氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

文字の大きさ
59 / 70
第1章 レアスキルは偉大

58話 精霊と契約し、レジェンド級のアイテム

しおりを挟む
 システィナがオアネドと契約を済ませると、ダンジョンの中でオアネドが道案をしだす。

『システィナこっちじゃ・・・』
「オアネドどこに行くの?」
『こっちにいい鉱石があるんじゃよ』
「わ、わかった・・・ご主人様、こっちに珍しい鉱石があるみたいです」
「そうか!じゃついて行こう」

 ショウ達は、オアネドの後についていくとそこは生産者達がまったくいない場所だった。

「へぇ!こんな場所がまだあったなんてな・・・」
『ここじゃ・・・ここを掘ればいい物がでるぞい!』
「ご主人様、オアネドがここを掘ればいい物が出るって言ってます」
「ここからは俺の出番だな」

 ショウはオアネドの言った場所を時空間倉庫に収納する。その画期的な採掘方法にオアネドは両手を上げて喜んでいるようだ。

『どうじゃ?いい物があったじゃろ?』
「こ、これは凄い!」
「ご主人様、どうしたのですか?」
「ダイヤモンド鉱石じゃないか!」

 ショウは時空間倉庫に収納された岩石を確認すると、鉄鉱石や魔鉱石に混じっているダイヤモンド鉱石があるのにびっくりした。

「オアネド!あんた凄いな」
『ワシにかかれば朝飯前じゃよ!』

 当然、ショウにはオアネドの言葉は聞こえなかったので、システィナが通訳をしてくれた。しかも、このダイヤモンド鉱石は魔力を帯びていた魔宝石の原石とわかる。
 魔宝石とはなかなか見つからない物であり、宝石の原石が永く見つからず地中で魔力を蓄えた宝石である。宝石は貴重品のアクセサリーとして貴族から人気があるが、この魔宝石はマジックアイテムの素材としての価値があるのだ。

「この魔宝石の原石は帰ったら、生産ギルドに持ち込んで研磨をしてもらわないといけないな・・・」
「ご主人様・・・オアネドがダイヤモンド鉱石の原石を貸してくれと言ってます」

 ショウは理由も分からないが、鉱石のエキスパートであるオアネドにダイヤモンド鉱石を渡すと、オアネドの手のひらでダイヤモンド鉱石が加工されていく。実は、ショウにとってシスティナとオアネドの存在はありがたいものだった。魔宝石の加工をしてもらおうとしてもマートンの町にはいないからだ。
 魔宝石の加工技術を持つ人間やドワーフのほとんどは王宮生産者だからである。それほど高い技術が要求されるものだからだ。
 ちなみに、オアネドのように辺りを付けて魔宝石の原石を採掘ができるようになるのは、少なくとも60レベルは必要と思ってもらった方がいいのだ。

「「凄い!」」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 ショウとシスティナにはオアネドの姿が確認できているがアリサやアユミ達ホムンクルスにはオアネドの姿が見えないのでダイヤモンド鉱石が宙に浮き加工されていくのが確認できていた。
 そして、その加工は10分間程度で完了し、あの硬いダイヤモンド鉱石が綺麗な宝石となっていた。しかし、この宝石研磨はブリリアントカットのようなものではなく、つるつるに丸くした物である。

「こいつは本当に凄い」
「ホント綺麗・・・」

 ただ、オアネドはダイヤモンド鉱石を加工した途端疲れて腰を下ろしていた。

「オアネド大丈夫?」
『ちょっと疲れただけじゃ。すぐに魔力は回復するから大丈夫じゃよ』
「そうなの?あんまり無理しちゃ駄目だよ」
『ありがとな』

 オアネドの言った通り、ここは採掘場の為土がいっぱいある場所だ。その為、オアネドの魔力はすぐに回復してしまった。その回復スピードは驚異的でショウの回復スピードより早い感じだった。

「オアネドって凄いですね。もう元気になりましたよ」
「精霊はその土地の環境で随分変わるみたいだな」
「そうですね。ドライアドも森では精霊魔法を使いたい放題ですものね」

 システィナ達が、暗器のタイラントであるロバートに襲われた時、その場所は森の中だったので木属性魔法を際限なく使えた事で被害が最小限に抑えられたと言っても過言ではなかった。
 つまり、ここはフィールドエリアだがダンジョンの中で洞窟の中である。その為、オアネドにとって最高に居心地の良い場所というわけだ。

『もっとダイヤモンド鉱石を貸すのじゃ。全部宝石としての価値を上げてやろう』

 システィナはショウにオアネドの言葉を伝えて、ショウからオアネドにダイヤモンド鉱石を渡すと加工してくれるのだった。

「この魔宝石のダイヤモンドを使えばとんでもないアクセサリーができそうだな」
「ねぇ。ショウ!」
「アユミどうした?」
「そのアクセサリーはいくらで売るの?」
「ああ・・・このダイヤモンドを使ったアクセサリーは販売はしないよ」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「当然だが、このダイヤモンドは魔宝石だからアユミ達に使って貰うつもりだ」
「「「「「「「「本当に!?」」」」」」」」」
「それに魔宝石のアクセサリーに使う金属はミスリル装備じゃないと効果が最大限に引き出せないしな。そうなれば価格も跳ね上がり購入するのは貴族ぐらいだろうしな」
「な、なるほど・・・」
「だったらその装備はアユミ達が有効活用した方がダンジョンの最深層に近づける!」
「「本当に最深層が目標なんですね」」
「システィナはレベルが上がってオアネドと契約できたばかりだろ。嬉しくなかったのか?アリサだってこのまま行けば31レベルになれるんだぞ?」
「「ただダンジョンの最深層は怖いです」」
「いいか?このダイヤモンドで使って製作されたアクセサリーの効果は絶大だ。当然、システィナとアリサの分も作るつもりだ」
「「本当ですか?」」
「当たり前だ。戦闘スキルがないのに装備がなかったら自殺行為そのものじゃないか」
「「た、たしかに・・・」」
「だから、心配するな。カホとイチョウが護衛をするし、俺はお前達の装備品で護るから安心してろ」
「は、はい!」

 ショウはそう言って、システィナとアリサを安心させた。そして、今回も大量の魔物の素材や薬草と鉱石をダンジョンから持ち帰ったのだった。



 家に帰って早々ショウは、魔宝石を使ってアクセサリーを製作した。ショウは合成を使い魔鉄をミスリルまで昇華させてミスリルリングを製作。そして、魔宝石のダイヤモンドをミスリルリングと錬成する。出来たプロテクションリングの形状は、ミスリルリングに丸くカットされたダイヤモンドが埋め込まれてるシンプルなデザインだ。
 何故ショウがこういったデザインにしたかというと、戦いの最中にダイヤモンドが外れないようにしない為である。

●プロテクションリング(最高品質)ミスリル製
 防御力+150 売値2000万ゴルド

「ま、まじか・・・こんな物ができるなんて!?」
「こ、これは凄い!」

 アリサも鑑定スキルで確認していて冷や汗が止まらないようだった。

「ご主人様・・・これは国宝級のアイテムですよ」
「だろうな・・・それでもこのリングはエピッククラスだからな」
「いえ、これはアーティファクトに限りなく近い物ですよ」
「「「「「「「凄いアイテム・・・」」」」」」」

 その効果を聞いたアユミ達は目が点になるのだった。それも当然で、このクラスのマジックアイテムは多分だがブリガンダイン城の宝物庫に眠っているようなお宝なのである。

「こいつはアユミが装備しな」
「本当にいいの?」
「「「「「「いいなぁ・・・」」」」」」
「みんなの分はまた改めて作るから安心しろ」
「「「「「「はい!」」」」」」

 そして、プロテクションリング(最高品質)は全員の分ができる。そして、ショウはみんなにミスリルリングを渡していく。最後はシスティナにミスリルリングを渡そうとする。

「おい・・・何をしている」
「何ってご主人様からミスリルリングを着けてもらおうと思って・・・」
「「「「「「「システィナばっか狡い!」」」」」」」
「みんなはもうもらったじゃない」
「「「「「「「うっ・・・」」」」」」」
「システィナ、なんで左手の薬指を出す?」
「だって、愛するご主人様から指輪を貰うとなれば薬指に決まっているじゃないですか」
「システィナ・・・お前は死にたいのか?」
「そんなぁ!どうせ着けてもらえるなら」
「なんで左手の薬指に着けさせようする・・・」
「そんな拒否しなくてもいいじゃないですか?」
「違う!こういった場合、右左はどちらでもいいが薬指じゃなく中指じゃないと、プロテクションリングの効果の恩恵は貰えないと言っているんだ」
「嘘!?」
「本当だ!薬指に嵌めてたら防御力+150の恩恵は貰えないと言っている」

 ショウの言葉に、アリサ以外は顔を真っ赤にして中指に着け直している。

「まったくお前達はしょうがないな・・・」

 この世界の指輪の装備個数は最大2個となり、装備する箇所は中指と決まっていた。これは、中指が脳と直結しているとされ脳が活性化するとされていたからだ。つまり、システィナが薬指に着けさせようとしたが、それでは単なるアクセサリーとなり意味がまったくない事になるのだ。
 ちなみに、マジックアクセサリーの装備、個数は中指に2個・イヤリング2個・ブローチやアミュレットが1個・髪飾りが1個がスタンダードとされていた。例外はいくつかあるが普通は計6個とされている。

「そ、そんな馬鹿な・・・」
「馬鹿はお前だ・・・薬指に着けていたらシスティナなんかじゃ3階層で魔物に殺されてしまうんだぞ」
「それは嫌です!」
「じゃあプロテクションリングは中指に装備しな」
「わ、わかりました・・・じゃあ、か・・・」 
「言って置くが代わりになる指輪は製作しないからな」
「ご主人様のケチ!」
 
 システィナは薬指に嵌める指輪をもらおうとしたが、ショウは被せ気味に作らないと言うと、システィナは拗ねてしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

処理中です...