おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ

文字の大きさ
29 / 59

29 ある意味閑話な優子の事情

しおりを挟む
夫は母子家庭で育った。亡父がかなりいい会社にお勤めしていたので遺族年金等の福利厚生がしっかりしていた為、夫の母は2人の子どもを抱えてもそれ程経済的に不自由はなかったそうだ。それでもやはり大変だったことに変わりはないと思う。

 振り返って、もし私の父が早くに亡くなってたとしたら、母はどうしただろうか、と夫と結婚してから、考えたことがある。

 私の父は、戦争未亡人の祖母に育てられた5人兄妹の長男だった。
中学を卒業して、都会に働きに出て、ひたすら真面目に働いた。時代もあってか、私と妹は贅沢はできなかったが、やはり不自由はしたことがない。でもそれは、両親が健在だったという前提の上にあった。夫の亡父のように早くに亡くなっていたら、私と妹はどう育てられただろうか?

 同時代に生きた夫と私の両親たちは、ほぼ同い年。方や大卒で財閥系の会社に勤めていた夫の父、高卒で自動車関連の会社で事務をしていた夫の母。
九州の田舎で育ち、中学を卒業後「金の卵」として集団就職で実家を離れ、工場や個人経営の店で働いていた私の両親。

 恥じる気持ちはないが、生まれでこれほど生活に違いが出来るものか、と悲しい気持ちになったのも事実だった。

 夫は公務員だったが、その公務員と結婚することになったと両親に報告した時、私の父はそれはもう喜んだ。個人商店に勤めた父は、公務員の福利厚生をこよなく羨ましく思っていたから。これで優子は、無事に生活して行ける!と私の生活の安定を思って、泣いて喜んだ。

 結婚後、夫の実家で姑は私にものすごく申し訳無さそうに言った。
「公務員でお給料も安いのに、この子のところにお嫁に来てくれてありがとう」もちろん姑には謙遜の気持ちがあったと思う。稼ぎの多寡に関係なく夫も夫の弟も、義母からすればかわいい息子に違いなかった。

 その時なんと答えたかあまり覚えていない。多分、転勤もないし公務員の年収も充分頂いてるし、満足してますというような事を言ったと思う。
実際に転勤も残業もなく、実父とは違い休日出勤もない生活に満足していた。
(私の父の全く仕事をしない日は、1年間で1週間くらいだったと思う)
 
 私は、自分の父と姑の感性の違いにひたすら驚いていた。

 道徳で人間はみな平等と謳われたが、階級差は依然としてあった。幼心にもその違いははっきりと感じられたが、他家の様子などはっきりと知りようがなかったのでさほど気にはならなかった(育つにつれて、収入の違いを感じるようになったが)

 経済格差をありありと感じられて、SNSで他人の生活がよく分かる今の方が辛いかもしれない。

 ダラダラと語ったが、結局のところ、進学したいとか就職したい人がいれば、本人のやる気を助けたい、そしてその力が今の私には有るということに尽きる。

 とりあえず、小さいモデルケースを作ってみて、どのくらいお金がかるかを試してみることにした。

「高橋くん、施設出身でめちゃめちゃ頭良かったのに進学できなかった子っている?」

「そんなのいるに決まってるでしょ」

「明里もそうだし、史郎もです」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

リンダの入念な逃走計画

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
愛人の子であるリンダは、先妻が亡くなったことで母親が後妻に入り侯爵令嬢となった。  特に家族との確執もないが、幼い時に受けた心の傷はリンダの歩みを決めさせる。 「貴族なんて自分には無理!」  そんな彼女の周囲の様子は、護衛に聞いた噂とは違うことが次々に分かっていく。  真実を知った彼女は、やっぱり逃げだすのだろうか? (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)

逆行転生って胎児から!?

章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。 そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。 そう、胎児にまで。 別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。 長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

処理中です...