氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

46話 商人ギルドの新たな出発

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 ショウは、商人ギルド本部の人間相手に一歩も引くつもりないと、損害賠償金の支払い期限の延長をキッパリと拒否したのだった。

「次ここを訪問する時は良い返事を期待しているからな。もしも、ベラの時みたいに嘘の報告をして、損害賠償金は待ってもらった等としていたらどうなっても知らんからな」
「ううっ・・・」
重ね重ねかさねがさね忠告しておくからな。もし仮に、1週間経っても音沙汰なしの場合、俺が商人ギルドマートン支部に訪れるから覚悟しなよ」
「くっ・・・」

 ショウに釘を差されて商人ギルドの人間は、ショウの私有地からマートンの町に帰されてしまった。

「ラーダ様・・・いったいどうするおつもりですか?」
「うるさい!あんなのは無視だ!」
「し、しかし・・・魔道士様に釘を差されたではありませんか?」
「だったらなんだ!マートンの領主様に払った損害賠償金は莫大だったんだ。これ以上ない袖は振れん・・・」
「で、ですが・・・相手は魔道士様ですよ?商人ギルドは今、かつて無いほどの大打撃を受けています」
「黙れ!いくら魔道士とはいえこちらは組織だ。組織に楯突いて個人が何ができる!こちらは時間がかかっても損害賠償は払うと言うんだ。払わないとは言ってない!それのなにが問題があるというんだ」
「ですが!マートン支部はその魔道士様個人に・・・」
「もう黙れ!これは決定事項だ・・・」
「そ、そんな!」
「だったらお前があの魔道士の損害賠償金を捻出出来ると言うんだな?」
「なんで私が!」
「お前などなんの役にも立たないのだから、要らぬ事は言わず私の為に働いてればよいのだ」
「ううっ・・・」
「まだ、何か言いたいのか?お前の代わりはいくらでもいるのだぞ」
「くっ・・・出過ぎた真似をしてしまい申し訳ありません」

 秘書の女性もまた、自分の立場を失いたくないのは当然の事であり職を失う訳にはいかないので、大人しく引き下がるのだった。そして、1週間が経ちショウの思った通り商人ギルド本部ギルドマスターのラーダは、ショウの家には訪問せず全ての厄介事をマートン支部に押し付けて、王都グシリアに帰還してしまっていた。これには、マートン支部は大慌てでなんとか損害賠償金の2割の金額を掻き集めていたが、ライネ達現場で働く従業員はショウの性格は思い知らされていたので、2割程度では話にならないのはわかっていたので頭を抱えていた。
 

 そんな頭を抱えていた中、商人ギルドマートン支部の扉が開くと、そこにショウと護衛のアユミが商人ギルドのホールに入ってきた。

「あっ・・・」
「「「「「「「「どうするのよ・・・」」」」」」」」
「あたしに聞かれても・・・」
「とにかく、上の人間に伝えないと・・・」

 商人ギルドの受付嬢や職員達は、ショウの姿をみて騒然となりざわめくのだった。

「ショウが来たとラーダに伝えてほしい」
「ちょっと誰か!責任者を呼んで来てください」

 ショウに声をかけられた受付嬢は冷や汗をかきながら、他の職員に声をかけるが誰も動かないのだった。その光景にショウはフウっとため息を漏らす。

「え~っと、ちょっと聞きたいが、ラーダはもういないと言う事でいいか?」
「あ、あの~その~・・・」

 ショウの対応をする受付嬢はなんとも歯切れの悪い返答を繰り返すのだった。

「落ち着いてくれないか?ほら、深呼吸して」

 受付嬢はショウの言う通りに深呼吸をする。すると落ち着きを取り戻す。そして、ショウに頭を下げるのだった。

「魔道士様申し上げにくいのですが、商人ギルドはただいま混乱してて責任を取れる状態ではありません」
「どういう事なんだ?ショウは商人ギルドに損害賠償を受け取りにきたんだぞ!」

 受付嬢の言葉に、アユミが憤慨して大きな声が商人ギルドのホールに響く。その声に受付嬢はもちろんギルド職員達は体をビクッと跳ね上げる。

「アユミ!そう怒鳴るな」
「でも・・・」
「多分、ラーダはもういないんだよ」

 それを聞いた受付嬢は目を見開き驚いた。そして、先程のアユミの大声で奥の部屋からライネが飛んできたのだった。

「ショウさん!申し訳ありません。損害賠償金が集まりませんでした」
「はぁ・・・やっぱりそうなったか」
「その・・・やはり待っていただける事はできないでしょうか?とりあえずお金をかき集めて二億ゴルド程納める事は出来るのですが、後八億は・・・いつになるかわからないのですが・・・」
「今、その金を俺に払えばライネさん達はどうなる?」
「一応・・・今の管理職は給料8割減、従業員達も同等に6割減となりボーナスも無くなります」
「「「「「「「えぇ~ええええええええ!」」」」」」」

 ライネの言葉に、ホールにいた職員の顔から血の気が引き絶望する。

「それでラーダの奴は?」
「この不祥事はマートン支部で起こった事なので私達に丸投げして、ギルドマスター早々に王都グシリアの本部に帰られました・・・」
「それで、マートン支部のギルドマスターは?」
「本来なら本部から新任のギルドマスターや幹部達が派遣されるのですがそれはないかと思います。おそらくですが損害賠償が片付かないと誰もマートン支部には来ないかと思い、現課長のダインが務めております」
「なるほどな・・・」

 その話を聞いた職員達はざわざわと話しあっている。このマートン支部は潰れてしまうのではないかと顔を青ざめている。それならば、このままギルドにしがみつくよりギルドを退職して、退職金を貰えるうちに貰った方が得なのではないかと考えるのだった。

「じゃ、今は払わなくていい!」
「はぁあ!?本当によろしいのですか?」
「今、商人ギルドにいる人間のトップは若手の人間だな?」
「は、はい・・・」
「役職に就いていた人間は?」

 ライネの説明では、専務や常務、部長の役職に就いていた人間はマートン支部を見捨てて、ギルドマスターのラーダと共に本部に家族と共について行ってしまったと言うのだ。
 役職の人間が家族と共に簡単について行けるとは思わないのだが、ライネの推測になるのだが役職の人間はラーダに袖の下を通したのではないかと言うのだ。

「賄賂を渡したのか?」
「多分・・・上の人間は、自分の地位を利用するのは普通ですからね。それぐらいの貯えは十分払えるはずです。それで自分達は他の町の役職を貰えるはずです」
「じゃあ、残ったのは賄賂が払えない職員だけって事か」
「はい・・・」
「まぁ、考えようによればやりやすくなったんじゃないか」
「それはそうなんですが・・・」
「それで、損害賠償金なんだが・・・」
「は、はい!」
「今のギルドマスター代理に会わせてほしいんだがいいか?」
「わかりました。こちらへどうぞ」

 ライネはショウとアユミを課長室に案内する。そこには顔を青くして、ここ数日ねていない事がわかるダインと係長や主任達が頭を掻きむしっていた。

「ご足労をいただき申し訳ありません。それでなんですがやはり、あれでは納得いただけませんでしたか?」
「そうではないんです。ダインギルドマスター代理!」
「ライネは少し黙ってなさい」
「ダインさん、今回損害賠償金は払わなくていいよ。待ってあげます」
「ほ、本当ですか?」
「その代わりの条件があります」
「「「「「えっ・・・」」」」」

 ショウは、ダイン達現場の責任の職員達に条件を説明すると顔に笑顔が戻るのだった。

「あんた達が責任を取る必要はないよ。これまでどおり、いや・・・上の人間がいないから当分はやりやすいだろ」
「た、たしかに」

 ショウの出した提案にギルド職員達は賛同し、ショウと握手を交わすのだった。それを聞いたホールで不安そうにしていた従業員達も笑顔となる。そして、ショウとアユミは私有地に帰る前に冒険者ギルドと生産ギルドに寄り、今回の事を説明して双方のギルドマスターに快く承諾してもらい家に帰ったのだった。

「ショウ本当にそんな事をしていいの?」
「ああ。構わないよ。にしても、ラーダの奴マートン支部に丸投げして本部に帰るとは思わなかったな」
「本当めちゃくちゃな組織だわ」
「だが、マートン支部に丸投げしてくれたのはラッキーだったな」
「これで今度は商人ギルド本部の上層部の無能が露見する事になるよね」
「ああ!面白い事になるぞ」

 ショウとアユミは、これからの事を考えると顔が緩むのだった。そして、後日ショウは商人ギルドに新たなポーションを納品する事になった。

「本当にこのポーションを?」
「ああ!これでマートン支部の売り上げは回復するだろ?」
「た、たしかに。本当にありがとうございます」
「だけど、わかっているよな?」
「はい!わかっています。今までは利権にまみれた上層部が仕切っていましたがその人間も今はいませんから大丈夫ですよ」

 ダインは、そのポーションを受け取りショウにその代金を支払う。商人ギルドはそのポーションを、冒険者ギルドに購入してもらう事になる。商人ギルドから納品されたポーションを見て、冒険者ギルドは目輝かせたのだった。

「これがストレングスポーションですか?」
「はい!冒険者が購入するのはプロテクションポーションより少し高くなりますが申し訳ございません」
「このぐらいなら十分許容範囲ですから、ベテラン冒険者なら飛ぶように売れますよ。大丈夫です」

●ストレングスポーション(ノーマル品質)
 効果 20分間腕力を2倍にする。

 ショウは、新たなポーションストレングスポーションを商人ギルドに買い取ってもらう事にしたのだ。買い取り額は七千ゴルド。冒険者が購入する時には一万ゴルド以上になるが、このポーションを使う必要があるのは5階層に潜れるベテラン冒険者なので余裕で購入ができるのだ。
 この事はすぐに、王都グシリアの商人ギルド本部の知るところになる。
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