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第15話: 領地の繁栄
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第15話: 領地の繁栄
辺境到着から三ヶ月。
リンデル旧領地は、もはや「辺境の忘れられた村」ではなかった。
屋敷の周囲には新しい家屋が並び、薬草園は三倍の広さに拡大されていた。
村人たちは笑顔で働き、通りには小さな市場までできている。
商人たちの馬車が絶えず行き交い、エルカミーノのポーションを求めて大陸各地から人が集まっていた。
屋敷の応接間では、今日も商談が続いていた。
「エルカミーノ様! 今月の美容ポーション、追加で五百本お願いできませんか!?
王都の貴婦人たちが、もう他のものは使えないとおっしゃってます!」
大陸北部から来た商人が、興奮した声で頼み込む。
エルカミーノは穏やかに微笑み、帳簿をめくった。
「五百本は難しいですわ。でも、三百本ならお約束できます。
代わりに、薬草の苗を村に提供していただけますか?」
「もちろんです! 何でも言いつけください!」
商談がまとまると、セシルが新しいお茶を運んでくる。
「お嬢様、今日も大盛況ですわ!
この分だと、来月には村に学校も建てられそうですね」
エルカミーノは窓の外を見た。
子供たちが薬草園で遊びながら、村人に手伝われている姿が見える。
「ええ、本当に。ここがこんなに賑やかになるなんて、想像もしていなかった」
ポーションの噂は、もはや国境を越えていた。
隣国エルドラントからも、公式に取引の申し入れが来ている――
もちろん、ラクティス公爵の名で。
(あの人、毎週のように手紙を送ってくるのよね……)
エルカミーノは机の上に積まれた封筒をちらりと見て、頰を赤らめた。
手紙の内容は、最初は共同研究の提案だったが、最近は少しずつ個人的なものに変わってきていた。
『次に訪れる際は、君の好きな薬草の種を持っていく。
……君の笑顔を、また見たい』
そんな一文に、彼女は毎回どきどきしてしまう。
その頃、王都では――
魔瘴病がさらに深刻化していた。
下町だけでなく、貴族街にも広がり始め、死者が日ごとに増えている。
王宮の会議室。
カイロンは重苦しい顔で医師団の報告を聞いていた。
「聖女様の浄化魔法では、病の進行を遅らせるのが精一杯……
一刻も早く、効果的な薬を」
医師長が慎重に進言する。
「実は、辺境のリンデル旧領地で作られているポーションが、
この魔瘴病に完治効果を示しているとの報告が、複数上がっております」
カイロンの顔が歪む。
「……エルカミーノの、薬か」
ソルスティスが隣で、唇を噛んだ。
「そんなはずありません! 私の聖魔法こそが最高のはずなのに……!」
しかし、誰も彼女の言葉に頷く者はいなかった。
貴族たちの視線は、冷たく、疑わしげだ。
一方、辺境では――
村の広場に、姉ヴィオラからの手紙が届いた。
『エルカミーノ、王都は大変なことになっているわ。
魔瘴病が広がり、父上も母上も心配している。
……あなたが作っている薬が、みんなを救っていると聞きました。
本当に、誇らしいです』
手紙を読み終えたエルカミーノは、静かに目を閉じた。
(姉上……ありがとう)
彼女は立ち上がり、薬草園へ向かった。
今日も、新しいポーションを大量に作る予定だ。
村人たちが笑顔で挨拶し、子供たちが駆け寄ってくる。
「お嬢様! 今日も薬、作るの?」
「ええ、たくさん作るわ。みんなが元気でいられるように」
夕陽が領地を黄金色に染める中、
エルカミーノは穏やかに微笑んだ。
かつての「地味令嬢」は、
今やこの地の希望そのものになっていた。
そして、遠くから――
黒と紫の馬車が、また近づいてきていることに、
彼女はまだ気づいていなかった。
辺境到着から三ヶ月。
リンデル旧領地は、もはや「辺境の忘れられた村」ではなかった。
屋敷の周囲には新しい家屋が並び、薬草園は三倍の広さに拡大されていた。
村人たちは笑顔で働き、通りには小さな市場までできている。
商人たちの馬車が絶えず行き交い、エルカミーノのポーションを求めて大陸各地から人が集まっていた。
屋敷の応接間では、今日も商談が続いていた。
「エルカミーノ様! 今月の美容ポーション、追加で五百本お願いできませんか!?
王都の貴婦人たちが、もう他のものは使えないとおっしゃってます!」
大陸北部から来た商人が、興奮した声で頼み込む。
エルカミーノは穏やかに微笑み、帳簿をめくった。
「五百本は難しいですわ。でも、三百本ならお約束できます。
代わりに、薬草の苗を村に提供していただけますか?」
「もちろんです! 何でも言いつけください!」
商談がまとまると、セシルが新しいお茶を運んでくる。
「お嬢様、今日も大盛況ですわ!
この分だと、来月には村に学校も建てられそうですね」
エルカミーノは窓の外を見た。
子供たちが薬草園で遊びながら、村人に手伝われている姿が見える。
「ええ、本当に。ここがこんなに賑やかになるなんて、想像もしていなかった」
ポーションの噂は、もはや国境を越えていた。
隣国エルドラントからも、公式に取引の申し入れが来ている――
もちろん、ラクティス公爵の名で。
(あの人、毎週のように手紙を送ってくるのよね……)
エルカミーノは机の上に積まれた封筒をちらりと見て、頰を赤らめた。
手紙の内容は、最初は共同研究の提案だったが、最近は少しずつ個人的なものに変わってきていた。
『次に訪れる際は、君の好きな薬草の種を持っていく。
……君の笑顔を、また見たい』
そんな一文に、彼女は毎回どきどきしてしまう。
その頃、王都では――
魔瘴病がさらに深刻化していた。
下町だけでなく、貴族街にも広がり始め、死者が日ごとに増えている。
王宮の会議室。
カイロンは重苦しい顔で医師団の報告を聞いていた。
「聖女様の浄化魔法では、病の進行を遅らせるのが精一杯……
一刻も早く、効果的な薬を」
医師長が慎重に進言する。
「実は、辺境のリンデル旧領地で作られているポーションが、
この魔瘴病に完治効果を示しているとの報告が、複数上がっております」
カイロンの顔が歪む。
「……エルカミーノの、薬か」
ソルスティスが隣で、唇を噛んだ。
「そんなはずありません! 私の聖魔法こそが最高のはずなのに……!」
しかし、誰も彼女の言葉に頷く者はいなかった。
貴族たちの視線は、冷たく、疑わしげだ。
一方、辺境では――
村の広場に、姉ヴィオラからの手紙が届いた。
『エルカミーノ、王都は大変なことになっているわ。
魔瘴病が広がり、父上も母上も心配している。
……あなたが作っている薬が、みんなを救っていると聞きました。
本当に、誇らしいです』
手紙を読み終えたエルカミーノは、静かに目を閉じた。
(姉上……ありがとう)
彼女は立ち上がり、薬草園へ向かった。
今日も、新しいポーションを大量に作る予定だ。
村人たちが笑顔で挨拶し、子供たちが駆け寄ってくる。
「お嬢様! 今日も薬、作るの?」
「ええ、たくさん作るわ。みんなが元気でいられるように」
夕陽が領地を黄金色に染める中、
エルカミーノは穏やかに微笑んだ。
かつての「地味令嬢」は、
今やこの地の希望そのものになっていた。
そして、遠くから――
黒と紫の馬車が、また近づいてきていることに、
彼女はまだ気づいていなかった。
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