碧天のノアズアーク

世良シンア

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グランドベゼル編

12 規格外の魔物

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side ノア=オーガスト

EDENでカズハが手を差し伸べた男の名はダック。Bランク冒険者で、Bランクパーティ『ハピネス』のリーダーらしい。大帝国にはあまり滞在したことがなく、あちこちを転々としてきたそうだ。

それから、師団員に掛け合わなかったのかと聞いてみたら、確たる証拠なしにそう易々と師団員は動けないと断固拒否されたらしい。やっぱ師団員は、キースさんとかジン師団長とかオスカー師団長みたいに優しい人ばかりじゃないみたいだな。まあ師団員にも自分の持ち場とかやることがあるだろうから、そう簡単に離れられないなんて事情もあるかもしれない。

……そういえば、デーモンズをボコした時にオレたちを連行した師団員も、正直言ってあまりいい対応してなかったんだよなー。こっちのいい分を全然聞き入れてくれなかったし、面倒ごとを増やすんじゃねぇよ、って感じの雰囲気をひしひしと感じた。オスカー師団長が来てくれなかったら、下手したら手を出してたかもなと思うレベルには。

「すまねぇ。話しながらになってしまって」

オレたちは今、ダックさんの案内のもと負傷したハピネスのメンバーが隠れている場所へと走っていた。

「いや、迅速な救助が最優先だろ。それで一体何があったんだ?」

オレは隣を走るダックさんに聞く。

「……俺たちはいつものように冒険をして、行手を阻む魔物を倒していたんだ。そしたら急に地鳴りが起きて、その直後に魔物の唸り声が聞こえてきて……」

話し始めたダックさんの顔はどんどん暗くなっていく。

「興味本位で俺が行ってみようって言ったんだ。それで音のした方へ走ってみたら、いきなり硬い何かにぶつかって……最初はただの岩だと思ったんだ。でも見上げてみたら……超巨大なま、魔物の足だってことに、気づいたんだ。あ、あんなやつ、見たことなかった……!」

怯えたように話すダックさん。よっぽど怖かったんだろう。

「危険だってすぐ分かったんだ。だから襲われる前に俺たちはすぐに逃げた。それで、確かにあの巨大な魔物は襲って来なかった。だけど、その後ろから……うじゃうじゃと、別の魔物が、湧いていきて……」

……これ以上辛いことを思い出させるのはあんまよくないか。

「だいたい分かったよ。ありがと、ダック。あとはオレたちに任せとけ。こっちにはアグレッシブガーディアン様がついてるからさ」

「あ、ノア!その名前で呼ばないでよ」

「まあまあ。そんなことより、救助が優先だからさ」

「もう……」

突然ダックさんが足を止めた。オレたちもそれに合わせて動きを止める。

「どうしたんだ?ダックさん」

「あ、あそこだ!あの洞窟の中に俺の仲間がいるはず……!」

ダックさんの指差す方向を見ると、確かに洞窟らしきものが見えるのがわかる。

「オッケー。オレとシンが先行するから、みんなは周りに警戒しながらオレたちの後に続いてくれ。いくぞ、シン」

「ああ」

「先って、俺たちも一緒に……えっ?!」

戸惑うダックさんの声を無視してオレとシンは、抑えていたスピードを一気に上げた。おかげであんなに小さかった洞窟の入り口がもう目の前にある。

「とりあえず声かけてみるか。おーい、誰かいるかー!」

オレは洞窟内に向かって呼びかけてみる。反応があれば良し、ないなら生死の境にいる、もしくはもう……。

オレは最悪の可能性も考慮しつつ、反応を待った。

「……た……け…………れ…」

耳を澄ませていると、消え入りそうな声が聞こえてきた。

「よし」

オレは氣弾を生成し、視界を確保することで中へ入る準備を整える。

「シンも入ってくれるか?ダックさんに救助対象が何人か聞き忘れちゃったからさ」

「分かった」

一応、周辺警戒という目的でシンを残そうかと思ったけど、ハピネスのメンバーが二人以上いた場合、オレだけじゃうまく運べないからな。

手製の明かりを活用しつつ、中を調べる。縦横の幅はまあまあ広く、床をよく見れば何かしらの黒い跡が散逸しているのが分かる。

「やはりここか」

「シン?ここに来たことあるのか」

「昨日の夜に少し寄った。中にはほぼ入らなかったが」

「そうだったのか」

「た、す……け……て……くれ……」

さっきよりも鮮明に助けを呼ぶ声が聞こえてきた。声のする方へ近づいていくと、ちょうど洞窟の行き止まり近くの壁に寄りかかる三人がいた。

ちなみに行き止まりの壁は瓦礫が積み上がった状態のようになっていて、天井が崩れて塞がれているだ感じだった。もしかしたらこの先にも道はあるかもしれないが、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。

「たすけてくれ、たのむ……!」

懇願してきた男は、ダックさんのようにぼろぼろではあるけど、他二人と比べて軽傷らしい。喋れているのがその証拠とも言える。

他二人は腹部や足、腕など多くの箇所を負傷している。ピンクの髪の女性は腹部から多量の血を、オレンジの髪の男は腕や足からの出血が多い。

「当然。そのために来たんだからな」

オレは以前シンと二人で買った収納用氣道具であるエスパシオに、取り出したい物をイメージしながら氣を込める。指輪についた石が赤く光り、地面には赤色のポーションが二本出現した。

「そ、それは赤ポーション……。い、いいのか……」

「人命と赤ポーション、どっちが大事かなんて天秤にかけるまでもないだろ。シンはそっちの女性に頼む」

オレは赤ポーションを一本、シンに渡す。

「分かった」

ポーションの蓋を開け、オレンジの髪の男に少しずつ飲ませる。すると男の傷はみるみるうちに塞がっていった。

「ふう。これで任務完了ってとこだな。そっちはどうだ?」

「問題ない」

「オッケー。けどまあ大量の血を失ったことに変わりはないから、何日かは確実に安静にしないとダメだろうな」

「あ、ありがとう!!」

軽傷だった黄色の髪の男はオレの手を掴んだ。

「おかげで助かった。本当に、ありがとう……!」

男は涙目になりながらオレを見つめる。

「いいってことよ」

「この恩は必ずーーー」

「ああ、別にいいよ」

オレの発言に男は戸惑いの色を隠せない様子だった。

「し、しかし、貴重な赤ポーションを……」

「ポーションなんかまた買えばいいじゃん。それに人の命は買えるものじゃないだろ?」

「そ、それはそうだが……」

「うーん……あのポーションはこの日のためにあったってことなんだよ、きっと。それでいいじゃんか」

オレは男の肩をポンッとたたく。
男はさらに涙ぐんだ。

「……っ……重ね重ね、本当に、ありがとう。でも何かお礼をさせてくれないか。そうでもしないとこちらも気が済まないんだ」

まあ、それもそうか……。

「そうだなー。うーん……今パッと思いつかないからさ、ハピネスのみんなが元気になったらまた尋ねてきてよ。たぶんアクロポリスのEDEN本部にいると思うから」

「ああ。ぜひ、そうさせてもらうよ」

「アムド!カルネーラ!サニン!みんな無事か!!」

徐々に大きくなる足音ともに、喉が張り裂けるような声を上げて、誰かがやってきた。

「ダック!」

つい先ほどまで涙で顔を濡らしていた男は、一転して安堵の笑みを浮かべた。

「アムド!無事でよかった。カルネーラとサニンは?!」

「無事だ。あの人たちのおかげだよ」

「……ありがとう。君たちは俺たちの命の恩人だ。改めて礼を言わせてくれ」

そう言うとダックさんは深々とお辞儀をした。

「良かったー。みんな無事だったんだねー」

「カズハ。他のみんなは?」

「外で待機中。周囲の警戒だってさー。私はノアたちとそれからハピネスの人たちの様子を見に来たんだけど……ほんと、良かったよ」

カズハは四人の様子をほっとした様子で見つめていた。

「けど完全復活ってわけじゃないから、今から帝都に戻ってもらって、できれば治癒院に入院できたら理想的だなーとは思ってる」

「そうだねー」

オレは涙ぐみながらも互いの再会を喜び合うダックさんたちを見る。

これで一件落着だな!
……と思ったその時だった。

『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

突然、謎の地響きが発生した。

「な、なんだ?!」

「何が起きてる?!」

アムドさんとダックさんは困惑の声を上げた。

ここで焦るのはよくないな。冷静に、だ。

まずは状況確認からだよな。
うーん……一旦外へ出るのが最善、かな。

「一度外へ出よう。負傷者はーーー」

「俺たちが運ぶ。これ以上君たちに迷惑はかけられないからな」

負傷者に負傷者を運んでもらうのは……とも思ったけど、あんな真剣な顔をされたら断れない。

「わかった」

ダックさんたちと付かず離れずの距離を保ちながら、急いで外へと出る。地響きか発生してからいまだにそれは止んでいない。

出入り口にはカズハの言った通り、周囲を警戒する秀たちがいた。

「秀。状況は?」

「あれを見てみろ」

言われるがまま指し示された方向を見ると、一つの桁違いに巨大な岩があった。いや、ゆっくりとだが動いている。つまりあれは生き物だということだ。

「は?……なんだよ、あれ」

「わからねぇ。が、内包する氣の量は半端じゃねぇと思うぞ。今放出してるだけでも膨大だからなぁ」

要するに、あの巨体に見合うだけの氣を持ってるってわけねー……。

ていうか、マジであいつ何?!

たぶんでっかい岩に頭と手足生えちゃったみたいな見た目してるし。デカすぎて全体像が見えないし。

「こ、こいつだ!お、俺たちがぶつかった、ま、魔物っていうのは!!」

ダックさんは心底怯えた声を出す。

……驚いてる場合じゃない。オレはリーダーだからな。とりあえず次の行動の指示をしないと。

「……ダックさんたちはこのまま帝都に戻ってくれ。オレたちでこいつ相手にするからさ」

「しょ、正気か?!あんなのに勝てるわけがないじゃないか!!はやく君たちもーーー」

「ここで逃げたら誰か他のやつが犠牲になるかもしれないじゃん。だからさ、こいつはここで仕留めないといけないんだよ」

「……っ……だ、だが、命の恩人に死なれてはーーー」

「大丈夫。オレたちは死なない。誰ひとりとして、な」

ダックさんは不安そうな目でオレの顔を見る。だがオレの気持ちが変わらないことがわかると、諦めたような顔をしてから、オレたちへ熱い言葉をくれた。

「……っ……そうか。……わかった。ただこれだけは言わせてくれ。……必ず生きて帰ってこい!」

ははっ。そんなん当たり前じゃんか。

「おう!」

オレはニカっとした笑顔でダックさんたちを見送った。ダックさんはちらちらとこちらを気にしてはいたが、大事な仲間を連れて帝都へと向かった。ダックさんたちの姿が見えなくなり、オレはみんなの方へと向き直る。

「とまあ、カッコつけてみたものの……このデカブツどうするよ」

オレは上空斜め上に視線を向け、標的の上半身のような部分を観察する。

高さはこの森に生えてる木の五倍以上、全長は……全部見えるわけじゃないからなんともって感じかー。

「うーん。……なんでこんなにデカいやつが今まで発見されなかったんだ?」

こんだけデカかったらとっくに誰かしらが見つけるよな。どう考えてもさ。

つまり、こいつは最近突然現れた、もしくは潜んでいたってことだよな。潜む方法としては、例えば自分の身体を他から見えなくするとか……あー、あの岩のような身体なら巨石として擬態することも可能かもな。でもその場合、なぜ今になって動き出したかも問題になるんだよなー。

まあこいつの出自はあとで考えるとして、今はどうやって倒すかを考えないと。

「考えはまとまったのか?ノア」

「湊……いや、それが全くなんだよ」

「まあまあ。ゆーっくり考えてもいいんじゃない?ほら、あの亀全然動かないしさー」

「亀……?」

この位置じゃ全体像なんて見えないのに、なんで亀?

「さっきあの洞窟があった崖の上に登ってどんな感じか見てみたんだよねー。そしたら、でっかい甲羅を持った生き物に見えて、あ、亀だってなったんだー」

いつのまにそんなこと……全く気づかんかった。

まあ動きものろそうだし、見た目もそうならこの魔物は確かに亀っぽいんだろうな。

「地響きも止んだ。今のところあいつが動く気配はない。先制して素早く情報を得た方がいい」

まあそうだな。セツナの意見はごもっとも。後手に回ると、それの対策考えつつ倒す方法も考えないとだから、思考が追いつかずに全滅なんてこともあり得なくはない。

ここは先手必勝ってやつだな。

「じゃあ、一旦情報を整理してからあのデカ亀に挑むってことで。まず、大きさは見ての通り。それとおそらく身体は硬い。たぶんオエスコよりも硬い気がする。これはオレの勘な。で、ダックさんの話から推測するに、あいつに触れると多数の魔物が出現するとオレは思ってる」

ダックさんの話の中で、オレにはある疑問があった。ダックさんがぶつかったことであのデカ亀の後ろから大量の魔物が現れたって言ってたけど、あのデカ亀そのものは反撃してこないのか?ってな。

触れられたご本人様でなく、突如現れた謎の魔物たちが反撃するって、普通に考えたらおかしい。てことは、あのデカ亀は自分自身を守るために自分以外の存在を使ってくるって考えられるよな。

どうやって数多の魔物を呼んでるのかはわからないけど、とりあえずはそっちに注意を払うのが先だ。あのデカ亀を倒す方法は、戦いの最中に思いつく他ない。

「だからまずはセツナの弓で先制攻撃して様子を見たいんだけど、セツナはどう思う?」

「私はそれで構わない」

「他に案がある人は?」

オレの案が最善とは限らないからな。しっかりみんなの意見も取り入れないと。

えーと、特にはなさそうって感じかな。

「オッケー。あとはもう状況次第でってなるけど、いつも通り無理はせずに、互いに助け合える距離感を保ちながら戦うってことで」

全員が一様に頷く。

「じゃあセツナ、よろしく」

セツナは背負っていた弓を手に持ち、腰につけた矢筒から矢を取り出す。そして構えた。

放たれた一本の矢は鋭く空を裂き、デカ亀の足?と思われる箇所へと木々の合間を縫って飛んでいく。

矢は見事着弾。だけど弾かれた。
やっぱ見た目通り硬いよなー。

デカ亀の頭部らしきものが動いた。目のような部分がオレたちを見据える。そしてその直後、デカ亀の背後から大量の魔物が現れた。木の合間という合間から、蟻の行列のように湧いてくる。

『ギャロァァァ!』

魔物の大群はやる気満々で襲いかかってくる。

「ハアッ!」

オレは腰に下げた鞘から剣を抜き、飛びかかってくる魔物を次々に撃退していく。同様にしてみんなも難なく敵を倒していく。

「サポートオン、ブルー……!」

リュウ、セツナ、エルの三人の体が一瞬青く光る。これで三人は多少無理をしても大丈夫な身体になった。青は防御アップだからな。

ちなみに、エルが自分を含めた三人にしかやらないのはもちろんわけがある。それは氣の節約だ。当たり前のことだが、複数人に支援氣術をかければ、その分氣の消費量も上がる。

オレ、シン、秀、湊の四人は普通じゃないからなくても基本大丈夫だし、カズハもエルのためにと断っていた。つまりオレたちは優先順位が低いってことだ。

だからよっぽどのことがない限りは、エルには基本的に自分を含めた三人に支援氣術をかけるようにお願いしている。

ただまあ、最終判断はエルに委ねてる。自分の氣の量がどうなってるとかはエル自身が一番よくわかってるだろうし、後方から見ることで状況全体が見渡せるから、どのタイミングで誰を支援した方がいいとかわかるはずだから。

『ギギャギャァ!』

「うおっと!」

オレは咄嗟に魔物の攻撃をかわす。そして反撃する。

『ウギャァッッ!!』

あぶな。よそ見してたら喰らいそうになった。

リーダーとしてみんなの状況を把握しておきたいけど、前線張っちゃうとどうしても見えないんだよなー。だからよそ見とかしちゃうんだけどさ。

やっぱ状況把握は後方の三人に任せるっきゃないか。

「リュウくん!斜め右後ろに敵影です!注意してください!!」

「うん……!」

エルの指示により、本来は不意打ちだったはずの攻撃を、リュウは軽々とかわした。そして流れるようにその敵を短剣で切り裂いた。

「シン!左から敵が複数来んぞ」

「……言われなくても」

シンは飛びかかってきた魔物たちの首を一振りで斬り落とす。

「やっぱ言わなくても良かったみてぇだな。ま、こっちもこれが役割みてぇなもんだからな。言わざるを得ねぇんだわ。……カズハ!上空注意しろ」

カズハはちらっと上を見る。そこにはCランクの魔物、サンダーバードがいた。サンダーバードは口を大きく開き、電撃を放つ準備をしていた。

『キェェッ!』

突如としてサンダーバードが撃ち落とされる。身体には一本の矢が刺さっていた。

「ありがとー!セツナー!!」

カズハは、高所にいるセツナに大声で礼を言う。前方からは敵の大群が迫っており、カズハへの攻撃は止まないが、カズハは平然とその場に立ち、セツナへ手を振っている。普通なら戦場でこんな悠長なことはできないけど、カズハの特殊氣術がそれを可能としている。

ほんと、絶対防御アブソリュート・ディフェンスってすごい氣術だよなー。

ちなみにセツナはオレたちがいた洞窟の上、つまりは崖上にいる。支援氣術をもらってすぐに向かっていた。高いところからの方が全体が見やすいからなんだろう。それはわかる、わかるけど……。

オレ、助け合える距離感で、って言ったのになー。になってるじゃん。

まあ、いいんだけどさ。オレの指示なんてなくてもみんなしっかりしてるし……でもちょっと……ほんのちょっとだけ悲しい。

……ま、まあ、それはさておき、だ。

やっぱセツナはすごいやつだ。この距離で正確に標的を射抜くなんてさー。普通なら遠すぎてよく見えない上に、命中させることもままならないだろう。

ほんと、みんな優秀で困っちゃうなー。

改めて仲間の凄さを実感しつつ、オレはちょうど近くにいた湊に声をかける。

「湊。どう思う、この状況」

「まだなんともだな。これが本体を攻撃されたことによる防衛反応なのは推測できるが、いつまで続くのか、どう止めるのかはまだだ。まあ、本体をやれば止まりそうではあるが……」

湊は敵をバッタバッタと切り捨てながら答える。

「だよな。なんか止む気配が全くないし……」

あのデカ亀の方を倒しに行くのが手っ取り早そうなんだよなー。でもこいつら邪魔だし、ある程度減らしとかないと本体叩くのも厳しい。追ってこられたらそれこそだるいしさー。

うーん……。

「……オレ、突っ込んできていい?」

「……そう言うと思っていた」

「なんだよー、湊。わかってんじゃん。じゃあ、オレちょっとーーー」

「ひとりはダメだ。せめて二人で行け」

あ、やっぱり?

「でも戦力減らしたら、ひとりにかかる負担がより大きくなるだろ?今前衛がオレ、シン、湊、カズハ。リュウは後衛よりの前衛位置。後衛が秀、エル、セツナ。前衛が崩れたら戦線が一気に崩壊だし、この波、おさまるどころかなんかどんどん勢い増してる気がするし……」

ここで戦力削りすぎたら危険なのはオレでもわかる。だからオレが強行突破しようかなと思ったんだけど……。

「ノアの気持ちはわかる。が、その荒波に突っ込もうとするバカは、誰でも止める」

それは……そうかも……。

「確かに勢いは増しているがそれは量だけ。質は変わっていない。ただの雑魚の群れ。不意をつくなどの知恵はあるようだが……それだけだ。俺たちの相手ではない」

「それはそうかもだけど、数多すぎると手に負えなくなるじゃん」

「どうしようもなくなればを使えばいい。仲間が瀕死寸前まで追い込まれるというのならば、俺も本気で殺るだけだ。だがまあ、秀の式神があるからな。数で押し負けそうな時は、あいつが勝手に式神を出すだろう」

あ、確かに。式神出せば二人いなくなっても補えるのか……!

「秀の負担大だけど、まあ秀だし、その辺は大丈夫だな。よーし……シン!」

「どうした、兄さん」

シンはオレを見つつ、敵をさらっと片付ける。いやー、よそ見しても倒せるなんて流石だ、弟よ。

「ちょっとオレと特攻しに行かない?」

























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