28 / 35
28 準備 ※
しおりを挟む
翌朝、アレックスはめずらしく部屋で朝食を摂ると言い出した。
すでに手配をしていたらしく、リュカがシャワーを浴びて浴室から出て来たときには食事の準備が整っていた。
「すみません、いろいろと準備していただいて……」
「昨夜は少し無理をさせたからな。休日くらいゆっくりしていろ」
そう言われて、かっと顔が熱くなった。昨夜は朦朧としていて記憶の一部が飛んでいるとはいえ、自分が痴態を晒したことはよく覚えている。かなり取り乱してしまい、言わなくてもいいことまで口走ったような気がする。
「昨夜は、すみませんでした」
「なにを謝っている?」
アレックスは笑っていた。どうしてリュカが謝っているのか、わかっていて訊いているのだ。
「あなたの言いつけを守らず、みっともないところをお見せしました。申し訳ありませんでした」
「かまわん。側仕えをしつけるのも主人の役目だからな。おまえは、実にしつけ甲斐がある」
まるで我慢の効かない獣のようだと言われている気がして、ますます顔が熱くなった。アレックスの魔力が馴染めば、もっと理性的なふるまいができるようになると信じたいが、好きなひとに触れられて、冷静でいられるわけがない。
「用事があるから外出してくるが、おまえは部屋で待機していろ。昼までには戻る」
そう言い残して、アレックスは出かけていった。
昼までに寝具を交換して洗濯物を出してしまおうと思い、寝具と衣類を持って部屋の外に行こうとしたところで、リュカはおかしなことに気づいた。
廊下に通じるドアが開かないのだ。何度か鍵を開けたり閉めたりと繰り返してみたが結果は同じで、一向にドアノブが回ってくれない。
「うーん……」
そうこうしているうちに外側からドアがノックされて、応答すると相手は寮の職員だった。ドアが開かなくなってしまったことを告げると、外側から開けてみると言われ、試してもらったところドアはすぐに開いた。職員のひとりを外に残し、先に入った職員が内側からドアノブを回したが、リュカが苦戦していたのが嘘のようにあっさりと開く。念のため点検してもらったが、問題はないと言われた。さっき開かなかったのは、たまたまだったらしい。
職員が部屋にやってきたのは、掃除のためだった。さらには寝具の交換と洗濯物の回収もアレックスが手配してくれたようだ。リュカを気遣ってくれたのだろうが、身体が少し熱っぽいくらいで、体調はいつもよりいいくらいだ。申し訳ない気持ちになりながらも職員に任せ、半刻も経たないうちに職員たちが帰っていくと、またひとりきりになった。
きっと、夜になればアレックスはまたリュカに魔力を供給するに違いない。それまでに、リュカにはしておかなければならないことがある。アレックスの魔力がリュカの身体に馴染むまでどのくらいの日数を必要とするのかはわからないが、もう片方の準備が終わらなければ、先に進むことができない。
男の身体に男性器を受け入れるには、準備が必要だ。そこをほぐし、拡げなければならない。同僚の男娼が教えてくれていたのに、すっかりと忘れていた。抱いてほしいとねだっておきながら、いままで自分でなにも準備をしなかったなんてあまりにも恥ずかしい。
アレックスにそんな手間をかけさせるわけにはいかない以上、男娼たちが客に会う前に準備をするように、リュカも準備をしてからベッドへ向かうべきだった。最終的にはアレックスの性器を入れるとはいえ、そんな場所をアレックスに触れさせたくない。
父に持たされていた香油の存在を思い出し、ベッドを汚さないよう浴室で準備をすることにした。洗浄魔法の作用がかけられている特別な香油だと聞いている。準備にどのくらい時間が必要かはわからないが、アレックスが不在のうちにできることは進めておきたい。
汚さないように洗面所ですべての服を脱ぎ、裸になってから浴室に足を踏み入れた。まずは立ったまま香油で濡らした指を尻の割れ目に滑らせ、そっと指を埋め込んでみる。油の滑りを借りて、指は思いのほか簡単になかへ入っていった。
「ん……っ」
浅い場所で指を回して拡げてから、香油を注ぎ足しさらに奥へ指を進めていく。違和感がひどく、指を奥に入れるのは怖かったが、指が入らないようではあの立派なアレックスの性器を受け入れることはできない。準備が足りなければアレックスが痛みを覚えてしまう。できるなら、アレックスに気持ちよくなってもらいたかった。
「指二本くらいじゃ、足りないだろうな……」
昨夜、口で頬張った性器の大きさを思い出しながら、熱いため息を吐き出す。
あの硬いものに腹のなかを擦られるのは、どんな感覚なのだろうか。想像するだけで触れてもいない性器が硬くなっていく。アレックスにあたえられる刺激は、すべてが気持ちいい。だから、この先に待ち受ける行為に不安はみじんもなかった。
どちらかと言えば、感じるのはさみしさだった。アレックスに抱いてもらうことができたら、リュカはウィルフリッドのところへ行くと決めている。きっと、アレックスのそばにいられなくなる。それを考えると、どうしようもなくさみしさを覚えた。
「あれ……なんか……」
香油をこまめに注ぎ足しながら少しずつなかを拡げているうち、違和感に気づいた。身体が熱い。昨夜のことを思い出して興奮したから、ではない。アレックスの精液を飲み込んで身体が暴走したときの感覚に似ていた。身体が熱く、汗が大量に流れ出し、性的な興奮を催している。性器は痛いほどに張り詰めていた。
「はあ……っ、ん……う」
アレックスが帰ってくるまでに発散しなければ。そう思って自分で性器を扱きはじめたが、いくら射精しても一向に治まらない。
「なん、で……っ、や、も……っ」
もう何度射精したのか、途中で数えるのをやめてしまった。指で擦り過ぎた性器は赤くなり、痛みを覚えて香油を塗りつけて擦ったが、身体の熱さは増すばかりだった。
先端から飛び出す粘液にだんだんと勢いがなくなり、薄くなっていって、とうとうなにも出なくなった。でも、まだ身体は熱い。
「あっ、あ……や、やだ……っ、どうすれば……っ」
すでに手配をしていたらしく、リュカがシャワーを浴びて浴室から出て来たときには食事の準備が整っていた。
「すみません、いろいろと準備していただいて……」
「昨夜は少し無理をさせたからな。休日くらいゆっくりしていろ」
そう言われて、かっと顔が熱くなった。昨夜は朦朧としていて記憶の一部が飛んでいるとはいえ、自分が痴態を晒したことはよく覚えている。かなり取り乱してしまい、言わなくてもいいことまで口走ったような気がする。
「昨夜は、すみませんでした」
「なにを謝っている?」
アレックスは笑っていた。どうしてリュカが謝っているのか、わかっていて訊いているのだ。
「あなたの言いつけを守らず、みっともないところをお見せしました。申し訳ありませんでした」
「かまわん。側仕えをしつけるのも主人の役目だからな。おまえは、実にしつけ甲斐がある」
まるで我慢の効かない獣のようだと言われている気がして、ますます顔が熱くなった。アレックスの魔力が馴染めば、もっと理性的なふるまいができるようになると信じたいが、好きなひとに触れられて、冷静でいられるわけがない。
「用事があるから外出してくるが、おまえは部屋で待機していろ。昼までには戻る」
そう言い残して、アレックスは出かけていった。
昼までに寝具を交換して洗濯物を出してしまおうと思い、寝具と衣類を持って部屋の外に行こうとしたところで、リュカはおかしなことに気づいた。
廊下に通じるドアが開かないのだ。何度か鍵を開けたり閉めたりと繰り返してみたが結果は同じで、一向にドアノブが回ってくれない。
「うーん……」
そうこうしているうちに外側からドアがノックされて、応答すると相手は寮の職員だった。ドアが開かなくなってしまったことを告げると、外側から開けてみると言われ、試してもらったところドアはすぐに開いた。職員のひとりを外に残し、先に入った職員が内側からドアノブを回したが、リュカが苦戦していたのが嘘のようにあっさりと開く。念のため点検してもらったが、問題はないと言われた。さっき開かなかったのは、たまたまだったらしい。
職員が部屋にやってきたのは、掃除のためだった。さらには寝具の交換と洗濯物の回収もアレックスが手配してくれたようだ。リュカを気遣ってくれたのだろうが、身体が少し熱っぽいくらいで、体調はいつもよりいいくらいだ。申し訳ない気持ちになりながらも職員に任せ、半刻も経たないうちに職員たちが帰っていくと、またひとりきりになった。
きっと、夜になればアレックスはまたリュカに魔力を供給するに違いない。それまでに、リュカにはしておかなければならないことがある。アレックスの魔力がリュカの身体に馴染むまでどのくらいの日数を必要とするのかはわからないが、もう片方の準備が終わらなければ、先に進むことができない。
男の身体に男性器を受け入れるには、準備が必要だ。そこをほぐし、拡げなければならない。同僚の男娼が教えてくれていたのに、すっかりと忘れていた。抱いてほしいとねだっておきながら、いままで自分でなにも準備をしなかったなんてあまりにも恥ずかしい。
アレックスにそんな手間をかけさせるわけにはいかない以上、男娼たちが客に会う前に準備をするように、リュカも準備をしてからベッドへ向かうべきだった。最終的にはアレックスの性器を入れるとはいえ、そんな場所をアレックスに触れさせたくない。
父に持たされていた香油の存在を思い出し、ベッドを汚さないよう浴室で準備をすることにした。洗浄魔法の作用がかけられている特別な香油だと聞いている。準備にどのくらい時間が必要かはわからないが、アレックスが不在のうちにできることは進めておきたい。
汚さないように洗面所ですべての服を脱ぎ、裸になってから浴室に足を踏み入れた。まずは立ったまま香油で濡らした指を尻の割れ目に滑らせ、そっと指を埋め込んでみる。油の滑りを借りて、指は思いのほか簡単になかへ入っていった。
「ん……っ」
浅い場所で指を回して拡げてから、香油を注ぎ足しさらに奥へ指を進めていく。違和感がひどく、指を奥に入れるのは怖かったが、指が入らないようではあの立派なアレックスの性器を受け入れることはできない。準備が足りなければアレックスが痛みを覚えてしまう。できるなら、アレックスに気持ちよくなってもらいたかった。
「指二本くらいじゃ、足りないだろうな……」
昨夜、口で頬張った性器の大きさを思い出しながら、熱いため息を吐き出す。
あの硬いものに腹のなかを擦られるのは、どんな感覚なのだろうか。想像するだけで触れてもいない性器が硬くなっていく。アレックスにあたえられる刺激は、すべてが気持ちいい。だから、この先に待ち受ける行為に不安はみじんもなかった。
どちらかと言えば、感じるのはさみしさだった。アレックスに抱いてもらうことができたら、リュカはウィルフリッドのところへ行くと決めている。きっと、アレックスのそばにいられなくなる。それを考えると、どうしようもなくさみしさを覚えた。
「あれ……なんか……」
香油をこまめに注ぎ足しながら少しずつなかを拡げているうち、違和感に気づいた。身体が熱い。昨夜のことを思い出して興奮したから、ではない。アレックスの精液を飲み込んで身体が暴走したときの感覚に似ていた。身体が熱く、汗が大量に流れ出し、性的な興奮を催している。性器は痛いほどに張り詰めていた。
「はあ……っ、ん……う」
アレックスが帰ってくるまでに発散しなければ。そう思って自分で性器を扱きはじめたが、いくら射精しても一向に治まらない。
「なん、で……っ、や、も……っ」
もう何度射精したのか、途中で数えるのをやめてしまった。指で擦り過ぎた性器は赤くなり、痛みを覚えて香油を塗りつけて擦ったが、身体の熱さは増すばかりだった。
先端から飛び出す粘液にだんだんと勢いがなくなり、薄くなっていって、とうとうなにも出なくなった。でも、まだ身体は熱い。
「あっ、あ……や、やだ……っ、どうすれば……っ」
46
あなたにおすすめの小説
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
【完結】ツンデレ妖精王が、獅子だけど大型ワンコな獣人王にとろとろに愛される話
古井重箱
BL
【あらすじ】妖精王レクシェールは、獣人王ガルトゥスが苦手である。ある時、レクシェールはガルトゥスに熱いキスをされてしまう。「このキスは宿題だ。その答えが分かったら、返事をくれ」 ガルトゥスの言葉に思い悩むレクシェール。果たして彼が出した答えは——。【注記】妖精王も獣人王も平常時は人間の青年の姿です。獅子に変身するけど大型ワンコな攻×ツンデレ美人受です。この作品はアルファポリスとムーンライトノベルズ、エブリスタ、pixivに掲載しています。ラブシーンありの回には*をつけております。
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
ぼくが風になるまえに――
まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」
学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。
――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。
精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。
「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」
異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。
切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。
ダレン×フロル
どうぞよろしくお願いいたします。
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる