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欧州遠征
第75話 切り札潰し
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「正気か」
眼下の英戦艦。
その理解しがたい動きに、第三次攻撃隊指揮官兼「瑞鶴」飛行隊長の嶋崎少佐が小さくつぶやく。
乙一と呼ばれる前衛艦隊は、第二次攻撃隊の九九艦爆によって八隻の巡洋艦とそれに同じく八隻の駆逐艦を撃破されていた。
それら艦は、そのいずれもが複数の二五番を食らっており、機動力を大きく減殺されている。
駆逐艦の中にはそのダメージに耐えかねてか、沈没しかかっているものさえあった。
そのような中、四隻の「キングジョージV」級戦艦は味方の巡洋艦や駆逐艦を置き去りに前進を続けていた。
その航跡の大きさから最低でも二五ノット、ひょっとしたら三〇ノット近い速度が出ているかもしれない。
戦艦が巡洋艦や駆逐艦といった補助艦艇を同道させずに行動するといったようなことは、少なくとも帝国海軍の常識の中ではあり得ない。
それこそ、自ら進んで飛行機や潜水艦の餌食になりにいくようなものだ。
ただ、それに近いことをやらかした国もあるにはあった。
その戦艦は、わずかに一隻の重巡を供に出撃したのだ。
しかし、案の定というか、その戦艦は艦上機の雷撃によって脚を奪われ、そして追いすがってきた水上打撃艦艇によって袋叩きにされてしまった。
それでも、これは例外中の例外だ。
まともな海軍であれば、このような真似は絶対にやらない。
しかし英海軍が、帝国海軍の師ともいうべき存在が現在これをやらかしている。
第一次大戦と第二次大戦の両方で戦艦を潜水艦によって撃沈されるという、世にも珍しい記録を持つ海軍の振る舞いとはとても思えない。
ただ、それはそれとして、四隻の「キングジョージV」級戦艦からは鬼気迫るような何かを感じずにはいられなかった。
おそらく、刺し違え上等で遣欧艦隊に突っ込んでいくつもりなのだろう。
(母国に対する忠誠、それに献身は認めるが、しかしここから先は絶対に通すわけにはいかん)
たぶん前衛艦隊の指揮官は、遣欧機動部隊が英空母を真っ先に狙うと考えていたのだろう。
そして、こちらの艦上機隊が英機動部隊を叩いている間に、前衛艦隊のほうは遣欧艦隊との距離を詰め、そして砲雷撃戦によってこれを仕留めようと考えていた。
だからこそ、前衛艦隊は脚の速い「キングジョージV」級戦艦で固めた。
ここに巡洋戦艦「レナウン」が含まれていなかったのは、その意図が露呈するきっかけになることを恐れたからだろう。
つまり、彼らにとって機動部隊は囮で、前衛艦隊こそが主力、切り札だった。
しかし、その目論見は生沢長官によって、とっくの昔に見破られている。
だからこそ、生沢長官は前衛艦隊に艦上機隊の総力をぶつけるように、これを命令したのだ。
「攻撃は予定通りだ。『瑞鶴』隊一番艦、『翔鶴』隊二番艦、『雲鶴』隊三番艦、『神鶴』隊四番艦。攻撃法については各空母の飛行隊長もしくは艦攻隊長にこれを一任する。『赤城』隊ならびに『加賀』隊については村田少佐の指示に従え」
四隻の「キングジョージV」級戦艦については、第五航空戦隊と第六航空戦隊でこれを攻撃することにしていた。
一方、第一航空戦隊はこれに加わらない。
空母飛行隊ごとにそれぞれ一隻の戦艦を攻撃したほうが、なにかと錯綜せずに済むからだ。
一航戦については五航戦それに六航戦の攻撃隊が敵を仕留め損なったときにはこれにとどめを、その必要が無い場合は第二次攻撃隊が撃破した巡洋艦を攻撃することになっていた。
このことについては、事前に一航戦指揮官兼「赤城」飛行隊長の村田少佐に事情を話し、了承をもらっている。
「『瑞鶴』艦攻隊に達す。第一中隊は左舷、第二中隊ならびに第三中隊は右舷からこれを攻撃せよ」
全体命令を発出して後、嶋崎少佐は次に直率する「瑞鶴」艦攻隊に攻撃法を指示する。
第一中隊は敵一番艦の左斜め前方、一方の第二中隊と第三中隊は右斜め前方へと遷移すべく旋回、同時に高度を落としていく。
第二中隊それに第三中隊と突撃のタイミングを合わせるべく、嶋崎少佐は機速を調節しつつ敵一番艦の左斜め前方へと部下たちを誘う。
第二中隊それに第三中隊がしかるべきポジションに遷移する頃合いだと自身の勘が告げると同時、嶋崎少佐は海面高度に降り突撃を開始する。
一方、自分たちの対空火器の間合いに入った九七艦攻に対し、敵一番艦もまたそれらを寄せ付けまいと一三・三センチ高角砲や四〇ミリ機関砲、それに二〇ミリ機銃を撃ちかけてくる。
右舷から接近してくる第二中隊、それに第三中隊のほうが脅威度が高いと判断したのだろう。
敵一番艦の舳先が右へ右へと回っていく。
逆に、第一中隊のほうから見れば、敵一番艦が自ら横腹をさらしてくれるような動きに映っている。
その敵一番艦の対空砲火は激しいものがあった。
高角砲弾炸裂の爆煙が周囲にわき立ち、機関砲や機銃から放たれる曳光弾の光がそこかしこに流れていく。
それでも、艦が回頭している中にあっては十分な射撃精度が保てないのだろう。
今のところ敵弾に絡めとられる九七艦攻は無い。
これなら、全機が投雷できそうだ。
嶋崎少佐がそう考えた瞬間、すぐ後方で爆発が生じる。
「二小隊二番機被弾!」
電信員の遠藤一飛曹の、悲壮混じりの怒鳴るような報告を耳に入れつつ、嶋崎少佐はただ前を見据える。
操縦を少しでも誤れば、即海面落ちの超低空飛行の最中だ。
集中を切らすわけにはいかない。
ほどなく、嶋崎少佐は射点に到達する。
「撃てっ!」
これまでと同様かあるいはそれ以上の気迫を込めつつ、魚雷を投下。
超低空を維持したまま敵一番艦の艦首を抜ける。
後方には敵二番艦がいるが、しかし前方には自分たちに撃ちかけてくる敵はいない。
だから、生き残った部下たちもまた、その全員が艦首側を抜けていく。
ただ、それは第二中隊と第三中隊のほうでも同じだったのだろう。
彼らもまたそのことごとくが艦首側を抜けて離脱を図っている。
そのことで、味方機同士による正面衝突が危惧されたが、しかし幸いにしてそのようなことは起こらなかった。
自分たちを追いかけてくる火箭が無くなったことで嶋崎少佐は上昇に転じる。
その耳に、今度は先ほどとは違って喜色混じりの遠藤一飛曹の報告が飛び込んでくる。
「敵一番艦の左舷に水柱、さらに一本、二本! 右舷にも水柱! さらに一本、二本!」
「瑞鶴」隊は敵一番艦に対し、六本の魚雷を命中させたようだった。
第一中隊が第二中隊それに第三中隊を合わせたそれと同数の命中魚雷を得たのは、敵一番艦が右舷からの攻撃を優先的に回避しようとしたからだ。
そのことで、第一中隊のほうはさほど苦労することもなく、理想の射点で魚雷を投下することができた。
「敵一番艦に六本、二番艦に七本、三番艦に六本、四番艦に七本の命中を認む」
村田少佐から戦果報告がもたらされる。
嶋崎少佐は、事前に村田少佐に対して五航戦ならびに六航戦が挙げた戦果について、これを確認してもらうよう依頼していた。
そして、村田少佐の報告を信じるのであれば、他隊もまた自分たちと同等かあるいはそれ以上の命中魚雷を得たとのことだった。
(一〇八機の九七艦攻が同時攻撃を仕掛けて、命中魚雷が二六本か)
理想的な集中攻撃、それに挟撃を成し遂げてなお全体の四分の一に届かない命中本数については、正直思うところがある。
しかし、今重要なことは四隻の「キングジョージV」級戦艦のそのすべてに致命的ダメージを与えたことだ。
ここは素直にその戦果を喜ぶべきだろう。
四隻の新型戦艦を一挙に撃滅したこの戦いは、間違いなく世界の海軍史に燦然と光り輝く一ページとして記録されることになる。
そう考えている嶋崎少佐の耳に、再び村田少佐の声が響く。
「一航戦はこれより敵巡洋艦の攻撃に向かう」
村田少佐もまた、四隻の「キングジョージV」級戦艦にとどめを刺す必要は無いと判断したのだろう。
「赤城」それに「加賀」の艦攻隊がその機首を西へと向ける。
また、万一に備えて第三次攻撃に参加している護衛の零戦の半数がこれらに同道する。
「頑張れよ」
嶋崎少佐は自分たちから離れていく三六機の九七艦攻と、それに九機の零戦に対して胸中でエールを送る。
遣欧艦隊にとって最大の脅威と目されていた四隻の「キングジョージV」級戦艦は、これの排除に成功した。
しかし、英艦隊はいまだに戦艦と巡洋戦艦を合わせて一〇隻も擁している。
空母もその艦上機隊に壊滅的打撃を与えはしたものの、しかし母艦のほうはそのすべてが無傷を保っている。
(あるいは今の攻撃は、四個艦隊あるうちの一つを潰したのにしか過ぎないと考えるべきかもしれんな)
そのようなことを思いつつ、嶋崎少佐は帰投を命じる。
四隻の新型戦艦を撫で斬りにした高揚感は、すでに過去のものとなっていた。
眼下の英戦艦。
その理解しがたい動きに、第三次攻撃隊指揮官兼「瑞鶴」飛行隊長の嶋崎少佐が小さくつぶやく。
乙一と呼ばれる前衛艦隊は、第二次攻撃隊の九九艦爆によって八隻の巡洋艦とそれに同じく八隻の駆逐艦を撃破されていた。
それら艦は、そのいずれもが複数の二五番を食らっており、機動力を大きく減殺されている。
駆逐艦の中にはそのダメージに耐えかねてか、沈没しかかっているものさえあった。
そのような中、四隻の「キングジョージV」級戦艦は味方の巡洋艦や駆逐艦を置き去りに前進を続けていた。
その航跡の大きさから最低でも二五ノット、ひょっとしたら三〇ノット近い速度が出ているかもしれない。
戦艦が巡洋艦や駆逐艦といった補助艦艇を同道させずに行動するといったようなことは、少なくとも帝国海軍の常識の中ではあり得ない。
それこそ、自ら進んで飛行機や潜水艦の餌食になりにいくようなものだ。
ただ、それに近いことをやらかした国もあるにはあった。
その戦艦は、わずかに一隻の重巡を供に出撃したのだ。
しかし、案の定というか、その戦艦は艦上機の雷撃によって脚を奪われ、そして追いすがってきた水上打撃艦艇によって袋叩きにされてしまった。
それでも、これは例外中の例外だ。
まともな海軍であれば、このような真似は絶対にやらない。
しかし英海軍が、帝国海軍の師ともいうべき存在が現在これをやらかしている。
第一次大戦と第二次大戦の両方で戦艦を潜水艦によって撃沈されるという、世にも珍しい記録を持つ海軍の振る舞いとはとても思えない。
ただ、それはそれとして、四隻の「キングジョージV」級戦艦からは鬼気迫るような何かを感じずにはいられなかった。
おそらく、刺し違え上等で遣欧艦隊に突っ込んでいくつもりなのだろう。
(母国に対する忠誠、それに献身は認めるが、しかしここから先は絶対に通すわけにはいかん)
たぶん前衛艦隊の指揮官は、遣欧機動部隊が英空母を真っ先に狙うと考えていたのだろう。
そして、こちらの艦上機隊が英機動部隊を叩いている間に、前衛艦隊のほうは遣欧艦隊との距離を詰め、そして砲雷撃戦によってこれを仕留めようと考えていた。
だからこそ、前衛艦隊は脚の速い「キングジョージV」級戦艦で固めた。
ここに巡洋戦艦「レナウン」が含まれていなかったのは、その意図が露呈するきっかけになることを恐れたからだろう。
つまり、彼らにとって機動部隊は囮で、前衛艦隊こそが主力、切り札だった。
しかし、その目論見は生沢長官によって、とっくの昔に見破られている。
だからこそ、生沢長官は前衛艦隊に艦上機隊の総力をぶつけるように、これを命令したのだ。
「攻撃は予定通りだ。『瑞鶴』隊一番艦、『翔鶴』隊二番艦、『雲鶴』隊三番艦、『神鶴』隊四番艦。攻撃法については各空母の飛行隊長もしくは艦攻隊長にこれを一任する。『赤城』隊ならびに『加賀』隊については村田少佐の指示に従え」
四隻の「キングジョージV」級戦艦については、第五航空戦隊と第六航空戦隊でこれを攻撃することにしていた。
一方、第一航空戦隊はこれに加わらない。
空母飛行隊ごとにそれぞれ一隻の戦艦を攻撃したほうが、なにかと錯綜せずに済むからだ。
一航戦については五航戦それに六航戦の攻撃隊が敵を仕留め損なったときにはこれにとどめを、その必要が無い場合は第二次攻撃隊が撃破した巡洋艦を攻撃することになっていた。
このことについては、事前に一航戦指揮官兼「赤城」飛行隊長の村田少佐に事情を話し、了承をもらっている。
「『瑞鶴』艦攻隊に達す。第一中隊は左舷、第二中隊ならびに第三中隊は右舷からこれを攻撃せよ」
全体命令を発出して後、嶋崎少佐は次に直率する「瑞鶴」艦攻隊に攻撃法を指示する。
第一中隊は敵一番艦の左斜め前方、一方の第二中隊と第三中隊は右斜め前方へと遷移すべく旋回、同時に高度を落としていく。
第二中隊それに第三中隊と突撃のタイミングを合わせるべく、嶋崎少佐は機速を調節しつつ敵一番艦の左斜め前方へと部下たちを誘う。
第二中隊それに第三中隊がしかるべきポジションに遷移する頃合いだと自身の勘が告げると同時、嶋崎少佐は海面高度に降り突撃を開始する。
一方、自分たちの対空火器の間合いに入った九七艦攻に対し、敵一番艦もまたそれらを寄せ付けまいと一三・三センチ高角砲や四〇ミリ機関砲、それに二〇ミリ機銃を撃ちかけてくる。
右舷から接近してくる第二中隊、それに第三中隊のほうが脅威度が高いと判断したのだろう。
敵一番艦の舳先が右へ右へと回っていく。
逆に、第一中隊のほうから見れば、敵一番艦が自ら横腹をさらしてくれるような動きに映っている。
その敵一番艦の対空砲火は激しいものがあった。
高角砲弾炸裂の爆煙が周囲にわき立ち、機関砲や機銃から放たれる曳光弾の光がそこかしこに流れていく。
それでも、艦が回頭している中にあっては十分な射撃精度が保てないのだろう。
今のところ敵弾に絡めとられる九七艦攻は無い。
これなら、全機が投雷できそうだ。
嶋崎少佐がそう考えた瞬間、すぐ後方で爆発が生じる。
「二小隊二番機被弾!」
電信員の遠藤一飛曹の、悲壮混じりの怒鳴るような報告を耳に入れつつ、嶋崎少佐はただ前を見据える。
操縦を少しでも誤れば、即海面落ちの超低空飛行の最中だ。
集中を切らすわけにはいかない。
ほどなく、嶋崎少佐は射点に到達する。
「撃てっ!」
これまでと同様かあるいはそれ以上の気迫を込めつつ、魚雷を投下。
超低空を維持したまま敵一番艦の艦首を抜ける。
後方には敵二番艦がいるが、しかし前方には自分たちに撃ちかけてくる敵はいない。
だから、生き残った部下たちもまた、その全員が艦首側を抜けていく。
ただ、それは第二中隊と第三中隊のほうでも同じだったのだろう。
彼らもまたそのことごとくが艦首側を抜けて離脱を図っている。
そのことで、味方機同士による正面衝突が危惧されたが、しかし幸いにしてそのようなことは起こらなかった。
自分たちを追いかけてくる火箭が無くなったことで嶋崎少佐は上昇に転じる。
その耳に、今度は先ほどとは違って喜色混じりの遠藤一飛曹の報告が飛び込んでくる。
「敵一番艦の左舷に水柱、さらに一本、二本! 右舷にも水柱! さらに一本、二本!」
「瑞鶴」隊は敵一番艦に対し、六本の魚雷を命中させたようだった。
第一中隊が第二中隊それに第三中隊を合わせたそれと同数の命中魚雷を得たのは、敵一番艦が右舷からの攻撃を優先的に回避しようとしたからだ。
そのことで、第一中隊のほうはさほど苦労することもなく、理想の射点で魚雷を投下することができた。
「敵一番艦に六本、二番艦に七本、三番艦に六本、四番艦に七本の命中を認む」
村田少佐から戦果報告がもたらされる。
嶋崎少佐は、事前に村田少佐に対して五航戦ならびに六航戦が挙げた戦果について、これを確認してもらうよう依頼していた。
そして、村田少佐の報告を信じるのであれば、他隊もまた自分たちと同等かあるいはそれ以上の命中魚雷を得たとのことだった。
(一〇八機の九七艦攻が同時攻撃を仕掛けて、命中魚雷が二六本か)
理想的な集中攻撃、それに挟撃を成し遂げてなお全体の四分の一に届かない命中本数については、正直思うところがある。
しかし、今重要なことは四隻の「キングジョージV」級戦艦のそのすべてに致命的ダメージを与えたことだ。
ここは素直にその戦果を喜ぶべきだろう。
四隻の新型戦艦を一挙に撃滅したこの戦いは、間違いなく世界の海軍史に燦然と光り輝く一ページとして記録されることになる。
そう考えている嶋崎少佐の耳に、再び村田少佐の声が響く。
「一航戦はこれより敵巡洋艦の攻撃に向かう」
村田少佐もまた、四隻の「キングジョージV」級戦艦にとどめを刺す必要は無いと判断したのだろう。
「赤城」それに「加賀」の艦攻隊がその機首を西へと向ける。
また、万一に備えて第三次攻撃に参加している護衛の零戦の半数がこれらに同道する。
「頑張れよ」
嶋崎少佐は自分たちから離れていく三六機の九七艦攻と、それに九機の零戦に対して胸中でエールを送る。
遣欧艦隊にとって最大の脅威と目されていた四隻の「キングジョージV」級戦艦は、これの排除に成功した。
しかし、英艦隊はいまだに戦艦と巡洋戦艦を合わせて一〇隻も擁している。
空母もその艦上機隊に壊滅的打撃を与えはしたものの、しかし母艦のほうはそのすべてが無傷を保っている。
(あるいは今の攻撃は、四個艦隊あるうちの一つを潰したのにしか過ぎないと考えるべきかもしれんな)
そのようなことを思いつつ、嶋崎少佐は帰投を命じる。
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