ショウから預かっていた攻撃用ポーションを盗賊のリーダーに投げられなかった。投げつけ命中させなくても盗賊の近くに投げれば爆発しダメージを与えられるがそれではカオリも一緒に爆発に巻き込まれてしまうからだ。

●ウォーターボム(最高品質)
 ショウが製作したオリジナルポーション。瓶の中には火属性の魔石と清らかな水が2つの部屋に分けられ入っている。
 使用方法は、投げる直前に蓋の部分に魔力を込めると、火属性の魔石が真っ赤に熱を帯びマグマのようになる。その状態で敵に瓶を投げつけると瓶が割れ清らかな水と加熱した魔石は混ざり水蒸気爆発を起こし、半径10m以内の範囲内の全ての生き物にダメージを与える。
 ダメージ量は5D10+30(サイコロ10面体5個を振り出た値+30)のダメージを半径10m以内の全ての生き物。
 これによく似たポーションでエクスプロージョンポーションやファイヤーボムがあるが、このポーションは可燃性で森の中で使用すれば大惨事となる。

「くっくっくっ!そのまま両手を上げろ!」
「「・・・・・・・・・」」

 システィナとアリサは、盗賊のリーダーの言葉に躊躇し従わない。

「こいつがどうなってもいいのか。ああ!」

 盗賊のリーダーは、システィナとアリサを脅してカオリの顔に針のような暗器を突き刺そうとする。それを見たシスティナとアリサはゆっくり両手を上げた。
 盗賊のリーダーはカオリに針を突きつけ、ゆっくりシスティナとアリサに近づき縄で拘束しようとする。しかし、その時盗賊のリーダーが絶叫し地面をのたうち回って転がる。

「ギャアアアァアアアアアアアア!」
「システィナ、アリサ!その場から離れて!」
「「スミエ!」」

 スミエが木の上から、盗賊のリーダーに矢を命中させたのだった。そして、カオリの姿は盗賊のリーダーの側には既になくアスカが抱きかかえていた。

「よくもあたし達の仲間をやってくれたわね」
「覚悟はできているんだろうね!」
「き、貴様ぁああああ!」

 盗賊のリーダーはスミエに後ろから狙い撃ちにされ、背中には矢が数本突き刺さっていた。盗賊のリーダーは矢を抜きもせず、アスカに突進攻撃をかましたのである。しかし、盗賊のリーダーはスミエの矢のダメージがあり、先程のようなスピードはなくただの突進攻撃だった。

「システィナ。カオリを頼む」
「きゃっ!」

 アスカはシスティナにカオリを渡し、盗賊のリーダーに向き合う。その瞬間、アスカの姿が消え盗賊のリーダーの目の前に現れた。

「カオリの仇・・・食らえ大絶斬!」
「ギャアアアァアアアアアアアアアアアアアア!」

 アスカの大絶斬は盗賊の両手を吹き飛ばす。そして、瞬時に盗賊のリーダーにポーションを振りかけたのだった。

「い、痛くない・・・お、俺の手がぁああああ!」

 アスカは、ショウのハイヒールポーションを振りかけ、盗賊のリーダーの出血を止め傷口をふさいだのだった。しかし、ハイヒールポーションでは吹き飛んだ両手は生えてはこない。

「お前は殺さない。人質にして色々と吐いてもらう」
「こ、殺せ!俺は何も知らな・・・うぐっ!」

 アスカは盗賊のリーダーの口に布を巻き付け、舌を噛み切らないようにした。そして、盗賊のリーダーを簀巻きにしてしまったのだった。そして、水蒸気爆発に巻き込まれて吹き飛んだのだ盗賊の部下の中にはまだ生きている者も何人かいて、その盗賊も簀巻きにしてしまった。

「後は必要ないな」

 アスカは必要のない半死半生の部下達がこれ以上苦しまないように介錯をしてとどめを刺した。そして、カオリを起こし盗賊のリーダーと部下の数人を引き連れて、家に帰還するのだった。



 そして、アスカ達が帰還するとショウが血相を変えてマートンの町から帰ってきた所にはちあわせた。

「システィナ、アリサ、カオリ無事だったか・・・」
「「ご主人様(主)・・・」」
「心配かけて申し訳ございません・・・」
「いや・・・お前達が無事なら構わないんだ・・・はぁはぁはぁ・・・」

 ショウとアユミは、マートンの町から全力疾走で帰ってきたみたいで、息が切れてまともに話せないでいた。その様子にシスティナ達は感動していたのだった。

「それでそいつが今回の首謀者か?」
「ウーウーウー!」
「「「「「ウーウーウーウー俺達は依頼されただけだ」」」」」

 盗賊の部下達は助けてほしいのか必死でショウに訴えかけているようだ。しかし、ショウは両手のないリーダーを睨みつける。

「ほう!お前は闇ギルドのアサシン暗殺者か?なんか、暗殺者には見えない風貌だな」
「!」

 ショウはその盗賊のリーダーを神眼で確認するが、地球でのアサシンのイメージが強いショウにとって盗賊のリーダーは山賊の方があっていた。

「あんたは暗器のタイラントの異名を持つロバートと言うのか?」
ウーウーウーウーお前何でそんな事まで!」
「俺に隠し事が出来ると思うなよ。お前は誰に頼まれた?」
ウーウーウーウーウー依頼主の事なら何があっても口は割らねぇ!」

 しかし、ショウには神眼で詳細がはっきり見えていた。神眼の恐ろし過ぎる鑑定能力は、ショウが聞いた事は人物紹介として詳細に説明がされる事にある。

●名前 ロバート(30) 男性
 闇ギルド五竜ウーロンの構成員。その身体に風竜フォンロンの入れ墨を入れている。二つ名は暗器のタイラントで格闘術と体術のスキルを持ち、神速を駆使した暗殺を得意とするが両手を失い、暗殺者としての戦闘能力は地に落ちたアサシン。依頼主は商人ギルドギルドマスターフィリップと商人ギルド幹部アラン、ナーガ、ダイン、マーチン、サモアの5人から依頼を受けるが失敗。ショウの捕虜となる。

 このように詳細がはっきり表示される。当然だが、レベルやステータス、スキルまで丸わかりになっていた。

「商人ギルドギルドマスターのフィリップと幹部連中か?想像通りの人物達だな・・・」
ウーウーウーウーウーウーウー何でわかるんだ!闇ギルドの依頼なんたぞ!」
「俺に隠し事は無理だと言っただろ?お前達はこれからマートンの衛兵に突き出すからな」
「「「「「「ウーウーウーウーウーやめろ!俺達は鉱山送りどころか打首になっちまう!」」」」」」
「どうせ、依頼に失敗したお前達に未来はこない。それなら商人ギルドの老害共を道連れにしてくれ」

 ショウ達は、ロバート達をマートンの町の衛兵に突き出す。衛兵達は魔道士のショウが現れた事に驚くが、事情を聞いて更に驚くのだった。

「嘘ですよね?本当にあいつらが闇ギルドのアサシンで指名手配犯の暗器のタイラントなんですか?」
「ああ。そうだと何回も言っているだろ。それに、あいつらに依頼を出したのは商人ギルドのフィリップだ」

 それを聞いて更に驚く衛兵達だった。その事はすぐに上司の部隊長から団長更に領主に伝えられて、魔導具鑑定にまで話が進みその事実が発覚した。

「衛兵団長!すぐに隊を出動だ!商人ギルドのフィリップとその幹部5人を逮捕せよ」
「はっ!」

 領主はその日のうちに、部隊を商人ギルドに出動させたのだった。そして、速やかにフィリップと幹部5人を逮捕したのだった。その噂はありえない事件として、マートンの町に広まったのだ。そして、マートンの町の領主から商人ギルド本部に遺憾の意を表明した。
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