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第三十話 評価の確定
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第三十話 評価の確定
夕刻の執務室。
陽が傾き、窓から差す光が書類の端を淡く照らしている。
ナチュは帳簿を閉じた。
今日の報告は終わった。
労働斡旋の件も、王家法務局へ正式な照会を済ませてある。
私情は挟まない。
制度に沿って処理する。
それが答えだった。
サウザーは机の向こうから彼女を見る。
感情の読めぬ瞳。
だが、評価はすでに定まっている。
「君は迷わなかったな」
唐突な言葉。
ナチュはわずかに首を傾ける。
「迷う余地はございません」
即答だった。
父であろうと、元公爵であろうと。
家を守る立場にある以上、線は引く。
サウザーはゆっくりと立ち上がる。
窓辺へ歩み寄り、外を見下ろす。
整えられた庭、規律ある動線、
静かに動く使用人たち。
揺らぎはない。
「ノーランド家が失ったものは何だと思う」
問いは試すものではない。
確認だ。
ナチュは少しだけ考える。
「責任を担う覚悟、でございましょうか」
短いが、核心だった。
サウザーは頷く。
「地位は象徴に過ぎぬ」
低い声が室内に響く。
「担う覚悟がなければ、器は空だ」
そして振り返る。
視線はまっすぐだ。
「君の妹は、地位を欲しがった」
一瞬の沈黙。
「だが君は、責任を引き受けた」
その言葉は重い。
賞賛ではない。
評価だ。
「王家は秩序を守る」
「我らも同じだ」
静かな宣言。
「家は、欲望で継がれぬ」
「継ぐのは責任だ」
ナチュは深く一礼する。
「その責任を、共に担わせていただきます」
対等の誓い。
従属ではない。
支える覚悟の確認。
サウザーは小さく息を吐く。
「評価は確定した」
王家からの視察結果も、社交界の空気も。
ノーランド家の褫奪は、例外ではない。
秩序維持の判断。
そしてサウザー家の安定は、比較の中で際立った。
「揺らぎはない」
それは家への言葉であり、
ナチュへの言葉でもあった。
夜の帳が下りる。
執務室の灯りが静かにともる。
遠く、かつてのノーランド家の屋敷は別の紋章を掲げている。
家名は消えた。
だが理念は残る。
守る者がいる限り。
ナチュは母の帳簿を思い出す。
地位とは責任の量。
そして今日、
その言葉の意味が確定した。
正統とは、血だけではない。
責任を継ぐ者に宿る。
それが、揺るがぬ評価だった。
夕刻の執務室。
陽が傾き、窓から差す光が書類の端を淡く照らしている。
ナチュは帳簿を閉じた。
今日の報告は終わった。
労働斡旋の件も、王家法務局へ正式な照会を済ませてある。
私情は挟まない。
制度に沿って処理する。
それが答えだった。
サウザーは机の向こうから彼女を見る。
感情の読めぬ瞳。
だが、評価はすでに定まっている。
「君は迷わなかったな」
唐突な言葉。
ナチュはわずかに首を傾ける。
「迷う余地はございません」
即答だった。
父であろうと、元公爵であろうと。
家を守る立場にある以上、線は引く。
サウザーはゆっくりと立ち上がる。
窓辺へ歩み寄り、外を見下ろす。
整えられた庭、規律ある動線、
静かに動く使用人たち。
揺らぎはない。
「ノーランド家が失ったものは何だと思う」
問いは試すものではない。
確認だ。
ナチュは少しだけ考える。
「責任を担う覚悟、でございましょうか」
短いが、核心だった。
サウザーは頷く。
「地位は象徴に過ぎぬ」
低い声が室内に響く。
「担う覚悟がなければ、器は空だ」
そして振り返る。
視線はまっすぐだ。
「君の妹は、地位を欲しがった」
一瞬の沈黙。
「だが君は、責任を引き受けた」
その言葉は重い。
賞賛ではない。
評価だ。
「王家は秩序を守る」
「我らも同じだ」
静かな宣言。
「家は、欲望で継がれぬ」
「継ぐのは責任だ」
ナチュは深く一礼する。
「その責任を、共に担わせていただきます」
対等の誓い。
従属ではない。
支える覚悟の確認。
サウザーは小さく息を吐く。
「評価は確定した」
王家からの視察結果も、社交界の空気も。
ノーランド家の褫奪は、例外ではない。
秩序維持の判断。
そしてサウザー家の安定は、比較の中で際立った。
「揺らぎはない」
それは家への言葉であり、
ナチュへの言葉でもあった。
夜の帳が下りる。
執務室の灯りが静かにともる。
遠く、かつてのノーランド家の屋敷は別の紋章を掲げている。
家名は消えた。
だが理念は残る。
守る者がいる限り。
ナチュは母の帳簿を思い出す。
地位とは責任の量。
そして今日、
その言葉の意味が確定した。
正統とは、血だけではない。
責任を継ぐ者に宿る。
それが、揺るがぬ評価だった。
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