婚約者の前で奪われる!?王太子が僕の番だった夜

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煌めく視線の中で

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 会場の扉の前に立ち、僕はリリアナと自分の招待状を係に手渡した。

 これから二人分の名前が読み上げられる。リリアナは肩をわずかに震わせ、まだ閉ざされた扉をじっと見つめている。

 初めての社交界デビュー。緊張が小さな仕草からも伝わってくる。

 やがて、重厚な扉が静かに開き、足元を照らす光の帯が差し込んできた。

「バレンティア辺境伯家、リリアナ様、入場」

 呼ばれた瞬間、リリアナは小さく息を吸い込む。

 僕はその横顔を見つめ、軽く頷いて合図する。背筋を伸ばし、気品を纏った彼女の姿に、周囲の視線が自然と集まった。

 続いて僕の名が読み上げられる。

「アステリア公国、グレイスフィールド辺境伯家、レオン様、入場」

 自国の貴族なら国名は省かれるところだけど、隣国からの貴族として国名まで読み上げられたようだ。

 整然と列を作る紳士淑女たちや、すでに挨拶を終えた貴族たちの視線が、静かにこちら側へと向けられる。

「あんな美しい令嬢、初めて見た」

「隣国の辺境伯家の方……端正すぎる」

「二人揃って、ただならぬ気品だわ」

「推せる、推せるわ……!」

推せる……?

 胸の奥が懐かしいざわめきでほんのり揺れる。思わず前世の記憶をちらりと意識してしまう。だが、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 僕はリリアナの手を取り、自然に自分の側へと引き寄せる。二人で、静かに、しかし確実に会場内に足を踏み入れた。

 金と白の光が交錯する豪奢なホール、煌めくシャンデリア、揺れる絹の裾。あらゆる視線が降り注ぐが、僕たちは動じず、真っすぐ前を見据える。

 王家の方々に挨拶をし、祝言を賜るための列へ。肩を寄せ合い、互いの緊張を感じながらも、一歩ずつ歩みを進めた。

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