氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第2章 新たな商売

40話 ヒナタのスキル

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 ショウは子供達の引き取り先が全員決まり安堵する。孤児院は町の公営であり、領主から補助金が出てしっかりしていて安心できる場所であった。

「それでなんだが闇ギルドの連中はどうなる?」
「心配しないでください。奴らはもれなく犯罪奴隷になり鉱山送りで死ぬまで強制労働ですよ」
「そうか・・・」
「何か不都合でも?」
「いや・・・奴らのやった事は決して許される事はないんだがな・・・アサシンの中には子供の頃に誘拐されて無理矢理暗殺者にされた奴がいると思うとな・・・」
「そう言うとやるせない気持ちになりますが、奴らのやった事は決して許されるものではありませんから!」

 衛兵達はそんな事は重々承知していることである。薄情かもしれないが、そこまで気を回していれば自分の精神が病んでしまうので考えないようにしていたのだ。

「それはそうと魔道士様。今回は闇ギルドのアジトを壊滅させた事で後日領主様から報奨金が出るかと思いますので、領主様との面会に応じていただきたい」
「はっ?領主様と面会?面倒くさいし嫌だよ」
「なんてことをおっしゃるのですか!いくら魔道士様と言えど不敬です」
「悪い悪い・・・しかしなぁ、俺は賢い場所は苦手なんだよ」
「そう言われても、領主様からの御礼を断るなとあり得ない事ですよ!」
「出来たらギルド経由でお金だけ振込んでほしいくらいだよ」

 ショウの言葉に、部隊長は言葉を失い開いた口が塞がらなかった。そして、部隊長はこんこんとショウに言い聞かせるのだった。

「絶対領主様の呼び出しには応えてくださいよ」
「わかったよ」
「必ずですよ」

 そして、ショウは子供達に何度も御礼を言われて泣き出す子供達までいた。子供達はこれから親のいない生活が待っているが、時々孤児院に顔を出す約束をして別れた。

「さてとヒナタ。本当に俺についてくる覚悟はあるんだな?」
「うん・・・」
「わかった。じゃあ奴隷商会に行って契約を結ぶか」
「はい!」

 ショウ達はこのまま奴隷商会に行き、ショウはヒナタと奴隷契約を問題なく結んだ。

「さてと、家に帰るか」
「「「「「「「はい!」」」」」」」

 ショウ達はそのまま冒険者ギルドには寄らず、私有地に帰る。

「ヒナタ。ちょっといいか?」
「はい。ご、ご主人様・・・なんですか?」
「なんだよいきなりどうした?」
「あたしはご主人様の奴隷だから・・・それに、システィナさんやアリサさんもご主人様って」
「ああ・・・そうだったな。システィナ達にももうご主人様はやめろと言っても聞かないからな。ヒナタ、お前はご主人様と言わなくていいよ」
「だ、だけど・・・」
「俺はシスティナ達にも言っているが、ヒナタも奴隷とは思ってないからな」
「えっ・・・」
「お前達はみんな俺の家族だからご主人様なんて言わなくていいよ。呼びやすい言い方でいいよ」
「本当にいいの?」
「かまわないが、あまり突拍子のないもので頼む」
「じゃあ、父ちゃんで」
「はぁあ!?何で父ちゃんなんだよ」
「だって家族だから」
「あっああ・・・そうだな・・・」
「ショウの負け。父ちゃんだって!」
「アユミうるさい!」

 ショウの負けとなり、みんな大笑いする。ショウはヒナタに父ちゃん呼びからおじちゃんに変えないかと打診するが、駄目だった。

「ご主人様。父ちゃん呼びでよかったじゃないですか?」
「はぁあ!?アリサ何がいいんだよ。俺は嫁さんもいないし結婚すらしてない独身なんだぞ」
「しかし、ヒナタは5歳児ですよ。ヒナタの父ちゃんなら年齢的に20歳から22歳。しかし、ご主人様は40歳、本当なら祖父・・・」
「わぁああああ!やめろやめろ!俺はまだ働き盛りだ。隠居する年じゃねぇ!ヒナタ、父ちゃんで頼む」
「うん!」

 慌ててヒナタに父ちゃん呼びを承諾するショウに、アリサ達全員が大笑いするのだった。

「ごほん!それでヒナタお前にもこれからレベルを上げてもらうからな」
「「「「「「「えぇ!」」」」」」」
「ショウ!ヒナタはまだ5歳児なんだよ。無茶苦茶言うなよ」
「アユミうるさい。無茶苦茶なんか言ってない」
「父ちゃん・・・レベルを上げないと捨てられる?」
「捨てるわけないだろ。お前は俺の家族だからな。だが、俺達は冒険者だからお前にも同じようにダンジョンに潜ってもらうつもりだ」
「はぁあ!?旦那様それは無茶苦茶だ」
「アスカもうるさい。何もすぐとは言ってないだろ?それに俺達は闇ギルドに狙われているからな。レベルを上げないとまずいじゃないか」
「それはそうだけどよう・・・」
「それにヒナタにはテイマーとして活躍してもらうつもりだ」
「「「「「「「テイマーとして?」」」」」」」
「しかし、テイマーはあまり戦闘に役には立たないかと・・・」
「それは、世の中の常識として根付いている悪癖だ。俺はテイマーは最強スキルだと思っている」
「「「「「「「テイマーが最強スキル?」」」」」」」
「父ちゃん・・・テイマーが最強スキルなの?」
「ヒナタ。もしお前に魔物を調教する事ができたらどうだ?」
「だけど・・・昔、父ちゃんと母ちゃんに言われたよ。魔物なんか調教する事なんかできないし、出来ても馬ぐらいで畑を耕すには便利かもしれないって」
「それは世間の常識だ。もし、ヒナタがドラゴンをテイム出来たらどうする?」
「「「「「「「えぇ~!ドラゴンを!?」」」」」」」
「お前達うるさい!」
「「「「「「「だって・・・」」」」」」」
「あたしにドラゴンがテイムできるの?」
「絶対とは言えない」
「「「「「「「なんだ・・・」」」」」」」
「しかし、そんな事を試した人間はいないだろ?テイマーが100レベルになれば不可能じゃないかもしれないだろ?」
「あたしが100レベル?あたしなる!父ちゃんと一緒になる」
「よく言った!ただし無理はするなよ。冒険者は命第一だからな」
「わ、わかった!」
「というわけで、お前達がヒナタを守ってほしい」
「「「「「「「えええええええぇ!」」」」」」」
「なんだ?嫌なのか?」
「ショウ!いくら何でも5歳児にダンジョンは・・・」
「だから、ダンジョンとは言ってないだろ?まずは、森の中の魔物の間引きからだよ」
「そ、それなら楽勝か・・・」
「当たり前だ!それにヒナタにもプロテクションとインビジビリティリングを渡すしな。全然大丈夫だ」
「まぁそれなら・・・」
「アスカ、ヒナタをあまり甘く見ない方がいいぜ」
「甘く見るも何もヒナタはまだ・・・」
「いつまでそんな事が言えるのか楽しみだな。多分、アスカはヒナタに勝てなくなるのが俺には目に見える」
「はぁあ!?いくら旦那様でもそれは言い過ぎだぜ!」
「アッハハハ!アスカ、確かにお前は俺達の中で一番レベル高いよ。だが、もしヒナタが魔物をテイム出来た場合を考えるんだな。どうなる?」
「うぐっ・・・だけどそれはたられば話だろ?」
「いや、俺は確信しているぜ。神様が神託の儀で与えるスキルに底辺や使い物にならないスキルがあるわけないってな」

 ショウはヒナタに与えられたスキル【テイマー】がどれだけ優秀かを、神眼で鑑定して慄いていたのだ。
 ヒナタのステータスには【テイム】【生物学】【魔獣医学】の3つがあった。

●テイム
 どんな動物や魔獣でも調教テイムし獣魔にする事ができる。

●生物学
 どんな動物や魔獣の生態を鑑定し、従魔となった生物の暮らしの安定を確保できる。調教テイムの成功率が上がる。

●魔獣医学
 動物や魔獣の病気や怪我を厩舎空間で治療する事ができる。

 ショウはヒナタのステータスを見て、他のテイマーとは違うと確信したのはテイムの説明だ。多分、テイマーの数が少ないので想像となるが他のテイマーはテイム(鳥)とかの注釈がついているはずだ。
 これはアリサの鑑定(アイテム)と同じように限定的なスキルだ。だが、ヒナタのテイムにはそれがない。つまり、レベルさえ上げてしまえば魔物をテイムできると確信したのである。
 また、生物学もテイマーには必須スキルの一つだ。生物学を持つ事で、テイムした従魔の信頼性が維持できる事になり、従魔からのヒナタの支持が高まり命令を聞いてくれる事になるのだ。
 そして、最後に魔獣医学だ。厩舎空間を創り出せるという事だ。これはアリサがテイムした従魔を入れておける空間だ。つまり、自分の時空間倉庫の厩舎バージョンである。魔獣が怪我をした場合、主人はポーションだよりで治療するが病気になった場合、死亡率が跳ね上がるがこの魔獣医学で治す事ができるのである。
 こんなテイマーに特化したヒナタが役に立たないわけがないとショウは確信する。

「ヒナタ、まずは無理のない範囲でレベルを上げるんだ」
「うん・・・わかった。父ちゃんを信じる」
「アスカお前も小さなテイマーに負けないように頑張れよ」
「あたしが反対にヒナタを護ってやるんだかな」
「アスカお姉ちゃんありがと」
「お、お姉ちゃん・・・」
「だってみんな家族だから・・・」
「そっか!そうだよな。ヒナタはあたしの妹だ。これからよろしくな」
「うん!」

 ヒナタとアスカを見てみんな朗らかな感じになるのだった。
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