氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第2章 新たな商売

39話 子供達の引き取り先

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 ショウは子供達に町までどのくらい歩くのかと尋ねられた。ショウは子供達を怯えさせないように優しく説明をする。

「マートンの町までは大人の足で30分くらいで着くよ」
「嘘だぁ!この場所はマートンの町から相当南に位置する場所にあるはずだぜ」

 子供のなかには、もうすぐ成人する14歳となる男の子がいた。その子がそんな事を言うと、年下の子供達はげんなりする。

「まぁまぁ、普通に行けば君の言う通りマートンの町までは馬車でも三日はかかる距離だよ」
「そうだろ?俺だってここに連れてこられた時、父さんから村の位置を聞いた事があるからな」
「君は賢いな。ただ、それは普通に旅をした場合だ。俺には裏技があるからそのルートを使う」
「そんなルートがあるのか?」
「まぁ見ていてくれ。時空の扉よ。その場所に開け。ゲートトラベル!」

 ショウが、時空間属性魔法のゲートトラベルを使う。すると、時空の扉が出現し扉が開くと扉の向こうには別の場所が開かれた。

●ゲートトラベル
 時空間属性魔法の使い手が50レベルになると覚える魔法。時空の扉を出現させ、大人数で瞬間移動が出来る。
 瞬間移動先の場所は、ルーン晶石に記憶させた場所となり、一度その場所に行きルーン晶石にマークで記憶させなければならない。

 子供達は時空間の扉をくぐり、ショウの私有地に瞬間移動する。アスカ達は気絶した犯罪者達を時空間の扉に投げ入れる。犯罪者達は全員で100名近くいたが全員放り投げ滞りなく移動出来た。

「「「「「「すげー!」」」」」」

 子供達は全員別の場所に出られて興奮する。そして、ショウは私有地でまず腹ごしらえをする為、子供達に肉串を出す。子供達はその大量のご飯に目を輝かせた。

「「「「「「「わーい!お肉のご飯だ!」」」」」」」

 子供達は囚われていた時、一日一回黒パン1個とお湯のような芋が少しだけの味の無いスープだけだった。その為、味の濃いお肉と具沢山のスープに満面の笑顔でおかわりをしたのだった。

「おかわりはいっぱいあるからいっぱい食えよ。アリサどんどん作ってくれ」
「わかりました」

 そして、ショウは先程の14歳の男の子に質問をする。

「ちょっと聞きたいんだがいいかな?」
「なんだ?」
「食べながらでいいから聞いてほしい。君達は、闇ギルドに誘拐されて訓練を受けていたんだろ?」
「そうだよ。俺は剣の修行をさせられていた。アイツは槍だったかな?それにあの女の子は投擲武器で一日に1000回命中させるまで投げさせられていたよ」
「辛かったな・・・」
「ああ・・・俺は素振りをやめたらムチでしばかれたからな」
「その修行の内訳はやはりスキルの関係か?」
「そうだよ。俺は剣術のスキルがあったから剣の修行をさせられたんだ」
「それでだな・・・何で君達は隷属の首輪をさせられてないんだ?あの女の子だけ隷属の首輪をつけられていたんだよ」
「あ~それはあの女の子はスキルがテイマーだったからだよ」

 男の子が言うにはテイマーは使い物にならないスキルだから、奴隷に落とされ人身売買されるところだったらしい。多分だが人身売買となり、たちの悪い貴族か悪徳商人に売られるしかなかったとのこと。
 そして、訓練させられる子供達には隷属の首輪をつけられなかった理由は、訓練に耐えられなかった子供があまりにも多いので、死んでしまえば隷属の首輪が無駄になるのでつけられなかったとのことだった。

「それにしてもテイマーは使い物にならないのか?」
「おじさん知らないのか?」
「テイマーって動物や魔物を調教させる事ができるんだろ?立派な役立つスキルじゃないか?」
「いやいや、テイマーは動物でも小動物だけしかテイム出来ないじゃないか。馬をテイム出来れば一人前だが、それだってレベルが30はほしいって噂だぜ?」
「な、なるほど・・・」
「つまり、ウルフですらテイムするにはそれなりにレベルがいるが、テイムするには弱らせるほどの武力がいるがそんな武力があれば直接討伐した方が早いだろ?」
「な、なるほどな・・・」
「つまり、あの女の子は奴隷になって売られるしかなかったのさ。俺達が生き残れたのは運が良かっただけだった」

 男の子の説明では、テイマーは戦闘では役立つスキルではない。その人物が農家ならば牛やロバに言う事を聞かせたり、馭者になり馬車の操縦を滑らかにしたりする生活で活かすスキルだと言われた。間違っても魔物をテイムし戦闘に生かすような事は無理だと言われたのだった。
 動物なら普通に調教する事はできるが、野生動物や魔物を前にテイムするには、その動物や魔物を弱らせ立ち向かってこられないようにした上で、スキルを発動しなければならない。しかも、馬でさえ30レベルは必要となり、魔物をテイムするにはそれ以上のレベルが必要になるのだ。
 過去にゴブリンをテイム出来た人物がいたのだが、ゴブリン一匹では大した戦力にもならず、ゴブリンの餌代だけが高くついて役に立たなかったそうだ。

「教えてくれてありがとうな」
「いや、おじさんこそ俺達を助けてくれてありがとう」

 男の子は笑いながら肉串を頬張り美味しそうにお腹いっぱいに食べるのだった。そして、子供達がお腹いっぱいになり満足した所で全員で、マートンの町に向かう事になった。

「と、止まれぇ!いったいこれは何があったんだ」

 マートンの町の城門警備兵は何十人も子供達だけできた事にびっくりして停止させた。

「あ~悪いな。マートンの町でこの子達を保護してほしい」
「えっ!魔道士様じゃないですか?これはいったいどういう事ですか?」

 子供達の後ろからついてきていたショウの姿を確認した城門警備兵がショウに質問をする。

「ここから南に位置する廃村で闇ギルドの隠れ家を見つけたんだよ。コイツラはこの子供達を誘拐した犯罪者達だ」

 ショウ達が子供達の後ろからついてきていたのは、犯罪者達を大八車に乗せて引いてきたからだ。簀巻き状態で大八車に乗せられた犯罪者達が山積みにされていた。

「ちょっとお待ちください!隊長を呼んで来ます」

 城門警備兵はすぐさま兵舎に飛んでいき、隊長を連れてくるのだった。

「ま、魔道士様!闇ギルドのアジトを壊滅させたというのは本当ですか?」
「その話は後だ。それより子供達の方を先に手続きしてやってほしい」
「ああ!そうか。それではこちらに」

 ショウは子供達が孤児院や、まだ村が残っていれば、村に帰す手続きを取る。衛兵達も闇ギルドのやり方に憤りを隠せないでいた。

「くそぉ!子供達になんてことを!」
「隊長。我々は悔しいです」
「ああ・・・それもこれも魔道士様のおかげで子供達も救い出せた」

 そう言って部隊長はショウに深々と頭を下げたのだった。そして、ここで一つ問題が起こる。隷属の首輪をはめられた幼女である。
 この幼女の名はヒナタと言う。この世界では珍しくショウと同じく黒髪黒目のヒューマン族だ。スキルは3つも持つ優秀な人材だが残念な事にテイム関係である。

「何かあったのか?」
「ああ・・・彼女は奴隷に落とされているから奴隷商人の預かりとなるんだよ」
「はぁあ!?ヒナタも孤児院に入れてやってくれよ。何で出来ないんだよ!」
「無茶を言わんでくれ。これがルールなんだから我々にはどうにも出来ないんだよ。わかってくれ・・・」

 ショウはヒナタを見つめて眉をひそめる。そういえば、システィナやアリサも奴隷に落とされた時、解放出来なかったのを思い出す。まぁアリサは借金奴隷だから少し状況が違ってはいたが。

「おじちゃん。どうしたの?」
「ヒナタ・・・申し訳ないんだがお前は特別奴隷だから奴隷商人の預かりとなるんだよ」
「いやっ!あたし、おじちゃんと一緒がいい!」
「そう言うな。奴隷商人の預かりとなり両親のもとに帰してもらえるんだぞ?」
「無理・・・あたしはひとりぼっち・・・」
「どういう事だ?親はいないのか?」
「うん・・・父ちゃんはあたしに隠れていろって・・・だから、隠れていたけど次の日に父ちゃんも母ちゃんも村の人達が動かなくなってた」

 それを聞いて、衛兵達も村は盗賊達に全滅させられたんだと理解してなんとも言えない表情となる。

「そういう場合はどうなるんだ?」
「大抵は、子供のいない貴族の屋敷に向かい入れられたり、商人の子供となり商売のいろはを教わり従業員として・・・」

 そこまで言うとヒナタは、ショウにしがみつき泣き出してしまう。

「やだぁ!あたしおじちゃんと一緒がいい!」
「あの魔道士様、もう一つ選択肢があるのですが・・・」
「ったく・・・やっぱそれしかないのかよ」

 システィナの時と同じく、ショウがヒナタの主人となることが決定した。

「ヒナタ、もう一つ選択肢がある」
「ヒック!な、な・・・ヒック!に?」
「ヒナタの主人が俺になる」
「えっ!?」
「だから、ヒナタは俺の奴隷に」
「なる!あたしおじちゃんの奴隷になる!」

 この世界で奴隷の知識は小さな子でもわかるほど知れ渡っている。当然、5歳であるヒナタもその例外ではなく、ショウの奴隷となれば一緒にいられることを理解して目を輝かせる。

「わかった。ヒナタは俺が引き取るよ」
「そうですか!」

 衛兵達もこういった現場ではいつもやるせない気持ちになるので、ショウが引き取るといい内心ホッとしていたのだった。
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