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第30話: 国際的な栄誉
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第30話: 国際的な栄誉
エルドラント公爵領に移ってから、数ヶ月が過ぎていた。
春から夏へ、季節は移り変わり、広大な温室と錬金工房はエルカミーノの楽園となっていた。
新しく開発したポーションは、次々と大陸中に広がり、
医療、軍事、美容――あらゆる分野で革命を起こしていた。
ある日、大陸連合からの公式使者が公爵城に訪れた。
応接ホールで、エルカミーノとラクティスは並んで座っていた。
使者は厳かな表情で、巻物を広げた。
「エルカミーノ・フォン・エルドラント様(婚礼前の仮称として)。
大陸連合全国家の名において、最高栄誉を授与いたします。
称号は『大陸の救済者』――
貴女の錬金術とポーションが、数多の命を救い、平和を支えた功績に対し、
永遠の感謝と栄誉を捧げます」
使者は黄金のメダルと、宝石が散りばめられた証書を差し出した。
エルカミーノは驚きながら、それを受け取った。
「私……ただ、薬草が好きで、作っていただけなのに」
ラクティスは隣で優しく笑い、彼女の手を握った。
「君の『だけ』が、大陸を変えたんだ」
そのニュースは瞬く間に広がり、
各国の王族、貴族、錬金術師たちが次々と祝賀の使者を送ってきた。
一方、王都アルディアでは――
カイロンは王宮のバルコニーから、遠くの空を眺めていた。
ソルスティスはすでに聖女の地位を剥奪され、
平民として静かに国を去っていた(転生者バレの影響で、誰も彼女を信じなくなった)。
街の広場では、人々が「大陸の救済者」エルカミーノの噂で持ちきりだった。
「あの追放された令嬢が、今や大陸最高の栄誉を受けたそうだ」
「王太子殿下の婚約破棄が、最大の失策だったな……」
カイロンはその声を聞き、静かに目を閉じた。
(エルカミーノ……
お前は、もう手の届かない高みにいる)
後悔は尽きず、
しかし、もう追うことすら許されない。
ソルスティスの転落は完全で、
誰も彼女の名を口にしなくなっていた。
エルドラントでは、祝賀の宴が開かれた。
広大なホールに、各国の使者や貴族が集う。
エルカミーノはラクティスの隣で、優雅なドレスを纏い、
メダルを胸に輝かせていた。
ラクティスが立ち上がり、グラスを掲げた。
「私の愛する婚約者、エルカミーノ。
彼女の才能が、大陸に光をもたらした。
そして、僕に――本当の幸せを与えてくれた」
会場が拍手と歓声に包まれる。
エルカミーノは頰を赤らめ、ラクティスの腕に寄りかかった。
「ありがとう、みんな。
私はただ、好きなことをしていただけ。
これからも、ラクティスと一緒に、みんなを幸せにする薬を作り続けるわ」
宴は夜通し続き、
星空の下、花火が上がった。
エルカミーノはテラスで、ラクティスに抱きしめられながら呟いた。
「昔は、地味令嬢で婚約破棄されて……
こんな未来、想像もしてなかった」
ラクティスは彼女の額にキスを落とした。
「今は、僕の最愛の妻で、大陸の英雄だ」
二人は笑い合い、
永遠の幸せを約束した。
エルカミーノの錬金術は、
これからも大陸を照らし続ける。
そして、彼女の心には、
もうどんな影も残っていなかった。
エルドラント公爵領に移ってから、数ヶ月が過ぎていた。
春から夏へ、季節は移り変わり、広大な温室と錬金工房はエルカミーノの楽園となっていた。
新しく開発したポーションは、次々と大陸中に広がり、
医療、軍事、美容――あらゆる分野で革命を起こしていた。
ある日、大陸連合からの公式使者が公爵城に訪れた。
応接ホールで、エルカミーノとラクティスは並んで座っていた。
使者は厳かな表情で、巻物を広げた。
「エルカミーノ・フォン・エルドラント様(婚礼前の仮称として)。
大陸連合全国家の名において、最高栄誉を授与いたします。
称号は『大陸の救済者』――
貴女の錬金術とポーションが、数多の命を救い、平和を支えた功績に対し、
永遠の感謝と栄誉を捧げます」
使者は黄金のメダルと、宝石が散りばめられた証書を差し出した。
エルカミーノは驚きながら、それを受け取った。
「私……ただ、薬草が好きで、作っていただけなのに」
ラクティスは隣で優しく笑い、彼女の手を握った。
「君の『だけ』が、大陸を変えたんだ」
そのニュースは瞬く間に広がり、
各国の王族、貴族、錬金術師たちが次々と祝賀の使者を送ってきた。
一方、王都アルディアでは――
カイロンは王宮のバルコニーから、遠くの空を眺めていた。
ソルスティスはすでに聖女の地位を剥奪され、
平民として静かに国を去っていた(転生者バレの影響で、誰も彼女を信じなくなった)。
街の広場では、人々が「大陸の救済者」エルカミーノの噂で持ちきりだった。
「あの追放された令嬢が、今や大陸最高の栄誉を受けたそうだ」
「王太子殿下の婚約破棄が、最大の失策だったな……」
カイロンはその声を聞き、静かに目を閉じた。
(エルカミーノ……
お前は、もう手の届かない高みにいる)
後悔は尽きず、
しかし、もう追うことすら許されない。
ソルスティスの転落は完全で、
誰も彼女の名を口にしなくなっていた。
エルドラントでは、祝賀の宴が開かれた。
広大なホールに、各国の使者や貴族が集う。
エルカミーノはラクティスの隣で、優雅なドレスを纏い、
メダルを胸に輝かせていた。
ラクティスが立ち上がり、グラスを掲げた。
「私の愛する婚約者、エルカミーノ。
彼女の才能が、大陸に光をもたらした。
そして、僕に――本当の幸せを与えてくれた」
会場が拍手と歓声に包まれる。
エルカミーノは頰を赤らめ、ラクティスの腕に寄りかかった。
「ありがとう、みんな。
私はただ、好きなことをしていただけ。
これからも、ラクティスと一緒に、みんなを幸せにする薬を作り続けるわ」
宴は夜通し続き、
星空の下、花火が上がった。
エルカミーノはテラスで、ラクティスに抱きしめられながら呟いた。
「昔は、地味令嬢で婚約破棄されて……
こんな未来、想像もしてなかった」
ラクティスは彼女の額にキスを落とした。
「今は、僕の最愛の妻で、大陸の英雄だ」
二人は笑い合い、
永遠の幸せを約束した。
エルカミーノの錬金術は、
これからも大陸を照らし続ける。
そして、彼女の心には、
もうどんな影も残っていなかった。
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