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脱却2
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きっと顔を赤くしているだろうことは容易に想像できた。
(そろそろ、限界だな)
今までは李煌さんの気持ちを優先させて大事に慎重に距離を縮めて来た。
けれど、もっと触れたいと思う気持ちも募るばかりだ。
いつまで抑えていられるかなんて、もう考える事すら辛い――。
(ま、先に進むのは唐木に話してからだな。……アイツ、どんな顔するかな……)
俺と李煌さんは大型店を出てとりあえず駅の方へ向かった。
予定の無いデートもなかなか楽しい。
駅に近付くにつれ、人が増えて来た。
時々行き交う人とぶつかりそうになる李煌さんの肩をグィと抱き寄せて歩いた。
こういう状況だから変には思われないだろう。
それは李煌さんも理解してくれているのか、何も言わずに俺に身を寄せてくれている。
そんな些細なことでさえ、嬉しく思えた。
「駅の近くでお昼にしようか。大河くん、お腹空いたんじゃない?」
こっちに投げ掛けて来た李煌さんの視線を真っ直ぐ捉える。
「まあ……少しだけ。でも、李煌さんに合わせるよ。まだパンケーキ残ってるんじゃないか?」
そのまま視線を下へずらして腹の辺りで止める。
そんな俺の視線に気付いた李煌さんが寒さで赤くなっている頬を更に赤らめた。
「だ、大丈夫だよ! 俺も小腹くらい空いてる…っ。もう一時近くだしさ!」
「小腹だけ?」
クスリと笑うと、李煌さんが拗ねたようにムッと顔を顰めた。
「大河くん、そんなに意地悪だったっけ」
「李煌さんにだけだよ」
「うわ。酷いなぁ」
「酷くはないさ。良く言うだろ? 好きな子には虐めたくなるって」
それを聞いた李煌さんがギョッとして辺りへキョロキョロと目を向けた。
その姿に口端を軽く持ち上げる。
「大丈夫。誰も聞いてない。みんな自分のことに夢中だから」
「……」
「何?」
「何でもないよー。それより、どこで食べる?」
はぐらかす李煌さんに首を傾げながら駅付近まで来たところで足を止めた。
「あそこの二階は? 窓際空いてるっぽいけど」
俺の視線の先には、駅前にあるファーストフード店の二階、小さなレストランがあった。
「あ、イイね! そうしようか」
横断歩道を渡って入口前。
人でごった返す中、不意に李煌さんを呼ぶ声がしてふたり揃って振り返った。
「あ、やっぱり~! 李煌くんだと思った!」
「明けましておめでとう、李煌くん!」
「相見も初詣に来たのか?」
李煌さんの知り合いとくれば、大学の仲間だろうか。
ばっちりメイクを決めた女子大生が二人と、男が一人、それから……、
「お、李煌じゃん。久し振り~」
遅れてやってきた二人目の男が李煌さんに手を振って笑いかけた。
(軽そうな奴だな……)
俺は李煌さんを含め五人の様子を窺う。
「……うん、久し振りだね。明けましておめでとう。みんなも初詣に?」
李煌さんも挨拶を交わすが、どことなくぎこちない気がする。
(会っちゃ拙かったとか? 俺の存在を隠したかったとか……ありそうだけど)
それとは違う気がした。
(そろそろ、限界だな)
今までは李煌さんの気持ちを優先させて大事に慎重に距離を縮めて来た。
けれど、もっと触れたいと思う気持ちも募るばかりだ。
いつまで抑えていられるかなんて、もう考える事すら辛い――。
(ま、先に進むのは唐木に話してからだな。……アイツ、どんな顔するかな……)
俺と李煌さんは大型店を出てとりあえず駅の方へ向かった。
予定の無いデートもなかなか楽しい。
駅に近付くにつれ、人が増えて来た。
時々行き交う人とぶつかりそうになる李煌さんの肩をグィと抱き寄せて歩いた。
こういう状況だから変には思われないだろう。
それは李煌さんも理解してくれているのか、何も言わずに俺に身を寄せてくれている。
そんな些細なことでさえ、嬉しく思えた。
「駅の近くでお昼にしようか。大河くん、お腹空いたんじゃない?」
こっちに投げ掛けて来た李煌さんの視線を真っ直ぐ捉える。
「まあ……少しだけ。でも、李煌さんに合わせるよ。まだパンケーキ残ってるんじゃないか?」
そのまま視線を下へずらして腹の辺りで止める。
そんな俺の視線に気付いた李煌さんが寒さで赤くなっている頬を更に赤らめた。
「だ、大丈夫だよ! 俺も小腹くらい空いてる…っ。もう一時近くだしさ!」
「小腹だけ?」
クスリと笑うと、李煌さんが拗ねたようにムッと顔を顰めた。
「大河くん、そんなに意地悪だったっけ」
「李煌さんにだけだよ」
「うわ。酷いなぁ」
「酷くはないさ。良く言うだろ? 好きな子には虐めたくなるって」
それを聞いた李煌さんがギョッとして辺りへキョロキョロと目を向けた。
その姿に口端を軽く持ち上げる。
「大丈夫。誰も聞いてない。みんな自分のことに夢中だから」
「……」
「何?」
「何でもないよー。それより、どこで食べる?」
はぐらかす李煌さんに首を傾げながら駅付近まで来たところで足を止めた。
「あそこの二階は? 窓際空いてるっぽいけど」
俺の視線の先には、駅前にあるファーストフード店の二階、小さなレストランがあった。
「あ、イイね! そうしようか」
横断歩道を渡って入口前。
人でごった返す中、不意に李煌さんを呼ぶ声がしてふたり揃って振り返った。
「あ、やっぱり~! 李煌くんだと思った!」
「明けましておめでとう、李煌くん!」
「相見も初詣に来たのか?」
李煌さんの知り合いとくれば、大学の仲間だろうか。
ばっちりメイクを決めた女子大生が二人と、男が一人、それから……、
「お、李煌じゃん。久し振り~」
遅れてやってきた二人目の男が李煌さんに手を振って笑いかけた。
(軽そうな奴だな……)
俺は李煌さんを含め五人の様子を窺う。
「……うん、久し振りだね。明けましておめでとう。みんなも初詣に?」
李煌さんも挨拶を交わすが、どことなくぎこちない気がする。
(会っちゃ拙かったとか? 俺の存在を隠したかったとか……ありそうだけど)
それとは違う気がした。
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