34 / 59
34 恵美のお仕事事情2
しおりを挟む
康太の持ってきたお茶っ葉ポーションは、ものすごく効いた。
本当に水出しのお茶を淹れるみたいに、水魔法で出した水を注ぐだけで手軽に作れた。しかも、ペットボトル並みの量が確保できる。小さいドリンク剤みたいな量ではなく。
泊まりで訪れた長田ダンジョンで、私たちはほとんどケガをしなかった。と、いうかケガをしてもすぐに治すことができた。
途中私が足首をひねった(多分折れた)時は、ポーションを足首にカケたがなかなか治らず、みんなが史郎のケガを頭に思い浮かべつつもなにも言えない時間を過ごした。
少しずつポーションを飲んでいるうちに、足の痛みが完全に消えた。
私が立ち上がり足踏みをして確かめていると、明里が「何してるのよ。もっと悪くなったらどうするの」と強い口調で、私を止めた。
「もう痛くないの、腫れてもない」半ば呆然として私は言った。
明里と康太が、私の足首を再度見た。
「腫れてない」
メンバーみんなで折れた足首が治ったことに、衝撃を受けた。あの時にこれがあったら…、口には出せなかったが、きっと全員がそう思ってたはずだ。
「康太、これもっと買って来いよ」太一と元希が言った。
「うん、田中さんに連絡先を聞いてるから、電話してみる」
「その田中さんっていう人が作ったの?」
「そうそう。スゴイよね~。試供品だから使い勝手とか聞きたいんだって」
「これ、いくら位で買えるのかな?」
「このお茶っ葉の量で、ここ3日分確実に余るくらいあったよね」
私と明里は、いつもよりも回復魔法を使わずに済んでいた。どちらかと言うと、ポーションにする為の水を出したり、水筒などを煮沸消毒する為の水出しすることの方が多かった。使う魔力は段違いで少ない。
ケガをしないからと言って、恐怖心が無くなるわけではない。それでもケガをしてお金を稼げなくなる怖さは、失くなる。
まだ会ったことのない田中さんに、ありがとうと小さく言ってみた。
しばらくして、康太は色んな味のお茶っ葉を田中さんからもらってきた。曰く「使い方と味のサンプルだから、水を誰が出すほうが効き目が良いとかを確認してほしい」とのことだった。
「作る前にこれは記入して」と誰が出した水か、どんなケガが、どういう風に効いたか等と、記入する用紙の束があった。間違いなくサンプルだ。
水を入れるだけで常温だがレモンティーやアップルティーなんかがあって、明里と私は、選ぶ楽しみにテンションが上ってしまった。今まであの人間の味覚破壊の限界を試すようなポーションに耐えていたのが嘘のようだった。
ダンジョンに深く潜るようになって、中級のポーションをゲットしてからは、あまりあのマズいポーションの世話になることは少なかったが、中級だからって美味しいわけでもない。田中さんからもらったお茶っ葉ポーションは、美味しく飲める上に効き目もある、というありがたくも素晴らしいモノだった。
本当に水出しのお茶を淹れるみたいに、水魔法で出した水を注ぐだけで手軽に作れた。しかも、ペットボトル並みの量が確保できる。小さいドリンク剤みたいな量ではなく。
泊まりで訪れた長田ダンジョンで、私たちはほとんどケガをしなかった。と、いうかケガをしてもすぐに治すことができた。
途中私が足首をひねった(多分折れた)時は、ポーションを足首にカケたがなかなか治らず、みんなが史郎のケガを頭に思い浮かべつつもなにも言えない時間を過ごした。
少しずつポーションを飲んでいるうちに、足の痛みが完全に消えた。
私が立ち上がり足踏みをして確かめていると、明里が「何してるのよ。もっと悪くなったらどうするの」と強い口調で、私を止めた。
「もう痛くないの、腫れてもない」半ば呆然として私は言った。
明里と康太が、私の足首を再度見た。
「腫れてない」
メンバーみんなで折れた足首が治ったことに、衝撃を受けた。あの時にこれがあったら…、口には出せなかったが、きっと全員がそう思ってたはずだ。
「康太、これもっと買って来いよ」太一と元希が言った。
「うん、田中さんに連絡先を聞いてるから、電話してみる」
「その田中さんっていう人が作ったの?」
「そうそう。スゴイよね~。試供品だから使い勝手とか聞きたいんだって」
「これ、いくら位で買えるのかな?」
「このお茶っ葉の量で、ここ3日分確実に余るくらいあったよね」
私と明里は、いつもよりも回復魔法を使わずに済んでいた。どちらかと言うと、ポーションにする為の水を出したり、水筒などを煮沸消毒する為の水出しすることの方が多かった。使う魔力は段違いで少ない。
ケガをしないからと言って、恐怖心が無くなるわけではない。それでもケガをしてお金を稼げなくなる怖さは、失くなる。
まだ会ったことのない田中さんに、ありがとうと小さく言ってみた。
しばらくして、康太は色んな味のお茶っ葉を田中さんからもらってきた。曰く「使い方と味のサンプルだから、水を誰が出すほうが効き目が良いとかを確認してほしい」とのことだった。
「作る前にこれは記入して」と誰が出した水か、どんなケガが、どういう風に効いたか等と、記入する用紙の束があった。間違いなくサンプルだ。
水を入れるだけで常温だがレモンティーやアップルティーなんかがあって、明里と私は、選ぶ楽しみにテンションが上ってしまった。今まであの人間の味覚破壊の限界を試すようなポーションに耐えていたのが嘘のようだった。
ダンジョンに深く潜るようになって、中級のポーションをゲットしてからは、あまりあのマズいポーションの世話になることは少なかったが、中級だからって美味しいわけでもない。田中さんからもらったお茶っ葉ポーションは、美味しく飲める上に効き目もある、というありがたくも素晴らしいモノだった。
137
あなたにおすすめの小説
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
リンダの入念な逃走計画
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
愛人の子であるリンダは、先妻が亡くなったことで母親が後妻に入り侯爵令嬢となった。
特に家族との確執もないが、幼い時に受けた心の傷はリンダの歩みを決めさせる。
「貴族なんて自分には無理!」
そんな彼女の周囲の様子は、護衛に聞いた噂とは違うことが次々に分かっていく。
真実を知った彼女は、やっぱり逃げだすのだろうか?
(小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
透明な貴方
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。
私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。
ククルス公爵家の一人娘。
父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。
複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。
(カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる