氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

56話 商人ギルドからの訪問者

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 王都グシリア商人ギルド本部から、ラーダ達上層部の人間が責任を取って?退職した事で毎日が慌ただしくなっていた。そして、マートンの町には商人ギルドがなくなり混乱するかと思ったが、そうはならなく冒険者ギルドと生産ギルドが手を組み直接売買を行うことになった。そうして、お互い手を組み一ヶ月が過ぎた頃、王都グシリアから商人ギルド本部の人間達がショウに面会を求めてやってくるのだった。

「この度は時間をとっていただきありがとうございます。私は商人ギルド王都グシリア本部で、この度専務の役職に就いたランバといいます。どうぞお見知り置きを」
「ご丁寧にありがとう。方苦しい挨拶は苦手なんで容赦して下さい。俺は魔道士と言われているショウだ。どうぞよろしくお願いします。それで今日はどういったご要件で?」
「申し訳ございませんでした!」

 いきなり深々と頭を下げるランバに面を食らうショウだった。ショウはいきなりの事で焦りながらも、ランバに頭を上げるように言う。

「なんだよ。いきなりびっくりするからやめてくれ。それでラーダの奴とうとう音を上げたのか?」
「いえ・・・ラーダ達本部の上層部は全員商人ギルドを退職しました。そして、今は当時の課長だったマルクスがギルドマスターに就任いたしました」
「なんだ・・・ラーダの奴、ギルドマスターの地位をようやく手放したのか?」
「は、はい・・・それで今、商人ギルド本部は手のつけられないほどに荒れておりまして、立て直しの目処がつかないのです・・・」
「なるほどな・・・それで俺に立て直しの手助けを求めてここマートンまでランバさんがやってきたと言う事か?」
「はい。本当に今まで魔道士様にはご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。それでラーダ達上層部の人間はもういません。どうか商人ギルドを助けていただきたいのです」
「あまりにも都合が良すぎる提案だな!」
「それは重々承知しております・・・しかし、商人ギルドはもうどうにもならないところまで傾いております・・・どうか魔道士様の力をお貸しください。この通りです!」

 ランバとその部下達、また護衛をしてきた商人ギルド専属衛兵もソファから立ち、全員で土下座をしてくるのだった。

「おいおい・・・そんな泣き落としのような真似はやめてくれないか?」
「ううっ・・・」
「あんた達も商人ギルドの人間なら、俺にメリットのある交渉ぐらいしてくれよ」
「それがあれば土下座などせず交渉しております・・・」
「ふ~ん・・・そこまで窮地になっているんだ」
「はい・・・本来ならこんな事頼めない事も承知しております。しかし、このままでは商人ギルドの未来はありません」
「まぁ、俺は別に構わないけどな」
「「「「「「そんな事言わないでください!」」」」」」
「わっ!?びっくりした!いきなり大声を出さないでくれよ」

 ショウの言葉にランバの部下達が大声で反論する。しかし、ショウは冷静に言葉を続け話を進める。

「だが、俺からすれば商人ギルドには本当に迷惑を掛けられたんだ。しかも、マートンの町では商人ギルドは閉鎖しても何も問題はないと来たもんだ」
「そ、それは・・・」
「まぁ、商人達はこの町では手続きの問題で他の町までいかないといけなくなって不便になってしまったけどな」
「そうですよね。やはり、商人ギルドは必要ですよ。だからこそ、魔道士様には手助けをお願いしたいのです」
「俺は商人ギルドには登録してないし、手助けする義理はないよ」
「そこをなんとか!」

 ショウは、少し黙り込んでランバ達を睨む。その威圧感にランバはもちろんだが専属衛兵も背筋が凍る思いをした。

「一つ聞くが、俺が仮に商人ギルドを助けるとしてやる事はやはりポーションとアクセサリーを卸すと言う事であっているか?」
「は、はい!あの商品を卸していただけるだけでありがたいです!」
「数多くは無理だぞ?多分あんた達が思っている数は卸せんよ。それでも納得できるのか?」
「それはもう!」
「後、今のギルドマスターは誠実な人柄か?ラーダのような人間なら俺は協力せんからな」
「それは間違いなくラーダのような人間ではない事は私達が保証させて頂きます」

 ランバが言うには、マルクスと言う人物は今、商人ギルドを立て直そうと人事から見直していて、各町のギルドマスターや上層部の人間の聞き取り調査から始めており、ラーダのような考えの持ち主だった場合降格処分にしているとの事だった。

「しかし、俺はあんた達の事はまったく知らないからな。俺で調べさせてもらう。協力するかしないかはそれから判断させてもらう」
「しかし、それじゃ時間がかかるんじゃ・・・」
「そんな時間は掛からんよ。アリサ!ちょっと来てくれ」

 ショウはアリサをこの場呼んだ。そして、アリサに商人ギルドの内部事情を聞くと、マルクスの事は当然知らなかった。しかし、本部の内部も同じような事は聞いておりその人間が課長クラスの人間なら、上司に不満を持つ人間だったはずだと言い切ったのだった。

「なるほどな・・・それでアリサにも聞きたいんだがラーダ達上層部が居なくなったらしいんだが、商人ギルドの事は許せそうか?」
「あたしはもうどうでもいいです。今の生活の方が充実していますし楽しいので。それに、商人ギルドがまた以前のようになったとして困るのは商人ギルドの方だと思います」
「「「「「「えっ!」」」」」」

 アリサの言葉にランバ達が驚き声を漏らす。

「えってなんだよ。当たり前だろ?商人ギルドのマルクスと言う人物が今の権力者だ。その権力に目がくらみ利権を漁るようになってみろ。俺達は商人ギルドからすぐに手を引くからな」
「待って下さい!マルクスと言う人間はそんな事にはなりませんよ。ギルドマスターは部下達に慕われている人物なんですから」
「今はそうかもしれないが、人間は弱い生き物だからな。長年その地位に就いていれば誘惑はいくらでも落ちているものだ」
「そんな事は絶対ありえません!」
「口では何とでも言える事さ。まぁいいよ。アリサももうなんとも思っていないみたいだし、後三日時間を貰えるか?」
「三日ですか?」
「ああ。4日目の朝にまたここに来てほしい。その時までに商人ギルドに協力するかしないか決めるよ」
「そ、そんな・・・」
「また、協力する事になった場合、俺からの条件を伝えるからその条件が飲めると言うなら協力しようと思う」
「条件とは?」
「今はまだ決めてないからこれから考えるよ」

 ショウはランバ達にその条件を言わず、今日の所はマートンの町に帰ってもらった。そして、ショウは次の日に冒険者ギルドに向かってダインと会っていた。

「いきなり訪ねてすまんな」
「いえいえ。魔道士様には本当にお世話になりましたから元商人ギルドマートン支部の職員全員感謝してますよ。それで今日は何かあったのでしょうか?」
「いやな。昨日俺の家に商人ギルド本部の人間が訪問してきたんだよ」
「はぁあ!?あいつらまた性懲りもなく・・・」
「いや、それはそれとしてなんでも本部ではラーダ達上層部の人間全て、今回マートン支部が閉鎖した事の責任を取って辞任したらしいんだが知ってたか?」
「それは本当ですか?」
「本当らしい」
「ラーダが、ギルドマスターの地位を捨てたと言うなら少し不味い事になりそうですね」
「何か知っているのか?」
「あの金の亡者が利権を手放すって事は、商人ギルド本部は本当にどうしようもない所まできているという事ですよ。それにラーダ達に取ってギルド本部の利権など数ある利権の一つでしょうから、ギルドを切り捨てた所であいつらにダメージがあるとは思えませんね」
「数多くの利権?」
「あいつらは個人で商会を作っているんですよ。ギルドマスターの地位を使って、自分の商会に目玉商品を流して商会を大きくしたと言っても過言ではありませんよ。マートンの町にもあいつらの商会の支部があったはずですよ」
「本当にあいつらは自分の懐を肥やす才能はピカイチだな。本当に感心するよ」
「それで魔道士様はそれが聞きたかったのですか?」
「いや、そうじゃなく今、ラーダの後を引き継ぎギルドマスターに就任したのが、マルクスと言う人らしいのだがダインはマルクスと言う人間は知っているかな?」
「マルクスが今のギルドマスターなんですか?」
「ああ。昨日訪問してきたランバさんが教えてくれたんだ」
「ランバが今、マートンの町に来ているのですか?」
「ランバさんも知り合いか?」
「そうです。あいつらとは同期でいい奴らだったんですよ。特にマルクスは、私よりも若いが頭の切れる奴で正義感の強い奴でしてね」
「そうなのか?今日はそのマルクスの事が聞きたくてダインさんに会いにきたんだよ」
「なるほど!マルクスの事を聞いて商人ギルドの手助けをするのですか?」
「ああ・・・しかし、マルクスの事はまったく知らないからな。どういう人間性かわからなかったんだ」
「その辺は安心して大丈夫かと思いますよ。ラーダ達上層部の人間と正反対の人間ですからね。多分あいつが本部のギルドマスターとなれば、商人ギルドの内部改革を真っ先にやるような人間ですからね」
「確かにランバさんも各町の上層部の聞き取り調査をしていると言っていたかな」
「まぁ、あいつが本部のギルドマスターになったなら、商人ギルドは生まれ変わると思いますよ」

 ショウはダインに、マルクスがギルドマスターになった場合欲にまみれないかとあえて聞き直すと、ダインはそれを聞いた途端大笑いした。そして、マルクスが欲にまみれ仮に汚職に手を染めたなら、多分そいつは別人の誰かだと言い切って笑い飛ばしたのだった。

「あいつに限ってそんな事はまずあり得ませんね」
「そんな言い切って大丈夫なのか?」
「ええ。あいつ程ラーダに歯向かって本部で課長にまで登りつめた人間は知りませんね。部下達にも信頼されていましたからね」
「そうか・・・あんたがそこまで言うなら間違いなさそうだな」
「まぁ、あいつに限っては欲にまみれる事はないですよ。これは言い切れますよ」
「そうかわかったよ。なら、俺もその方向で考えてみようと思う」

 ダインはショウの言葉に頭を深々と下げ、商人ギルドの事を頼みますと言うのだった。
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