氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

10話 チュータの進化

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 ヒナタが絶叫し悲鳴を上げていた。その悲鳴に群がるアンデッド集団。ショウ達はダンジョンの3階層に来ていた。

「父ちゃん怖いよ!」
「ヒナタ大丈夫だ。落ち着け」
「やだやだやだ!」
『グオォオオオオオオオオ!』

 ショウ達に迫りくる魔物はゾンビだ。人肉を求めゆっくり近づき襲い掛かる魔物の姿は、ヒナタにとってトラウマ級の恐怖でしかなかった。

「いやぁ!口がめくれ上がってる!目が無いよぉ……」
「ヒナタ!ゾンビやスケルトンは叫ぶと音に反応するんだ!まずは静かにしないといけないんだ」
「ぐふっ……」

 ヒナタの悲鳴に群がるアンデッドは、アユミ達がザッパザッパと叩き斬る。

「ヒナタがあたしの役割をしているみたいね」
「アユミ!冗談が過ぎるぞ」

 ショウはアユミの冗談を窘めるが、確かにゾンビの気を惹きつける姿はアユミの本来の役割だった。

「ほら!よく見てみろ。チュータも頑張っているぞ」
「ううっ……」

 チュータも頑張ってゾンビをヒナタに近づけないように盾になっていた。しかし、チュータは軍隊ネズミでありそんな強い魔物ではなく怪我をしまくっていた。

「チュータ……」
『チュー!チュー!』

 チュータはヒナタを元気づける為ガッツポーズをとる。しかし、ゾンビに囲まれてダメージを負う。

「チュータ!」

 しかし、ダメージを負った瞬間、アユミ達がチュータを囲むゾンビを斬る。そして、アリサがチュータをポーションで回復させる。その繰り返しでゾンビ集団は討伐されるのだった。

「どうだ?」
「怖かったよぉ……」
「まだまだこんなもんじゃないから慣れていかないとな」

 しかし、ヒナタのレベルは30レベルに近づく勢いだった。30レベルはヒューマン族の平均レベルより高く、5歳児のヒナタでこのレベルは快挙といえよう。
 そして、ショウはゾンビから取り出した魔石は全てチュータに与えたのだった。これは、魔物は魔石を取り込む事で進化するからである。本当は軍隊ネズミの魔石が効率がいいみたいなのだが、他の魔物の魔石でも効率は落ちるが問題はないようだ。

「チュータもレベルアップしないといけないからな」
『チュー!』

 チュータは魔石をバリボリと食べていると、グンッと一回り大きくなる。

『チュー!』

 一回り大きくなったチュータを鑑定すると、軍隊ネズミから軍隊長ネズミに進化していたのだ。
 軍隊ネズミは兵士的立場であるが軍隊長ネズミになるとその下に自分の部下の軍隊ネズミを従える事が出来るようになるのである。しかし、従える軍隊ネズミは自分で見つけないといけない。従える軍隊ネズミは戦いを挑み勝てば自分の部下になるようで、従える軍隊ネズミは30匹までである。

「チュータは部下の軍隊がほしい?」
『チュー!』
「父ちゃん。部下の軍隊ネズミをテイムしたい!」
「ああ。別にかまわないぞ。それでヒナタが強くなれるんだからな」
「チュータ。いいって。良かったねぇ」
『チュー!』

 チュータは部下の軍隊ネズミを手に入れると気合を入れているというのが伝わるのだった。ヒナタのレベルは30に迫る勢いであることも、ショウが許可する要因でもあった。テイマーはレベルが1上がる事でテイムできる数が増える。つまり、いまヒナタのレベルは28なのでテイムできる数は28匹となるのだ。ただし、魔物のランクは弱い部類になり、軍隊ネズミやゴブリンなど低ランクの魔物しかできない。仮にヒナタが100レベルに到達出来れば、100匹の魔物をテイムでき魔物のランクもAランクも夢ではないのである。

「今日はここまでとしよう」

 ショウの言葉にアユミ達もホッと一息ついて剣を収めるのだった。そして、ショウは時空間倉庫からハウスを取り出し、ダンジョンの広場にハウスを建てる。
 ショウ達はこれでも大丈夫だが、他の冒険者達は違う。こんな所でテントなんか立てる事は自殺行為になるので、ダンジョンのそれぞれの階層にはセーフティエリアが何箇所かある。そこは誰が見てもわかりやすく回復の水場があり、その一角には魔物は湧く事はないし近づく事もない。
 そして、その場所にある回復の水場は怪我が治る水場ではなく、スタミナが回復する泉である。要はリフレッシュポーションがコンコンと湧き出している。
 ちなみにこのリフレッシュポーションは、このセーフティエリアでしか効果はない。金儲けをしようと水筒に入れて持ち帰ろうとしてもただの水に変化してしまう。冒険者達はこのリフレッシュポーションを持ち帰る時は水の確保で持ち帰るのである。

「このハウス様々ですね」
「本当に神様には感謝だな」

 アユミ達はそう言って、家の中に入り疲れを癒しに風呂場に直行するのだった。

「あたしは父ちゃんと入る!」
「そっか!なら一緒に入るか」
「わ~い!チュータも一緒ね」
『チュー!』
「わたしも……」
「駄目に決まっているだろうが!システィナは女風呂の方に入れ」
「ううっ……ご主人様はまだわたしを受け入れてくれない……」
「ったく……」

 そして、全員が風呂から上がってからアリサが冷蔵庫の食材を使って料理を始める。家事全般はアリサが受け持っている。料理が出来るまで、アユミ達もホッと一息ついている。ヒナタは疲れてしまいそのまま眠ってしまった。最初ショウは、この時間が手持ち無沙汰で料理を手伝っていたが、アリサが台所の魔道具の使い方を覚えてからは断られてしまう。主人は茶の間で座って待って下さいと言われてしまってからは、アリサ一人で家事をまわしているのだ。

「ヒナタ起きろ。ご飯ができたぞ」
「う~ん……まだ眠いよ」
「じゃあ寝てるか?」
「ううっ……お腹も空いた……」
「じゃあこれを少しだけ飲むとスッキリするぞ」
「飲む……」

 ヒナタはショウの取り出したリフレッシュポーションを一口だけ飲む。するとスタミナが回復し眠気がなくなり、目がパッチリ覚めてお腹が鳴った。
 そして、その日はチュータが進化した話題が中心となり、ヒナタは笑顔でご飯をお腹いっぱい食べるのだった。
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