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玲奈 ―れいな―
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今日も、何が入っているのかわからない薬を口に運ぶ。今度の薬は副作用が強いからとか、平気で言って渡されたそれは、効いてくるとまずめまいに襲われる。今日も外出できない。
ベッドでぼんやりと、変わり映えのしない天井を見つめる。コロンと寝転がって視界に入った腕に残る、注射針の痕。
――非公式だが、どうしても子どもを産みたくない女性に示される道がある。
人体実験の、モルモットとして。
人類が誕生して数千年経つと言うのに、子どもを産まない女性には価値はないと言う価値観はきっと人類が滅んでも変わらないのだろう。
生活が便利になれば平気で常識なんてひっくり返るのに。
私のような存在が非公式ながら認められているのには、訳がある。
人工授精法が定められ、今よりももっと強制力が強かった最初の頃。自分の血を残したくない女性たちは闇医者に子宮摘出や、卵巣の機能不全を目的として殺到したらしい。
――だけど、そんな風に、自分の体を犠牲に行動できる女性ばかりではなかった。
決定打となったのは、期限を越えれば諦めるだろうと、子どもが産めない体にしなかった女性たちを強制的に施設に搬送し、ランダムで選んだ精子を使って無理やり人工授精に持ち込んだことだ。
施術をされた女性たちが気がつき、その足で……施設の一角でまとまって心中をしたものだから一大ニュースになったらしい。
……私は、死にたくはない。でも、子どもは欲しくない。自分の血が次の世代に続いていくなんて耐えられない。
でもだからって、モルモットになるなら生かしてやるよって言われている現状に、腹が立たないと言えば嘘になる。政府も警戒してか、子宮や卵巣に直接働きかける薬の入手はこれまでより困難になっている。闇医者もずいぶん、数を減らしたらしい。
めまいがしてきた。憂鬱な気分の時に考えることなんて、ろくなことじゃない。
少子化対策としては、成功したのかもしれない。政府が引き取った子どもたちは一貫して、IQを高める教育を受けているらしいし。
やり方次第では国に逆らわない兵士を作ることも可能だろう。人工授精も、妊娠も出産も小さいころから刷り込んでおけば別に疑問を抱かないだろうし。
ただ、その成功の光が輝かしければ輝かしいほど、闇が濃くなっていく、それだけで。
今トレンドは人工子宮らしい。そうすれば情緒不安定な代理母に出産を依頼することなく、ベビーブームなど年代による子どもの数の偏りを失くし、コンスタントに子どもを確保できる。
今に子どもは完全に外注で、一定の試験をパスした夫婦に子どもを提供するようにでもするつもりか? とか。
そんなトレンドでもあり、最新技術や一般に下りない情報はわんさか手に入る。
――もちろん。しゃべったら消されるが。
戸籍からなかったことにするのだから、やることが徹底しすぎでしょ。
セックスをスポーツのように楽しもう見たいな話題は、結構前からある話みたいだけど。人工授精法が施行されるもっと以前。少子化に差し掛かったころには――
ああ、頭が痛い。飲んでる薬の副作用に対して鎮痛剤を飲むとか。――私、寿命縮めてない?
ベッドでぼんやりと、変わり映えのしない天井を見つめる。コロンと寝転がって視界に入った腕に残る、注射針の痕。
――非公式だが、どうしても子どもを産みたくない女性に示される道がある。
人体実験の、モルモットとして。
人類が誕生して数千年経つと言うのに、子どもを産まない女性には価値はないと言う価値観はきっと人類が滅んでも変わらないのだろう。
生活が便利になれば平気で常識なんてひっくり返るのに。
私のような存在が非公式ながら認められているのには、訳がある。
人工授精法が定められ、今よりももっと強制力が強かった最初の頃。自分の血を残したくない女性たちは闇医者に子宮摘出や、卵巣の機能不全を目的として殺到したらしい。
――だけど、そんな風に、自分の体を犠牲に行動できる女性ばかりではなかった。
決定打となったのは、期限を越えれば諦めるだろうと、子どもが産めない体にしなかった女性たちを強制的に施設に搬送し、ランダムで選んだ精子を使って無理やり人工授精に持ち込んだことだ。
施術をされた女性たちが気がつき、その足で……施設の一角でまとまって心中をしたものだから一大ニュースになったらしい。
……私は、死にたくはない。でも、子どもは欲しくない。自分の血が次の世代に続いていくなんて耐えられない。
でもだからって、モルモットになるなら生かしてやるよって言われている現状に、腹が立たないと言えば嘘になる。政府も警戒してか、子宮や卵巣に直接働きかける薬の入手はこれまでより困難になっている。闇医者もずいぶん、数を減らしたらしい。
めまいがしてきた。憂鬱な気分の時に考えることなんて、ろくなことじゃない。
少子化対策としては、成功したのかもしれない。政府が引き取った子どもたちは一貫して、IQを高める教育を受けているらしいし。
やり方次第では国に逆らわない兵士を作ることも可能だろう。人工授精も、妊娠も出産も小さいころから刷り込んでおけば別に疑問を抱かないだろうし。
ただ、その成功の光が輝かしければ輝かしいほど、闇が濃くなっていく、それだけで。
今トレンドは人工子宮らしい。そうすれば情緒不安定な代理母に出産を依頼することなく、ベビーブームなど年代による子どもの数の偏りを失くし、コンスタントに子どもを確保できる。
今に子どもは完全に外注で、一定の試験をパスした夫婦に子どもを提供するようにでもするつもりか? とか。
そんなトレンドでもあり、最新技術や一般に下りない情報はわんさか手に入る。
――もちろん。しゃべったら消されるが。
戸籍からなかったことにするのだから、やることが徹底しすぎでしょ。
セックスをスポーツのように楽しもう見たいな話題は、結構前からある話みたいだけど。人工授精法が施行されるもっと以前。少子化に差し掛かったころには――
ああ、頭が痛い。飲んでる薬の副作用に対して鎮痛剤を飲むとか。――私、寿命縮めてない?
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