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グランドベゼル編
22 白熱
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side シン=オーガスト
あの金髪……ウィリアムとか言ったか。手にしてるのは木刀か。刀を使う相手とはもう何度も戦ってきた。苦戦するということはなさそうだが……一応みくびらずにいくとするか。
「始め!」
合図とともに金髪が俺目掛けて刀を振るってきた。迷いなく俺にきたな。ということは事前にそう決めていたか。
俺はそれに合わせて木剣を構える。木剣へと重圧がかかり、それを通じて俺の身体にも大きな負担がかかった。俺はそれを軽々と弾き、金髪を後ずらせた。金髪はすぐに離れ、俺との距離を保つ。
引き際がよくわかってるな。もしあのまま攻撃を続けるなら、金髪が弾かれた状態から次の一手として木刀を振りかざした瞬間、瞬時に俺の反撃が金髪に入っていた。
なるほど。判断が早い。
俺は剣を構えつつ、金髪を見据えた。
今の攻撃、避けようと思えば避けられたが、どの程度の衝撃がこちらにくるか、分析しておいた方が今後の戦闘材料になると判断した。だからわざと受けたが……。
結果としては、予想の範疇を超えず、という感じか。 師団長という肩書きをその身に背負っている以上、それなりに強いとは思っていたが、まあまずまずの攻撃だな。重さも乗ったいい一撃だが、俺には関係ないな。
だがこれだけでは、当然ながら何もつかめてはいないのと同じだ。俺はこの金髪の情報を何も知らない。どんな氣術を使うのか、刀の扱いがどれほどのものなのか、冷静なタイプなのか、熱くなりやすいタイプなのか……。
そういう情報はあればあるほど有利になる。とりあえず、最初はいつも通り小手調べから入るとするか。
俺は動きを見せない金髪を捉えつつ、ちらっと兄さんの様子を確認する。
あっちはすでに激しい攻防戦が始まってるな。兄さんの援護に回りたいのは山々なんだが………。
「……ちっ……!」
俺がほんの一瞬目を離したこの時、金髪は瞬時に俺に詰め寄り、木刀を勢いよく振るった。俺は万全な体勢で防げないとふみ、後方に軽く飛び退いた。
すると俺が着地した瞬間を狙い、金髪は足を踏み込み、木刀を地面と水平に低く振るった。
狙いは俺の着地足か。
俺は軽く宙に浮きながらも前方に木剣を突き刺した。
「ほう……」
木刀は俺が作り出した障害物により弾かれた。木剣は折られることなく、地面に突き刺さったままだ。
俺は着地後、木剣を抜き取り、構えた。感嘆の声を漏らした金髪は、追撃することなく、距離をとって俺を観察している。
「いい判断だ。行動に移すのも早い。……お前、相当強いな」
「…………」
「沈黙か。まあいい。言葉などなくても、お前の強さは今の攻防でわかる。普通ならあれは防げない」
やはりこの金髪、侮れないな。
「だが悲しいかな。お前の意識は別の何かに向いているようだ。……ならばその余裕、俺がなくしてやろう」
その言葉とともに金髪が消えた。いや、正確には消えてなどいない。ただ先ほどよりも動きが速くなっただけだ。
俺は視界の端に僅かに捉えた金髪の残像に、反射的に反応した。木剣を構え、金髪の攻撃を防ぐ。
この速さ。確かに金髪がギアを上げたのもあるが、先ほどとの差異……つまりは緩急だ。これもプラスされて、俺の目にはさらに速く見えたのだろう。
とは言っても、反応できないわけではないが。
「ふん。やるな……ならこれでどうだ」
金髪は立て続けに木刀を振り抜く。そのスピードは俺の認識速度を超えるほどだ。例えば、この攻撃は右からくる、次は左から、などと脳内で認識してからそれに対処するための動きを実際に体現する。これを常に戦闘では行うわけだが、今俺はそれがほぼできない状態だ。つまり、反射的に対処するという次のフェーズに移行せざるを得なくなったということだ。
俺は目にも留まらぬ速さで打ち込まれる攻撃全てに対処する。避けることもできるが、それだと身体を何度も大きく動かすことになる。それは正直面倒だ。だから俺は木剣で全てを弾くことにした。
反射的に反応するのは少々面倒だが仕方ない。このままであれば、この程度の力で金髪の攻撃を防ぐことは可能だ。
俺は再びちらっと兄さんの方へと目を向ける。
……!兄さんの攻撃が弾かれた……?!
兄さんは弾かれたことで上体を後退させ、腕を開いた状態になってしまっているために、完全なる無防備な状態となっていた。
兄さん……!
「だから、よそ見するのはーーー」
俺は瞬時に空いていた右手で氣弾を生成し、ジンの槍を持った方の手首を狙い撃った。
「な……」
木刀による攻撃の雨が降り注ぐ。金髪は俺が兄さんを支援したことに驚きつつも、攻撃の手を止めることはなかった。俺が別のことに意識を割いたということは、俺を倒すチャンスが生まれたということでもあるからな。
だが俺はそう甘くはない。
俺は木剣に氣を込めることで、木剣から金髪に伝わる衝撃力を上げた。要するに、これをすることで一撃一撃が重くなると考えればいい。
防戦一方のように見えた剣戟は、俺が少しギアを上げたことで逆転した。
「……っ!ようやく本気を見せる気になったか。ならばこちらも……!」
……スピードが上がった。それに……重い。
木刀と木剣が激しくぶつかり合う。生じた風圧が周囲へと飛散し、砂埃が舞い上がる。そこはまるで俺たち二人しか存在できない空間のようだ。
……力量も技術もほぼ互角と言ったところか。クロードや秀たちを抜きにすれば、こういう相手に会ったのは初めてかもしれないな。
こいつの相手をするのは面倒だと思う反面、俺の心には謎の高揚感が湧いてるのもまた事実だ。
それに兄さんのもとに早く駆けつけたいが、こいつを連れていけばより戦況が複雑になる。そうなれば、さらに面倒なことになるかもしれない。兄さんに余計な負担をかけるかもしれない。
ここは俺がこの金髪を押さえるのが得策か……。
俺は金髪との戦いにほぼ全意識を割くことにした。兄さんは俺の余計な助けなどなくとも、どんな相手にも負けない。兄さんはこの世の誰よりも強いのだから。それを理解しつつも助けに入ってしまう俺も馬鹿だが、それが俺のサガなのだから仕方がない。
さて、この金髪をどう倒すべきか……。
side ウィリアム=ブラッツ
左手に持った木刀で、俺は何度も何度も何度も攻撃を繰り返す。この黒髪金目の男がようやく本気の一端を見せた。だから俺も出力を上げた。具体的には、木刀に氣を込めた。
黒髪も俺と同様に木剣に氣をある程度込めたことで剣速や重さを向上させたはずだ。この手段はそう珍しくはない。ある程度の強さを持ったやつなら、そのほとんどがこなせる。
ただこの黒髪は最初、それをすることなく俺の攻撃に耐えていた。もしかしたら、いい剣術の師でもいるのかもしれない。
「……いい腕をしている。大帝国師団にスカウトしたいぐらいだな」
「そんなものに興味はない」
「その強さはどこから来ている……?」
「お前に教える義理はないな」
「……ずいぶんと生きづらい性格をしているな」
「お前には関係ないことだ」
「ふむ。それもそうだな」
猛攻の中、俺たちは軽く会話をした。ほぼ俺の一方的なものではあったが。
いずれにせよ、この黒髪は普通ではない。それはこの一戦でよくわかる。
開始直後の俺の一撃を軽くいなしたこと。
着地足を狙った俺の攻撃を、超速的な思考と判断で防いだこと。
激しい剣戟の中、味方への的確な支援攻撃を難なくやってみせたこと。
先ほどまで武器に氣を込めずに打ち合っていたこと。
どれもこれも、普通の人間にはまず無理だ。師団長を除けば、師団員の中でもできる奴はそういない。こういう人材はぜひ欲しいところだが、この様子だと望み薄だろう。
俺は黒髪への連撃を緩めることなくちらっと視線をジン先輩へと移した。
あれはまずいかもな……。
俺はジン先輩が窮地に陥ると考え、氣術の準備を始めた。氣を練り、己が実現したい形をイメージする。
「先ほどの支援、実に見事だったな」
「…………」
「だが、それをできるのはなにもお前だけではない」
「……何?」
俺は左手のみで持っていた木刀を、すばやく両手で持ち、さらにそこから右手に持ち替える。この持ち替えた瞬間にも、黒髪への攻撃は決してやめない。これが途絶えては反撃がとんでくるのは目に見えているからな。
こうして一瞬のうちに左手がフリーの状態を作り出した俺は、あらかじめ準備を整えたオリジナル『アイススピア』を、もうひとりの黒髪へと放った。狙いは木剣を振りかざそうとする右手の手首だ。
結果は見事に成功。これによりジン先輩が勢いを増すことになった。
俺はアイススピアを放った直後に、木刀を先ほどとは逆の順序で左手へと戻した。俺の利き手は左手だ。右手もそれなりに鍛えたとは言え、感覚的にはどうしても左手の方がやりやすい。
ちなみに、右手では左手に比べると剣速や重さが下がってしまう。だから俺は左手でアイススピアを放ちつつ、右手には通常より多くの氣を流し込むことで、左手同様の威力を発揮していた。
「…………」
黒髪はとくに表情を変えることなく、ただ淡々と俺の猛攻を耐えていた。
どうやらポーカーフェイスな男らしい。
「このぐらいできて当然、という感じか。お前のその表情を変えさせるのは骨が折れるな」
俺は黒髪がやったことと同じことをしたわけだが、それでもこいつは微動だにしていない。心がないのかとさえ考えてしまうほどだ。
「……!」
黒髪が再び視線を外した。その瞬間、わずかに表情が歪んだ気がした。
自分の兄が危機に陥ったのは見過ごせないわけか。なら……。
俺はさらに剣速を上げた。具体的には木刀ではなく、身体全体に流れる氣の出力を上げた。この技は武器に氣を流すよりはるかに危険であり、難しいことだが、これぐらいしないとこの黒髪を追い詰めることはできないだろう。
「……ちっ……」
黒髪は不快そうにこちらを睨んだ。黒髪は俺の急激に増した勢いに押され、一歩、また一歩と後方へ退いていく。
黒髪が振るう木剣の勢いが落ちたように感じるが、それは正確には俺の攻撃の威力が上がったために生じた感覚だ。
「ようやく人間らしい部分が見えたな」
このままいけば俺が押し勝つわけだが、この黒髪はそう簡単に倒せるやつでもないはずだ。
「お前、このまま終わっていいのか?……負けるぞ?」
俺は安い挑発をふっかけてみた。まあ、こんなものには乗らなそうなんだが……。
もう少しこの黒髪の力を見ておきたい。こんなにも気を抜けない相手にはなかなか出会えないからな。俺自身を鍛えるという意味では、この黒髪はかなり貴重な存在だ。だから俺個人としてはもっとやり合いたいところだが……あまり長く陛下を待たせるのもよくないだろう。
俺は黒髪への猛攻を続けつつ、ある氣術の準備を始めた。
……仕方ない。そろそろ終わりにしようか。
side カズハ
「何あの剣速……!剣と剣がぶつかり合う音ぐらいしか聞こえないんだけど?」
私はぽかーんと口を開け、シンとウィリアム師団長の戦いに目を奪われていた。
「……お強いことは重々承知してるつもりでしたが、まさかここまでなんて……」
隣に立つエルも目を丸くしていた。
「それだけじゃない。あの二人は気を抜けない攻防の中、二人ともが仲間の支援を一度、行っている」
落ち着いた様子のセツナが口を開いた。
「それもノアやジンが窮地に陥ったピンポイントでな。……視野が広い……いや、それも含めて戦闘センスが高いと言った方が正しいのか……」
ぶつぶつと分析するセツナ。その様子はほんの少しだけ興奮気味に見えた。
普段淡白なセツナにしては珍しいー。ま、それだけこの戦いがすごいってことだよねー。
「シン兄ちゃん、押されてる……」
リュウの一言に、私は視線を前方に戻す。
シンが後ずさってる……?!
さっきまではほぼ互角という感じで、動きがなかったはずなのに……。
「ノアもジン師団長の攻撃で苦戦中っぽいし……やっぱり師団長たちは強いってことだよねー」
肩書に見合った強さをしっかりと備えてる。これ見ると、やっぱり大帝国は安全だって思えるよねー。
「そうですね。でもノアさんもシンさんも、それについていけてます。それだけでも、すごすぎですよ……!」
それはそうなんだよねー。もしこれで勝っちゃった日にはもう、どう反応したらいいのやらって感じだよー。
「このままならノアとシンが負けるだろうが、そんなにすんなりいくはずがない。よく言えば粘り強く、悪く言えばしつこい。特にノアは」
「そうだねー。シンはノアを負けさせたくないだろうから、いつも以上に気合い入る可能性あるよねー」
まあ、あの剣戟見ちゃうと、シンにやる気ありまくりなのは見え見えか。
「でもどちらにせよ、ノアたちには勝って欲しいよね、私たちとしてはさー」
「それはもちろんです。負けて欲しい気持ちなんてこれっぽっちもありません!」
「だよねー。そんじゃま、私たちのエールを送りますかー。……負けるなー!ノアー!シンー!」
「頑張ってくださーい!」
「ノア兄ちゃん、シン兄ちゃん……がんばれ……!」
「……ここからどうする気だ?ノア、シン」
side グレン=トワイライト
ある程度四人との距離を保ちながら、俺はこの激闘を見守っていた。ノアとジン師団長、シンとウィリアム師団長という構図で戦いがスタートし、双方とも熱い戦いを繰り広げている。
ノアとジン師団長の戦いは、最初はノアが優勢でジン師団長が防御に専念する形となっていた。ジン師団長の戦う姿は前に何度か見たことはあったが、ここまで苦戦している姿はそうそうなかったはずだ。
ジン師団長の戦闘スタイルは、得物の長さを利用した槍捌きと高威力の氣術を放つことだ。槍術に関しては、大帝国の中では右に出る者なしと言われるほどで、世界的に見てもトップクラスの槍術の持ち主らしい。だから槍に関してはかなり自信を持っているらしいが、氣術に関しては自身を卑下することが多い。これはまあ、あくまでも前にジン師団長と会話した時に俺が感じた感想だがな。
そしてその時に聞いたんだが、本人曰く、氣をコントロールする力はそこまで高くないために、大きな一撃を打ち込む方が得意なんだそうだ。だが、あのユニークなロックスピアを見れば、明らかに氣の操作性が高いことが窺える。ジン師団長は自分を低く見すぎるきらいがあるようだ。
そのオリジナリティのあるロックスピアによって、形勢逆転した状況になったわけだがな。……それにしても、ノアはよくジン師団長相手に互角に渡り合えていたものだ。先手を打ったことでジン師団長が思うように動けなかったこともあるだろうが、そこからジン師団長の動きをなるべく封じて、相手のやりたいことをやらせないようにした。これは高く評価すべき点だ。
例え倒せなくとも、相手のやりたいことをやらせなければ、負けることはまずない。当然、体力や気力が持続している間の話だが。それに相手に精神的ストレスを与えることも可能だ。それにより相手の思考力や判断力が鈍れば御の字というものだろう。
だがことはそう簡単にはいかない。なんたって相手は師団長、この国を守る要なのだから。ほぼ動きは封じることができたが、精神面への多大な負担はあまりなかっただろう。なにせジン師団長の槍術の腕前により、ノアが隙を見せてしまった場面があったからな。
とは言っても、ノアがジン師団長を押さえていた事実は変わらないし、ノアの剣術の腕前も相当なものだ。あの若さであれほどの腕前とは、やはり世界は広い。そして結局のところ、ウィリアム師団長の手助けがあったとはいえ、今はジン師団長が優勢とみえる。
一方のシンとウィリアム師団長の戦いは、ノアとジン師団長とは逆、つまりはウィリアム師団長が攻めシンが守るという形だった。
ウィリアム師団長の強みと言えば、刀術と氣の操作性の熟練度の高さだろう。あの若さで大帝国トップクラスの戦闘力を持っていることも脅威だが、ウィリアム師団長は冷静な判断力をも兼ね備えている。集団を指揮する者としては欠かせない能力のひとつだ。そういう意味でもウィリアム師団長は師団長に最適な人物と言える。
とは言え、その師団長の猛攻を凌いでいるシンも侮ることなどできない。双方、まだ本気を見せてはいなさそうだが、このままいけば間違いなくウィリアム師団長が勝利を手にするだろう。
……この戦いを見ていると、不思議と俺の戦闘意欲が増しているのがよくわかる。あの四人は他人を魅了する戦闘を生み出したわけだが、それにしてもノアもシンも一体何者なのか。
俺はもうこの国を積極的に守らなければならない大帝国師団の一員ではない。だからノアたちのことも深く追求することもしない。だが、これはあくまで私的なことにはなるが、はるか昔においてきたはずの好奇心というものがくすぐられるのを感じる。
ノアたちには何かがある。そう俺の勘が言っている。
だがまあ、今はこの戦いの行く末を見守るとしよう。できれば俺が止めに入る場面にはなってほしくはないが、それは神のみぞ知ると言ったところか……。
あの金髪……ウィリアムとか言ったか。手にしてるのは木刀か。刀を使う相手とはもう何度も戦ってきた。苦戦するということはなさそうだが……一応みくびらずにいくとするか。
「始め!」
合図とともに金髪が俺目掛けて刀を振るってきた。迷いなく俺にきたな。ということは事前にそう決めていたか。
俺はそれに合わせて木剣を構える。木剣へと重圧がかかり、それを通じて俺の身体にも大きな負担がかかった。俺はそれを軽々と弾き、金髪を後ずらせた。金髪はすぐに離れ、俺との距離を保つ。
引き際がよくわかってるな。もしあのまま攻撃を続けるなら、金髪が弾かれた状態から次の一手として木刀を振りかざした瞬間、瞬時に俺の反撃が金髪に入っていた。
なるほど。判断が早い。
俺は剣を構えつつ、金髪を見据えた。
今の攻撃、避けようと思えば避けられたが、どの程度の衝撃がこちらにくるか、分析しておいた方が今後の戦闘材料になると判断した。だからわざと受けたが……。
結果としては、予想の範疇を超えず、という感じか。 師団長という肩書きをその身に背負っている以上、それなりに強いとは思っていたが、まあまずまずの攻撃だな。重さも乗ったいい一撃だが、俺には関係ないな。
だがこれだけでは、当然ながら何もつかめてはいないのと同じだ。俺はこの金髪の情報を何も知らない。どんな氣術を使うのか、刀の扱いがどれほどのものなのか、冷静なタイプなのか、熱くなりやすいタイプなのか……。
そういう情報はあればあるほど有利になる。とりあえず、最初はいつも通り小手調べから入るとするか。
俺は動きを見せない金髪を捉えつつ、ちらっと兄さんの様子を確認する。
あっちはすでに激しい攻防戦が始まってるな。兄さんの援護に回りたいのは山々なんだが………。
「……ちっ……!」
俺がほんの一瞬目を離したこの時、金髪は瞬時に俺に詰め寄り、木刀を勢いよく振るった。俺は万全な体勢で防げないとふみ、後方に軽く飛び退いた。
すると俺が着地した瞬間を狙い、金髪は足を踏み込み、木刀を地面と水平に低く振るった。
狙いは俺の着地足か。
俺は軽く宙に浮きながらも前方に木剣を突き刺した。
「ほう……」
木刀は俺が作り出した障害物により弾かれた。木剣は折られることなく、地面に突き刺さったままだ。
俺は着地後、木剣を抜き取り、構えた。感嘆の声を漏らした金髪は、追撃することなく、距離をとって俺を観察している。
「いい判断だ。行動に移すのも早い。……お前、相当強いな」
「…………」
「沈黙か。まあいい。言葉などなくても、お前の強さは今の攻防でわかる。普通ならあれは防げない」
やはりこの金髪、侮れないな。
「だが悲しいかな。お前の意識は別の何かに向いているようだ。……ならばその余裕、俺がなくしてやろう」
その言葉とともに金髪が消えた。いや、正確には消えてなどいない。ただ先ほどよりも動きが速くなっただけだ。
俺は視界の端に僅かに捉えた金髪の残像に、反射的に反応した。木剣を構え、金髪の攻撃を防ぐ。
この速さ。確かに金髪がギアを上げたのもあるが、先ほどとの差異……つまりは緩急だ。これもプラスされて、俺の目にはさらに速く見えたのだろう。
とは言っても、反応できないわけではないが。
「ふん。やるな……ならこれでどうだ」
金髪は立て続けに木刀を振り抜く。そのスピードは俺の認識速度を超えるほどだ。例えば、この攻撃は右からくる、次は左から、などと脳内で認識してからそれに対処するための動きを実際に体現する。これを常に戦闘では行うわけだが、今俺はそれがほぼできない状態だ。つまり、反射的に対処するという次のフェーズに移行せざるを得なくなったということだ。
俺は目にも留まらぬ速さで打ち込まれる攻撃全てに対処する。避けることもできるが、それだと身体を何度も大きく動かすことになる。それは正直面倒だ。だから俺は木剣で全てを弾くことにした。
反射的に反応するのは少々面倒だが仕方ない。このままであれば、この程度の力で金髪の攻撃を防ぐことは可能だ。
俺は再びちらっと兄さんの方へと目を向ける。
……!兄さんの攻撃が弾かれた……?!
兄さんは弾かれたことで上体を後退させ、腕を開いた状態になってしまっているために、完全なる無防備な状態となっていた。
兄さん……!
「だから、よそ見するのはーーー」
俺は瞬時に空いていた右手で氣弾を生成し、ジンの槍を持った方の手首を狙い撃った。
「な……」
木刀による攻撃の雨が降り注ぐ。金髪は俺が兄さんを支援したことに驚きつつも、攻撃の手を止めることはなかった。俺が別のことに意識を割いたということは、俺を倒すチャンスが生まれたということでもあるからな。
だが俺はそう甘くはない。
俺は木剣に氣を込めることで、木剣から金髪に伝わる衝撃力を上げた。要するに、これをすることで一撃一撃が重くなると考えればいい。
防戦一方のように見えた剣戟は、俺が少しギアを上げたことで逆転した。
「……っ!ようやく本気を見せる気になったか。ならばこちらも……!」
……スピードが上がった。それに……重い。
木刀と木剣が激しくぶつかり合う。生じた風圧が周囲へと飛散し、砂埃が舞い上がる。そこはまるで俺たち二人しか存在できない空間のようだ。
……力量も技術もほぼ互角と言ったところか。クロードや秀たちを抜きにすれば、こういう相手に会ったのは初めてかもしれないな。
こいつの相手をするのは面倒だと思う反面、俺の心には謎の高揚感が湧いてるのもまた事実だ。
それに兄さんのもとに早く駆けつけたいが、こいつを連れていけばより戦況が複雑になる。そうなれば、さらに面倒なことになるかもしれない。兄さんに余計な負担をかけるかもしれない。
ここは俺がこの金髪を押さえるのが得策か……。
俺は金髪との戦いにほぼ全意識を割くことにした。兄さんは俺の余計な助けなどなくとも、どんな相手にも負けない。兄さんはこの世の誰よりも強いのだから。それを理解しつつも助けに入ってしまう俺も馬鹿だが、それが俺のサガなのだから仕方がない。
さて、この金髪をどう倒すべきか……。
side ウィリアム=ブラッツ
左手に持った木刀で、俺は何度も何度も何度も攻撃を繰り返す。この黒髪金目の男がようやく本気の一端を見せた。だから俺も出力を上げた。具体的には、木刀に氣を込めた。
黒髪も俺と同様に木剣に氣をある程度込めたことで剣速や重さを向上させたはずだ。この手段はそう珍しくはない。ある程度の強さを持ったやつなら、そのほとんどがこなせる。
ただこの黒髪は最初、それをすることなく俺の攻撃に耐えていた。もしかしたら、いい剣術の師でもいるのかもしれない。
「……いい腕をしている。大帝国師団にスカウトしたいぐらいだな」
「そんなものに興味はない」
「その強さはどこから来ている……?」
「お前に教える義理はないな」
「……ずいぶんと生きづらい性格をしているな」
「お前には関係ないことだ」
「ふむ。それもそうだな」
猛攻の中、俺たちは軽く会話をした。ほぼ俺の一方的なものではあったが。
いずれにせよ、この黒髪は普通ではない。それはこの一戦でよくわかる。
開始直後の俺の一撃を軽くいなしたこと。
着地足を狙った俺の攻撃を、超速的な思考と判断で防いだこと。
激しい剣戟の中、味方への的確な支援攻撃を難なくやってみせたこと。
先ほどまで武器に氣を込めずに打ち合っていたこと。
どれもこれも、普通の人間にはまず無理だ。師団長を除けば、師団員の中でもできる奴はそういない。こういう人材はぜひ欲しいところだが、この様子だと望み薄だろう。
俺は黒髪への連撃を緩めることなくちらっと視線をジン先輩へと移した。
あれはまずいかもな……。
俺はジン先輩が窮地に陥ると考え、氣術の準備を始めた。氣を練り、己が実現したい形をイメージする。
「先ほどの支援、実に見事だったな」
「…………」
「だが、それをできるのはなにもお前だけではない」
「……何?」
俺は左手のみで持っていた木刀を、すばやく両手で持ち、さらにそこから右手に持ち替える。この持ち替えた瞬間にも、黒髪への攻撃は決してやめない。これが途絶えては反撃がとんでくるのは目に見えているからな。
こうして一瞬のうちに左手がフリーの状態を作り出した俺は、あらかじめ準備を整えたオリジナル『アイススピア』を、もうひとりの黒髪へと放った。狙いは木剣を振りかざそうとする右手の手首だ。
結果は見事に成功。これによりジン先輩が勢いを増すことになった。
俺はアイススピアを放った直後に、木刀を先ほどとは逆の順序で左手へと戻した。俺の利き手は左手だ。右手もそれなりに鍛えたとは言え、感覚的にはどうしても左手の方がやりやすい。
ちなみに、右手では左手に比べると剣速や重さが下がってしまう。だから俺は左手でアイススピアを放ちつつ、右手には通常より多くの氣を流し込むことで、左手同様の威力を発揮していた。
「…………」
黒髪はとくに表情を変えることなく、ただ淡々と俺の猛攻を耐えていた。
どうやらポーカーフェイスな男らしい。
「このぐらいできて当然、という感じか。お前のその表情を変えさせるのは骨が折れるな」
俺は黒髪がやったことと同じことをしたわけだが、それでもこいつは微動だにしていない。心がないのかとさえ考えてしまうほどだ。
「……!」
黒髪が再び視線を外した。その瞬間、わずかに表情が歪んだ気がした。
自分の兄が危機に陥ったのは見過ごせないわけか。なら……。
俺はさらに剣速を上げた。具体的には木刀ではなく、身体全体に流れる氣の出力を上げた。この技は武器に氣を流すよりはるかに危険であり、難しいことだが、これぐらいしないとこの黒髪を追い詰めることはできないだろう。
「……ちっ……」
黒髪は不快そうにこちらを睨んだ。黒髪は俺の急激に増した勢いに押され、一歩、また一歩と後方へ退いていく。
黒髪が振るう木剣の勢いが落ちたように感じるが、それは正確には俺の攻撃の威力が上がったために生じた感覚だ。
「ようやく人間らしい部分が見えたな」
このままいけば俺が押し勝つわけだが、この黒髪はそう簡単に倒せるやつでもないはずだ。
「お前、このまま終わっていいのか?……負けるぞ?」
俺は安い挑発をふっかけてみた。まあ、こんなものには乗らなそうなんだが……。
もう少しこの黒髪の力を見ておきたい。こんなにも気を抜けない相手にはなかなか出会えないからな。俺自身を鍛えるという意味では、この黒髪はかなり貴重な存在だ。だから俺個人としてはもっとやり合いたいところだが……あまり長く陛下を待たせるのもよくないだろう。
俺は黒髪への猛攻を続けつつ、ある氣術の準備を始めた。
……仕方ない。そろそろ終わりにしようか。
side カズハ
「何あの剣速……!剣と剣がぶつかり合う音ぐらいしか聞こえないんだけど?」
私はぽかーんと口を開け、シンとウィリアム師団長の戦いに目を奪われていた。
「……お強いことは重々承知してるつもりでしたが、まさかここまでなんて……」
隣に立つエルも目を丸くしていた。
「それだけじゃない。あの二人は気を抜けない攻防の中、二人ともが仲間の支援を一度、行っている」
落ち着いた様子のセツナが口を開いた。
「それもノアやジンが窮地に陥ったピンポイントでな。……視野が広い……いや、それも含めて戦闘センスが高いと言った方が正しいのか……」
ぶつぶつと分析するセツナ。その様子はほんの少しだけ興奮気味に見えた。
普段淡白なセツナにしては珍しいー。ま、それだけこの戦いがすごいってことだよねー。
「シン兄ちゃん、押されてる……」
リュウの一言に、私は視線を前方に戻す。
シンが後ずさってる……?!
さっきまではほぼ互角という感じで、動きがなかったはずなのに……。
「ノアもジン師団長の攻撃で苦戦中っぽいし……やっぱり師団長たちは強いってことだよねー」
肩書に見合った強さをしっかりと備えてる。これ見ると、やっぱり大帝国は安全だって思えるよねー。
「そうですね。でもノアさんもシンさんも、それについていけてます。それだけでも、すごすぎですよ……!」
それはそうなんだよねー。もしこれで勝っちゃった日にはもう、どう反応したらいいのやらって感じだよー。
「このままならノアとシンが負けるだろうが、そんなにすんなりいくはずがない。よく言えば粘り強く、悪く言えばしつこい。特にノアは」
「そうだねー。シンはノアを負けさせたくないだろうから、いつも以上に気合い入る可能性あるよねー」
まあ、あの剣戟見ちゃうと、シンにやる気ありまくりなのは見え見えか。
「でもどちらにせよ、ノアたちには勝って欲しいよね、私たちとしてはさー」
「それはもちろんです。負けて欲しい気持ちなんてこれっぽっちもありません!」
「だよねー。そんじゃま、私たちのエールを送りますかー。……負けるなー!ノアー!シンー!」
「頑張ってくださーい!」
「ノア兄ちゃん、シン兄ちゃん……がんばれ……!」
「……ここからどうする気だ?ノア、シン」
side グレン=トワイライト
ある程度四人との距離を保ちながら、俺はこの激闘を見守っていた。ノアとジン師団長、シンとウィリアム師団長という構図で戦いがスタートし、双方とも熱い戦いを繰り広げている。
ノアとジン師団長の戦いは、最初はノアが優勢でジン師団長が防御に専念する形となっていた。ジン師団長の戦う姿は前に何度か見たことはあったが、ここまで苦戦している姿はそうそうなかったはずだ。
ジン師団長の戦闘スタイルは、得物の長さを利用した槍捌きと高威力の氣術を放つことだ。槍術に関しては、大帝国の中では右に出る者なしと言われるほどで、世界的に見てもトップクラスの槍術の持ち主らしい。だから槍に関してはかなり自信を持っているらしいが、氣術に関しては自身を卑下することが多い。これはまあ、あくまでも前にジン師団長と会話した時に俺が感じた感想だがな。
そしてその時に聞いたんだが、本人曰く、氣をコントロールする力はそこまで高くないために、大きな一撃を打ち込む方が得意なんだそうだ。だが、あのユニークなロックスピアを見れば、明らかに氣の操作性が高いことが窺える。ジン師団長は自分を低く見すぎるきらいがあるようだ。
そのオリジナリティのあるロックスピアによって、形勢逆転した状況になったわけだがな。……それにしても、ノアはよくジン師団長相手に互角に渡り合えていたものだ。先手を打ったことでジン師団長が思うように動けなかったこともあるだろうが、そこからジン師団長の動きをなるべく封じて、相手のやりたいことをやらせないようにした。これは高く評価すべき点だ。
例え倒せなくとも、相手のやりたいことをやらせなければ、負けることはまずない。当然、体力や気力が持続している間の話だが。それに相手に精神的ストレスを与えることも可能だ。それにより相手の思考力や判断力が鈍れば御の字というものだろう。
だがことはそう簡単にはいかない。なんたって相手は師団長、この国を守る要なのだから。ほぼ動きは封じることができたが、精神面への多大な負担はあまりなかっただろう。なにせジン師団長の槍術の腕前により、ノアが隙を見せてしまった場面があったからな。
とは言っても、ノアがジン師団長を押さえていた事実は変わらないし、ノアの剣術の腕前も相当なものだ。あの若さであれほどの腕前とは、やはり世界は広い。そして結局のところ、ウィリアム師団長の手助けがあったとはいえ、今はジン師団長が優勢とみえる。
一方のシンとウィリアム師団長の戦いは、ノアとジン師団長とは逆、つまりはウィリアム師団長が攻めシンが守るという形だった。
ウィリアム師団長の強みと言えば、刀術と氣の操作性の熟練度の高さだろう。あの若さで大帝国トップクラスの戦闘力を持っていることも脅威だが、ウィリアム師団長は冷静な判断力をも兼ね備えている。集団を指揮する者としては欠かせない能力のひとつだ。そういう意味でもウィリアム師団長は師団長に最適な人物と言える。
とは言え、その師団長の猛攻を凌いでいるシンも侮ることなどできない。双方、まだ本気を見せてはいなさそうだが、このままいけば間違いなくウィリアム師団長が勝利を手にするだろう。
……この戦いを見ていると、不思議と俺の戦闘意欲が増しているのがよくわかる。あの四人は他人を魅了する戦闘を生み出したわけだが、それにしてもノアもシンも一体何者なのか。
俺はもうこの国を積極的に守らなければならない大帝国師団の一員ではない。だからノアたちのことも深く追求することもしない。だが、これはあくまで私的なことにはなるが、はるか昔においてきたはずの好奇心というものがくすぐられるのを感じる。
ノアたちには何かがある。そう俺の勘が言っている。
だがまあ、今はこの戦いの行く末を見守るとしよう。できれば俺が止めに入る場面にはなってほしくはないが、それは神のみぞ知ると言ったところか……。
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