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家族
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俺には、兄が二人と弟が一人いる。
「じゃ、俺もう大学行くから」
眼鏡を掛け、カバンを肩に引っ掻けてそう告げながらリビングを出て行く次男の魁里。十九歳。
「うえっ。早くね!?」
口に卵焼きを入れながらそれを非難する声を上げたのは四男の悠璃。十四歳。
「今日はレポート提出日で、教授と色々話がしたいんだってさ。――それより悠。食べながら喋るのは止めなさいっ」
丸めた新聞紙をペコっと悠璃の頭に当てて叱っているのが長男の李煌。二十歳。
俺がリビングに入ったことで兄弟四人、顔を合わせた朝は数日振りだ。――ほんの一瞬だったが。
「あ、大河くんおはよう。ご飯食べてくでしょ?」
「もちろん、頂きます」
綺麗な笑顔が俺に向けられて、少しばかり気持ちのイイ朝だと実感する。
いや、本当言うと、凄く気持ちがイイ。
「今日は部活休みだっけ?」
「いや、朝練はあるよ。午後から休み」
ダイニングルームのテーブルには、サラダに卵焼き、焼き魚が既に用意されていた。
「じゃあしっかり食べて行かなきゃだね」
また綺麗な笑顔が俺に向く。
差し出された味噌汁を受け取りながら、俺も僅かに頬を緩めて応えた。
「今日も美味そうだ」
俺は、この綺麗な笑顔が好きだ。
もっと言えば、綺麗な笑顔を浮かべる李煌さんが好きだ。
家族で、今は俺の兄でもあるが、好きになってしまったものは仕方がない。
「はい。ご飯もしっかり食べてね」
また向けられた綺麗な笑顔と一緒に、茶碗の許容範囲を遥かに超えたご飯の山を目の前にして、盛大に噴き出した――悠璃が。
「ぶははっ。そんな山盛り飯マンガでしか見たことねーよ!」
「うん、まあね。ウケると思って。……大河くんには不発だったかな?」
「……いや、そんなことはないけど」
(寧ろそんな悪戯をする李煌さんが可愛い。なんて、口が裂けても言えないけど)
「そうだ! もうすぐ大河くんが来て六年になるから、またお祝いしようね」
李煌さんの突然の提案に、目を瞬く。
「そんな、毎年祝ってもらわなくてもいいんだけど。誕生日じゃないんだから」
とか言って、気持ちは凄く嬉しいのだが。
毎年祝ってもらうのは、気が引けてしまう。
「いーじゃんやろーよ! パーっと盛大にさあ」
両手を上げて大賛成する悠璃に押されて、李煌さんが喰い下がってくる。
「ね? テストが終わったあとにでもどうかな。考えておいてよ」
手を合わせてお願いポーズをとる李煌さんに、俺が拒否できるわけもなく……。
「――分かった。テストが終わったら、で」
普通盛りにしてもらったご飯を口に運びながら、俺の返答に嬉しそうにしている李煌さんを盗み見る。
(綺麗……ってより、可愛いな。俺の理性がいつまで保つか……)
「じゃ、俺もう大学行くから」
眼鏡を掛け、カバンを肩に引っ掻けてそう告げながらリビングを出て行く次男の魁里。十九歳。
「うえっ。早くね!?」
口に卵焼きを入れながらそれを非難する声を上げたのは四男の悠璃。十四歳。
「今日はレポート提出日で、教授と色々話がしたいんだってさ。――それより悠。食べながら喋るのは止めなさいっ」
丸めた新聞紙をペコっと悠璃の頭に当てて叱っているのが長男の李煌。二十歳。
俺がリビングに入ったことで兄弟四人、顔を合わせた朝は数日振りだ。――ほんの一瞬だったが。
「あ、大河くんおはよう。ご飯食べてくでしょ?」
「もちろん、頂きます」
綺麗な笑顔が俺に向けられて、少しばかり気持ちのイイ朝だと実感する。
いや、本当言うと、凄く気持ちがイイ。
「今日は部活休みだっけ?」
「いや、朝練はあるよ。午後から休み」
ダイニングルームのテーブルには、サラダに卵焼き、焼き魚が既に用意されていた。
「じゃあしっかり食べて行かなきゃだね」
また綺麗な笑顔が俺に向く。
差し出された味噌汁を受け取りながら、俺も僅かに頬を緩めて応えた。
「今日も美味そうだ」
俺は、この綺麗な笑顔が好きだ。
もっと言えば、綺麗な笑顔を浮かべる李煌さんが好きだ。
家族で、今は俺の兄でもあるが、好きになってしまったものは仕方がない。
「はい。ご飯もしっかり食べてね」
また向けられた綺麗な笑顔と一緒に、茶碗の許容範囲を遥かに超えたご飯の山を目の前にして、盛大に噴き出した――悠璃が。
「ぶははっ。そんな山盛り飯マンガでしか見たことねーよ!」
「うん、まあね。ウケると思って。……大河くんには不発だったかな?」
「……いや、そんなことはないけど」
(寧ろそんな悪戯をする李煌さんが可愛い。なんて、口が裂けても言えないけど)
「そうだ! もうすぐ大河くんが来て六年になるから、またお祝いしようね」
李煌さんの突然の提案に、目を瞬く。
「そんな、毎年祝ってもらわなくてもいいんだけど。誕生日じゃないんだから」
とか言って、気持ちは凄く嬉しいのだが。
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「ね? テストが終わったあとにでもどうかな。考えておいてよ」
手を合わせてお願いポーズをとる李煌さんに、俺が拒否できるわけもなく……。
「――分かった。テストが終わったら、で」
普通盛りにしてもらったご飯を口に運びながら、俺の返答に嬉しそうにしている李煌さんを盗み見る。
(綺麗……ってより、可愛いな。俺の理性がいつまで保つか……)
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