スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~

空松蓮司

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第41話 開幕全開!!

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 前回と同じ失敗はしないよう、すぐさま近くの2階建ての白い家に入る。

 2階に上がり、窓から環境を確認。

 空、晴天。街の西側と南側に海。東には樹海が広がっていて、北には舗装された道が見える。
 海近くの砂浜に行けばダストミラージュが本領を発揮するね。けれど、低い場所に構えるのは危険だ。

(今更だけど、ダストミラージュはスナイパーとは相性悪いかもなぁ……)

 狙撃手は高所を好む。視野が広く、射線が通りやすいからね。一方でダストミラージュは砂地で効果を発揮する。砂のある場所は基本的に低所だ。ミスマッチ!

(基本的に真っ白な二階建ての家が並んでいて、孤立して豪邸が幾つかある。一番目立つのは海の近くにある巨大なホテル。五階建てだ。それに隣接してゴルフ場もある)

 ゴルフ場を抜いた街の大きさは700mほど。僕はちょうど街の中心程にいるため強化レーダー(索敵範囲半径500m)で街全てがレーダーの範囲に収まる。
 全体マップで見るとこの街は結構端の方だ。1度目か2度目のエリア縮小でセーフティエリアから外れるだろうね。

 レーダーに映る敵機アイコンは3つ。

『ニコっちは北東4.5km地点、シーナっちは東に1.8km。結構遠い位置だね』

 チームメンバー同士は最低でも800m以上離れた地点に転送される。1km以上離れているのは運が悪い。

『シキさん、状況は?』
「500m以内に敵アイコン3です」
『そうですか。恐らくその3機で近くにいる敵は全てでしょうね。5機以上のスペースガールがまとまった場所に転送されることはまず無いですから』
『ステイよステイ! 見つかったらスナイパーのアンタが真っ先に狙われるわよ!』

 うっ……ニコさんのアドバイスはもっともだ。でも……。

(ここで素直に聞いていたら、何も変わらないっ!)

 自分の判断に絶対の自信があるわけではない。それでも、ここで芋る(隠れたままやり過ごす)のは最善ではないと確信がある。

「や、やらせてください。倒せます。3機全部!」
『じゃあやれ!!』
「はい! ……って、あれ? い、いいんですかニコさん?」
『アンタが私の意見を押しのけてまで言うんだから相当な自信があるんでしょ。その自信に賭けてあげる。初っ端! 思いっきり暴れなさい!!』
「は、はい!」

 僕は2階の窓を開き、スナイパーライフルのスコープを覗く。

(この街の要地は間違いなくあのリゾートホテルだ。リゾートホテルの上を取れれば大きなアドバンテージになる――と、みんな考えるはず。僕にとってはあのホテルはただの餌だ。街の外側にあるリゾートホテルに向かえば必然と背中は街の内側に向く。街の中心にいる僕に背中を向ける)

 距離300m、バイクで移動しているスペースガールが見える。向かっているのはホテルだ。

(ほら、ガラ空き)

 後頭部に向けて発砲。レーザー弾は綺麗にスペースガールの後頭部を貫き、デリートする。デリートと同時に、他のスペースガールのアイコンが動き出した。

(残りの2機がこっちに寄ってくる)

 射程の長い狙撃手を潰そうとするのは当然の動きだ。
 窓から屋根上に登る。
 残りの2機はどっちも建物の陰にいて、上からでも視認できない。ならば、しなくていい。

(こういう時のために精密レーダーを入れたんだ)

 対象の座標さえわかっていれば、見えずとも撃てる。
 近い方から潰していこう。

(レーダー撃ち……くらえ!!)

 間に挟まる建物障害物は構わず、僕は敵座標に向かって引き金を引く。

 1発目。家を貫きレーザー弾は進んでいく。敵機に当たったとは思うが、デリートはできていない。シールドピースで防がれたのだろう。

 2発、3発と続けざまに撃つ。またヒットはするがデリートはできていない。

 距離150。僕はスナイパーライフルを消し、アサルトライフルに切り替える。

「バレットピース!!」

 6基の射撃端末が僕の腰から飛び立ち、敵機に向かう。
 バレットピースは僕から100m先まで移動でき、射程は50m。攻撃範囲は計150mになる。

 相手は僕のいる家から142m離れた白い一軒家の中に潜んでいる。

 正面からアサルトライフルの連射、さらに角度をつけてバレットピースでもレーダー撃ちをかます。すると家の玄関からスペースガールが家の前の通りに転がり出てきた。多方向・死角からの攻撃を避けるため、狭い場所から飛び出したんだろうけど、判断遅いよ。

(足にダメージがある。シールドピースも僅か。残りはアサルトライフルで削り切れる)

 バレットピースは1撃放つと充電のため僕の所に戻ってくる(充電時間3秒)。
 敵機の残りのシールドピースは10もない。アサルトライフルの連射でシールドピースを削り切り、スナイパーライフルに持ち替えてヘッドショットを決める。

 これで2機撃破。あと1機。

(距離50m)

 相手は僕とは違う家の屋根に上がる。僕のいる家の6つ隣の家の屋根の上だ。
 手に持ったアサルトライフルを連射してくる。僕は屋根の上を滑り弾丸を躱し、バレットピースを射出。同時にスナイパーライフルからアサルトライフルに持ち替える。

(左右、前後、上下、6方向から射撃し動きを制限する)

 対象の右7m、左8m、背後4m、上空8m、対象のいる家の二階・足下2mの位置にそれぞれ1基ずつバレットピースを配置。一斉射撃。さらに正面から僕はアサルトライフルを連射する。
 6方向からの攻撃だ。相手はやむえずシールドピースで受け足を止める。

った)

 僕は残していたバレットピース1基を僕の真上に配置し、発砲。
 そしてすぐさま腰のホルダーからG-AGEを抜き、ガンマンの如く早撃ちする。レーザー弾の陰に実弾が隠れる。当然、敵機はバレットピースの1撃をシールドピースで防ぎ、続く実弾もシールドピースで受ける。

「なに!!?」

 G-AGEはレーザー以外の全てを貫通する。放たれた銃弾はシールドピースを貫き、スペースガールの弱点の1つである胸の中心を撃ち抜いた。

――オールクリア。

「全機撃破! 目立った消耗無しです!」
『お見事シキっちょ!』

 敵機を落とした跡に、緑のケースが落ちた。機世獣を倒した時に落ちる銀ケースに似たものだ。
 僕はケースに近づき、中を開ける。すると中から修理キット×2とグレネード×1が飛び出た。

(ドロップアイテムだ)

 ランクマッチでキルされるとランクマッチ内で得た消費アイテムをドロップする。これはいま倒したスペースガールが拾っていたアイテムたちだ。ありがたく頂戴しておこう。

『私はもう少しで合流出来ます。ニコさんは――』
『あ~、私は厄介な奴に捕まったわ』

 通信機越しに、ウィングの起動音が聞こえる。

「この音……まさか!」

 クレナイさん……!?

「シーナさん! こちらは大丈夫ですので、ニコさんの方に……」
『それは無理です。ニコさんがいる街に行くには大橋を通らないといけません。このマップの橋は関所とも呼ばれ、スナイパーやボマーが張り付いていることが多い。単独で大橋を突破するのは……難しいです』

 そんな……!

『いいわよ別に。1対1でコイツを倒せばいいだけの話でしょ』

 クレナイさんは強い。ニコさんも強いけど、個人的な印象ではクレナイさんの方がやや上、といった感じだ。
 だけど、あくまで僅差。勝ちを拾える可能性は大いにある。

(ニコさん……!)

 ここはニコさんの力を信じるしかない。
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