【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)

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30 最も幸福な時間 ※

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 アレックスにくちづけられ、肌を吸われ、胸の突起をいじられながら、後孔をほぐされた。
 アレックスが使っているのはなんの効果も込められていない香油なのに、強い催淫効果が付与されているのかと思うほど、リュカは乱れ続けた。それとも、共鳴反応が出ているからなのか、好きな相手に触れられているからなのか。きっと、すべてなのだろう。

「あ……っ、あ……ん、あっ、ああ……ッ!」
「男の身体でも、精を吐かずに気をやると魔力を発散するらしい」

 笑いながら言って、失われた魔力を供給するためにアレックスがくちづけてくる。
 もう、何度達したのかわからない。ときどきリュカの性器からは少量の精液が漏れたが、精液が出なくてもリュカの身体は登り詰めていた。深い絶頂に嬌声を上げ、悶え、リュカの身体は浅ましくアレックスを求め続ける。

「……っ、ん……は、あ……っ、あ」

 アレックスの指で散々掻き回され、香油をたっぷりと塗りつけられた内壁は、すっかりとやわらかくなっていた。二本、三本と、順調にアレックスの指を飲み込んでいくたび、彼の性器を受け入れる準備が整っていくのだと思うと、リュカの身体はますますよろこびに打ち震える。
 同時に、終わりが近づいているのだと思うと、さみしくてたまらなくなった。

「考えごとか? ずいぶんと余裕だな。それとも、いまごろ怖気づいたか?」
「いえ、もうすぐあなたを受け入れられると思うと、うれしいんです」

 リュカの返事を聞いたアレックスは、無言で三本の指を引き抜いた。喪失感に襲われたが、大きく広げられた脚のあいだに今度は熱いものが押し当てられる。

「……あ」
「おまえを抱いているのがだれか、よく見ておけ」

 リュカと視線を合わせながら、アレックスが性器の先端をぬかるんだ場所へ押し込んでくる。

「……っ、う……」

 じわじわと先端がなかに入ってくるにつれて、入り口をめいっぱい拡げられる感覚に思わず身体がこわばった。あれほどしっかりほぐされたのに、内壁はぎちぎちとアレックスの性器を締めつける。力を抜かなければと思うのに、身動きが取れない。圧迫感の苦しみに、歯を食いしばることしかできない。

「おい、深くゆっくりと呼吸してみろ」

 アレックスに言われるまま深い呼吸を繰り返すと、こわばりが少しずつほどけていった。リュカの呼吸に合わせて、アレックスが徐々に腰を進めていき、腹のなかが張り詰めた性器で満たされていく。「上手だ」と甘い声でささやかれ、うれしくてため息が漏れた。

「は、あ……っ」

 奥まで性器を収めたところでアレックスが腰の動きを止め、長く息を吐き出した。白い肌は熱に染まり、大量に汗が噴き出している。フーッ、フーッと荒い息を繰り返し、苦しそうに顔を顰めた。リュカが締めつけているから性器が痛むのかと思ったが、どうやら違うらしい。
 こちらを見る瞳は欲望に染まりきっていて、まるで獲物を前にした獣のようだった。このうつくしい水色の瞳を、いまだけは自分がひとりじめしている。そう思ったら、どうしようもなく興奮してしまった。

「あ……っ、あ……」
「……っく……おまえ……」

 びくんと腰を跳ねさせて絶頂したリュカを見て、アレックスが低く呻く。アレックスの性器に馴染みはじめていた粘膜は、甘えるようにねっとりと性器へ絡みついた。

「あ……っ、ごめ、なさ――……ん、う!」

 謝罪のことばを告げようとしたリュカの唇に、アレックスが噛みつくようにして唇を重ねてくる。舌を擦り合わせる気持ちよさに、身体がたちまちとろけていく。

「んあ……っ、ふぁ……ん、んっ」

 舌の根が痺れるほどに濃厚なくちづけを交わしたあと、アレックスの唇はリュカの耳に移動していった。耳の中を舐め、耳朶に歯を立ててから、首を吸い、鎖骨に歯を立てる。
 つんと尖った乳首の根本を甘噛みされて、リュカがいっそう甘い声を上げるとアレックスが腰を揺らしはじめた。

「ああッ! ん、は……っ、あっ、あ、ああ……ッ!」

 小刻みな律動が徐々に大きな腰の動きに変わっていって、たくましい性器が内壁を擦る。たまらずリュカが果てると、弱いところを何度も立て続けに擦られた。先ほどまで身体のなかにあるそのしこりを指で強く擦られ、何度も絶頂したばかりだ。

 アレックスには、リュカの身体の弱点をすべて知られてしまっている。自分でさえ知らなかった弱点を次々と暴かれ、アレックスに身体を作り変えられた。アレックスに触れられることで、リュカはたくさんのはじめてを体験していく。
 この先、男娼として何人もの客に抱かれるとしても、リュカは今日のことを忘れない。はじめて好きなひとに抱かれたときのことを、アレックスに抱かれたときのことを、忘れない。絶対に、忘れたくない。

「は……っ、んっ、あっ、ああッ、あ、また……ッ!」
「すごいな、おまえ……」
「アレックス隊長は、きもち、い……っ、ですか?」

 問いに答える代わりにアレックスの抽挿が速く、激しくなって、リュカはまた登り詰めた。香油に濡れた粘膜と性器の擦れ合う水音が淫らに響き、アレックスの息遣いも次第に荒くなっていく。

 終わりが近いのだとわかって、目頭が熱くなった。
 もっと、こうしていたい。もっと、繋がっていたい。もっと、触れられたい。もっと、アレックスを感じたい。

 乱暴に腰を打ちつけられ、揺さぶられ、やがて大きな熱に飲み込まれる。身が焦げるほどに熱いのに、もうこのまま死んでもかまわないと思えるほどにしあわせだった。きっと、いまがリュカの人生で最も幸福な時間だ。
 腹のなかで性器が一瞬膨らみ、アレックスがリュカの肩に顔を伏せる。身体の深い場所に熱い粘液が注がれるのを感じながら、リュカは声もなく絶頂していた。
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