改造空母機動艦隊

蒼 飛雲

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ハワイ最終決戦

第57話 第一段階クリア

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 「偵察にあたっていた潜水艦からの報告通り、ミッドウェー島はもぬけの殻だったようですな」

 少しばかり安堵が入り混じった柳本参謀長の言葉に、第一機動艦隊を指揮する小沢長官が小さくうなずく。
 ハワイの出城とも言うべきミッドウェー島に対し、一機艦は空母艦上機によって空襲を仕掛けた。
 しかし、地上からの対空砲火は無く、そのことで艦上機隊に損害は無かった。
 念のために一四隻の重巡で艦砲射撃を実施したが、しかしこちらも反撃を受けることはなかった。

 「ミッドウェー島はその面積の限界から、どんなに頑張っても二〇〇機程度までしか運用ができなかったはずだ。そんなミッドウェー島に航空隊を展開させたとしても、いたずらに戦力をすり潰すだけで、さほど意味は無いと考えたのだろう」

 一機艦は空母が二七隻に戦艦が四隻、それに巡洋艦が二一隻に駆逐艦が五二隻と、艦艇だけでも一〇四隻にのぼる。
 運用される艦上戦闘機は紫電改が六三六機に零戦が二四〇機。
 対艦それに対地攻撃の主役となる艦攻は天山が三三〇機。
 また、偵察機として彩雲が二四機に彗星が二七機。
 他に小型空母に合わせて三〇機の九七艦攻が搭載されている。

 常用機だけでも一二八七機を数えるこれら戦力を相手取れば、ミッドウェー島の航空隊などそれこそ鎧袖一触で蹴散らされてしまうはずだ。
 だから、米軍が同島での戦闘を避けたのは賢明な判断というよりも、当然のことと言ってよかった。

 「それよりも、例の空母だが、その数は分かっているか」

 小沢長官が情報参謀の中島中佐にその視線を向ける。

 「オアフ島沖を監視している潜水艦の報告を信じるのであれば、三〇隻前後となります」

 小沢長官が言った「例の空母」というのは護衛空母のことだった。
 帝国海軍ではこれまでに得た情報から、護衛空母の搭載機数は二五機から三〇機程度と見積もっていた。
 つまり、太平洋艦隊は七五〇機から九〇〇機の艦上機をその戦列に加えたことになる。
 さらに、これらに二隻乃至三隻程度の「エセックス」級空母の艦上機が上積みされるから、太平洋艦隊は最大で一二〇〇機程度の艦上機を持ち合わせていると考えておくべきだった。
 そして、この戦力は、単純な数だけで言えば一機艦のそれに匹敵する。

 「しかし、マリアナ沖海戦からまだ三カ月しか経っていないのにもかかわらず、正規空母以外に三〇隻もの護衛空母を戦場に引っ張り出してくる。やはり米軍の物量それに回復力は化け物と言ってもいいですな」

 柳本参謀長がそれこそうんざりとした表情で本音を吐露する。
 抜いても抜いても次々に生えてくる、雑草を刈り取るような気分なのかもしれない。

 「ただ、護衛空母と言ってもやはり叩ける時にはしっかりとこれを叩いておかねばならん。米軍は今も空母をせっせと造り続けている。連中の戦力が溜まりきりらないうちに逐次潰しておかなければ、我々の不利は決定的となる」

 一機艦の参謀たちは、その誰もが米軍の建艦情報に通じている。
 信じられないことだが、これまでに米軍は三〇隻を超える「エセックス」級空母を発注している。
 このうち一一隻はすでに海の底だが、しかしまだ二〇隻以上が完成または建造中なのだ。
 さらに信じられないことに、米軍は四〇〇〇〇トンを大きく超える超大型空母の建造にまで着手しているとのことだった。
 だから、参謀はその誰もが小沢長官の言葉の意味を理解していた。

 「とは言え、だ。米軍もまた無尽蔵では無い。特に人材のそれが顕著だ」

 米軍はマーシャル沖海戦や二度にわたるミッドウェー海戦、それにマリアナ沖海戦で万単位の戦死者を出している。
 いかに米軍が回復力に優れていようとも、さすがに将兵の育成にはそれなりの時間がかかる。
 実際、米軍は一〇隻あまりの戦艦と、それに三〇隻近い巡洋艦が艦を動かせる人材がいないために練習艦のような扱いに甘んじているというのだ。
 艦艇不足に悩む帝国海軍から見れば、それこそ信じられない話だった。

 「太平洋艦隊は見かけほどには強くない。ただし、油断は禁物だ」

 そう言って小沢長官は会話を打ち切る。
 ミッドウェー島を無力化し、退路の安全を確保するという作戦の第一段階は無事にクリアした。

 (残るはオアフ島に展開する基地航空隊と、それに新たに編組された太平洋艦隊を叩くのみだ。この二つを撃破すれば、オアフ島の攻略は成功したのも同然だ。そして、これは何があっても成功させねばならん)

 胸中で決意を新たにしつつ、小沢長官は前を向く。
 オアフ島をめぐる戦いは、間近に迫っていた。


 第一機動艦隊
 第三艦隊
 「信濃」(紫電改三六、天山一八、彩雲二四)
 「赤城」(紫電改三六、天山一八、彗星九)
 「加賀」(紫電改三六、天山一八、彗星一八)
 「瑞鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
 「祥鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
 戦艦「大和」「武蔵」
 重巡「利根」「筑摩」
 軽巡「矢矧」
 駆逐艦「涼月」「初月」「雪風」「初風」「天津風」「時津風」「浦風」「磯風」「浜風」「谷風」「舞風」

 第四艦隊
 「飛龍」(紫電改三六、天山一八)
 「蒼龍」(紫電改三六、天山一八)
 「雲龍」(紫電改三六、天山一八)
 「千歳」(零戦二四、九七艦攻三)
 「千代田」(零戦二四、九七艦攻三)
 重巡「熊野」「鈴谷」「最上」「三隈」
 軽巡「能代」
 駆逐艦「霜月」「冬月」「巻雲」「風雲」「秋雲」「夕雲」「野分」「嵐」「萩風」「黒潮」「親潮」

 第五艦隊
 「天城」(紫電改三六、天山一八)
 「葛城」(紫電改三六、天山一八)
 「笠置」(紫電改三六、天山一八)
 「瑞穂」(零戦二四、九七艦攻三)
 「日進」(零戦二四、九七艦攻三)
 重巡「愛宕」「高雄」「摩耶」「鳥海」
 軽巡「阿賀野」
 駆逐艦「新月」「若月」「沖波」「岸波」「長波」「巻波」「高波」「大波」「清波」「玉波」


 第六艦隊
 「金剛」(紫電改三六、天山一八)
 「比叡」(紫電改三六、天山一八)
 「榛名」(紫電改三六、天山一八)
 「霧島」(紫電改三六、天山一八)
 「龍驤」(零戦二四、九七艦攻九)
 「龍鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
 重巡「妙高」「羽黒」「足柄」「那智」
 軽巡「那珂」
 駆逐艦「秋月」「朝霜」「早霜」「秋霜」「清霜」「早波」「浜波」「涼波」「藤波」「不知火」


 第七艦隊
 「伊勢」(紫電改三六、天山一八)
 「日向」(紫電改三六、天山一八)
 「山城」(紫電改三六、天山一八)
 「扶桑」(紫電改三六、天山一八)
 「隼鷹」(紫電改一二、零戦二四、天山一二)
 「飛鷹」(紫電改一二、零戦二四、天山一二)
 戦艦「長門」「陸奥」
 軽巡「大淀」「神通」「川内」
 駆逐艦「照月」「陽炎」「霞」「朝雲」「山雲」「峯雲」「朝潮」「大潮」「満潮」「荒潮」
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