碧天のノアズアーク

世良シンア

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グランドベゼル編

17 最強の実力

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side ノア=オーガスト

「ふあぁぁ……」

オレは布団をめくり、窓の近くにとぼとぼと歩く。寝起きのせいで、平衡感覚が取り戻せてない。

オレは窓を開け外を覗いた。

「うーーん……今日はくもりかー……」

くもりだと微妙なテンションになるよなー。やっぱ晴れてるのが一番よ。朝の気持ちいい陽を浴びて、よし、今日も頑張るぞーって感じで今日という一日に望みたいしさー。

オレは眠い目をこする。
顔、洗ってこよう……。

「おはよう、兄さん」

「おう……おはよ、シン……」

「眠そうだ」

「その通りだ、弟よ。オレは今、猛烈に眠い……」

オレは部屋を出て浴場へと向かい、そこに備え付けられた洗面台の前に立つ。水をジャーっと出し、両手ですくって怠けた顔にバシャッと水をかけた。

「はぁ……スッキリしたー」

よーし、今日も楽しく行くぞー!

オレは部屋に戻った。すると布団はすでにすべて片付けられており、部屋の中央にはテーブルが設置されていた。そしていつものようにアリスが持ってきてくれる朝食をみんなでとった。

「昨日ちゃんと寝たのか?湊」

湊のやつ、ちょっとやつれてないか?いや、やつれたは言い過ぎかもだけど、元気がないっていうか……。

「……ああ……」

ん?なんか声にいつもの覇気がないんだけど……?

「あー、そっとしてやれや、ノア。俺もかなりメンタルにきてるが、湊のやつは俺以上に辛いだろうからなぁ」

え?……昨日の夜、一体何があったんだよ。

「いろいろあんだよ、葛藤がな。ま、これは自分自身でどうにかしねぇといけねぇもんだ。だから詮索はなしだ。いいな?」

「……わかった」

聞きたいけどこればかりはしょうがない。仮にこのまま湊の調子が戻らなかったら踏み入るぐらいにしとこう。一応オレ、リーダーだし。仲間が困ってたらリーダーが責任もって助けないとな。

「あとひとつ頼みがあんだが、輝夜姉をノアズアークに入れてくれねぇか?」

「輝夜を?オレは別にいいけど」

そういえば冒険者になるかどうかはまだ保留だって昨日言ってたな。てことは昨日のうちに決心つけたのか。随分と早い決断だなー。

「理由はなんだ」

「聞かれると思ったぜ。いいか、シン。これは俺と湊が輝夜姉と懸命に話し合った結果の妥協案なんだよ。それが答えだ」

……どゆこと?

「答えになってないが?」

「俺的には答えになってる。だからなんの問題もねぇ」

えー……。

「……暴論だな」

「触れられたくねぇ事情があんだよ。ったく、そんぐらい察しろっての」

「輝夜お姉ちゃん、仲間になるの……?!」

嬉しそうだなー、リュウのやつ。

「そうだぞ、リュウ。まあ、完全に別行動になっちまうけどなぁ」

「え……一緒じゃないの……?」

リュウは寂しそうな顔をする。昨日の食事の時、輝夜からやけにかわいがられてたからなー。ちょっとの時間しか接してないけど、リュウにとってはそのわずかな時間が楽しかったんだろう。

「すまねぇな。輝夜姉には輝夜姉の事情があんだ。だが時々顔を見せに来るようには言っておいたからよ。そん時は輝夜姉に思いっきりハグしてやってくれや。輝夜姉、すげぇ喜ぶぞぉ」

「わかった……!」

調子が悪そうな湊のことを気にしつつも、オレたちは早速EDENへと向かった。輝夜の冒険者登録をするために。

ちなみに、またアリアさんに登録手続きをしてもらった。輝夜を見た時のアリアさんの第一声は「はわわ!だ、大丈夫ですか?!その傷!早く治さないと死んじゃいますよ!」だった。つまりはめちゃくちゃテンパってた。それを聞いた輝夜は、「あはははっ。面白いね、お前。アリアちゃんだっけ?いいお友達になれそうだ」と返していた。

アリアさんは、目をパチクリさせながらもしっかり冒険者登録をしてくれた。ちなみに、登録方法はオレたちと同じだ。要するに、地下の特別な部屋で的当てをしたわけだ。なぜなら検玉石が無反応だったからだ。オレたち神仙族が触ると、なぜだか正常に機能しないみたいだ。

ま、原因はなんとなーく察してるけど。

「へぇ。これがあたしのギルドカードってわけね」

輝夜
Dランク
白氣:B
適性属性:雷

「そゆこと。そこにパーティランク名も書いてあるだろ?ノアズアークって」

「ふむふむ。たしかに」

「ようこそ、ノアズアークへ。オレたちは輝夜を歓迎するよ」

「ありがとな、ノアちゃん。みんなもよろしく頼むよ!」






「右来てるよ、リュウちゃん」

「あ……うん!」

輝夜の的確かつ素早い指示により、リュウは敵の奇襲を軽くかわして反撃した。

「ナーイス。……お、カズハちゃーん、背後から二体。ポイスネ来てるよぉ」

「……!ほんとだ!」

カズハは危険を素早く察知できたことで、ポイズンスネークに噛まれずに済んだ。

「いい動きだな!……おーっと、ここまで来てたか」

輝夜はエルの背後に素早く回り、コボルト三体を斬り刻む。 
いや、めちゃカッコいいんだが?

「っ……!ありがとうございます、輝夜さん!」

「みんなのサポートに気を配るのもいいけど、自分が安全かどうかも確認しないとな。優先順位は間違えないように注意しとけー」

「は、はい!」

輝夜は今度はセツナの加勢に向かう。

「セツちゃん」

「……何?」

「ちょーっと弓貸しな」

「え、ちょ……!」

輝夜はちょっと強引にセツナが使っていた弓を取った。そして氣で創造した矢を三本、弓に装填する。

「なっ……!」

セツナは目を見開いた。それもそのはず、まだ自分がせいぜい一本の矢を、それなりの時間をかけてつくるのがやっとだというのに、輝夜は一瞬で、それも三本も創造したのだから。

「ここ……!」

輝夜は弓は思い切り引き、自身の思うジャストタイミングで手を離した。三本の矢は放たれた途端に二つに分裂して敵に命中した。つまり、六本もの矢がたった一度の攻撃で放たれたのである。それもそれぞれが別の魔物へと刺さり、死に至らせた。

「おお、いい感じ」

セツナはその驚愕の光景をただ呆然と眺めていた。

「はい、ありがとな、この弓。弓を氣でつくる手もあったけど、氣がもったいないし複雑なものほど時間も氣もかかってコスパ悪いんだよなぁ。だから助かったよ」

「あんた……何者?」

「ん?美影輝夜だけど?」

そういうことじゃないぞー、輝夜ー。

「……今あんたがやったやつ、私にもできるか……?」 

「さあなー。それは努力次第、としか言えないなぁ。どっちだと断言できるほど、あたしはセツちゃんを知らない。あたしは神様じゃないからなぁ。けどま、ひとつアドバイスするなら……自分を信じて諦めなければいつか実るよ。絶対にね」

「……随分と嘘くさいな」

セツナの良くも悪くも素直な感想に、輝夜は戦闘中ではあるが笑い出した。

「あははっ。確かにその辺の雑魚が言うなら、何の価値もないように聞こえるよなぁ。でもこれはあたし自身の経験則に基づいた、紛れもない事実なんだよ」

「…………」

「自慢したいわけじゃないけど、セツちゃんがやりたいって思ってくれた芸当を成し遂げたあたしが言うんだ。これ以上ないほどに説得力があると思わないか?」

「……まあ……」

「だろー?……って、話し込んでる場合じゃなかったか。……うーん、あっちから魔物がたくさん来そうだなぁ。じゃセツちゃん、またあとでな」

そう言い残した輝夜は、再び前衛位置に戻り刀を振るった。

てかさっきから平然といろいろやってるけど、輝夜って聞いてた以上にめっちゃすごい奴だ。左目が全く見えないってだけで十分なハンデだってのに、みんなへの指示が的確すぎる。まるでここ一帯を俯瞰しているみたいだ。

加えてさっきの弓のくだり。矢つくるの早すぎだし、命中率高すぎだし、三本の矢を分裂させるとか意味わからんし。そんな複雑なこと、オレには無理だ。絶対頭パンクする。……シンならできるだろうけど。

「氣の扱い、うますぎだろ……」

「あれぐらい、兄さんには容易いことだ」

当たり前だと言わんばかりに話すシン。

「へ?あ、あー……ま、まあなー……」

オレはできもしないくせに、兄としてのプライドが邪魔して謎の肯定をしてしまった。

現在オレたちは、輝夜をパーティに迎え入れてから初めての依頼を受けている。受けたのはCランクの依頼。内容はとある村の近くで最近出没頻度が高くなった魔物たちの討伐。数は多いものの、ランクはDが大半で、たまーにCランクが混じってるくらい。オレたちにとっては造作もない依頼だ。だから今回はちょっといつもとテイストを変えている。

オレ、シン、秀、湊の四人は参加していないのだ。理由を簡潔に言えば、パーティの熟練度を向上させたかったからだ。ちなみにこれは秀と湊の案だ。

オレたちの基本陣形は、前衛四人と後衛三人とその両方を担う者がひとり。内訳を細かく言えば、オレ、シン、湊、カズハが前衛。秀、エル、セツナが後衛。リュウは基本は後衛のサポートに回るが、状況に応じて前衛にも参加する。大体いつもこんな感じで戦うようにしている。

ただ、この陣形には問題がある。問題と言っても、違う見方をすればそれはいいこととしてみなされることが多いかもしれない。その問題というのは、すぐに魔物を討伐してしまうことだ。

これの何が問題なのか。確かに普通ならどんな形であれ魔物を討伐さえすればいいのだろう。だがオレたちのパーティはそれだけで満足するほど、優しくはないのだ。主にリーダーのオレの方針で。

すぐ倒せる原因はオレたち神仙族にある。常人では持ち得ない身体能力。加えてヴォル爺やクロードに叩き込まれた戦闘技術。これらが非常によろしくない。

だってめちゃくちゃ失礼なことを言えば、オレたち四人だけで十分に魔物とやりあえるってことなんだぞ?

そんなの全然面白くない。オレは強さよりみんなで笑い合う楽しさを追求したいタイプだ。仲間と一緒に、連携しあって魔物を倒したい。

それに仲間と冒険していく中で、道中の危険を跳ね返すために、力ってものが必要なんだとオレは思ってる。仲間を守るための強さが。だから、みんなのそれぞれの成長がパーティ全体を守る鍵になってくる。

だからこそ秀と湊はこの提案をしたんだろう。秀たちのレベルに追いつくぐらいの戦闘技術を身につけさせるためにな。

今後もこういう機会が多くなるだろうなー。あの四人だけでもある程度魔物を倒せるようになったら、オレたちが加わった状態での連携力も高め合わないと。

それにこういう戦闘面の楽しさもいいけど、やっぱ世界中を回ってみたいって気持ちもあるんだよなー。

……よく考えたらやることがいっぱいじゃんか!
いいね、いいねー!楽しくなりそうだ!

「さすがだなぁ、輝夜姉。動きに無駄がねぇし、周りもよく見えてる。片方視力がねぇはずなのになぁ。はははっ。あの頃と何も変わってねぇなぁ」

ちなみに、今回輝夜が加わっているのは本人たっての希望があったからだ。この依頼を終えたらすぐにどこかに行ってしまうらしいのだ。だからみんなとの交流を深める意味でも、輝夜にはみんなの指導役も兼ねて参加してもらっている。

「……やはり太刀筋が流麗だ。俺の刀術とは段違いに練度が高い」

湊がここまで褒めるなんて……一度も勝てなかった相手ってのは本当だったんだな。

「シンはどう思う?輝夜のこと」

「ちゃん付けをしてくる馴れ馴れしい女」

いやそうかもしれんけども。

「そうじゃなくてさー。戦闘面でって意味よ」

「特に文句はない。神仙族なんだ。あれぐらいこなしてもらわないと困る」

「…………」

わぁー。すっごい手厳しいんだけど?

え、もしかしてオレもあのレベルを求められてる?氣で矢を三本作ってそれを分裂させて、最終的に全弾命中させるとか、オレには到底不可能なんだけど……?

「それに今回の趣旨もしっかり理解している。カズハたちがうまく成長できるように手加減しているのは明らかだ」

「あーたしかに。前に出過ぎないようにしてるし、ある程度助言もしてるよな」

あれで今までひとりで生きてきたんだろ?なんであんな的確な動きができるんだよー。器用すぎないかー?

「ははっ。すげぇだろ?輝夜姉はよぉ。昔から天才だなんだと周りからちやほやされてたからなぁ」

「……本人はうんざりしていたがな」

「そうそう。大人たちからすっげぇ褒められても、ほとんど愛想笑いで返してたもんなぁ。褒められるのは嬉しいけど、全部相手にするのはいくらなんでもきついって言ってよぉ」

「そのストレス解消のために俺たちは輝夜の稽古に付き合わされていた」

「はははっ。そうだったそうだった。懐かしいなぁ、おい」

「ふっ。そうだな……」

湊が笑ったぞ……!ってことは調子も良くなってきたのかも。よかったよかった。

「じゃあ輝夜のことはこれぐらいにして、カズハたちの動きに関してはみんなはどう思う?」

「そうだなぁ。刀術は悪くねぇな。湊との手合わせでかなり上達してきてる。そこはプラスに評価できる。ただ、カズハは絶対防御アブソリュートディフェンスにまだ頼りすぎてるところがあるからなぁ。万が一この氣術が使えない場合も想定するなら、それを使わずに敵と渡り合う能力も磨かねぇといけねぇ。こういう雑魚が相手の時は絶対防御アブソリュートディフェンスを使わずに乗り切って欲しいんだが……まだ時間が必要かもなぁ」

「ふんふん。なるほどなるほど」

そういう癖みたいなものって、なかなか直せないんだよなー……。

「エルは仲間の位置と敵の位置を把握し、しっかりと指示を出そうと努力している点が評価できるだろう。まあそれが完璧かどうかはひとまず置いておこう。それはこのまま経験を積めば必ず到達できることだからな。ただ、そこに自分を考慮していないというのはまだまだだ」

「あーね。確かにそこは改善しないとだよなー」

ただ、自分が常に安全圏にいることを確認しつつ、戦況を把握して的確な指示を出すって、相当難しいぞ。オレにはそんなマルチタスクは絶対に無理だな、うん。

「リュウは自身の動きの俊敏さを生かして、前衛と後衛、その両方のサポートに入ろうと飛び回っている。それは動きとしては正しいが、無駄が多く判断も少し遅い。リュウの立ち位置だと、エルが今まさに訓練しているような広い視野が必須レベルになる。加えて、瞬時に判断する思考力もだ。だがそれをまだ九歳の子どもにやらせるというのはさすがに酷だ。これからゆっくり吸収すれば問題ないだろう。一人前になるまでは俺たちで支えてやればいい」

「あー……なるほどなー」

……やばい。みんなちゃんと観察しすぎじゃない?めちゃくちゃ細かいとこまで見てるよな?

なんかオレが思ってたこと以上に秀たちが話すからさ、『あ、そういう見方もあんのかー、なるほどなー』って感じの言葉しか出なくて、まるでオレが何も考えてないアホみたいに見えるんだが……?!

そんで今まで秀、湊、シンがそれぞれカズハ、エル、リュウのことに触れたってことはつまり、オレがセツナのことを言わなきゃならないってことだよな……。

「ええっと、セツナは……」

落ち着け、オレ。観察能力が秀たちより乏しいのはもうしょうがないことだ。とりあえず、感じたことをそのまま言うんだ。あとの補足は秀たちがしてくれる!

オレは一度咳払いをして喉の調子を整える。

「んんっ。セツナは前衛と後衛、双方のサポートに回るのがうまい。あの四人の中じゃ一番視野が広いと思う。矢で援護射撃してくれるから、みんなの危険度が格段に落ちてる。それに命中率もいい。二本に一本は当ててくれてる。ここまでやれるんなら、普通にどこのパーティでも活躍できるはずだ」

こんな逸材そうそういない。もしかしたら将来、世界最強の射撃手になってるかもしれないレベルだし。

「ただ、ここを限界値にせずさらなる向上を目指すのなら、いろんな工夫と成長が見込めると思ってる。例えばさっき輝夜がやってたやつとか」

まああれは高度テクすぎて全然真似できそうにないけど。少なくともオレには無理無理。

「ただ、さすがにあのレベルを目指せなんて言うのはあれだから、まずは矢を氣で瞬時につくって確実に敵に命中させる技量を身につけるといいと思う。あとは物質的な矢でもいいから、三本同時に撃った矢を全弾命中させる能力を磨くとかかなー」

正直、これぐらいしかセツナに対しては思いつかなかったんだよなー。他のみんなよりマイナスに評価できる面がほとんどないし、なんならこのままでも十分強いんだから。だからもうあとは本人の努力次第って感じだ。

「みんなからは他に何かある?」

「いや、俺もだいたいそんな感じに思ってたな。ノアは他のやつのことになるとやけに鋭いんだよなぁ」

「そうだな。それを自分自身のことに対しても発揮して欲しいものだ」

「完璧だ、兄さん」

お、おお。なんか思ってたのと違った。オレって実はできるやつなのか……?

いやいや、ここで調子に乗るのはダメだぞ、ノア=オーガスト。調子に乗って良かった試しなんてほとんどないんだから。トロイメライの時を思い出せ……!

「……よし。これで現状のみんなの課題が見つかったな。この依頼が終わったらみんなに伝えよう」

オレは前方に目を向け、現在の様子を確認する。

お、そろそろ終わりそうだな。

「こいつで最後っと」

輝夜は軽く刀を振り下ろし、最後のゴブリンを斬り裂いた。刀に付着した血液を振り払い、鞘へと戻す。ちなみに輝夜は普段は二本の刀を抜いて戦うらしいが、今回は一本のみだ。そのどちらもがネームド武器らしく、美影家の家宝だと言っていた。つまりは湊の『草薙剣クサナギノツルギ』と同じってことだ。

「んで、このボックスで回収するんだっけ……おお!すごいねこれ」

輝夜は青色をした小さなボックス……SBを取り出し、討伐した魔物へと向ける。すると、その体が光の粒子となってSBへと吸い込まれていった。

「今まで倒してきた魔物は放置してたから、これ超便利だね。ほら、このまま放置って衛生上よくないし」

「ですね。私もこのボックスを作った人は天才だと思います」

「EDENってすごいんだな。これならもっと早く冒険者になっとけば良かったなあ」

「それにしても輝夜ってやっぱりすごいねー!」

「えぇ?」

「かっこよかった……!」

「ええぇ?」

カズハとリュウが輝夜をべた褒めする。二人は尊敬の眼差しで輝夜を見つめている。

「二人の言う通りです。本当にすごかったです!ね、セツナさん」

「……まあ……」

「もう、そんなに褒めんなって。照れるじゃんかぁ」

輝夜はぽりぽりと頭の後ろを掻いている。

みんな仲良くなれたみたいで何よりだ。

「おつかれー、みんな」

「お。来た来たー。おっかなーい審査員たちのご登場だー」

「審査員って、そんな大それたもんじゃないからなー。えーっと、この後依頼完了の報告をして、それから今回の反省点を話し合うって流れでいく予定だから、みんな把握しといてくれ。あとは……」

オレは輝夜の方へ身体を向けた。輝夜は一度目を瞑り、何かを考える素振りを見せた後、目を開けてみんなを見渡した。

「そうだね。あたしはここまでだな。これぐらいしか一緒にやれないのは、本当にすまないと思う。パーティだというのに別行動とはおかしな話だ。ただまあ、できるだけ顔は見せるつもりだ。……それで許してはくれないか?」

「もちろん。うちは仲間の自由意志も大いに尊重するからな!」

「ぼく……ずっと、待ってる……!」

「絶対また会いにきてくださいね、輝夜さん!」

「まだ輝夜に教えて欲しいこといっぱいあるからさー。なるべく早く帰ってきてよねー」

「……死ぬなよ」

「おいおいセツナ。物騒なこと言うなってーの。……まあなんだ、こっちのことは心配すんなよ輝夜姉。ノアやシンのことは……ノアズアークのことは俺らに任せろ」

「何かあれば必ず俺たちを頼れ。何があっても助けに行く」

「ったくもう、みっちゃんは大袈裟だなぁ。……みんなありがとな。ほんといい仲間に出会えて良かった。あたしにはもったいないくらいだ。……また、会いにくる。……それじゃ」

そう告げた輝夜は、オレたちのもとから去っていった。今日オレたちのパーティに入ったばかりの仲間が、今日どこかに旅立った。なんとも奇妙なことかもしれないが、ノアズアークの辞書に常識という言葉は載っていないのである。自由気ままなパーティ。それがノアズアークだ。

























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