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オアフ島沖海戦
第45話 オアフ島始末
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第一艦隊の六隻の戦艦は第一一任務部隊の戦艦「コロラド」とそれに二隻の「ニューメキシコ」級戦艦を滅多打ちにし、そのすべてをオアフ島沖の海底に叩き込んでしまった。
同部隊を指揮していたゴームレー提督は「コロラド」と運命をともにしている。
その頃にはオアフ島の航空戦力ならびに砲陣地もまた第一航空艦隊それに第二航空艦隊の艦上機隊の猛攻によってその戦力をすり潰されてしまっている。
一方、オアフ島を無力化した一航艦と二航艦は、次に生き残った敵艦をその攻撃目標にする。
すでに米機動部隊の残存艦艇については、第三航空艦隊がこれらの始末をつけている。
そこで、一航艦と二航艦は残る米水上打撃部隊をその標的に選んだ。
最大の獲物である新型戦艦の「ワシントン」と「ノースカロライナ」は両艦ともに昨日の攻撃で複数の魚雷を被雷していた。
満身創痍の姉妹に対し、零式艦攻は追加の魚雷を浴びせてこれら二隻をオアフ島の海底深く沈めてしまった。
また、他の巡洋艦や駆逐艦に対しても一切の容赦は無く、こちらもまたそのすべてを撃沈している。
太平洋艦隊を一掃した連合艦隊は、次にオアフ島にその矛先を向ける。
同島に向けて艦砲射撃を実施したのだ。
「長門」以下、六隻の戦艦から合わせて二〇〇〇発を超える四一センチ砲弾が真珠湾軍港をはじめとした要衝に撃ち込まれる。
二〇〇〇トンを超える鉄と火薬を叩き込まれてはオアフ島の米軍もたまったものではない。
特に真珠湾軍港を取り囲むように建ち並んでいた石油タンク群の炎上は決定的だった。
太平洋艦隊を動かすために大量にストックしていた重油が燃え上がり、真珠湾へと注ぎ込まれたのだ。
不幸中の幸いだったのは、連合艦隊の来襲に備えて真珠湾内に停泊していた艦船が極めて少なかったことだ。
ただ、それでも乾ドックや荷揚げ施設をはじめとした港湾施設は熱と炎に巻かれ、壊滅的打撃を被ったことは疑いようも無かった。
「撃沈は空母が四隻に戦艦が八隻。戦艦のうちの二隻は新型の『ノースカロライナ』ならびに『ワシントン』であることが捕虜の証言から分かっています。さらに一四隻の巡洋艦と四八隻の駆逐艦もまた撃沈確実です」
首席参謀の報告に、第一艦隊司令長官の高須中将は小さくうなずき、目でその先を促す。
「飛行機については、敵の艦上機と陸上機を合わせて五〇〇機以上撃墜、さらに少なくない機体を地上撃破しています。それと、友軍の艦載機ならびに艦上機が三隻の潜水艦を撃沈しています」
一連の戦いで連合艦隊は敵艦や敵機を多数葬ったが、このうち艦艇の数字は信憑性が極めて高いものだと言えた。
第一艦隊と一航艦それに二航艦と三航艦は太平洋艦隊を撃滅した後に、駆逐艦を出すなどして積極的に溺者救助にあたった。
これは、外国に対して日本が人道国家であるということをアピールするのと、さらに戦果判定に有益な情報を捕虜から引き出すためにとられた措置だ。
もちろん、これら捕虜はマーシャル沖海戦の時と同じように、名簿を作成したうえで紙爆弾の威力を爆上げするための炸薬として利用する。
捕虜から得た情報は玉石混交といった状況だった。
しかし、中には非常に有益なものも含まれていた。
特に米海軍が保有する艦艇と、それに失われた艦艇の情報は貴重だ。
それらが分かれば、現有戦力の分析は容易だからだ。
現状、米海軍で使える主力艦は戦艦「アーカンソー」一隻のみ。
正規空母に至ってはゼロだ。
また、戦艦や空母に次ぐ戦力を誇る一万トン級巡洋艦も、そのうちの八割あまりをすでに撃沈したことが分かっている。
「これだけ沈めれば、ふつうの国であればお手上げなのでしょうが、しかし米国は違うのでしょうなあ」
大勝利の直後なのにもかかわらず、小林参謀長の表情に勝利の余韻のようなものは見られない。
それは、他の幕僚も似たようなものだった。
その理由は捕虜の証言からもたらされた情報だった。
それによれば、「ノースカロライナ」級戦艦以上の戦力を持つ「サウスダコタ」級戦艦の一番艦が来月にも就役を開始し、二番艦や三番艦のほうもまたそれぞれ三カ月以内にその姿を現すのだという。
さらに、戦艦の就役ラッシュはその後も続き、来年の今頃には「サウスダコタ」級を上回る新型高速戦艦が完成しているとのことだ。
もしこれらが揃えば、帝国海軍の戦艦戦力では対抗することは不可能だろう。
一六隻の戦艦それに七隻の空母を失ってなお米国が戦争をあきらめないという小林参謀長の見立ては、高須長官もまたその考えを同じとするところだ。
「参謀長の米国が手を上げないという考えには同意するが、しかしそれはもはや政治の領分だ。我々があれこれ考えても仕方がない」
日米の開戦に反対していた高須長官としても、この大戦果によって米国との講和が成ればそれこそ万々歳だ。
しかし、その思いとは裏腹に、現時点で日米の間で講和交渉が成立することは無いという確信も抱いている。
マーシャル沖海戦とそれにオアフ島沖海戦での立て続けの大勝利に狂喜する日本国民はもとより、軍内部の親独派や継戦派もまた米国が降伏でもしない限りは戦争を止めようとはしないだろう。
(あるいは、勝ちすぎたのか)
突然のように脳裏をよぎった思い。
しかし、高須長官はすぐにその考えを振り払う。
指揮官がこのようなことを考えては、それこそ戦死した将兵に対して失礼だ。
「連合艦隊司令部から新しい連絡はきているか」
よけいなことは考えまいと、高須長官は現実に意識を戻す。
「帰路における攻撃目標の指示を最後に、新しいものはきておりません」
打てば響くような通信参謀の返答に、高須長官は首肯をもって了解の意を示す。
連合艦隊からの指示は、帰りがてらにミッドウェー島ならびにウェーク島を徹底破壊せよというものだった。
第一艦隊と一航艦、それに二航艦と三航艦は往路でウェーク島それにミッドウェー島に対して一撃を加えていた。
オアフ島を攻撃する前に、自分たちの後方の安全を確保するためだ。
だが、連合艦隊司令部は自分たちに対して、それら両島にとどめを刺せと命令してきた。
あまり意味の有る行為とは思えなかったが、しかし命令は命令だ。
「ミッドウェー島それにウェーク島の攻撃はまず艦上機による爆撃、その次に水上艦艇による艦砲射撃の二段構えでいく。艦砲射撃のほうは二航艦それに三航艦の巡洋艦に一個駆逐隊をつけてこれを実施する」
第一艦隊は第一一任務部隊との砲撃戦、一航艦はオアフ島航空隊の襲撃を受けたことで対艦戦闘や対空戦闘を一通り経験している。
だが、二航艦と三航艦の巡洋艦それに駆逐艦は対潜戦闘を除いて米軍相手にその技量を発揮する機会に恵まれていない。
他の部隊が戦果を挙げる中、彼らは自分たちの出番が無いことにそれこそ切歯扼腕としていることだろう。
高須長官もマーシャル沖海戦でお預けを食らった身だから、彼らの鬱屈する気持ちが理解できる。
だから、連合艦隊司令部からの命令を、不満のガス抜きの建前に使わせてもらうことにした。
同部隊を指揮していたゴームレー提督は「コロラド」と運命をともにしている。
その頃にはオアフ島の航空戦力ならびに砲陣地もまた第一航空艦隊それに第二航空艦隊の艦上機隊の猛攻によってその戦力をすり潰されてしまっている。
一方、オアフ島を無力化した一航艦と二航艦は、次に生き残った敵艦をその攻撃目標にする。
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そこで、一航艦と二航艦は残る米水上打撃部隊をその標的に選んだ。
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また、他の巡洋艦や駆逐艦に対しても一切の容赦は無く、こちらもまたそのすべてを撃沈している。
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同島に向けて艦砲射撃を実施したのだ。
「長門」以下、六隻の戦艦から合わせて二〇〇〇発を超える四一センチ砲弾が真珠湾軍港をはじめとした要衝に撃ち込まれる。
二〇〇〇トンを超える鉄と火薬を叩き込まれてはオアフ島の米軍もたまったものではない。
特に真珠湾軍港を取り囲むように建ち並んでいた石油タンク群の炎上は決定的だった。
太平洋艦隊を動かすために大量にストックしていた重油が燃え上がり、真珠湾へと注ぎ込まれたのだ。
不幸中の幸いだったのは、連合艦隊の来襲に備えて真珠湾内に停泊していた艦船が極めて少なかったことだ。
ただ、それでも乾ドックや荷揚げ施設をはじめとした港湾施設は熱と炎に巻かれ、壊滅的打撃を被ったことは疑いようも無かった。
「撃沈は空母が四隻に戦艦が八隻。戦艦のうちの二隻は新型の『ノースカロライナ』ならびに『ワシントン』であることが捕虜の証言から分かっています。さらに一四隻の巡洋艦と四八隻の駆逐艦もまた撃沈確実です」
首席参謀の報告に、第一艦隊司令長官の高須中将は小さくうなずき、目でその先を促す。
「飛行機については、敵の艦上機と陸上機を合わせて五〇〇機以上撃墜、さらに少なくない機体を地上撃破しています。それと、友軍の艦載機ならびに艦上機が三隻の潜水艦を撃沈しています」
一連の戦いで連合艦隊は敵艦や敵機を多数葬ったが、このうち艦艇の数字は信憑性が極めて高いものだと言えた。
第一艦隊と一航艦それに二航艦と三航艦は太平洋艦隊を撃滅した後に、駆逐艦を出すなどして積極的に溺者救助にあたった。
これは、外国に対して日本が人道国家であるということをアピールするのと、さらに戦果判定に有益な情報を捕虜から引き出すためにとられた措置だ。
もちろん、これら捕虜はマーシャル沖海戦の時と同じように、名簿を作成したうえで紙爆弾の威力を爆上げするための炸薬として利用する。
捕虜から得た情報は玉石混交といった状況だった。
しかし、中には非常に有益なものも含まれていた。
特に米海軍が保有する艦艇と、それに失われた艦艇の情報は貴重だ。
それらが分かれば、現有戦力の分析は容易だからだ。
現状、米海軍で使える主力艦は戦艦「アーカンソー」一隻のみ。
正規空母に至ってはゼロだ。
また、戦艦や空母に次ぐ戦力を誇る一万トン級巡洋艦も、そのうちの八割あまりをすでに撃沈したことが分かっている。
「これだけ沈めれば、ふつうの国であればお手上げなのでしょうが、しかし米国は違うのでしょうなあ」
大勝利の直後なのにもかかわらず、小林参謀長の表情に勝利の余韻のようなものは見られない。
それは、他の幕僚も似たようなものだった。
その理由は捕虜の証言からもたらされた情報だった。
それによれば、「ノースカロライナ」級戦艦以上の戦力を持つ「サウスダコタ」級戦艦の一番艦が来月にも就役を開始し、二番艦や三番艦のほうもまたそれぞれ三カ月以内にその姿を現すのだという。
さらに、戦艦の就役ラッシュはその後も続き、来年の今頃には「サウスダコタ」級を上回る新型高速戦艦が完成しているとのことだ。
もしこれらが揃えば、帝国海軍の戦艦戦力では対抗することは不可能だろう。
一六隻の戦艦それに七隻の空母を失ってなお米国が戦争をあきらめないという小林参謀長の見立ては、高須長官もまたその考えを同じとするところだ。
「参謀長の米国が手を上げないという考えには同意するが、しかしそれはもはや政治の領分だ。我々があれこれ考えても仕方がない」
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だが、二航艦と三航艦の巡洋艦それに駆逐艦は対潜戦闘を除いて米軍相手にその技量を発揮する機会に恵まれていない。
他の部隊が戦果を挙げる中、彼らは自分たちの出番が無いことにそれこそ切歯扼腕としていることだろう。
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